早稲田で夏目漱石ゆかり地巡り、生誕地から漱石山房まで【東京・新宿区】

国民的文豪・夏目漱石は新宿で生まれ育ち、そしてその生涯を新宿で終えました。

生誕地であり終焉地でもある早稲田の街のゆかりのスポットへの散策と、晩年の作品群を生み出した住居跡にある「漱石山房記念館」を紹介します。

漱石に関連するエピソードを振り返りながら歩くと、知らなかった漱石が見えてくるかも!?

目次

早稲田・漱石の散歩道

東京都新宿区 夏目坂通り

文豪・夏目漱石の生誕150周年を記念して、平成29年(2017年)に東京都新宿区が「漱石山房記念館」を開設しました。

記念館のある早稲田周辺や神楽坂には漱石ゆかりの場所が多くあり、「漱石の散歩道」と称する周辺の街歩きルートも紹介されています。

今回これを参考にしながら、早稲田の漱石ゆかりのスポットへの訪問と、漱石山房記念館の見学を紹介します。

『夏目漱石誕生の地』から散策開始!

東京都新宿区 夏目漱石誕生の地碑

最初の夏目漱石ゆかりのスポットは、「夏目漱石誕生の地碑」です。
東京メトロ東西線・早稲田駅の2番出口を上がってすぐの場所にあります。

夏目漱石は慶応3年(1867年)に生誕し、本名は夏目金之助でした。

こちらは生誕100年を記念して、昭和41年(1966年)に漱石の生家があった場所に建てられた記念碑です。
黒御影石には”夏目漱石誕生之地”の文字が刻まれています。

東京都新宿区 夏目漱石誕生の地碑

引きにすると定食屋・やよい軒の映り込みが回避できませんでしたわ(笑)。
まっ、街中ではこんな立派な石碑が残っているだけでも、上々なのかもしれませんね。

夏目漱石誕生の地碑
住所:東京都新宿区喜久井町1(GoogleMapで開く

『夏目坂と小倉屋』 赤穂浪士 堀部安兵衛ともゆかり

東京都新宿区 夏目坂

夏目漱石誕生の地碑の前には、「夏目坂」と名付けられた坂道があります。

この辺りの名主だった漱石の父・直克が、自分の名を付けて呼んでいたものが広まった、と漱石の随筆「硝子戸の中」で語られています。

父上も地元の名士だったのですね。

東京都新宿区 夏目坂

さらに漱石誕生碑のすぐ傍には、かつて漱石の生家の隣にあった「小倉屋」という酒屋があります。
漱石の随筆「硝子戸の中」の中でも触れられている酒屋です。

建物は至って最近の酒屋ですが、さりげに看板に”SINCE 1678”(=延宝6年!)とあるように、江戸時代からの老舗なんですよ!
後の赤穂浪士・堀部安兵衛が高田馬場の決闘に駆けつける際、この店で升酒を飲んだと伝えられます。

『穴八幡宮』 徳川吉宗が流鏑馬を奉納

東京都新宿区 穴八幡宮

早稲田通り沿いに歩き、「穴八幡宮」という神社に向かいました。
立派な神社ですね~。

まずは鳥居の足元をちょっと見て下さい。
一見靴下でも履いているようにも見えますが、亀の形の石が鳥居を支えているんですね。
珍しいし、チョイとお茶目な感じで可愛らしい。

この神社は平安時代の康平5年(1062年)に、源義家がこの地に八幡神を祀ったのが起源とされます。
源義家は、鎌倉幕府を開いた源頼朝や室町幕府を開いた足利尊氏の祖先にあたります。

東京都新宿区 穴八幡宮

神社の入口には「高田馬場流鏑馬((やぶさめ)」の像。

享保13年(1728年)に徳川8代将軍・吉宗が流鏑馬を奉納したのがきっかけで、この地で行われる風習ができたそうです。

昭和になり、古式流鏑馬を保存するために流鏑馬が復活されました。
現在も都立戸山公園で、年一回体育の日に流鏑馬が行われてるんですよ。

東京都新宿区 穴八幡宮
穴八幡宮は、漱石の奥方・鏡子(きょうこ)さんが、漱石の虫封じにお参りした神社なんだそうです。

虫封じは、本来小児の夜泣きなどの疳(かん)の虫を治めるためのお祈り。
大人の漱石のためにお祈りしたというのも、ちょっと面白いエピソードです。

漱石は年齢と共に病気がちになり、肺結核・トラホーム(眼の結膜炎)・神経衰弱・痔・糖尿病、そして亡くなる原因となった胃潰瘍まで、様々な病気を抱えていたそうです。

なーんとなく神経質で病気がちのイメージがある漱石ですが、そこまでの病気持ちとは知りませんでしたなあ。

東京都新宿区 穴八幡宮

現在の建物は、昭和から平成にかけて再建されたもの。
元々の建物は残念ながら、昭和20年(1945年)の東京大空襲で焼失しているそうです。

東京都新宿区 穴八幡宮

訪問した際は梅の花の季節でした。

こちらの神社では、冬至から節分までの期間限定で頒布される「一陽来復御守」が人気。
金運の願いごとに効き目があるそうなんですよ!

穴八幡宮
住所:東京都新宿区西早稲田2-1-11(GoogleMapで開く

『誓閑寺』 新宿区内最古の梵鐘

東京都新宿区 誓閑寺

次に夏目坂通り沿いの「誓閑寺(せいかんじ)」というお寺に向かいます。
しばし見つけられずにウロウロして、細い路地に入った所にあるのをようやく見つけましたわ。

東京都新宿区 誓閑寺

漱石の随筆「硝子戸の中」では西閑寺という名前で、小説「二百十日」では寒磬寺(かんけいじ)の名前で登場する寺です。

東京都新宿区 誓閑寺

誓閑寺の梵鐘は、天和2年(1682年)に鋳造された新宿区内最古の梵鐘だそうですよ。
古い物ですが、綺麗な状態で残っているもんですね。

誓閑寺
住所:東京都新宿区喜久井町61(GoogleMapで開く

『漱石公園と漱石山房記念館』 終焉の地へ

東京都新宿区 漱石山房通り

漱石山房記念館方面の標識に導かれて、静かな住宅街の道へ。
ここは「漱石山房通り」の名が付いています。

「漱石公園(終焉の地)」

東京都新宿区 漱石公園

漱石終焉の地には「漱石公園」があります。
入口には夏目漱石の像があり、公園は無料で見学ができます。

東京都新宿区 漱石公園
新宿で生まれた漱石は、大正5年(1916年)に亡くなるまでの約9年間、この地に「漱石山房」と呼ばれた住まいを構え執筆活動を行いました。

「三四郎」「それから」「こゝろ」などの作品が、ここから生まれています。

東京都新宿区 漱石公園

公園内には「道草庵」という小さな資料館があり、漱石山房を紹介したパネルなどが展示されていました。

東京都新宿区 漱石公園

公園にある「猫の墓(猫塚)」。

「吾輩は猫である」のモデルとなった猫の十三回忌にあたる大正9年(1920年)に、夏目家で飼われた生き物たちを供養するため造らせた物だそうです。
しかしその後の空襲で損壊。

一部欠けてしまったものから、昭和28年(1948年)に再興されたものだそうです。

「漱石山房記念館外観」

東京都新宿区 漱石山房記念館

公園と隣り合って「漱石山房記念館」があります。

東京都新宿区 漱石山房記念館

「漱石山房記念館」は全面ガラス張りで、自然光が良く入る明るい造りの建物でした。

「漱石山房再現展示室」

東京都新宿区 漱石山房記念館

館内の展示物は基本的に写真撮影NGですが、いくつか撮影OKな場所が用意されているのはありがたい。

東京都新宿区 漱石山房記念館

再現された「漱石山房」です。

漱石山房は、昭和20年(1945年)の山の手大空襲で焼失しました。
しかし山房に残された遺品や写真類は他所に疎開させていたため、焼失を免れたそうなんですね。

東京都新宿区 漱石山房記念館

残された写真を解析することにより、壁紙の模様の寸法や部屋の広さを特定。
かつての書斎を再現したそうです。

地道な復元作業だったんでしょうなあ。

東京都新宿区 漱石山房記念館

書斎を抜け回廊を進むと漱石の人形があるのですが、これがリアルでびっくり!
遠目だと本当に人が座っているような感じに見え、一瞬どきっとしましたわ(苦笑)。

ここでは漱石と一緒に記念写真が撮れますよ。

2階「展示室」、地下には図書室も

東京都新宿区 漱石山房記念館

館内では「吾輩は猫である」をモチーフにした猫ちゃんが、所々で行き先案内をしてくれます。

2階の展示室では、パネルや映像などにより漱石と彼の作品の紹介があります。
草稿や書簡、初版本などの貴重な資料の展示もありました。撮影は不可でした。

東京都新宿区 漱石山房記念館

地下1階の「図書室」では、漱石作品や関連図書が閲覧できます。
講座室では、講座やイベントが開催されるそうです。

1階の再現展示・2階の資料展示室の見学は有料ですが、その他にも無料で見学できる展示物もあります。
また、1階には漱石作品や関連図書を読みながら喫茶できる、ブックカフェ「カフェ・ソウセキ」でゆっくり過ごすこともできます。

基本情報・アクセス

新宿区立漱石山房記念館公式ページ
住所:東京都新宿区早稲田南町7(GoogleMapで開く
開館時間:10時~18時(入館は17時30分まで)
 ※漱石公園開園時間:4月~9月:8時~19時、10月~3月:8時~18時 / ブックカフェ利用時間:10時~18時(ラストオーダーは17時)
休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は、直後の休日でない日)、年末年始(12月29日~1月3日)、その他設備維持のため等の臨時休館日
 ※漱石公園は年中無休、カフェ・ソウセキは当面の間、漱石山房記念館の休館日および火曜日・水曜日を休業(祝・休日の場合は営業)。
観覧料(通常展):一般300円、小・中学生100円
 ※特別展等の開催時の観覧料は、内容により変更、小・中学生は以下の学校休業中については観覧料を免除。土曜日・日曜日、国民の祝日(振替休日を含む)、都民の日(10月1日)、新宿区立小中学校の夏季・冬季・春季休業日

『早稲田大学』 漱石が講師を務めた

東京都新宿区 早稲田大学

最後に早稲田大学・早稲田キャンパスに立ち寄りました。

明治25年(1892年)~明治28年(1895年)まで、漱石は現在の早稲田大学で講師を務めたそうですよ。(当時は東京専門学校)

写真は早稲田大学のシンボル的な「大隈記念講堂」。
ヨーロッパ調のゴシック様式建築物で、地下1階・地上3階建て。

創立者・大隈重信逝去後の昭和2年(1927年)に竣工された建物で、国の重要文化財です。


東京都新宿区 早稲田大学

キャンパス内の「大隈重信像」にご挨拶したところで、本日の夏目漱石の早稲田ゆかりの地の散策を終了します。

早稲田大学 大隈記念講堂
住所:東京都新宿区戸塚町1-104(GoogleMapで開く

今回の訪問スポットマップ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次