さいたま市にある「氷川女体神社」の周囲には、かつて見沼と呼ばれる巨大な沼がありました。
氷川女体神社はその見沼との関連が深く、見沼の主である竜神様が祀られていたらしいんですよ!
竜伝説に関連する遺跡まで残っています。
そしてこの神社は、武蔵一宮氷川神社の女体社として、武蔵国一宮を形成した一社ともいわれています。
そんな、ミステリアスなロマンを感じる古社の参拝に出かけてみました。
目次
「氷川女体神社」武蔵一宮として竜神を祀る神社
見沼たんぼの台地上に鎮座
「氷川女体神社」が所在するさいたま市南東部のこの辺りには、「見沼たんぼ」と呼ばれる広大な緑地が広がっています。
その見沼田んぼは、かつての古代の海の名残である「見沼」という巨大な沼でした。
氷川女体神社は見沼田んぼに突き出た小舌状の台地の上にあり、一帯を見下ろす場所に鎮座しています。
武蔵国一宮の女体社とされる
境内がある高台への入口。
社叢は常緑広葉樹を中心に構成されており、さいたま市の「保存緑地」にも指定されています。
樹齢300年を超える杉の大木などもあるそうですよ。
氷川女体神社は奈良時代に建立されたとされる、有数の古社です。
社名の「女体」は祭神である女性の神様、稲田姫命(いなだひめのみこと)に由来します。
境内入口にある鳥居の扁額には、「武蔵国一宮」の文字。
あれ?武蔵国一宮といえば大宮氷川神社なのでは?と思いますよね。
これには「武蔵国一宮」に関する言い伝えがあります。
大宮氷川神社は、須佐之男命(すさのおのみこと)を御祭神とする男体社とされる。
そして、氷川女体神社は稲田姫命を祀り、須佐之男命の姫君にあたる女体社という説です。
そしてもう一社、息子の大己貴命(おおなむちのみこと)を祀るのが、同じ市内にある「中山神社」。
かつてこの三社で「武蔵国一宮」を構成していた、とするファミリー説があるんです。
それを裏付けるように、三社の立地は地図上で一直線上に配置されている、と言われてるんですよね。
ホントかな~なんて思いましたが、実際に地図で確認してみると。。。
あら不思議!確かに三社は、一直線のライン上に並んでますな。
なるほどですねえ。
\ 氷川三社についてはこちら! /
社殿は徳川将軍家綱の命による建築
緑豊かな境内は、静けさに包まれていました。
入口から真っすぐ進んだ場所に社殿があります。
現在の社殿は江戸時代の寛文7年(1667年)に、徳川4代将軍・家綱の命により建築されたといわれます。
社殿は拝殿と本殿が幣殿を介して一体化されている、権現造りと呼ばれる複合社殿です。
建築物は県の有形文化財に指定されています。
正面に三角形の千鳥破風と、曲線をもつ唐破風が施されているのが特徴です。
拝殿にも「武蔵国一宮」の額があります。
江戸時代には徳川将軍家からの崇敬を受けましたが、それ以前から武士からの崇敬が篤かったそうだ。
徳川家のほか、小田原北条氏などからの奉納品や朱印状などが残っています。
祭神を祀る本殿の建物は、屋根が手前の方に長い庇をもつ三間社流れ造り。
建物全面は、朱の漆で仕上げられています。
本殿の屋根部分を見ると主祭神の性別がわかるって、ご存じですか?
上の写真、空に向かって斜めに突き出て角ばった「千木(ちぎ)」が見えます。
当社のように、千木先端の切口が内側(上側)に向いている場合は女性の神様。
外側から切口が見える形の場合は男性、という区別になってます。
なかなか繊細な表現方法ですよね!
ご神木から熊の顔が出現!?
さて、拝殿の参拝後は境内をめぐってみます。
こちらは社務所前にあるタブノキの御神木。
こちらは”熊の顔”が浮き出ている、といわれる不思議な御神木なんですよ!
確かに自然の神秘を感じさせるような、不思議な木ですなあ。
マジマジと見ていると、確かに熊の顔らしきものに見えてきますわ。
パワースポットといわれているので、霊験あらたかな御神木のパワーを頂いて帰りましょう!
不思議な光景!? 巫女人形がズラッと並ぶ
神社事務所脇には、「巫女(みこ)人形納処」なる場所がありました。
あー、こちらも不思議な雰囲気ですね。
”お願い事が叶ったら、着物をきせてお礼参りいたしましょう”、とあります。
戻ってきてる人形が沢山あるということは、多くの願いごとが叶っているってことですよね!
巫女人形は1体1,200円。
人形は天然素材で、一体一体手作り製の当社オリジナルの物なんだそうだ。
願いごとがあれば、お連れして帰りましょう。
「竜神社」に祀る竜神様はさいたま市のゆるキャラ・ヌゥの原点!?
境内社の「竜神社」には、竜神様が祀られています。
かつて広大な見沼のほとりにあった氷川女体神社。
神社では沼の主(ぬし)だった竜神様を祭るために、長年にわたり「御船祭(みふねまつり)」がおこなわれていました。
これは室町時代から続いていたといわれます。
この祭りは、神輿(みこし)をのせた船を沼の最も深いところに繰りだし、沼の主である竜神様を祀り豊作などを願う祭りだった。
ちなみにさいたま市には「ヌゥ」というゆるキャラがいますが、ヌゥは見沼たんぼの主の子孫、という設定なんですね。
見沼たんぼの竜伝説は、さいたま市のルーツとして受け継がれています。
*ヌゥのキャラクター確認はさいたま市の 「ヌゥ」 のページでどうぞ。
手水舎にも竜の彫刻発見!
こちらは手水舎。
手水舎にも竜の彫刻を発見!
「船祭祭祀遺跡」 江戸時代の祭祀場の遺跡
境内のある高台から下りた場所には、御船祭に関連した遺跡があります。
入口には、「磐船祭祭祀遺跡復元記念」の石碑が立ちます。
その先には、緑に包まれた厳かな雰囲気の小道が続く。
こちらが「磐船祭祭祀遺跡」です。
■かつて氷川女体神社では、竜神様を祭る「御船祭」がおこなわれていた。
■御船祭は船に乗せられた神輿を見沼を渡し、下山口新田の御旅所まで流された。
*下山口新田は5kmほど南東の地。
■江戸時代の「享保の改革」以降は沼が水田へと変わってゆき、行き船が流せなくなった。それにより御船祭は中止となる。
■そこで祭礼場をつくり、代わりにここで祭礼をおこなうこととなりました。
形を変えつつも、祭礼は大事に受け継がれたんですね。
祭祀場は鳥居下の突端に柄鏡形の土壇を造り、周囲に池が掘られました。
出島みたいな感じのつくりですね。
木漏れ日と静けさに包まれ、歴史の跡を感じさせる静かな空間でした。
「見沼氷川公園」 桜の名所として人気
磐船祭祭祀遺跡と隣接した「見沼氷川公園」には、大きな池やハーブガーデンなどがあります。
広々とした緑地公園で、のんびりと過ごすには良いところ。
遊具などはないので、子供と一日遊ぶにはちょっと物足りないかもな。
公園入口付近には、この地で生まれた唱歌・案山子の作者、武笠三氏の記念碑があります。
像の足元には、案山子の歌詞が刻まれた石碑がある。
公園周囲の見沼代用水沿いには桜並木があり、花のシーズンには賑わいます。
約100本の枝っぷりの良い桜が密集して咲く情景は、とても華やかですよ。
神社に参拝に行くと、神々についてや神社施設の呼び名・役割について知りたいけど、聞ける相手もいない!
ってことありません?そんな時、網羅範囲が広い本書は結構頼もしいですよ!
氷川女体神社の御朱印
ご朱印にも武蔵一宮の朱印スタンプが入ります。
氷川女体神社の詳細情報・アクセス
氷川女体神社
住所:埼玉県さいたま市緑区宮本2-17-1 (GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)・JR武蔵野線「東浦和駅」より国際興業バスさいたま東営業所行「朝日坂上」下車徒歩10分
車)・駐車場は見沼氷川公園の駐車場(20台分)を使用
東浦和周辺のランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
周辺おすすめスポット(浦和くらしの博物館民家園ほか)
浦和くらしの博物館民家園
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住所:さいたま市緑区大字下山口新田1179-1(GoogleMapで開く)
※氷川女体神社から徒歩約30分(約2km)、車で約5分。
大崎公園
約3万8千m2の敷地に芝生の大広場が広がり、小動物が飼育されている動物園もあるさいたま市市営の公園です。
大崎公園
住所:埼玉県さいたま市緑区大字大崎3170-1(GoogleMapで開く)
※氷川女体神社から徒歩約40分(約3km)、車で約10分。
旧坂東家住宅 見沼くらしっく館
見沼たんぼ地域にあった江戸時代の農家家屋を復原し、博物館として公開。
囲炉裏体験など、普段味わえない体験もできますよ。
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旧坂東家住宅 見沼くらしっく館
住所:埼玉県さいたま市見沼区片柳1266-2(GoogleMapで開く)
※氷川女体神社から徒歩約40分(約3km)、車で約10分。
見沼通船堀公園
江戸時代に造られた運河の跡が残る。
日本最古の閘門式運河といわれ、あのパナマ運河より100年以上前に造られたもの。
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住所:埼玉県さいたま市緑区大字大間木(GoogleMapで開く)
※氷川女体神社から徒歩約45分(約4km)、車で約10分。
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氷川女体神社に参拝に行こう!
見沼の主である竜神様を祀り、地元のルーツを感じる神社。
古代よりのロマンを感じさせてくれましたよ。
車での参拝者への情報ですが、神社には専用の駐車場はないようです。
高台の下の境内前に駐車する方が多いようですが、見沼氷川公園の駐車場を使わせて頂くのも一考かと思います。
氷川女体神社へ参拝に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2021/2/21
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