中山神社はさいたま市の「見沼田んぼ」と呼ばれる地域に鎮座する、喧噪から離れた静かな神社です。
古い歴史を持つ古社で、貴重な歴史的建築物も残ります。
そんな中山神社の以前の社名は氷川神社。
同市の武蔵一宮氷川神社・氷川女体神社との3社とともに、家族を構成しているという説がありビックリ!
御朱印数が物凄く充実している点でも驚かされる、中山神社をめぐってみましょう。
目次
「中山神社」武蔵一宮氷川神社と深い繋がりをもつ神社
中山神社は近隣駅からは3.5~4kmほど離れており、最寄り駅からバスを利用するか、車でのアクセスが良さそうです。
ちなみに首都高利用の場合は、近隣に「さいたま見沼IC」があり至極便利ですよ。
そんな中山神社の鎮座地は市街地の外れにあたり、「見沼田んぼ」と呼ばれる田畑広がるエリアになります。
見落としそうな県道沿いの看板に従い、ポッカと空いた社叢に包まれた参道に車を進めます。
参道は道幅も広くなく、歩行者もいますので徐行は必須です!
明治以前は氷川神社だった
参道を進むと県道の喧噪からは離れた、静かな境内が現れます。
正面の鳥居脇に駐車場があったので、車はそちらへ。
こちらの鳥居、実は二の鳥居らしいんです。
走ってきた県道を挟んだ反対側に一の鳥居があるらしいが、ふ~む、気付かなかった。
帰りに一の鳥居にもご挨拶にゆこう。
参拝順が逆になるが、中山神社あるあるじゃないかなあ。ご勘弁を(苦笑)。
鳥居を見上げると、扁額には「氷川神社」の社名が。
中山神社の社名は元々は「氷川神社」でした。
明治40年(1907年)に、周辺の神社と合祀(ごうし)されました。
その際、当地の中川村の”中”と、隣の上山口新田の”山”の字をとり、中山神社に社名変更されたそうです。
社領15石を徳川家より賜る
中山神社の創建はとても古く、崇神(すじん)天皇の御代2年(西暦前95年)と伝えられています。
紀元前ですかあ、かなりの古い歴史をもつ古社ですなあ。
天正19年(1591年)には、徳川家康から社領15石の御朱印を賜わった格式も持っています。
狛犬は、明治3年(1870年)に奉納されたものでした。
武蔵一宮氷川神社・氷川女体神社とは家族だった!?
真っすぐ続く参道を進んだ先に、社殿が現れます。
中山神社の祭神は、大己貴命(おおむちのみこと)・須佐之男命(すさのおのみこと)・稲田姫命(いなだひめのみこと)の三神。
祭神は、縁結び・夫婦和合・子授け・金運招福・商売繁昌・災難除去・疫病除け・病気平癒・無病息災・厄除開運・衣食住守護・五穀豊穣など、幅広い御神徳をお持ちですよ!
中山神社が、以前は氷川神社だったのは前述のとおり。
氷川神社といえば同市内にある総本社、「武蔵一宮氷川神社」が全国的にもよく知られていますよね。
じつは中山神社はその武蔵一宮氷川神社と深い繋がりを持つ神社、といわれているんですよ。
- ■「武蔵一宮氷川神社」は、須佐之男命(すさのおのみこと)を祀る男体社だった。
- ■さらに同市の「氷川女体神社」は、稲田姫命(いなだひめのみこと)を祀る女体社。
- ■そしてさらに、その二神の息子である大己貴命(おおなむちのみこと)を祀る王子社が現「中山神社」だった、と。
- この三社で一帯の「氷川神社」を形成していた、という説があるんですね。
実際この三社を地図上で結ぶと、あら不思議!ほぼ一直線上に配置されているんですね。
中山神社を中心に、夏至には大宮氷川神社に日が沈み、冬至には氷川女体神社から日が昇る。
そんな不思議な配置になっているんだとか。
このあたりはやはり、農業とか稲作に必要な暦と関係してそうですね。
中山神社は、三社の真ん中に位置することから「中氷川社」といわれました。
また、「簸王子(ひおうじ)社」とも呼ばれました。
この一帯の「見沼田んぼ」は、江戸時代までは、「見沼」と呼ばれる大きな沼だったんですね。
その広大な見沼に、氷川三社がそれぞれの役割をもって鎮座していたのかも、などと考えると興味が尽きませんなあ。
\ さいたま市の氷川三社の紹介はこちら!/
旧本殿は貴重な安土桃山期の建築物
本殿の裏手には、木造の格子に囲まれてて「旧本殿」が残されています。
建築年は明確になっていませんが、測定調査により15世紀後半~16世紀前半の木材の使用が確認されています。
安土桃山時代の古い建築物ということで、県指定有形文化財となっています。
小規模で階段のない「見世棚造(みせだなづくり)」と呼ばれる様式が、初期の本殿建築の主流なんだそう。
そこから主流が、木階がつき屋根が庇(ひさし)のように迫りだすような「流造り(ながれづくり)」へと移行してゆきます。
旧本殿の様式は「二間社流造(にけんしゃながれづくり)」と呼ばれ、その過渡期の特徴を持っているとのこと。
時代考証的にも貴重な建築物なんだそうだ。
すでに神様は祀られていない状態ですが、厳かな雰囲気が残っていますよ。
素足で炭火を渡る神事「鎮火祭」
境内の狛犬と拝殿の中間あたりに、なにやら秘めやかな雰囲気の祭事場がありますねえ。
中央の碑には「御火塚」とあります。
ここでは「鎮火祭」という特殊神事がおこなわれるらしいですよ。
鎮火祭は焚き終った炭火の上を素足でわたり、無病息災と火難がないように祈願するもの。
毎年12月8日に行われる神事です。
この祭礼は一時期しばらく中断されてましたが、平成19年(2007年)に再開されています。
昔は薪を夜通しで焚き、その炭を神前に供えていたそうです。
なんとも荒々しい神事が、残っているんですね!
江戸時代の灯籠
時代を感じさせる灯籠は、安政3年(1855年)の奉納物。
古い奉納物の彫り物を見るのも楽しいです。
灯籠と台座の間に、怖い顔をめっけ!
先住の神を祀る荒脛神社
境内社の「荒脛(あらはばき)神社」。
氷川神社の主祭神以前の、先住の神が荒脛の神だったといわれます。
「八社合祀殿」には、神明社・飯成社・淡嶋社・疱瘡守護社・磐社・石上社・竈神社・稲田宮主社の八社が祀られています。
二の鳥居の近くには稲荷神社が祀られます。
凄いぞ!なんと御朱印100種類以上!?
参拝を終えたので御朱印を頂きます。
社務所は無いのですが、拝殿にいらっしゃる神職の方から御朱印が頂けました。
「どれにします?158種類ありますが。」「えっ?(絶句)。。。」
良く見れば、拝殿脇に100種類以上の御朱印の見本がありました!
これ全種類対応頂けるという事なんですね?いやー、びっくりです。
初回なんで、まずは一番オーソドックスなものをお願いしました。
左は中山神社名の御朱印、右は氷川簸王子社の御朱印。
迫力ある書体で素晴らしいですね!
左は中山神社名の御朱印、右は氷川簸王子社の御朱印。
迫力ある書体で素晴らしいですね!
それでもって「全種類の御朱印をお持ちの方、いらっしゃるんでしょうか?」と、つい下世話な質問をしてしまった(苦笑)。
「御一人だけコンプリートされた方がいらっしゃいました。御朱印帳4~5冊になりましたよ。」
と、ご親切に教えて頂けました。
おおっ~、凄いですね!(再度、絶句だわ)
一の鳥居は少し離れた場所に
帰りがけに二の鳥居から、300m程離れた一の鳥居に立ち寄り。
元々つながっていた参道に、県道がドンとできて分断されたんでしょうねえ。
見逃がされそうな、ちょっと寂しい場所にありました。
神社に参拝に行くと、神々についてや神社施設の呼び名・役割について知りたいけど、聞ける相手もいない!
ってことありません?そんな時、網羅範囲が広い本書は結構頼もしいですよ!
中山神社の詳細情報とアクセス
中山神社
住所:埼玉県さいたま市見沼区中川145-65(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR「大宮駅」から国際興業バス・西浦ゆき(大12-3) 乗車、「中山神社前」下車
・JR「北浦和駅」から東武バス(岩槻駅・宮下・東新井団地行き)乗車にて、「富士見ヶ丘」下車
・JR「さいたま新都心駅」東口から東武バス(東新井団地行き)乗車にて「富士見ヶ丘」下車
車)
・首都高速「さいたま見沼IC」より約700m(約2分)
中山神社周辺のランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
周辺おすすめスポット(武蔵一宮氷川神社ほか)
氷川女体神社
かつてさいたま市にあった見沼と呼ばれる巨大な沼の主である、竜神様が祀られている神社。
ちょっと神秘的な雰囲気をもった神社ですよ。
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氷川女体神社
住所:埼玉県さいたま市緑区宮本2-17-1 (GoogleMapで開く)
※中山神社より車で約15分(約6km)。
旧坂東家住宅 見沼くらしっく館
見沼たんぼ地域にあった江戸時代の農家家屋を復原し、博物館として公開。
囲炉裏体験など、普段味わえない体験もできますよ。
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旧坂東家住宅 見沼くらしっく館
住所:埼玉県さいたま市見沼区片柳1266-2(GoogleMapで開く)
※中山神社より車で約10分(約4km)。
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中山神社に参拝に出かけませんか?
中山神社はこじんまりとした神社でしたが、歴史を感じさせる古社でした。
静かな境内で一直線に並ぶ氷川三社をイメージしながら、興味深く参拝しました。
100種類以上もある御朱印も見逃せませんね。
初めてで少々面食らってしまいましたが(笑)、パウチした見本が掛かっていので、今度は手に取ってゆっくり選びたいです。
そんな古くて新しい魅力がある、中山神社に参拝に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2021/8/8
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