観光地としても人気がある埼玉県長瀞町に、秩父三社の一社でもある「宝登山神社」があります。
宝登山神社は自然に囲まれた緑豊かなロケーションに鎮座しており、自然界の生命力を神として祀る神社なんですね。
社殿の鮮やかな彫刻が見どころの本社の参拝の後、ロープウェイで訪問した宝登山山頂の奥宮参拝もあわせて紹介します!
目次
『宝登山神社』 1900年の歴史を持つ古社
長瀞玉淀自然公園内に鎮座
埼玉県長瀞町は、町全体が県立長瀞玉淀自然公園に指定されている自然豊かなエリア。
荒川が町の中心を流れ、天然記念物の岩畳のある渓谷美やライン下りで知られる人気の観光地です。
そんな長瀞にある「宝登山(ほどさん)神社」も、自然や文化遺産を評価する「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で2011年に1つ星で選定されてるんですって!
そして宝登山神社は秩父神社・三峯神社とともに秩父三社に数えられる、秩父を代表する神社の一つです。
到着して出迎えてくれたのは「相生(あいおい)の松」。
大正13年(1924年)に、昭和天皇のご成婚を奉祝して植えられたもの。
右の重厚で勇壮なクロマツは男(雄)松、
左の優雅で柔らかな趣のアカマツは女(雌)松といわれるそうだ。
見るからに結びの御利益がありそうな雰囲気が溢れ出てましたわ。
そして境内入口手前に「玉泉寺(ぎょくせんじ)」という寺院が。
こちらの開基は古く永久元年(1113年)と伝わります。
神仏習合だった江戸時代、玉泉寺は宝登山神社を管理する別当寺の位置付けでした。
その玉泉寺の住職だった榮乗(えいじょう)という方が、長い年月を掛け再建したのが現在の宝登山神社の社殿とのことです。
ということで、社殿のある境内へ向かいます。
入口の二の鳥居は残念ながら改装中(?)で拝見出来ずで、ちょいと残念でした。
権現造りの社殿にはきらびやかな彫刻
鳥居を抜けると豊かな木々をバックに従えた高台に、威厳を感じさせる社殿が現れます。
宝登山神社は宝登山の山麓に鎮座し、その宝登山の山頂には奥宮が鎮座しています。
宝登山神社の始まりは約1900年の昔、日本武尊(やまとたけるのみこと)が、 宝登山の山頂に皇祖神武天皇、そして山の神・火の神をお祀りされたのが始まりと伝えられます。
歴史のある古社なんですね。
現在の社殿の再建は、玉泉寺の住職・榮乗により弘化4年(1847年)から着工された。
明治4年(1871年)に本殿を、明治7年(1874年)に拝殿を完成させたというから、再建には30年近くの期間が掛かったということなんですね!
根気と信念をお持ちの方だったんでしょうなあ、榮乗という人は。
社殿の建築様式は、本殿と拝殿が幣殿を介して一体化した権現造り(ごんげんづくり)です。
宝登山神社には三祭神が祀られています。
「神日本磐余彦尊(かんやまといわれひこのみこと)」は、初代天皇で皇室の祖先にあたるとされる神武天皇です。
「大山祇神(おおやまづみのかみ)」は山を司る神。
「火産霊神(ほむすびのかみ)」は火を司る神。
宝登山神社では、自然界の生命力を神として崇め敬われているそうだ。
本日は、そんな自然が生み出す恵みとパワーを感じたいですねぇ。
社名表記は「寳登山神社」が正式となります。
拝殿の扁額は龍の彫刻で縁取りされており、勇ましい感じですなぁ。
近づいてみると拝殿正面には彫刻がびっしり!
きらびやかな龍の彫刻が所狭しと渦巻いており、目を奪われる迫力ですね。
拝殿の二十四孝の彫刻
拝殿には鮮やかな彫刻が施されています。
特に西側と東側の両壁面に施された、中国王朝時代の二十四孝と呼ばれる話を題材にした彫刻があり、これが本殿の見どころの一つでしょう。
彫刻は平成21年(2009年)の鎮座1900年記念事業の彩色により、美しく蘇っています。
二十四孝というのは、孝行に優れた24人の人物を描いているそうですよ。
上の彫刻の話ですが、右側は病気の両親に効能がある鹿の乳を得るため、鹿皮をかぶり群れに近づく。
鹿狩り猟師に誤射されかけつつもこれを得て孝をつくした、という話。
左側は、遠路をいとわず親に米を届け続けた話。
こちら右側は、親に喰いかかる虎の前に捨て身で躍り出ると、その孝心に虎も感じ入り助かったという話。
左側は、厳寒期に病床の母に食させたい願いで筍を探すと、その孝心に天も感じ入り筍を生じさせたという話。
こちらは東側の壁の四話。
右側は、母に孝を尽したい貧しい夫婦が、穴を掘っていると黄金の釜が出土したという話。
左側は、厳寒に継母に鮮魚を食べさせるべく裸体で氷を解かしながら大漁を祈ると、氷が割れ魚が躍り出て掌中に納まったという話。
右側は、耕作に精を出す姿に天も感じ入り、象が耕作を鳥も除草を手伝うという話。
左側は、歯が無く食事に不自由する姑が、夫人の授乳のお蔭で長生きしたという話。
それぞれの物語の内容は、ちょっと現実離れしてシュールな感じもしましたが。。。
本殿の火除けの彫刻
きらびやかな拝殿と比較すると、本殿側の装飾は落ち着いた感じですね。
古代中国の故事がテーマの彫刻が本殿側にもいくつかありました。
拝殿及び本殿の彫刻群は、河原明戸村(現熊谷市)に在住していた彫刻師・飯田岩次郎によるものだそうです。
飯田家は久能山東照宮改修の折に名工として名を馳せ、代々宮大工棟梁としてその名を継いだ家系とのこと。
江戸時代後期から明治時代までに各地に多くの作品を残しているそうです。
熊谷って江戸時代末期の宮大工の名工たちが、結構多く集まっていた土地なんですよね。
\ 熊谷の彫刻師の技術の結集は、こちらの神社でも見れる!/
屋根の山形が合わさる箇所を妻と呼びますがその周辺の彫刻も華やか。
黒い板の部分は神社や寺院で良く見かけるけど、これは懸魚(げぎょ)と呼ばれるそうですね。
水にちなむ魚を施し、建物を火災から守る願掛けなんだそう。
良く見かけるが魚の形だったのかぁ、改めて認識。
青い激流の上には、右側に鯉、左側には龍が泳いでいました。
ヤマトタケルがみそぎをした泉!?
本殿の塀に「日本武尊みそぎの泉」の看板があります。
ちょっとのぞかせて頂きますね。
この「玉の泉」は、かつて日本武尊が宝登山に登る前にここで身をお清めになられた、という伝説を持つ泉だそうですよ。
太古の昔から湧き出ている泉ということですかね。おお~、神秘的だわ。
玉の泉を見下ろす正面には「日本武尊社」。
第12代景行天皇の皇子である日本武尊が祀られています。
そういえば秩父三社の一社、三峰神社にも巨大な日本武尊像がありました。
秩父地方は日本武尊伝説の地、ということを改めて認識。
天満天神社・宝玉稲荷神社
日本武尊社の傍には、学問の神様・菅原道真公を祀る「天満天神社」があります。
少し奥まった場所には「宝玉(ほうぎょく)稲荷神社」。
お稲荷様は五穀豊穣・商売繁盛・家内安全の御神徳を持ちますが、こちらは特に失せ物が戻るという御利益をお持ちとのことですよ!
『宝登山の奥宮参拝』 絶景でリフレッシュ!
宝登山ロープウェイで登頂
宝登山神社本社の参拝は以上で終わりなんですが、続いて日本武尊が最初に神々を祀ったとされる宝登山山頂の「奥宮(おくみや)」を訪問したいと思います。
今から辛く厳しい山頂への登山道を登り。。。って、ロープウェイ駅の写真が見えてますね(笑)。
山頂へはロープウェイで気軽にアクセスできるんですよ!ということで、本日はこちらに乗車。
車で来ている場合は、近くにある宝登山麓駐車場へ駐車しましょう。
そんな感じで可愛らしい”もんきー号”に乗車。
宝登山ある宝登山小動物園をテーマにしたゴンドラですわ。
宝登山頂駅までは約5分間の空中散歩。
ロープウェイからは、緑豊かな絶景が楽しめますよ~。
宝登山は標高497mの低山で、良く整備された登山道もあり、徒歩でも片道1時間程度で登頂できるようですよ。
時間がある方は是非チャレンジを!
宝登山頂駅前はこんな感じ。
宝登山は多くの花が楽しめるスポットとしても人気。
12月下旬~2月下旬にかけて、約800株・約3,000本が開花するロウバイの名所として有名。
そして2月上旬~3月下旬には梅、その後はツツジなど。秋は紅葉も楽しめますよ。
ちなみに長瀞町は「日本さくらの名所百選」の一つで、桜の季節には町全体がサクラ色に染まります。
その季節は宝登山神社本社の参道も美しい桜並木で彩られ、参拝客を楽しませてくれます。
訪問時は丁度季節の合間で、ツツジがちらほらって感じでした。
厳かな雰囲気の奥宮を参拝
宝登山神社の奥宮はロープウェイの駅から5~6分登った場所にあります。
山の上にもかかわらず、随分立派な鳥居が立ってますね~。
鳥居の先に開けた平地があり、その先に厳かな雰囲気の奥宮が鎮座します。
こちらが日本武尊が神々をお祀りした宝登山神社発祥の地、ということなんですね。
ところで奥宮の両脇に居るのは、通常の狛犬ではなく山犬。オオカミのことですね!
宝登山にはこんな伝承があります。
日本武尊が山頂を目指していた際、山火事に行く手を阻まれた。
その際、山犬たちが出現し火を消し止め、一行を頂上させたとされます。
日本武尊は山の神が使いの山犬を遣わし救ってくれたと悟り、この山を「火止山(=ほどさん)」と名付けたのが宝登山の始まりといわれているそうです。
宝登山の名称は、火止山から来てるんですね、ふ~む。
奥宮エリアからは秩父盆地と秩父連山が一望でき、なかなかの景色。
わざわざ登って来たご褒美ですね!といっても、ほぼロープウェイでの登山ですが(笑)。
奥宮には社務所があり、その横に茶屋もあり休憩できます。
社務所では奥宮の御朱印の頒布を扱っています(書置き)。
奥宮から少し上がった所が宝登山山頂。
ここでレジャーシートを広げてランチしている方々が多かったようです。
適度に日影もありますし。
眺望良く武甲山も望める、小動物園もあるよ!
奥宮への道中では、秩父を代表する武甲山の姿も見えました。
宝登山頂駅から少し歩いた場所に「宝登山小動物園」もあるので、ファミリーで訪問するのも楽しいスポットだと思いますよ。
宝登山小動物園
公式ページ
営業時間:10:00~16:30
※閉園時間は季節により変更あり。入園券の発売は閉園30分前まで。
入園料:大人(中学生以上) 500円 / 子供(3歳以上) 250円
アクセス:宝登山頂駅から徒歩約7分
宝登山ロープウェイ
公式ページ
運行時間:9:40~17:20(時刻表は公式ページでご確認下さい。)
普通運賃:大人(12才、中学生以上) 片道700円・往復1200円 / 小人(3才以上) 片道350円・往復600円
御朱印と美しい御守り
宝登山神社と宝登山奥宮の御朱印。
宝登山神社のものは宝登山神社の社務所で、宝登山奥宮のものは奥宮の社務所で頒布頂きました。
こちら宝登山神社で頒布されていた御守りなのですが、良く見ると皆違う柄なんですよね!
選ぶのに思わず迷ってしまう、美しい御守りを最後に紹介しました。
宝登山神社の詳細・アクセス方法
宝登山神社(寶登山神社)
公式ページ
住所:埼玉県秩父郡長瀞町長瀞1828(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・秩父鉄道「長瀞駅」から徒歩約15分
車)
・関越自動車道「花園IC」から国道140号で約20分
・熊谷から国道140号で約40分
秩父のランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
秩父のアクティビティーを楽しもう!
宝登山神社に参拝に行こう!
秩父三社の一社、長瀞町の宝登山神社を紹介しました。
本社はとても立派な社殿を中心に、見どころの多い神社でしたよ。
そして奥宮のある宝登山からは、美しい秩父の風景に出会えたのも良かったですね。
ちょっと遠足気分も味わえ、マイナスイオンを吸収してリフレッシュできましたよ!
そんな宝登山神社に参拝に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2023/4/22
\ 長瀞町はグルメからリバーアクティビティまで、色々ある!/
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