東京都北区、王子。徳川吉宗ゆかりの飛鳥山公園があまりにも有名ですが、そのすぐ足元に、江戸の面影を今に伝える「隠れた名所」があるのをご存知でしょうか。
歌川広重の浮世絵にも描かれた景勝地、音無川(現在の石神井川)。その旧流路を整備した「音無親水公園」では、渓谷美と満開の桜が織りなす、都内とは思えない幻想的な風景に出会えます。
今回は、渋沢栄一とも縁の深いこの公園の歴史を紐解きながら、春の散策の見どころを詳しくご紹介します。
目次
2026年 音無親水公園 春のライトアップ 開催情報
下記の日程で「2026年 音無親水公園 春のライトアップ」が開催されます。
音無親水公園 春のライトアップ ~光に包まれる、幻想の夜桜~
日時:3月20日(金)~4月5日(日) 日没~22:00
会場:東京都北区王子 音無親水公園
幻想的な桜模様が楽しめますので、当ブログ記事も参考にして頂き、ぜひ出かけてみて下さい!
「音無親水公園」駅チカでゆっくりと桜が楽しめる隠れた名所
王子駅からすぐ行ける桜の穴場スポット

東京都北区を代表する桜の花見スポットといえば、やはり飛鳥山公園。
江戸時代、徳川8代将軍・吉宗が1000本以上の桜を植えさせたことに始まる、歴史のある行楽地です。
現在もソメイヨシノを中心に650本の桜が植えられています。
そんな飛鳥山では多くの桜が見られますが、その一方、人混みによる混雑も多いですね。
今回ご紹介する「音無親水(おとなししんすい)公園」は飛鳥山公園よりも王子駅から近く(なんと歩いて1~2分!)、そして飛鳥山公園よりも空いているため、ゆっくりと見られる桜の穴場的なスポットなんですよ。
JR王子駅の親水公園口を出ると公園へと続く道が続きますが、まずこれがなかなか風情のある小道。
なんだか地方の行楽地っぽい佇まいが感じられます。

ほどなく到着した公園入口に立つ、公園名が書かれた石標。音無親水公園は北区区立の公園です。
音無親水公園は街中にいながら渓谷気分が味わえるスポット
かつてここには音無川(現、石神井川)が流れていたのですが、昭和30年代の工事で暗渠化。川筋も迂回されました。

昭和63年(1988年)、残った旧流路を公園化したのが音無親水公園です。
公園のデザインにおいては、かつての自然の美しい景観を後世に伝えるために、渓谷がモチーフとなりました。
夏場には深さ10~20cm程の水を流すこともあり、子供にとっての絶好の水遊び場としての一面も。
街中に居ながらこんな渓谷気分が味わえる水場は、そうそうないですものね。
歌川広重の浮世絵が再現された「渓谷美」を歩く
江戸時代の名所「王子七滝」の面影

こちらの浮世絵は歌川広重がこの地を描いた、名所江戸百景の一枚「王子音無川堰棣(えんたい)」。公園に架かる音無橋のたもとで見られるもの。
かつてはこの一帯にこんな滝が流れるような風景が広がっていたなんて、今では想像できませんね。
武蔵野台地の突端に位置していた王子。そこを流れる音無川の両岸には浸食による谷が形成され、谷沿いから流れ落ちてくる湧水が滝を形成しました。

それらの滝は「王子七滝」と称され、近隣に鎮座する王子大権現(現、王子神社)や、桜の名所として民衆に開放されていた飛鳥山などとともに、江戸近郊の行楽地として人気を集めたんだそうです。
王子周辺を歩いていると、”けっこう起伏がある街だな”とは感じていましたが、まさか江戸時代には滝があったとはねえ。
渓谷風の園内では起伏のある桜模様が楽しめる
訪問時の音無親水公園の桜は満開でちょうど見頃!

公園内にはソメイヨシノやヤマザクラなど、約20本程度の桜が植えられています。

植えられている桜の本数自体ははそれ程多くないのですが、でも侮るなかれ、ここの桜の景観はとても良い感じなんですよ。
渓谷沿いに密集して植えられているため、とても映える、というのがその理由の一つだと思います。

川跡沿いを歩くと、桜の花を近くから見ることができます。
舟串橋を背景に写真を撮ると、まるで京都みたい

公園内に架かる雰囲気のある木橋は、桜模様との相性もバッチリ!
橋越しに桜の写真を狙えば、まるでここは京都か奈良!というのはちょっと言い過ぎかな(苦笑)。
これはかつてあった「舟串橋(ふなくしばし)」を復元したもの。
昭和33年(1958年)の狩野川台風によって流されてしまった橋とのことで、地元で愛された”記憶”がここに刻まれているようですね。
狩野川台風
昭和33年(1958年)9月に日本を襲った大型台風で、特に静岡県狩野川流域に甚大な被害をもたらしました。
豪雨により狩野川が氾濫し、堤防決壊や土砂災害が発生。死者・行方不明者は約1,200人に上った、戦後最大級の自然災害の一つ。
関東地方でも豪雨と強風をもたらし、多摩川や荒川などで河川の氾濫や土砂災害が発生。交通網やインフラが大きく被害を受けるなど、生活・経済活動に大きな影響を与えました。
日本の都市公園百選にも選ばれた景観

平成元年に、音無親水公園は「日本の都市公園百選」の一つに選ばれています。
これは優れた景観・独創性・個性的という観点から選ばれたもので、都内で選出されている他の公園はというと、昭和記念公園、日比谷公園、上野公園、日比谷公園、水元公園など、なかなかの大御所級。
そこに顔を並べていることから、音無親水公園の独創的なデザインは高い評価を得ていることがわかります。
渋沢栄一が建設に尽力した「音無橋」と桜のコラボレーション
「音無橋」渋沢栄一が建設を支援したアーチ橋

公園の南側には音無親水公園のある渓谷を跨ぐように、3連型アーチ状の、美しく巨大な「音無橋」が横断しています。
「奥多摩で写真を撮って来たよ!」といっても通じそうな、実に渓谷美あふれる風景ですよね。
王子でこんなダイナミックな景観が見られるなんて、案外知られていなんじゃないかなあ。

音無橋は昭和6年(1931年)に竣工された、鉄筋コンクリート造の橋。
当時は王子町側と滝野川町側は渓谷で分断されていましたが、橋の設置により交通の利便性が高まりました。
それにしても、このようなデザイン性の高い重厚な橋が造られたのには驚きますが、その背景に居た人物はというと、かの渋沢栄一です。
日本資本主義の父ともいわれた実業家・渋沢栄一は、王子に製紙工場(王子製紙)を設立し、日本の近代製紙業の発展を牽引しました。
王子は彼の重要な事業拠点であったと同時に、邸宅を飛鳥山に構えた暮らしの地となり、地域の発展に深く関わりました。
音無橋の建設においても、資金援助により橋の建設実現を後押したんですよ。
\ 飛鳥山公園にある、渋沢栄一邸の関連建築物や資料館の紹介はこちら!/

音無橋から見下ろした、立体感を感じさせる公園の桜も見どころの一つですよ。

新緑とのコントラストもグッドですね。
様々な場所から奥行きのある桜の景観が楽しめるのが、音無親水公園のおすすめポイントといえます。
江戸時代は徳川家の勅願所だった「王子神社」

音無親水公園訪問の際、参拝に立ち寄りたいのが王子神社。
その起源は鎌倉時代後期に遡り、領主・豊島氏が紀州の熊野三社の王子大神をお迎えしたのに始まると伝わります。
江戸時代には幕府から朱印地二百石が寄進され、将軍家祈願所となる。
「王子大権現」の名称で親しまれ、音無川とともに江戸名所の1つにもなりました。
明治時代には明治天皇によって、准勅祭神社の一社にも選定。現在は元准勅祭神社として、東京十社に数えられています。
境内には王子神社と音無渓谷の歴史を見守ってきた、樹齢600年と伝わるある大イチョウが残ります。

高台にある「王子神社」側から見た、公園北側の桜並木。
\ 東京十社めぐりについての詳しい記事はこちら!/
【記事の参考にした情報】
・KITA CITY PARK「音無親水公園」 東京都北区 土木部道路公園課
古地図と現代地図を見比べながら 江戸のなりたちを巡りませんか?
歴史好きならば、東京の街歩きが楽しくなる一冊!
江戸時代に歌川広重が描いた名所江戸百景を、現在の写真や地図と対比して解説したガイドブック。
東京歩きが楽しくなる1冊!
音無親水公園の詳細情報・アクセス、立ち寄り情報
音無親水公園の詳細情報・アクセス
音無親水公園
住所:東京都北区王子本町1丁目(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR京浜東北線・東京メトロ南北線「王子駅」下車、徒歩1分
・都電荒川線「王子駅前」停留場下車、徒歩2分
車)
・園内に駐車場無し
お薦めの立ち寄りスポット
【甘味処】石鍋商店
JR王子駅に程近い場所にある明治20年創業の老舗の甘味処で、名物は独自の製法で作られたモッチモチのくず餅。
濃厚な黒蜜と香ばしいきな粉をたっぷりかけて、散策のご褒美スイーツを頂きましょう。
石鍋商店 住所:東京都北区岸町1丁目5-10(GoogleMapで開く)
【老舗の味・テイクアウト】扇屋
江戸時代から続く”厚焼玉子”の名店。落語・王子の狐」にも登場する歴史あるお店です。
お土産用の厚焼玉子を買って、公園のベンチで桜を見ながらいただくのも粋ですね。
扇屋 住所:東京都北区岸町1-1-7 新扇屋ビル1F(GoogleMapで開く)
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音無親水公園へ出かけてみませんか?
駅から徒歩1分でこれほどの渓谷美を楽しめる場所は、都内でもそう多くありません。
飛鳥山公園でお花見を楽しんだ後に、少し足を伸ばして音無親水公園の静かな桜を眺める……そんな「王子の桜はしご」もおすすめのプランです。
また、王子神社からスタートして、東京十社めぐりに出かけてみるのも良いですよ。
当ブログにも東京十社めぐりのガイド記事がありますので、ぜひあわせてチェックしてみてくださいね。
記事の訪問日:2021/3/23




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