
東京都新宿の庭園施設「新宿御苑」に、桜の開花宣言前の早春に訪問。何か花咲いているかな~と半信半疑でしたが、この時期に楽しめる桜も結構あるんですよ!
広々とした庭園はまだ冬景色を残しますが、それが独特の趣を見せてくれたりもします。
大名屋敷や皇室庭園だった歴史なども紹介しながら、都会にいることを忘れてしまう新宿御苑の見どころを紹介します。
『正面入口の新宿門』 新宿駅からも近い

都心の新宿にありながら、自然を感じられる憩いの場として知られる新宿御苑。
そんな新宿御苑の最寄は東京メトロ・新宿御苑前駅、または、都営地下鉄・新宿三丁目駅になります。本日は天気も良いので新宿駅南口から10分程のんびり歩いての訪問でした。
新宿駅側の最寄りで正面入口にもあたる新宿門から入園。新宿御苑は有料施設で、一般入園料500円を払っての入場です。
新宿御苑といえば、桜の名所として良く知られています。ですが3月上旬の訪問時点で、関東はまだソメイヨシノの開花前なんですよねー。
なんか花咲いているといいなあ。。。なんて、ちょっと手探りな時期での訪問でした。
「新宿御苑について」 旧皇室苑地の国民公園

敷地面積は58.3ヘクタール(約18万坪)、周囲3.5km。なんと東京ドーム約13個分の広大な敷地が東西に広がっています。大半は新宿区ですが、一部は渋谷区にも掛かってますよ。
新宿御苑のルーツは江戸時代の大名屋敷。その後、明治時代には皇室庭園として整備されました。そして、昭和になり公園として国民一般に公開され今に至ります。
ちなみに、新宿御苑は旧皇室苑地の為「国民公園」って呼ばれ、国が設置・管理しているそうです。国民公園は他には皇居外苑と京都御苑しかなく、結構レアな存在のようですよ!へえ~。
では、新宿御苑を一通りぐるっと巡って苑内の見どころを紹介してゆきます。
「北エリアから散策スタート」 巨大なモクレン

新宿門から入場すると広々した広場の様な空間が現れます。

広場で目に入ってきたのはハクモクレン。
モクレン自体は近所でも見かけるし珍しく無いけど。。。 目を引くのは、なんとまあこのサイズ!こんな高木のモクレンは初めてかも。見応えあるわー。

そしてちょっと変わった花を発見、「ハチジョウキブシ」。伊豆諸島の八丈島で発見されたのが名前の由来だとか。
花の形は藤の花を思い起こしますが、種別は違いキブシ科の植物。でもキフジという呼ばれ方もあるみたいです(ですよねー)。
「母と子の森」 都会を忘れる風景
園内順路は特に無いので、北西南東の逆時計回りでぐるっとひと回りしてみます。

西エリアの奥に進むと「母と子の森」という森林エリアに入り、巨木がある本格的な森が現れます。
こんな風景を見ていると、新宿に居ることを忘れてしまいますねえ。
『西エリア』 旧御凉亭から庭園を
「回遊式庭園」 タワーと桜のコラボも!

森を抜けると視界が開け「上の池」が現れました。池の周囲に日本庭園が造られており、庭園内を歩いて見学できます。回遊式庭園っていうそうです。
天気が良いので、庭園の景色に溶け込んでのんびり歩くと気持ちいいね~。

日本庭園内ではカンザクラが咲いていて見頃でした!本日は桜の花に出会えると思ってなかったので良かった、良かった。

園内を巡っていると、千駄ヶ谷のNTTドコモの通称・ドコモタワーが結構視界に入ってくるんですね。
ビルの形から新宿のエンパイアステートビルなんて呼ばれたりします。都内では4番目の高さを誇るタワーです。所在地は渋谷なんだけどね。。。
「楽羽亭」 白梅と紅梅

季節的には梅なんですが、茶室「楽羽亭」脇の梅は満開にはまだまだという感じでした。遅咲き?
白梅と紅梅の両方が見受けられるので、満開時は入り混じって綺麗でしょうなあ。
楽羽亭では机と椅子の席の茶室で抹茶を頂くことができます。和菓子付で700円也、開亭時間は10時~16時です。

楽羽亭の先には入口で見たのより、さらに巨大なモクレンがありました!はあー、これは凄いですね。
「日本庭園」 カンザクラが見事!

上の池から中の池・下の池と東へ水辺が続いており、その周囲に日本庭園が造られています。
形が整った格好の良い松が並びます。この枝ぶりが、とか具体的な表現が無い素人評ですまん。。。

巨大な傘の様な木々が中途半端な高さで並び、ちょっと独特の風景だった。

茶屋「翔天亭」近くのカンザクラも満開でした!ピンクに染まって綺麗ですねえ。
こちらの桜は、人の背丈近くまで垂れているフレンドリーな枝ぶりなんですよね(笑)。記念写真スポットには絶好の背景とばかりに、人気スポットでした。
「旧御凉亭」中国式建築からの眺望

日本庭園の奥にエキゾチックな建物「旧御凉亭(きゅうごりょうてい)」が見えてきます。
皇太子(後の昭和天皇)の御成婚記念として、昭和2年(1927年)に献上された建物です。
どうやら日本では数少ない、本格的な中国建築様式が用いられた建物だそうです。

屋根の端の反り返った形がチャームポイントですね!
日本統治時代の台湾で活躍した建築家・森山松之助氏による建設で、なんと建築資材も多くは台湾から持ち込まれた、というこだわりの造り。

柱を額縁の様に見立てて庭園を眺めるのも、また良し。

こう眺めてみると、全体的に奥行きを感じる木々の配置がされているように感じます。
『南の千駄ヶ谷側』 高遠小彼岸桜やシダレ桜
「こども広場」 まだ冬模様

南側の千駄ヶ谷門近くにある「こども広場」は、まだ冬色の景色でしたわ。
「高遠小彼岸桜」 信州の桜

こちらの「高遠小彼岸(たかとおこひがん)桜」という品種の桜は、信州の桜の名木。高遠城址公園に咲く固有種だそうです。
新宿御苑の敷地は元々は徳川家康の家臣・内藤家の大名屋敷でした。内藤家は7代目の時に領地を信濃に移され、3万3千石の高遠城主となっています。
その後、こちらの屋敷は控えの下屋敷になりました。

新しい領地の桜がいつだかにこちらにも植えられた、ということなんでしょうかね。
「下の池のシダレザクラ」 艶やか!

「下の池」の淵にあるシダレザクラが綺麗でした。シダレザクラは艶やかな佇まいで目を惹きますよね!
これでもまだ開花していない枝がある状態で、満開時は更に見事でしょうね。
ソメイヨシノの開花前でも楽しめる桜って結構あるんだなって、本日は教わりましたね。

こちら「下の池」は秋の紅葉で人気のスポットだそうです。この季節はちょっと殺風景な感じかな。
『東エリア』 整形式庭園と風景式庭園
「洋風庭園」 バラとプラタナス

東エリアのメインの見どころはフランス式「整形式庭園」で、左右対称に整形された洋風庭園です。
バラの季節には110種類・約500株が咲き誇ります。新宿御苑は和洋様々の花が楽しめていいですねえー。バラの季節に是非また来たいものだ。

洋風庭園、両側の立ち枯れしたような並木に目がゆきます。
こちらは全部で160本植えられてるプラタナスの木。秋には美しいヨーロッパの並木道を思わせる、紅葉の景色が見れるそうです。
シーズンオフの景観もなかなか独特で、印象的だった。
「風景式庭園」 広々とした芝庭園

広々としたイギリス式の「風景式庭園」。青々とした芝が揃った時期にまた訪れたいものです。
「玉藻池」 内藤家屋敷の面影

園内北東に位置する「玉藻池(たまもいけ)」は新宿御苑でも特に古い池で、内藤家屋敷の面影をとどめる庭園だそうです。
内藤家の敷地といえば、良く知られる逸話があります。
そこで清成は現在の千駄ヶ谷から大久保・代々木・四谷に至る土地を馬で駆け抜け、広大な領地を得たといわれます。今も領地の名残で内藤町という地名が残ります。
頑張りましたなあ~。
その後幕府は一部の土地を返還させ、宿場町・内藤新宿を設置。その一部は後の新宿御苑の地にもつながってゆきます。
「温室」 まるでジャングル!

「温室」見学は天気が良い日だと後回しになっちゃいますね。自分も閉館ギリでの入館でした。
熱帯・亜熱帯の植物を中心に、普段見れない植物が多いので是非立ち寄ってみて下さい。

温室のルーツは、明治初期に開設された農園芸の研究を行う「内藤新宿試験場」に遡ります。
様々な西洋野菜・果物、樹木や花卉などの栽培が行われ、中でも洋らんに関しては日本の栽培の発祥の地ともいわれてるそうです。へえ~。

滝があってジャングルみたい!冬場や雨の日には活躍しそうな施設。
なお、温室は新宿御苑の閉園30分前に入場終了となるのでご注意を!
「旧洋館御休所」 天皇・皇族の御休憩所

温室の隣の敷地にある「旧洋館御休所(きゅうようかんごきゅうしょ)」は、エレガントなたたずまい。
天皇や皇族が温室を鑑賞される際の休憩所として、明治29年(1896年)に創建。大正13年(1924年)に現在の規模になり、クラブハウスとして使用されました。
アメリカ式の洋風木造建築で、繊細な木の窓フレームが印象的。
明治・大正期の皇室関係の庭園休憩施設としては唯一の遺構だそうで、重要文化財に指定されています。

旧洋館御休所の建物内の見学は土日・休日のみで、本日は残念ながら見学できませんでした。
写真手前のこれまた上品な雰囲気の花は、ミツマタというジンチョウゲ科の低木。和紙の原料になる樹木で、日本では紙幣の原料として重要視されているそう。金の成る木か!(勘違い)。
『旧新宿門・大木戸門 』 昭和初期の建築

最後に行き帰りの出入り口にもちょっと注目してみたい。
正面入口の新宿門は現在は新しい門にバトンタッチされてますが、 昭和2年(1927年)に建てられた門衛所併設の門が近くに残っています。

同時代に造られた「大木戸門」は、四谷側の門として今も使用されていますね。
ちなみに江戸時代初期には、甲州街道のこの近隣に江戸への出入り口の木戸が設けられてました。それがこの門の名の由縁です。
基本情報・アクセス
住所: 東京都新宿区内藤町11番地(GoogleMapで開く)
開園時間:9時、閉館時間:時期により変動(ホームページでご確認下さい。)
休館日:毎週月曜日(月曜日が休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日) ※特別開園期間(期間中無休)中は無休:春3月25日~4月24日、秋11月1日~15日
入園料:一般 500円、65歳以上 250円、学生(高校生以上) 250円、小人(中学生以下) 無料
アクセス:
電車)*新宿門まで
・JR・京王・小田急線「新宿駅」南口より、徒歩10分
・西武新宿線「西武新宿駅」より 徒歩15分
・東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前駅」、出口1より徒歩5分
・東京メトロ副都心線「新宿三丁目駅」、E5出口より徒歩5分
・都営新宿線「新宿三丁目駅」、C1・C5出口より徒歩5分
車)
・有料駐車場あり(200台分)、新宿御苑入場者割引あり
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新宿御苑に出かけてみませんか?

新宿御苑はいかがでしたか?
花見には少し中途半端な時期での訪問でしたが、思ったよりも多くの花が楽しめました。四季折々、そして庭園も和洋様々あり、幅広い世代で楽しめそうな懐の深さを感じる庭園公園でした。
あっ、今回は立ち寄る時間が無かったのですが、園内にはスタバまであるんですよ!
そしてそして、新宿のルーツとなる宿場町・内藤新宿の歴史に触れることができるスポットとしても貴重ですね。次回バラの季節にでもまた訪れてみたいな。
自然が楽しめる新宿御苑へ出かけてみませんか?

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【記事の訪問日:2022/3/17】