
平安時代の延喜式神名帳にも記載がある由緒ある古社、埼玉県加須市に鎮座する「玉敷神社」を紹介します。
玉敷神社は、飛鳥時代の創建とも伝わる歴史のある神社です。
その境内は、町のシンボルでもある大いちょうをはじめ、緑豊かな木々に囲まれており心地よい。
江戸時代に建造された本殿が建っており、歴史と自然を感じられる神社なんですよ。
『玉敷神社』 由緒ある延喜式内社
玉敷神社がある埼玉県加須市は、埼玉県北東に位置します。
加須市は県内で唯一群馬・栃木・茨城の北関東3県に隣接している市町村、という稀有な位置取りにある境目の市なんですよね。
概ね都心50km圏内で利便性が良い割には、利根川の豊かな水と土壌を利用した田園も多く、の~んびりした風景に出会える地域でもあります。
そんな地域に鎮座する、歴史のある神社の紹介になります。
「平安時代の延喜式内社」 江戸時代に当地へ

玉敷神社は平安時代の延喜式神名帳にも社名が記載されている、由緒ある古社です。
最初の創建地は、現在地より若干北寄りの地だったそう。
その後、江戸時代には地元の騎西城大手門前への遷座などを経て、寛永4年頃(1627年頃)に現在の鎮座地に移転したそうです。
戦国時代の兵火によって当初の社殿が焼失しているため、残念ながら詳細な記録も残っていないそうです。

ちょっとした松林に囲まれ、真っすぐに延びる参道から入ります。
神社の参道って凛とした空気が流れていて、ホント良いですよね~。

参道沿いの所々に大黒様の像が置かれております。
玉敷神社の主祭神は大己貴命(おおあなむちのかみ)。別名が大国主神(おおくにぬしのみこと)で、大黒(=大国)様に結びついています。

参道沿いには菅原道真公を祀る「天神社」。
祠には扉や鍵も壊す賽銭泥棒対策への呼びかけの貼り紙。夕方~夜間の賽銭はしない様に、とのこと。
こらっ、罰当たりの泥棒めが!世も末だな。。。
「拝殿」 起源は飛鳥時代

参道を進むと境内入口の鳥居が見えてきます。

鳥居の足元に可愛いのがいました!砂で作られた猫。雨が降りませんように、っと。

キリっとした端正な感じの拝殿正面の景観が、良い雰囲気です。黒っぽい色合い風合いが、引き締まった印象を与えている気がします。
拝殿は明治31年(1898年)に修築されたものとのことです。
玉敷神社の起源は大宝3年(703年)、飛鳥時代の貴族である多治比真人三宅麿(たじひのみやけまろ)の創建と伝わります。かなり古い時代ですね。

拝殿正面を固めるのは、大正時代の狛犬。

前髪がカールしてる、江戸狛犬といわれるタイプですかね。

主祭神である大己貴命は、武勇の持ち主の神として知られます。
また、恋多き神様ともいわれ縁結びや安産のご利益も頂けるそうですよ。また、大黒様として豊作や商売繁昌のご利益もお持ちのようです。

あっ、かわいいな!分かりやすい説明、ありがとうございます。
「本殿は江戸時代築」 久伊豆神社の総本社!?

社殿を横側から見ていますが、右手の本殿は江戸時代の文化13年(1816年)に建てられた建築物が残っているそうです。貴重ですね。

本殿周囲の彫刻は、江戸名工の5代目後藤師茂右衛門の作だそうです。
派手目な感じの彫り物は見当たりませんが、横向きに流れる様に彫られた流麗な彫刻は印象的ですね。

神社の由緒に関して興味深かったのは、江戸時代までは「勅願所玉敷神社、久伊豆大明神」と称されていたこと。
そこから各地に久伊豆社の御分霊社が数多く建立された、とされます。
久伊豆神社は、埼玉県の元荒川流域を中心に数多く分布する神社です。こちらが、その久伊豆神社の総本社ということらしく、そのことはあまり広く知れ渡ってないのではないでしょうかね?
そもそも総本社なのに久伊豆神社の名前が付いていない点、関連が分かり辛いですね。。。
「御神木」 町の天然記念物

境内には2本の大いちょうがあります。町の天然記念物であり、町の木にも制定されているそう。町のシンボル的な存在ですね!
本殿の脇と神楽殿の脇にありますが、ともに樹齢は推定500年。大きさは両方とも樹高約30m、幹回りが5~6m、そして根張り15mっていうのも凄いね。

春らしく青々と茂ってきた葉が、日差しを受けて眩しい。
本殿脇の大いちょうは、途中から三本に分かれています。樹齢500年でも生命力はまだまだ旺盛!
御神木のパワーをあやかりたく、ちょっとお触りさせて頂きました(笑)。

「御神木の根っこに持ち上げられてブロックが倒壊。」の貼り紙がありました。
ホント、有り余るパワーですなあ。。。真面目な話、植物の根張りって想定以上に張ることがあり案外侮れません。
「神楽殿」 無形民俗文化財の神楽

天保7年(1836年)建立、茅葺き屋根で貫録が漂う「神楽殿」。
ここで奉納される神楽は、国指定無形民俗文化財だそう。江戸神楽の原型を伝える舞で、400年以上の歴史を持っといわれます。年4回、祭礼の折に奉奏されるそうですよ。
無形文化財の保存って、後継者を作って継承してゆくのが大変だって聞きます。その点でご苦労されているのかもしれませんね。
「宮目神社、八坂社」 地主神

本殿裏手にある「宮目(みやめ)神社」は、玉敷神社がこの地に移ってきた1620年頃には既に鎮座していた地主神だそう。
玉敷神社とは別に、宮目神社も延喜式に記載されている神社なんですって。失礼ながらこの小さな祠からはちょっと想像できず、へえーっという感じです。

「八坂社」には素盞嗚命(すさのおのみこと)が祀られています。
江戸時代には既に鎮座されていたという、こちらも古い神社だそうですよ。

ちょっぴり祠を覗かせて頂くと、夏のお祭りで披露される神輿が納められていました!
摂社と境内社は全部あわせて10社あります。
御朱印

藤をあしらった季節感のある御朱印を書置きで頂きました。
用紙も繊細な模様が入ったものでしたよ!
玉敷神社へのアクセス
住所:埼玉県加須市騎西552番地1 (GoogleMapで開く)
電車)
・東武伊勢崎線「加須駅」から、鴻巣駅行き又は免許センター行きバスで「騎西一丁目」下車、徒歩約7分
・JR高崎線「鴻巣駅」から、加須駅行きバスで「騎西一丁目」下車、徒歩約7分
車)
・公園駐車場が約30台分あり
![]() | 価格:1,430円 |

玉敷神社へ出かけてみませんか?

自然に囲まれた環境にあり、歴史を感じられる玉敷神社の参拝を紹介しましたが、いかがでしたか?
ちなみに玉敷神社に隣接して、元々は境内の一部だった玉敷公園があります。
こちらには樹齢400年の藤の花が植えられており、4月末頃から5月始めくらいまで藤棚一杯の藤の花が楽しめます。
また、梅雨を迎える頃になると、今度は玉敷公園を含む騎西エリアはアジサイの名所に様変わりしますよ。
そんな季節の花模様に合わせて参拝に訪れるのも、オススメですよ!

サステナブルにお得な買い物ができるって、いいんじゃない。
【記事の訪問日:2022/4/23】