
埼玉県秩父市「秩父神社」は秩父地方の総鎮守で、二千年以上の歴史がある古社として崇敬を集めています。
徳川家康公が建造させた本殿周囲に描かれた彫刻は神社の見どころの一つで楽しい。例大祭である「秩父夜祭り」は日本三大曳山祭りの一つとして知られます。
そんな秩父三社の一つである秩父神社を参拝します。
『秩父神社』関東屈指の古社を参拝
「大鳥居」 秩父の総鎮守

秩父神社は同じく秩父にある三峯神社・宝登山神社とともに秩父三社いわれ、中でもこの秩父神社が秩父地方の総鎮守となります。
市内の中心部にあるので三社の中でも一番アクセスしやすい場所だと思います。特に三峯神社は市の中心部から更に40kmくらい離れた山の中にありますからね、そこそこ遠い。。。
秩父というと「秩父夜祭」が有名ですね。国重要無形民俗文化財で、 京都の祇園祭り、飛騨高山祭と共に”日本三大曳山(ひきやま)祭り”の一つとして知られます。
秩父夜祭は秩父神社の例大祭として行われている祭りなんです。例年12月2日が宵宮、12月3日が大祭となります。
「狛犬」「神門」 神社の由緒など

大鳥居の脇には力強く凛々しい感じの狛犬さん。昭和10年奉納のもの。
「秩父神社」は 、ミズナラの繁茂した柞(ははそ)の森に古くから鎮座して市民に親しまれてきた神社。二千年以上の歴史がある関東屈指の古社とされます。
秩父地方の総社として「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」にも記載があります。

崇神天皇の時代に知知夫彦命(ちちぶひこのみこと)が、その祖神八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)を奉祀したのに始まるといわれます。

朱色が鮮やかな神門を抜けて境内へ進みます。
「本殿」 徳川家康が築造させた

現在の「本殿」は天正20年(1592年)に徳川家康公が社領57石を寄進し建造させたものです。
以前の旧社殿は武田信玄の侵攻によって焼失しており、家康公の関東入国をもって再建されました。
社殿の造りは一つながりの権現造形式で、当時の建築様式をよくとどめるものとして県の有形文化財に指定されています。

御祭神は、政治・学問・工業・開運の御利益があり祖神の「八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)」、郷土開拓の神の「知知夫彦命(ちちぶひこのみこと)」、宇宙創造神で北斗七星の神・妙見様といわれる「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」、「秩父宮雍仁親王(ちちぶのみややすひとしんのう)」の御四柱の神々です。

扁額の神社名の表記は「知知夫神社」で、 御祭神の知知夫彦命と同じ”ちちぶ表記”になっていますね。
扁額の周りを龍が囲み、周囲の彫刻とも相まって独特の雰囲気を醸し出します。
「子宝 子育ての虎」 左甚五郎作

秩父神社の一番の見どころはというと、やはり本殿周囲に彫られた個性豊かな彫刻の数々だと思います。
本殿正面には、寅の年・寅の日・寅の刻生まれ(天文11年12月26日、午前4時頃)の徳川家康公にちなんで描かれた虎の彫刻があります。

江戸時代に活躍した彫刻職人・左甚五郎(ひだりじんごろう)による作です。
特に「子宝・子育ての虎」と名付けられた子虎と親虎がたわむれる彫刻は印象的で、 親虎が豹柄で描かれているのが意味深で色々な含みを感じます。
左甚五郎は日光東照宮の「ねむり猫」を掘った彫刻家というとおっ!と思い当たることでしょう。

「つなぎの龍」 こちらも左甚五郎作

左周りに本殿を巡ります。
この彫刻は、左甚五郎が鬼門にあたる東北(表鬼門)を守る青龍の姿を彫刻に施したものといわれています。

この彫刻には不思議な伝説があります。
その昔、秩父札所十五番少林寺近くの「天ヶ池」に棲みついた龍が暴れた際、必ずこの彫刻の下に水溜りができたといいます。
そして、この彫り物の龍を鎖で繋ぎ止めたところ、その後龍は現れなくなったそうです。

遠目で見ると分かり辛いのですが。。。、よく見ると本当に黒い鎖で止めてあるんですよね!
こんな細い鎖ではいつかは逃げられてしまうのでは?と少し心配になりましたが。
「北辰の梟」 顔だけ北極星の方角

北側の壁面には「北辰の梟(ほくしんのふくろう)」がいます。
この梟は体は正面の本殿側を向いてますが、顔は反対の北側を向いています。祭神の天之御中主神(妙見様)は北極星を神格化した神様で、梟は妙見様が現れる方向を向いているといわれています。
梟は昔から智恵のシンボルと考えられているそうですよ。
「お元気三猿」 修繕中でトホホ。。。

そして、最後の西側の壁面には。。。おおっ!「お元気三猿」が修繕中になっている!ちょっとショック。。。

写真のパネルはありますので、こちらで我慢して下さい。
神社に居る三猿というと、日光東照宮の「見ざる・言わざる・聞かざる」が有名ですよね。
日光の三猿は日本人の奥ゆかしさを表現したような三猿ですが、こちらは「よく見・よく聞いて・よく話そう」と、どちらかというと現代的でポジティブな感じの三猿。「お元気三猿」と呼ばれ親しまれています。
生で見たかったな。。。グスン。
「天神地祇社」全国一ノ宮をお祀り

本殿の北側にある境内社「天神地祇社(てんしんちぎしゃ)」。
こちらには全国の一ノ宮である計75社がお祀りされています。これほど多くの一ノ宮の神々をお祀りしているのは全国的にも珍しいそうですよ!
行かれたら皆さんの地元の一ノ宮の名前もあるか、 是非確認してみて下さい。
「柞稲荷神社」 小型鳥居が可愛い!

お稲荷様ですね。御祭神は商売繁盛の神様「倉稲魂神(うがのみたまのかみ)」です。

願掛けの小型鳥居の奉納が受け付けられています。可愛い鳥居ですね!
「乳銀杏」 秩父宮妃御手植銀杏など

「乳銀杏」と呼ばれる銀杏の木。
昭和8年(1933年)に秩父宮両殿下がご親拝された際、それぞれに銀杏の苗木をお手植え頂いたそうです。
このうち秩父宮勢津子妃殿下がお手植えになられた銀杏は、女性のふくよかな乳房のような形に育ったことからこう呼ばれているそうです。(ストレートなネーミングだな。。。)

右で真っすぐに伸びている銀杏は、秩父宮雍仁親王殿下が植えられたもの。2本寄り添い並ぶ出で立ちはとても素敵ですね!

「秩父宮妃歌碑」は、昭和47年(1972年)の秩父神社の復興祝祭に秩父宮勢津子妃殿下がご参列され、その際に賜った御歌の碑。
「神垣も 新たになりて 御ゆかりの 秩父の里わ いよよ栄えむ」と歌われております。
「大銀杏」 樹齢400年の御神木

「大銀杏」は樹齢約400年ともいわれる御神木。「銀杏の葉」は秩父神社の社紋としても使われています。
この神社は銀杏の木が多いので、紅葉の季節には黄色に染まって良い感じになりそうですね!


境内を流れる小川「柞の禊川(ならのみそぎがわ)」は、秩父神社の御神山である武甲山を水源とする伏流水(地下水)の川だそうです。
アクセス
住所:埼玉県秩父市番場町1-3(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・池袋駅より西武池袋線特急レッドアローを利用の場合、全席指定・乗り換えなし。約80分。西武秩父線「西武秩父駅」より徒歩15分。
・高崎駅より、JR「熊谷駅」から秩父鉄道に乗り換え。 秩父鉄道「秩父駅」より徒歩3分
車)
・関越自動車道「花園IC」より約30km。花園IC.を降り、国道140号線を秩父・三峰方面へ。皆野寄居バイパスを利用の場合約50分。
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『秩父祭り会館 』いつでも夜祭!

秩父神社のすぐ近くにある「秩父まつり会館」は、秩父夜祭を資料や実演でご紹介している展示館。最新の技術を駆使した演出により、いつでも秩父夜祭体験!
お時間あればお立ち寄り下さい。(都合により私は入場しませんでしたが。。。)
住所:埼玉県秩父市番場町2-8(GoogleMapで開く)
開館時間:9時~17時(4月~11月)、10時~17時(12月~3月) ※入館受付は16:30まで
休館日:第4・第5火曜日(3月~11月)、毎週火曜日(12月7日以降~2月) ※祝祭日は開館、12月29日~1月1日
入館料:一般 500円、小中学生 250円
『秩父ふるさと館』『秩父銘仙出張所』 銘仙の町

参拝が終わったところで、周囲の町中を少しぶらり。
「秩父ふるさと館」 観光用休憩所ほか

少し歩いたところにある「秩父ふるさと館」。
大正時代の銘仙(めいせん)問屋の店舗・主屋だった建物を、観光用の休憩所や秩父の名産・名物などのお土産の販売店や飲食店が入る施設にしたものです。

銘仙というのは絣(かすり)と呼ばれる絹織物の一種。養蚕業が盛んだった秩父の「秩父銘仙」は大正から昭和初期にかけて全国的な人気だったそうですよ。

中は独立した店舗に分かれていて、飲食店もいくつか入っています。
写真のお店は土蔵造りを生かしたお酒がのめるお店で、その名も「蔵部(クラブ)るみん」。見た目もネーミングもイカしてます。
秩父の蒸留所で生まれた人気のウイスキー「イチローズモルト」が飲めるお店です。
住所:埼玉県秩父市本町3-1(GoogleMapで開く)
開館時間:10時~21時 ※営業時間は店舗によって異なる
定休日:水曜日
アクセス:
電車)
・西武鉄道「西武秩父駅」から徒歩15分
・秩父鉄道「秩父駅」から徒歩5分
車)
・駐車場有(7台分)
「秩父銘仙出張所」 現在は蕎麦屋

こちらも秩父銘仙関連の建物で、取引の出張所として昭和初期に建てられ国登録有形文化財です。
現在は蕎麦屋「入船」がこの建物で営業しています。秩父名物のくるみ蕎麦が人気の様ですよ。
住所:埼玉県秩父市番場町11-8(GoogleMapで開く)

このあたりは、銘仙が盛んだった時代には「買継ぎ通り」や「出張所通り」と呼ばれた辺りだそうです。

出かけてみませんか?

いかがでしたか?
個性的な本殿の彫刻を始め、歴史ある秩父神社の参拝を楽しみました。秩父は県内でも人気のある観光地なので、他のスポットへの訪問と合わせての参拝も、立ち寄りやすい場所にあるのでオススメです。
2021年の秩父夜祭ですが、残念ながら新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から規模縮小での開催になる様です。来年の秩父夜祭の時は盛大に開催できる状況になっていると良いですね!

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