埼玉県久喜市にある「鷲宮神社」は、関東でも有数の古社です。
鎌倉時代には源頼朝や執権北条氏から尊崇を受け、歴史書「吾妻鏡」にも度々登場。
その後も、武運を願った多くの武将からの崇敬を受けます。
明治時代には、明治天皇が定めた准勅祭社の一社にもなっているんですよ。
そんな鷲宮神社の境内には、社殿をはじめ江戸時代の建築物や奉納品などの見どころも多い。
さらに龍伝説のある池や、人気アニメの聖地だったりする話題なども紹介!
目次
「鷲宮神社」関東最古ともいわれる古社
社号碑は徳富蘇峰
入口には武蔵國・鷲宮神社の社号碑。
彫られている文字は、明治から昭和初期にかけての思想家・徳富蘇峰(とくとみそほう)によるもの。
そして社号碑の横には、明治時代に建てられた鳥居が建ってました。
それが2018年に突如倒壊。
老朽化によるものと思われますが、現在は再建待ちのさびしい状態です。
両脇に木々が並ぶ、緑豊かな参道。
これらは全部桜の木で、春には桜のアーチが見られるそうですよ。
素敵ですね!
江戸時代の狛犬・灯籠
参道脇に控える、今にも飛び掛かって来そうな躍動感ある狛犬。
こちらは嘉永5年(1852年)の奉納品です。
時代を感じさせる青銅の灯籠。
こちらも江戸時代末期の奉納品で、文政12年(1829年)のもの。
台座には、飛び出さんばかりの躍動感ある鳥達が彫られています。
というか、既に飛び出してますね(笑)。
結構、江戸時代の奉納品が残っているようです。
源頼朝や執権北条氏の尊崇
参道を進み「拝殿」へ。
普通は参道をまっすぐ進んだ先に社殿がありますが、こちらの社殿は左側に回り込んだ場所が正面。ちょっとレイアウトが変わっている気がしますね。
鷲宮神社の歴史は古く、出雲族の草創に係る関東最古の大社ともいわれます。(諸説あります。)
御祭神は天穂日命(あまのほひのみこと)、武夷鳥命(たけひなとりのみこと)、大己貴命(おおなむちのみこと)の3祭神。
天穂日命は、商売繁昌・出世金運・厄難消除の御神徳。
武夷鳥命は、交通安全の御神徳。
大己貴命は、家内安全・縁結び・開運招福・病気平癒の御神徳。
といった、それぞれの御神徳をお持ちです。
合祀祭神として、建御名方神・伊邪那美神・大山祇神・宇迦之御魂神・大山咋神・天照皇大神・迦具土神・素戔嗚尊・菅原道真命の九柱が祀られています。
これは幅広い御神徳が頂けそうですなあ。
鎌倉時代以降になると、多くの武将達の崇敬を受けた記録が残っています。
由緒概要(鎌倉時代以降)
■鎌倉時代:源頼朝や執権北条氏から尊崇を受ける。歴史書・吾妻鏡にも記録が残る。
■中世以降:関東鎮護の神として、下野国守護小山氏や古河公方足利氏、小田原北条氏などより保護を受ける。
■江戸時代:徳川家康より4百万石の神領を受領。代々の将軍の朱印状も残る。
■明治時代:准勅祭社に定められる。明治天皇行幸の際、当神社で御少憩され金壱封を賜る。
■昭和時代:昭和天皇の御世にも幣帛を賜った。
貴重な古文書も多く残ります。
なかでも室町・戦国時代の武将・足利成氏が、鷲宮神社に納めた願文は良く知られる。
享徳の乱に際する戦勝祈願で、達成されれば足立郡と埼西郡の段銭(=税収入)を寄進する、との内容。
崇敬の厚さが伝わってきますが、えらく具体的な内容で契約書みたいですね(苦笑)。
拝殿・本殿は安政7年(1860年)の建立。
本殿が2社に分かれており、左は大己貴命を祀る神崎社、右は天穂日命・武夷鳥命を祀る鷲宮神社の本殿になります。
これだけの規模の本殿が2社に分かれているのは、案外珍しい気がしますが。
「鷲宮催馬楽神楽」 国無形文化財
拝殿正面には「神楽殿」があります。
こちらでは、年6回の神楽が奉納されます。
鷲宮神社に古くから伝わる「鷲宮催馬楽神楽(わしのみやさいばらかぐら)」は、国の無形文化財に指定されています。
これは江戸時代中期に形作られた、関東神楽の源流とされる古い様式なんだそうですよ。
平成19年(2007年)、天皇皇后両陛下がスウェーデン国王王妃両陛下とともに行幸されました。
その御前において、伝統の神楽が上演された際の写真が紹介されています。
鷲宮催馬楽神楽は、保存会を中心に保存・伝承がおこなわれています。
江戸時代に萩藩が利根川を改修
社務所前で大事に残されている「寛保治水碑」。
これは寛保3年(1743年)に利根川の改修工事に携わった、萩藩(現、山口県萩市)の藩主・毛利宗広の奉納品。
埼玉でなんで萩藩?て疑問がおきますが。。。、
寛保2年に関東で大洪水が起こり、各地で河川氾濫による甚大な被害が発生。
江戸幕府はその復旧作業に、西の諸大名も動員。
毛利家は、現在の本庄市から加須市・春日部市に至る、利根川流域水路の復旧・改修を命じられた。
それを受け1707人の家臣・人足を派遣して、堤防の補修・補強を実施したそうだ。
工事は難行したが、延べ100万人以上の人足を動員し、翌年に工事を完了させた。
西の大名に助けて頂いた歴史があったのですね。
かつての利根川は、関東においては暴れ川でしたからねぇ。
「明治天皇行幸」の記念石碑。
明治29年(1896年)、明治天皇が近衛師団(=天皇を護衛する軍隊)の演習観覧のために行幸。
その際、鷲宮神社社務所が小休所となったそうです。
この碑の文字も徳富蘇峰のもの。
ちなみに、小説家の徳冨蘆花(とくとみろか)は蘇峰の実弟にあたります。
「鷲宮堀内遺跡」 境内に古墳時代の遺跡
「鷲宮堀内遺跡」の碑があるように、境内には遺跡もあるそうなんですよ。
古代の遺跡が発見されており、昭和37年(1962年)と昭和59年(1984年)の2回に渡って発掘調査がおこなわれました。
調査では縄文時代や古墳時代の住居跡や、土器などが出土されています。
昔より人が集まり、古社創立にふさわしい土地柄だったようですよ。
「光天之池」 怪現象!?龍伝説の池
遺跡碑の正面には「光天之池(みひかりのいけ)」と呼ばれる、不思議な池があります。
大きくはないですが、雰囲気のある池。
傾斜があるので、落ちないように注意しながら近くへ。
説明書きによると。。。
元々こちらの池には龍神様が住むと伝わっていたが、長い年月の間、土砂などで埋もれていた。
平成11年より境内整備事業の一環で土砂の搬出を行っていると、池から突如湧き水があふれでて、龍のような雲が空を覆ったという。
それにより光天之池と名付けたそうだ。
池がきれいになって、龍神様もお喜びになったのでしょうね。
「境内社」 鹿島神社・八幡神社ほか
境内社は13社あり、多くは境内を囲む深い雑木林の中にあります。
武甕槌大神(たけみかづちのかみ)を祀る「鹿島神社」は、武運長久の御神徳。
戦いを控えていれば、こちらを参拝しましょう。
鳥居をお持ちの「八幡社」。
出世開運の御利益が頂きたければ、こちらへ。
「八坂神社」の神輿殿には、八坂祭で使用される神輿が収められてました 。
アニメ「らき☆すた」の聖地
参拝済んで、入口付近にあった古民家風の茶屋「大酉(おおとり)茶屋 田々」に立ち寄ります。
こちらの良い雰囲気の茶屋は、築110年の酒屋店舗を改築。
商工会が主体となり、食事や喫茶ができる休憩処として営業しています。
実はこの茶屋は、店先に人気アニメ「らき☆すた」の石碑があることでも、アニメファンには良く知られているんですね。
「らき☆すた」は4人の女子高生達のスクールライフを描いた、日常系のゆる~いタッチのアニメ。
鷲宮神社はその主要舞台になっており、ファンの聖地巡礼地として人気なんですよ!
今はアニメの聖地巡礼ってよく耳にしますが、こちらはその先駆け的な存在だそうです。
石碑の前にはキャラクターを描いたマンホールも!
店では地元とコラボした、鷲宮限定商品なども売っていました。
コラボは参拝客増加と、地元の活性化にもつながっているそうです。
伝統ある古社のほんわかした一面に、親しみを感じましたわ。
鷲宮神社の御朱印
参拝を終えて御朱印を頂きました。こちらは通常の御朱印。
こちらは、国指定無形重要文化財・鷲宮催馬楽神楽の御朱印。
用紙も色使いも上品で素敵なものでした。(初穂料もそこそこ上等。。。)
神社に参拝に行くと、神々についてや神社施設の呼び名・役割について知りたいけど、聞ける相手もいない!
ってことありません?そんな時、網羅範囲が広い本書は結構頼もしいですよ!
鷲宮神社の詳細情報・アクセス
鷲宮神社
公式ページ
住所:埼玉県久喜市鷲宮1-6-1 (GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・東武伊勢崎線 鷲宮駅より徒歩8分
・JR宇都宮線「東鷲宮駅」西口より、朝日バス加須川口循環線「鷲宮神社入口」下車
車)
・東北自動車道「久喜IC」「加須IC」より各約15分
・駐車場約60台分あり
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鷲宮神社へでかけてみませんか?
関東有数の古社、鷲宮神社をご紹介しましたが、いかがでしたか?
境内では縄文・古墳時代から始まり、そうそうたる武将達からの崇敬を受けた歴史。
そして、江戸時代の治水工事にまつわる石碑など。
関東でも随一の古社ということで、境内では様々な歴史巡りができましたよ。
その一方、人気アニメの聖地であるというギャップが面白いですね。
色々見どころ多い鷲宮神社へ、参拝にでかけてみませんか?
記事の訪問日:2021/9/19
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