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遺言により徳川家康公が葬られたのが、静岡県静岡市にある「久能山東照宮」。
ここは家康公を東照大権現として最初に祀った神社で、全国100社以上ある東照宮の創祀社になります。
国宝指定の社殿の美しい彫刻には、家康公の人生観が表現されており思わず見入ってしまいますよ。
駿河湾を望む美しい久能山東照宮を、久能山の歴史やアクセス方法も交えながら紹介!
『久能山東照宮』 徳川家康公遺言により埋葬された神社
久能山東照宮は徳川家康公を御祭神・東照大権現としてお祀りした最初の神社です。
家康公は晩年の大御所時代、駿河国の駿府城(現静岡市)に居住してましたが、75年の生涯を閉じた際に遺言に従い久能山東照宮に葬られました。
東照宮というと関東人の私には、やはり日光東照宮が馴染みが深いですね。
ですが、家康公が埋葬された東照宮発祥地は久能山と知って、いつか参拝したいなあと思っていました。
今回念願叶っての訪問という事で、非常に楽しみ!
日本平からロープウェイでアクセス

さて、標高270mの久能山山上にある東照宮へのアクセスですが、実は車では直接行けない場所なんですわ。
アクセス方法は大きく2つ。
久能山下から表参道の石段を1,159段登る方法が1つ。
もう1つが、車・バス等で日本平まで行き、ロープウェイで久能山に渡る方法です。
う~む。
話のネタ的には是非とも表参道の石段から攻めたいところですが。。。、体力と相談してロープウェイでのアクセスとしました。
写真で薄々気づかれているとは思われますが(笑)。
JR静岡駅から日本平へはバスでアクセスしましたよ。
ちなみに日本平は標高307mの丘陵地で、久能山へは下って行く形になります。

ロープウェイはそこそこ並んでおり、20分くらい待ったかな。
現在は、NHK大河ドラマ・どうする家康による集客効果もあるんだろうなぁ。
3月中旬で桜シーズン前の訪問でしたが、季節的にはこれからもっと混みそうだ。
そんなこんなで、あたらし目でピカピカのゴンドラが到着。
2019年末に30年振りの入替えがおこなわれ、デザインは大名籠をイメージしたものでカッコいいです。
紋所が目に入らぬかあ~!とばかりにドア部に金色の三つ葉葵紋が施されてますが、見えずらい写真でスマンっす。
では大名気分で、久能山駅への約5分間の空中散歩へ!
公式ページ
住所:静岡県静岡市清水区草薙597-8(GoogleMapで開く) *住所は日本平駅の住所
運行時間:日本平駅発 9:10~16:45 / 久能山駅発 9:30~17:00
※片道5分、上記時間中10~15分間隔で運行。
一般運賃:大人(中学生以上) 往復1,250円・片道700円 / 小人(小学生以下,4~12才) 往復630円・片道350円
アクセス:
電車)
・JR「静岡駅」からバスで約50分
・JR「東静岡駅」からバスで約30分
・JR「清水駅」からタクシーで約15分
車)
・東名高速「日本平久能山スマートIC」から約20分、「清水IC」から約30分
・新東名「静岡IC」 から約30分
・富士山静岡空港から約65分
・日本平山頂に無料駐車場有り(200台)
久能寺や久能城としての歴史もあった

ゴンドラはガラス面が多く見通しが良いですね。
久能山周囲の山肌は切り立った断崖絶壁ですね。下は深い谷ですわ。

久能山駅に到着後にひそかに見逃し注意!、ポイントなのがホームから見えるこちらの石垣。
こちらは、戦国時代に武田氏が築いた久能山城のニノ丸の石垣なんだそうだ。
東照宮以前に城があったのは知らんかったわ。
平安時代初期:久能寺が開創され、山上には多くの僧坊が建立された。
南北朝時代~室町時代:戦乱の際に兵が立て籠もるなど、寺院城郭の一面を持つに至る。
永禄2年(1569年):駿府に攻め入った武田信玄は寺院を移し、本格的な山城・久能山城を築城。小田原北条氏・徳川氏への備えの拠点とした。
天正10年(1582年):武田氏が亡び駿河国一帯が徳川氏の領有地となり、久能山も徳川氏のものとなる。
元和2年(1616年):大御所・徳川家康が駿府城にて死去し、家康の遺言により御尊骸を久能山に埋葬。
2代将軍・秀忠が山上に本殿等諸建造物の造営を命じ、久能山城を廃し久能山東照宮を創建。
信玄はこんな断崖絶壁の山上に、よく城を築いたもんだねぇ。
東照大権現の額が掛かる「楼門」

東照宮入口へ向かい、拝観料を払って境内へ。
ちなみに東照宮は参拝だけでも拝観料が発生します。
境内に入るとその先に立派な楼門が立つ、石段の続く参道が現れます。
参道は山上ならではのコンパクトな感じの印象でした。

楼門は江戸時代初期の元和3年(1617年)の建造で、重要文化財に指定されています。
この先も、境内の建造物はほぼ江戸時代当初のまま残っており大変貴重!
社殿は国宝に指定されており、その他も多くが国の重要文化財に指定されてます。

楼門の屋根下中央の「東照大権現」の扁額は、当時の天皇・後水尾(ごみずのお)天皇の筆によるもの。
そのため勅額御門(ちょくがくごもん)とも呼ばれるらしいです。

蟇股(かえるまた)には、ちょっと愛嬌ある感じの霊獣が。
これは獏(ばく)の彫刻なんだって。
獏は夢を食べる動物な~んていわれたりもしますが、古代中国の霊獣としての獏は鉄や銅を食料としているとか。
それで争いの世になり鉄が武器に使われると、獏の食料が無くなってしまう。
故に獏が現れる世は平和、ってことを象徴しているらしいっす。
入口から天下泰平へのメッセージが、ひしひしと伝わってきますなあ。

そして楼門たもとにあり、家康公を身近に感じられるスポットはこちら。
「家康公御手形」が置いてあり、自分の手と重ね比べたりできるようになっていますよ!
手形は家康公が38歳の時のもので、当時の推定身長は155~159㎝とのこと。
身長からも手形からも、天下人は比較的小柄だったことが伺えますね。
皆さんも是非、天下人の手の大きさを体感しに出かけてみて下さい。
色紙に模写した家康公御手形を頒布されているので、お持ち帰りもできますぞ。
鼓楼・神厩

楼門抜けた右手には「鼓楼(ころう)」。
元々は鐘つき堂(鐘楼)でしたが、明治の神仏分離の際に鐘を太鼓に入替えたそう。
文様の色彩が綺麗です。

当初「神厩(しんきゅう)」には、家康公の愛馬が飼われていたそうです。

愛馬亡き後は、左甚五郎作と伝わる木像の神馬が納められました。
馬の眼球には、当時大変貴重だったギヤマン(ガラス)が使われているとのこと。

かつてこちらには3代将軍家光公命による五重塔があったそうだが、現在は土台と礎石だけが残ります。
明治時代の神仏分離で撤去されたそうだ。明治まで残ったのに残念だなあ。
「唐門」には、極彩色の彫刻がビッシリ!

訪問時は”しだれ桜”が、参道に彩りを添えていました。
久能山東照宮の桜は12月下旬から早咲きの桜が咲き始め、3月中旬から”しだれ桜”、その後”鹽竈(しおがま)桜”・”八重桜”とリレー式に続き、4月中旬まで楽しめるらしいです。

玉垣と呼ばれる塀に囲まれている社殿エリア。
その入口に構えるのが「唐門」。

門正面の彫刻。
ぬっと顔だけ突き出ているのは龍ですかね?獅子かな?

門には羽目板の彫刻が施されており、こちらは黒松に鳥。
生命力が強い黒松は長寿と繁栄を象徴する縁起の良い木なんだって。

唐獅子は魔除けの役割。
唐門の彫刻は青が基調になっている印象です。
国宝「御社殿」は権現造りの原型

唐門を抜けると久能山東照宮の中心的な建造物、国宝指定の「社殿」とようやくご対面。
煌びやかな装飾が施された社殿も、江戸初期の元和3年の建立です。
参拝のための「拝殿」と御祭神の家康公を祀る「本殿」、この両殿を「石の間」でつなぎ一体化した『権現造(ごんげんづくり)』と呼ばれる社殿様式です。
権現造は全国の東照宮を始め多くの社殿で用いられましたが、久能山東照宮が最古の東照宮建築であり原型とされます。

社殿の造営は、家康公の側近として全幅の信頼を寄せられていた大工棟梁・中井大和守正清(なかい やまとのかみ まさきよ)によるもの。
二条城・江戸城・駿府城・名古屋城の天守や御殿、増上寺・知恩院などの造営をおこなった、そうそうたる実績の持ち主だそうです。

社殿の見どころは、建物周囲に施された数々の彫刻ですね。
写真の彫刻は、昔の中国の政治家・司馬温公(しばおんこう)の子供時代の逸話、「司馬温公の瓶割り」というもの。
貴重な瓶に落ちた一人の子供を、迷うことなく大きな石で瓶を割り助けたという話。
命はどのような高価な物よりも大切だ、と教える教訓だそうだ。

その隣には中国古代の思想家である孟子・孔子・老子が描かれており、終生勉強が大事!のメッセージが込められています。

拝殿の柱から斜めに延びる独特な彫刻は「籠彫り」と呼ばれる手法。
丸木の外側と内側を掘り、空洞化して透かすテクニック。
超絶技巧の世界を感じますわぁ。
本殿に逆さ葵紋!?

社殿拝観後は、家康公の墓所である神廟(しんびょう)に向かう順路。
その途中で誰もが立ち止まって見上げるポイントがあるんですね。それがこちら。
本殿の屋根下周りには細かい無数の葵紋があるのですが。。。、この中に一つだけ逆さ葵があるという!
これがねぇ、探すのが結構ムズいんだわ。
「あそこ!」「えっ、どれ?」な~んて聞こえてくる周囲の声にも耳を立てつつ(笑)、真剣に探し始めましたわ。

おー、見つかって良かった。
逆さ葵は未完成部分を意図的に残し、更なる発展への願いが込められたもの、と伝わります。
決して間違い探しを楽しむ目的のものでは無かったようです、ハイ。
そういえば日光東照宮の陽明門にも、逆さ模様の柱が1本だけありました。
石灯籠が並ぶ「廟所参道」

社殿北側高台の神廟に続く廟所参道。
両脇には家康公に仕えた武将たちが奉納した石灯籠がズラッと並び、厳かな雰囲気だ。

この辺で振り返ると社殿の全体の様子が良く見えます。
手前が本殿、右手奥が拝殿側です。
家康公の墓「神廟」

石段を上がり切ったところが、神廟と呼ばれる家康公の墓所があるエリアになります。
煌びやかな社殿とは対照的に、簡素で厳かな雰囲気です。

こちらが家康公の遺骸が埋葬された場所に建てられた廟になります、合掌。
3代将軍家光公により建てられた石塔で、高さ5.5m・外廻り8mです。
神廟は家康公の遺命により西向きに建てられています。
西には生誕地の岡崎城があり、その先に大阪、更に先には京の都へと続く方角です。
敷地内には、家康公の御遺訓の掲示があります。
人の一生は重荷おもにを負をひて遠き
道をゆくが如し いそぐべからず
不自由を常とおもへば不足なし
こころに望のぞみおこらば困こん窮きゅうしたる
時を思ひ出いだすべし 堪忍かんにんは無事ぶじ
長久ちょうきゅうの基もとい いかりは敵とおもへ
勝事かつことばかり知しりてまくる事をしら
ざれば害がい其その身みにいたる おのれ
を責せめて人をせむるな 及ばざる
は過すぎたるよりまされり
学生時代にも目にしている有名な遺訓ですねえ。
多分当時は。。。荒々しいイメージの織田信長に対して、徳川家康は穏やかそうな性格だねえ、程度の感想だったろう。
しかし人生xx代半ばも過ぎた今読み返してみると、なんだか含蓄があり沁みますねぇ。
幼い頃から人質生活を送り、苦労人だった人ならではの言葉かと。

神廟裏手の南隅には、家康公の愛馬が埋葬されていると伝わります。

神廟の右手にある楠の大樹は「金の成る木」と呼ばれており、家康公が家臣たちに話した遺話に重ねられています。
家康公は自ら「金の成る木」として筆で3本の木を描き、「よろず程のよ木」「志ひふかき(慈悲深き)」「志やうぢ木(正直)]と書き、「これを常々信用すれば必ず富貴が得られよう」といったという。
真面目やなあ~、と思わず言いたくなりますが、家康公という人物は知るほど実直でストイックな面を持った印象が深まってきますわ。
久能山東照宮博物館

一通り参拝の後、境内の外にある「久能山東照宮博物館」へ。
東照宮伝世の物を中心に、家康公を知ることができる宝物展示がされています。
有料施設ですが、貴重な展示物か多く是非立寄りたいスポット。
家康公の身近な愛用品や、徳川歴代将軍の武器・武具などが多く展示されています。
愛用品の一つである洋時計は特に貴重品。
江戸初期にこんな精巧な置時計が伝来してたのね~、と目を見張りますね。
家康公の新し物好きの一面も垣間見れますよ。
ちなみに館内は撮影不可でした。
駿河湾を望む長い石段

南側を少し下りてみます。
石垣は江戸時代以降のものでしょうね。

「勘介井戸」と呼ばれる井戸。
戦国時代に武田信玄公の軍師・山本勘介が掘ったと伝わる石垣積の井戸跡。

久能山下から登っると、登り切った場所にある「一ノ門」。
久能山城の時代には、ここに大手門がありました。
門周囲には鉄パイプの補強があり修理中かな?
景観的には少々残念な感じでした。

門の外に出ると。。。おー、これが表参道からの1,159段の石段ですね!
皆さん、結構登っていらっしゃいますなぁ~。

ここからは穏やかに続く駿河湾が見渡せます。
開放的な景色に出会えるのも、久能山東照宮の魅力の一つだと感じます。
海岸沿いに連なる白い施設は、イチゴ栽培のビニールハウス。
「久能山石垣いちご」と呼ばれる栽培法は、石の蓄熱で冬でも栽培できるのが特徴だそうですよ。
金の成る木の御朱印

杉の木で作られた「金の成る木」の御朱印を頂いてきました。
家康公に習い「正直・よろず程のよ木・慈悲深き」の実践を心掛けてみますよ!
お金が成り出したら、またブログで報告させて頂きますね。
久能山東照宮の詳細情報・アクセス
公式ページ
住所:静岡県静岡市駿河区根古屋390(GoogleMapで開く)
拝観時間:9時~17時
拝観料:社殿)大人500円 子供200円、博物館)大人400円 子供150円、共通券)大人800円 子供300円
※大人は高校生以上、小人は小学生・中学生
アクセス:
電車)
・JR静岡駅より、しずてつジャストライン石田街道線にて終点「東大谷」下車(約40分)、久能山下行きバスに乗り換え、終点「久能山下」下車(約15分)。1159段の石段を登り約20分。 ※日に数本「静岡駅」から久能山下行きのバス(約50分・乗換無し)も有り。
・JR「静岡駅」からバスで約50分、又はJR「東静岡駅」からバスで約30分、又はJR「清水駅」からタクシーで約15分で日本平へ。ロープウェイで久能山へ約5分
車)
・久能山下から石段で登る場合) 日本平久能山スマートインターより約20分、久能山下、1159段の石段を登り約20分。 *駐車場は久能山下周辺の民間駐車場を利用
・ロープウェイ利用) 日本平からロープウェイで久能山へ約5分。
ロープウェイで往復して東照宮拝観と東照宮博物館に入館する場合は、日本平駅で「ロープウェイ往復+東照宮拝観+東照宮博物館入館の3点セット券:1,950円」を購入した方が、「ロープウェイ往復:1,250円+東照宮で共通券:800円を購入」するより100円安くてチョイとお得!
※参拝には最低拝観料が発生します。
『日本平夢テラス』 富士山・駿河湾を望む展望施設

ロープウェイでアクセスする場合は、「日本平夢テラス」にも立ち寄ってみましょう。
ここは富士山をはじめ駿河湾・静岡市街地など、360度の眺望が望める展望施設なんですよ!
2018年オープンの比較的新しい施設で、入場無料の太っ腹!

ガラス張りで開放的な建物は素敵ですなぁ。
カフェでは、日本茶や日本茶を使った静岡ならではの軽食やスイーツが楽しめます。

そして、このように見事な富士山が!で締めたかったですが、生憎の雲で残念。
雲の無い日は、裾野を延ばす素晴らしい富士山の雄姿が拝めますよ!
公式ページ
住所:静岡県静岡市清水区草薙600-1(GoogleMapで開く)
定休日:無休 ※毎月第2火曜日及び年末(12/26~12/31)は休館日です。
営業・利用時間:無休、月火水木金日:9時~17時 / 土 9時~21時、展望回廊は終日入場可
アクセス:
電車)
・JR「静岡駅」からバス・静岡日本平線で約40分終点「日本平石碑前」下車
・JR「清水駅」からバス・山原梅蔭寺線で約30分「久能山下」下車、日本平ロープウェイ乗車にて
車)
・東名高速道路「静岡IC」から約25分、又は「日本平久能山スマートIC」から約20分
・駐車場:普通車 200台
久能山東照宮に参拝に行こう!

徳川家康公が眠る東照宮の創祀社、久能山東照宮を紹介しましたがいかがでしたか?
多くのきらびやかな彫刻がある建物群は重厚ですが、駿河湾を望む場所柄のせいかなぁ、日光東照宮と比較するとカラッと乾いた雰囲気を感じました。
写真はロープウェイ日本平駅舎の2階にあるレストラン「はなあおい」で頂いた、看板メニューの大御所御膳。
ボリュームも結構あってオススメ。
日本平まで上がってしまうと食事処があまり無いので、こちらのレストランの利用も一考かと。
久能山東照宮に参拝に出かけてみませんか?
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