下総国の一宮である「香取神宮」は、全国約400社ある香取神社の総社。
昔より武運の神とされ、皇室や武将からの篤い崇敬を受けてきました。
境内では徳川幕府により造営された本殿や、同じく江戸時代の楼門など貴重な建築物に出会うことができますよ。
ほかにも不思議な言い伝えのある要石や、厳かな雰囲気漂う奥宮なども!
見どころの多い香取神宮をめぐってみましょう。
目次
『香取神宮』 全国の香取神社の総社
「下総国一宮 香取神宮」 東国三社の一社
千葉県香取市にある下総国一の宮である「香取神宮」は、関東を中心に全国約400社ある香取神社の総本社です。
そして、同じ北関東にある茨城県鹿嶋市の鹿島神宮、茨城県神栖市の息栖(いきす)神社とともに東国三社の一社にも数えられます。
そんな香取神宮の参道入口は昔ながらの観光地風。
ちょっとレトロなたたずまいだ。
入口をくぐると土産屋が並んでいて、雰囲気ある参道ですね~。
参道では定番的な団子のある茶屋。
そのほか、芋を使った大福なんてのはちょっと珍しいな。
あとで調べたら、千葉県のサツマイモ産出量は全国で第3位を誇るそうだ。
香取の土壌も栽培に適しており、古くからサツマイモの名産地らしいですよ!
参道を歩くと現れる大鳥居。
実はこれ、二の鳥居なんですね。
一の鳥居は少し離れた場所にあるので、後ほどご紹介。
香取神宮の創建は、日本の初代天皇・神武天皇の御代18年といわています。
もの凄い古い起源をお持ちの神社なんですよ!
鳥居をぬけると、神職の方々が何やら慌ただしくしている様子に遭遇。
見てたら結婚式の写真撮りの準備でしたわ。
早々おめでたい場面に遭遇できましたよ。
参道の両脇には無数の灯籠の奉納品がならぶ。
木漏れ日とあいまって、とても厳かな雰囲気です。
豊かな社叢(しゃそう)林は、香取神宮の森として県天然記念物に指定されています。
威厳を感じさせる「大石鳥居と総門」
参道を進むと視界が開け、石の鳥居が現れます。
これは大きな鳥居ですね~。
鳥居と石段上の総門の組み合わせが、なんとも威厳を感じさせます。
鳥居手前の一角に残る「勅使門」。
これは江戸時代中期にあった、大宮司邸の表門です。
邸宅は、天皇の命の勅使を迎える役割もあったそう。
邸宅は残念ながら焼失しており、門だけが残ります。
門は境内に残る、唯一の茅葺屋根の建造物なんだとか。
朱色が鮮やかな江戸時代の「楼門」
石段の先の総門をぬけると、香取神宮のシンボル的な「楼門」が現れます。
朱塗りが鮮やかで、どしっとしたバランスの良い形ですね。
楼門は江戸時代の元禄13年(1700年)の建築物で、重要文化財に指定されてます。
楼上の額の筆は、海軍軍人・東郷平八郎によるもの。
門内には随身像が納められています。
向かって右側は、古代皇族の武内宿禰(たけしうちのすくね)とされます。
左側は、飛鳥時代の貴族・藤原鎌足(ふじわらのかまたり)だとされます。
「国家鎮護の神」として古来より皇室や武将が崇敬
楼門を抜けて境内に入ると、何度やっても覚えられない茅の輪くぐりを発見(苦笑)。
夏越しの大祓(おおはらえ)だそうです。
その先には「拝殿」がありました。
現在の拝殿は昭和に造営されたものです。
唐破風と千鳥破風がついた、少し複雑な形状の屋根が印象的です。
屋根は檜(ひのき)の樹皮を用いた、檜皮葺き(ひわだぶき)です。
香取神宮には、日本書紀の国譲り神話に登場する、経津主大神(ふつぬしのおおかみ)が祀られています。
家内安全や産業指導のご神徳をお持ちです。
さらに武徳がある神としても知られ、平和・外交の祖神としての勝運の徳もあるそうなんですね。
それ故、古くから国家鎮護の神として、皇室や武将からの篤い崇敬を受けてきました。
社殿周囲を歩けるので、塀越しに本殿を拝観できます。
現在の本殿は、元禄13年(1700年)に徳川幕府によって造営されたもの。
楼門と同時期の建築物で、こちらも国重要文化財に指定されています。
ちなみに平安時代の香取神宮には、伊勢神宮同様、本殿を20年ごとに建替する慣習があったそうですよ!
妻下には極彩色の装飾も見受けます。
全体的には黒の漆塗りが基調で、きらびやかというよりは重厚な印象です。
神宮の呼称ですが、明治時代以前には伊勢・香取・鹿島のみに神宮の称号が与えられていました。
そのことからも、香取神宮は我が国屈指の格式の高い神社といえます。
透塀の黒塗りが、ピカピカに輝いているのが印象的でした。
「旧拝殿・宝物館」 貴重な源頼朝の寄進状
境内には、「旧拝殿」が祈祷殿として残っています。
現在の昭和の拝殿以前には、こちらが使用されていたんですね。
造営時期は本殿と同じ元禄13年で、江戸時代の社殿を知るうえで貴重な建物。
現在の拝殿と比較すると、比較的質素な感じの建物でした。
香取神宮には国宝・重要文化財・県指定文化財など、約200点の宝物が所蔵されているんですよ!
「宝物館」では鎌倉時代の源頼朝による領地寄進状をはじめ、貴重な宝物が公開されています。
宝物館は拝観料を払っての見学となります。
境内の一角に、ど~んと突き刺さっている船の錨を発見。
海上自衛隊練習監・かとりという船は、昭和45年より28年間に渡り航海訓練に使用された船。
除籍後、船名と由緒深い香取神宮に奉献されたもの。
「要石」地震を起こす大ナマズを押さえこむ石!?
社殿のある境内を後にし、旧参道を歩いて「要石(かなめいし)」へ向かいます。
秘めやかな雰囲気の森の中に入ります。
要石はこの石柱に囲まれた場所にあった。
可愛らしい石ですね!こちらが要石。
変哲のない丸石が、ちょこんと置いてあるように見えますが。。。
実は地中深く差しこまれた、石棒だといわれます。
これは、地震の原因となる、大ナマズの頭尾を刺し通しているといわれるんですね!
さらに、大ナマズのもう片端の頭は、鹿島神宮側の要石で押さえ込んでいるらしい。
なんともダイナミックな伝承ですな。
香取神宮と鹿島神宮の距離は20kmくらいかな。
どんだけでかいナマズなのよ。
古くよりこの地は地震が多かったらしく、香取と鹿島の神への地震除けの祈りが形になったもののようですね。
「奥宮」 伊勢神宮の古材による社殿
旧参道内沿いには「奥宮(おくのみや)」もあります。
実は神様には、「荒魂」と「和魂(にぎみたま)」という二面性があるとのこと。
こちらには、香取神宮の御祭神・経津主大神の荒魂(あらみたま)が祀られています。
ちなみに社殿の木材は、昭和48年(1973年)の伊勢神宮御遷宮で発生した古材によるものだそうです。
「津宮浜鳥居」御祭神は海からこの地に上陸した
帰宅がてら、「浜鳥居」と呼ばれる一の鳥居に立ち寄りました。
香取神宮からは3km程離れた、利根川の河川敷にあります。
場所はちょっとわかりずらく、道路側から鳥居の先端部を見つけ、あれか!という感じでの発見。
こちらが浜鳥居。
河岸にポツンと鳥居が立つ、ちょっと不思議な風景。
香取神宮の御祭神・経津主大神は海路にて、ここから上陸されたと言い伝えられます。
鳥居は平成14年(2002年)竣工のもので、香取神宮の御用材が用いられています。
常夜灯は明和6年(1769年)に三社参詣の講中の人々が、航路の安全を祈願し奉納したもの。
歌人・与謝野晶子(よさのあきこ)の歌碑。
与謝野晶子が明治34年(1911年)に当地に立ち寄った際、宿屋で詠んだ歌が記されている。
~ かきつばた 香取の神の津の宮の 宿屋に上る板の仮橋 ~
鹿島神宮の御朱印
右が鹿島神宮の御朱印で、左は奥宮の御朱印です。
直書きで迫力ある筆のものを頂けました!
香取神宮と奥宮の両方の御朱印を頂くと、上記のしおりが頂戴できました。
おまけを頂ける神社は大好きです、はい。
関東の強力なパワーを持った神社を、その位置関係から紐解くなど読み応えのある本。
関東周辺に沢山の素晴らしい神社があることに改めて驚きますね。写真も綺麗!
香取神宮の詳細情報・アクセス
香取神宮
公式ページ
住所:千葉県香取市香取1697-1(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR「佐原駅」下車、タクシーで約10分。各種バスもあり。
・JR「香取駅」下車、徒歩30分(約2km)
車)
・東関東自動車道「佐原香取IC」から約1.5km
・駐車場有、参拝者第1駐車場(100台)
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住所:茨城県鹿嶋市宮中2306-1(GoogleMapで開く)
※香取神宮より車で約20分。電車の場合はJR鹿島線乗車にて、佐原駅から鹿島神宮最寄りの鹿島神宮駅まで約21分。
香取市コミュニティバスについて
市内にはコミュニティバスが運行されているので、上手く利用できれば移動に便利。
観光地をめぐる「休日周遊ルート」が、土・日曜日、祝日のみ限定で運行されています。
香取市のコミュニティバスのページ
香取神宮へ参拝に出かけてみませんか?
下総国の一宮で、東国三社の一社でもある香取神宮を紹介しましたが、いかがでしたか?
伊勢・鹿島・香取のみ神宮の称号を与えられた時代の一社とあって、境内や社殿などに格式の高さを感じました。
とくに黒の漆塗りで、ピカピカと黒光りしたいる社殿は印象的でしたねえ。
そんな、歴史を感じられる香取神宮に、参拝に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2022/6/19
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