近年、盆栽は人気があり、外国人からも熱い視線を送られていますよね。
埼玉県さいたま市にはその盆栽の聖地と呼ばれる「盆栽村」があり、さらに近隣には盆栽の魅力を紹介する施設「大宮盆栽美術館」があります。
そんな盆栽の聖地を盆栽のボの字も知らぬ素人が歩き、いったい盆栽の何が人を惹き付けるのか?魅力を探ってきました。
盆栽の鑑賞方法なども調べて来ましたので、この記事を読むと盆栽の楽しさや見方が分かるようになる!かも!?
目次
大宮盆栽美術館と盆栽町散策で、盆栽の人気の秘密に迫る!

埼玉県さいたま市には盆栽園が集まる「盆栽村」というエリアがあります。
その正式な住所も盆栽町となっており、まさに盆栽の聖地といわれる場所なんですよ。
平成22年(2010年)にはその近隣エリアに「大宮盆栽美術館」も設立され、さらに聖地としての注目度が高まりました。
私はそんな盆栽の聖地に比較的近い地域に住んでいますが、今まで盆栽にも盆栽村にも興味がなく生きて来たんですね(苦笑)。
しかし最近盆栽は密かに人気で、外国人にも注目されているというじゃないですか!
一日本人としてもご近所さんとしても、一度は盆栽の聖地をのぞいておくのも良いかな、という感じで盆栽美術館と盆栽村周辺の散策に出かけてみました。
「大宮盆栽美術館」世界初の盆栽専門美術館
名盆栽120点以上を公開している市立美術館

「大宮盆栽美術館」は盆栽に特化した世界初の美術館として、2010年3月に開館した市立美術館です。
さいたま市の盆栽文化振興の中心となる施設となり、盆栽の聖地である地元からすると悲願の設立だったことでしょう。

美術館は、落ち着いた雰囲気の和風の建物です。
こちらでは日本を代表する名品盆栽が、120点以上も収集・公開されているとのこと。
ということは、この美術館でグッと感じるものが無ければ自分は盆栽とは縁がなかった、ということになりそうですね(苦笑)。

館内に入りチケットを購入します。
盆栽の鑑賞は、まず正面を見極めることから!

撮影OKなのはロビーまでで、残念ながらギャラリーと室内展示は撮影不可でした。
ギャラリーの手前には”プロローグ”と称して、盆栽の鑑賞方法の紹介がありました。そうそう、初心者にも優しくしてくなきゃイヤ(笑)。
ということで以下、紹介されていた盆栽の見方を共有させて頂きますね。
- 1.正面を見極める:盆栽には正面と裏がある。正面に向け首を垂れているなど、枝ぶりでわかるそうだ。う~む、なるほど。
- 2.下から見上げる:小さな木の中に凝縮された小宇宙を感じるには、中腰が基本フォーム。直立不動じゃダメなのね。
- 3.根張りを見る:根は土台部分で、あらゆる方向に根を伸ばす「八方根張り」が一つの理想。なるほどね。
- 4.幹(立ち上がり)を見る:立ち上がりは根元から第一の枝までの幹のこと。大木のような迫力を生み出す部分。おっ、ちょっと専門用語が出てきた!
- 5.枝ぶりを見る:輪郭を形作るのが幹から伸びる枝。大きな枝がバランスよく配置されて、見苦しい枝が無いのが大事。
- 6.葉を見る:木の種類により好まれる葉の形があるそう。これはケース・バイですね。
- 7.ジン・シャリを見る:歳月を経た松や真柏(しんぱく)は、幹や枝の一部が枯れて、そのままの形を残すことがある。幹の白い肌と葉が、美しいコントラストを生みだすそうだ。枝先のものを「ジン(神)」、幹の一部が枯れたものは「シャリ(舎利)」と呼ばれる。深い世界に入ってきました!
- 8.水石を見る:盆や水盤に自然石を配して、山水の情景や石の文様を鑑賞するもの。わびさびの演出ですね。
漫然と眺めるよりは、見どころが分かり参考になりました!

ギャラリーでは5席、座敷飾りには3席の盆栽を週替わりで紹介されていました。
座敷飾りでは実際に和室に飾った状態による、作品の見方が紹介されています。
盆栽単体で見るのとはまた違い、こちらは部屋との調和が求められますね。
「盆栽庭園」 盆栽60点を展示、樹齢1000年も!?

中庭は「盆栽庭園」になっており、約60点の盆栽が展示されています。お~、これはなかなか壮観ですね。
「庭園は写真撮影大丈夫ですよ」と、警備員の方が親切に声を掛けて下さいました。それは有難い。

庭園盆栽には素人が見ても「お!これは凄いのでは!?」と、忖度無しで驚くような作品が並んでいました。いくつか紹介してゆきますね。

こちらの野梅(やばい)は推定樹齢200年ですって。いきなり凄い年季が入った作品の登場です。

しかし、この「立ち上がり」の迫力は凄いですね!と、にわか学習の成果を発揮してみたり(笑)。

こちらは推定樹齢300年の真柏(しんぱく) 。
基本フォームの中腰で見ると、あたかも大木のように見えてくるのが不思議。
真柏は松ではなくヒノキ科の樹木とのこと。
白く白骨化する幹の芯とねじれていく特徴から、盆栽では人気の品種らしいです。

こちらの推定樹齢120年の山もみじ「紅陵(こうりょう)」なんかは、素人目で見ても形が良く、幹も枝も真っ白でシャリシャリ感が感じられて素晴らしいですね。秋の紅葉も映えそう。

これはまた不思議な感じですなあ。
五葉松(ごようまつ)による「青龍(せいりゅう)」という作品で、推定樹齢は350年!
縦にはしるシャリは龍の腹を思わせ、黒い肌は鱗を、葉はたてがみや空を切る風を思わせる、とあります。
確かに頭の部分もハッキリあり、龍の姿が浮かんで来ますなあ。
こんなのはどうやって作るんですかね?矯正するんだろうか?

推定樹齢50年の藤。
庭園の中で花が咲いていたものは、これくらいだったと思います。

五葉松「千代の松」は推定樹齢500年。こちらも芸術性とゴージャス感が伝わってくる一品ですね!
しかも樹齢500年なのにこんなに元気、って凄いですよね。鉢の中の神秘を感じ始めています(笑)。
ちなみに台座は回転可能で、日当たりの調整ができるように工夫されているとのこと。

そして出ました!推定樹齢1000年の蝦夷松(えぞまつ)「轟(とどろき)」。おお~、凄いなあ。
さすがに幹の部分はだいぶ空洞化しているらしいです。そして置かれている向きも、実はは裏側。
傷み対策のため、表面を直射日光に当てぬよう配置しているとのことだ。
手入れや運搬にも気を使うでしょうなあ。
日本の盆栽の起源は中国の盆景

ところで、そもそも盆栽の始まりっていつ?と思ったので、ちょっと調べてみました。
日本の盆栽の起源は、中国唐代の鉢に木や石を配して風景を表現する”盆景”にあるといわれます。
これが平安時代に遣唐使などを通じて伝わり、鎌倉時代には禅宗文化の広がりとともに、自然を縮景して味わう精神的な芸術として発展します。
やがて「盆栽」として日本独自の美意識が加わり、室町時代には茶の湯や枯山水と結びついて洗練されてゆきました。
江戸時代になると園芸文化の隆盛により庶民にも広がり、日本独自の文化となっていったようです。
「盆栽テラス」2階のベンチから庭園鑑賞

2階テラスからは、ベンチに座って休憩がてら庭を見渡すことができます。
しかし、生きている骨董品を扱っているような盆栽美術館は、一般の植物園とも違い管理が大変なんでしょうね。
ゲリラ豪雨なども多い昨今、天気予報から目が離せないものと想像がつきます。
「盆栽共同販売所」今日から盆栽開始も!

「見ているうちに、盆栽を始めたくなった。。。」
そんな急な欲求にも応えられるようにと、敷地内には販売所もあります。

小さいものは3,000円くらいから。
奥の方の枝っぷりが良い物になると、5~6万円位からのお買い物になるようです。
大宮盆栽美術館の基本情報・アクセス
大宮盆栽美術館
公式ページ
住所:埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3(GoogleMapで開く)
開館時間:(3月~10月)9:00~16:30 ※入館は16時まで、(11月~2月)9:00~16:00 ※入館は15:30まで
休館日:木曜日(祝日の場合は開館)、年末年始、臨時休館日あり
観覧料:一般 310円、高大生・65歳以上 150円、小中学生 100円
アクセス:
電車)
・JR宇都宮線「土呂駅」下車、東口より徒歩5分
・東武アーバンパークライン「大宮公園駅」下車、徒歩10分
車)
・首都高速埼玉新都心線「新都心西」出口より約6km
・東北自動車道「岩槻」出口より約9km
・駐車場:一般車39台(2時間まで無料)
「大宮盆栽村」盆栽の聖地を歩く
盆栽村の街並みは都市景観100選の一つ

大宮盆栽美術館から少し南に歩いた所にあるのが「大宮盆栽村」。
ここは住所にも”盆栽町”が付く、まさに盆栽の聖地として知られています。
閑静で綺麗な街並みが続くエリアで、かつては国交省指定の”都市景観100選”にも選ばれているんですよ。
東京・千駄木の植木職人たちの移住に始まる

さて、ではなぜ当地に盆栽村ができたのでしょう?
盆栽村発祥の起源
かつて東京の団子坂(文京区千駄木)周辺には、江戸期〜明治にかけて植木屋・花屋が集まった園芸地帯がありました。
その理由は大名・旗本の下屋敷や寺院が多く、庭園造りの需要が高かったこと。
そして台地と谷が混在する地形が水や土を得やすくし、植栽に向いた土地柄だったことによります。
しかし大正12年(1923年)の関東大震災で大きな被害を受け、盆栽職人は育成に適した土地を求めこの地に移住しました。
その後、共同自治体として大宮盆栽村が生まれたとのことです。
なるほど。元祖盆栽の聖地は東京にあったのですね。

当初は盆栽村に住むための、厳格な規約があったそうだ。それは。。。
(1)盆栽を10鉢以上持つこと (2)門戸を開放すること (3)二階建ては建てないこと (4)垣は生け垣とすること 以上、4点。
この厳しい規約が、現在の美観を生み出したわけですね。ちなみに現在は10鉢以上なくても住めるようですよ。
「盆栽園 清香園」家元は盆栽家・山田香さん

盆栽村の最盛期には約30軒もの盆栽園があったそうですが、それと比べるとその数は減り、現在の盆栽園の数は6軒です。
その一つである、江戸時代創業の「清香園」を見学させて頂きました。
残念ながら店内の撮影はNGでしたが、沢山の盆栽が置かれた庭園の様な造りで、眺めるだけでも楽しめます。
割と気軽に話しかけられる距離に、店員さんがいらっします。
「盆栽の松は、大きくならない特殊な種類なんですか?」「そんなことないです。器が小さいとそれに合わせて成長してゆくんです。不思議ですよねー」「へえー、そうなんですね。」「普通に植えられている木よりも樹齢が長かったりする盆栽って、凄いですよ。」
なんて感じで、若い女性の店員さんが気さくに説明してくれました。
盆栽って若い方にも魅力的に映っているんですね。
清香園の現在の5代目家元は盆栽家の山田香織さん。
以前はNHK「趣味の園芸」のキャスターも務めていらしたので、園芸好きにはお馴染みの方かと。
盆栽園「清香園」
公式ページ
住所:埼玉県さいたま市北区盆栽町268(GoogleMapで開く)
受付時間:9時~18時
アクセス)
電車:東武「大宮公園駅」より徒歩5分、JR「土呂駅」より徒歩12分
車:隣の盆栽四季の家に無料駐車スペース有
「盆栽四季の家」 無料の休憩室もあり

清香園の隣にある「盆栽四季の家」には無料の休憩室と、茶会・会合などに利用できる和室(有料)があります。盆栽の町の茶会なんて、風流ですね。
盆栽四季の家
住所:埼玉県さいたま市北区盆栽町267-1 (GoogleMapで開く)
開館・利用時間:休憩室:9時~17時まで、和室:9時~21時30分
休館・休業日:12月29日から翌年1月3日まで
アクセス)
電車:東武「大宮公園駅」から徒歩7分
車:駐車場11台(うち身体障害者用1台)
「漫画会館」北沢楽天氏の邸宅跡

盆栽町には「漫画会館」があります。
ここは日本で最初の職業漫画家として明治~昭和初期に活躍した、北沢楽天(きたざわらくてん)氏の晩年の邸宅跡。中は漫画に関する美術館となっています。

北沢楽天氏の仕事場などが再現・保存されているほか、漫画をテーマにした企画展示がおこなわれています。
入場無料なので、訪問時は立ち寄ってみると良いと思います。
さいたま市立漫画会館
さいたま市の案内ページ
住所:埼玉県さいたま市北区盆栽町150番地(GoogleMapで開く)
開館時間:9:00~16:30
休館日:月曜日(休日は開館し、翌平日が休館です)、年末年始(12月28日から1月4日)入館料:無料
アクセス:
電車)
・東武野田線(東武アーバンパークライン)「大宮公園駅}から徒歩5分
・JR宇都宮線「土呂駅」東口から徒歩15分
車)駐車場無し
大宮盆栽美術館周辺ランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
庭園デザイナーが東京の名庭園を解説。
庭園鑑賞の視野を広げてくれるとともに、新たな東京の魅力も発見できます。
盆栽の聖地に出かけてみませんか?
今回盆栽の聖地を歩いて、盆栽の世界の深さや面白さが少しだけわかった気がしました!
世界に通じるBONSAIの魅力をちょっぴり感じとった週末でした。
盆栽村は武蔵国一宮氷川神社や大宮公園も近いので、そぞろ歩くにも丁度良いエリアですよ。
盆栽の聖地を歩きにでかけてみませんか?
記事の訪問日:2021/4/24




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