ある時、工事現場で掘り起こされた千年以上昔の時代の蓮の種が息を吹き返し、花が咲きました。「古代蓮の里」はそんな太古のロマンを感じられる古代蓮を中心に、42種類・約12万株もの花蓮が楽しめる花蓮の名所です。
また、施設内の展望タワーからは、ギネスにも認定されている世界最大の「田んぼアート」も見学でき、季節の風物詩として人気を集めています。
目次
「古代蓮の里」古代蓮や世界の蓮、そして田んぼアートも楽しめる!
「古代蓮の里」現代に蘇った1400年以上昔の蓮
歴史好きにとっては、埼玉県行田市は色々と気になる史跡があるエリアです。
全国屈指の規模を誇る古墳群「さきたま古墳群」からは、国宝指定された鉄剣が出土されました。
また、難攻不落を誇り、映画「のぼうの城」にも描かれた忍城(おしじょう)址があります。
行田は昔より足袋のまちとして知られていますが、近年、老舗足袋メーカーがランニングシューズ開発に挑戦するドラマ、「陸王」の舞台となった街として脚光を浴びたのも記憶に新しいですよね。
そんな歴史感じる行田には、「古代蓮の里」という、これまた歴史ロマンを感じさせる名前のスポットがあるので出かけてみましたよ。
「古代蓮の里」へは7月上旬に訪問しましたが、ここはその名の通り古代の蓮の花が楽しめるスポットとなります。
古代蓮の発見は偶然から始まりました。
昭和48年(1973年)にこの地区で新しい焼却場の施設工事が始まった際、掘削した場所に水がたまって池となりました。
その水面で多くの丸い葉が浮いているのが発見され、やがてそこにピンクの蓮の花が咲き始めたんですね。
調査・研究により、蓮の実と周辺の出土品から蓮は1400年~3000年前のものと推定されました。
地中深く眠っていた太古の蓮の実が、水を得て陽射しを浴びて静かに目覚めたというわけです。
お~、これはまさに歴史ロマンを感じる事件ですね!
この古代蓮の里には、その古代蓮(行田蓮)のほか世界ヶ国の花蓮も植えられており、全部で約12万株の蓮が植えられています。
※以下、 ”古代蓮(行田蓮)” を”行田蓮”と略します。
花蓮を楽しむには早起きが必須!
展望台がある大きな行田タワー右手に見ながら進むと、古代蓮の池が現れます。
あっ、結構広い蓮池なんですね。見学者も結構いらっしゃるわ。
古代蓮の池は東側ブロックの3,200m2、西側ブロックの1,800m2の2ヶ所に分かれており、計5,000m2の広さを持っています。
このような広大な範囲に多くの古代の蓮の実が一斉に自然発芽することは、全国的にみても極めて珍しいそうですよ。
蓮池の中には遊歩道が設けられており、池の内側からも鑑賞ができるようになっています。
近くで見れるのでこれは良いですね。
蓮の花の特性は少し変わっていて、花は朝7時~9時くらいに満開になり、その後は閉じてしまうんですね。
この”開花して閉じる”を繰り返して、4日目に散ってしまいます。
なんとも不思議なリズムを持った花ですよね。
午前をだいぶ回った時間の訪問だったので、開き気味の花がちょっと多かった気がします。
蓮の花の鑑賞は早起き必須!ということを学んだ本日でした(苦笑)。
蓮花は中心部にできる花托(かたく)と呼ばれる部分が特徴的で、花が散った後に固くなり種になります
一説によると、その形が蜂の巣に似ていることから「はち巣」→「はす」と呼ばれるようになった、ともいわれています。
閉じた蕾の状態でも、桃色に染まった色合いが愛らしいです。
蓮は大きな葉っぱも特徴的ですよね。
葉の中心に水滴がきれいに溜まっている様子から、撥水性があるのがわかります。
蓮は泥のある沼に生息しますが、この撥水効果のおかげて”泥に染まらず綺麗な姿”を保っていられるんですね。
なるほど。蓮はお釈迦様の傍らに良く描かれていますが、これは俗世に染まらずに清らかな存在であり続けるという、お釈迦様を象徴する植物だったわけですね。
蛇足ですが、アニメ映画「となりのトトロ」で、トトロが大きな葉を傘代わりに頭に載せているシーンがありましたが、アレも蓮の葉?と思って調べたところ、あれは里芋の葉のようでした。
すみません、脱線しました。
こうやって見ると、古代蓮の茎は非常に背が高いです。1m以上ありますね。
蓮同様、水辺に咲く花にスイレンがあります。恥ずかしながらかなり混同していますが。。。
分かり易いスイレンの特徴は、蓮と違い水面に浮かぶように花が咲くこと。そして、スイレンには花托はなく、葉の撥水性もないそうだ。
本日は蓮とスイレンの違いを覚えて帰れそうです。
ここで見学における注意事項を一点。
古代蓮池には日影が無いので、季節柄、日射病等の対策には十分気を付けて下さい。
「水生植物園」甲斐姫は行田蓮と米国蓮を交配した新種
古代蓮池の奥は「水生植物園」と呼ばれるエリアで、こちらには”甲斐姫”という品種が植えられています。
甲斐姫は、行田蓮と米国産・アメリカ黄蓮の2種類を掛け合わせた新品種。行田蓮とはまた違った淡い色で、ふわっとした雰囲気を持っています。
水中に目を移すと、結構色々な生き物が見えてきます。
写真に写っているのは大きなオタマジャクシですが、そのうち一帯はゲコゲコとカエルの声が鳴り響くようになるのかな?
ザリガニを山ほど捕まえている人も見かけました。豊かな自然が残っていることが感じられるエリです。
「世界の蓮園」 世界の蓮が42種類も!
駐車場に隣接した入口エリアには「世界の蓮」の池があり、その名の通り世界各国の様々な種類の蓮を見ることができます。
八重の花蓮もあるんですね、これは珍しいかも!
古代蓮池側の方は行田蓮ほぼ一種類でしたが、こちらでは42種類もの花蓮が楽しめます。
「古代蓮会館の」展示室で蓮の魅力を知る
行田タワーが併設されている「古代蓮会館」への入場は有料ですが、シーズンには展望台から田んぼアートが楽しめるので是非入場したいスポットです。
会館内の一角にある展示室は展望台のオマケかな?くらいでのぞいてみましたが、いやいやどうして、意外と充実した展示施設でしたよ。
お陰で蓮のミステリアスな部分について、色々と紐解くことができました。
これはレプリカですが、色々な品種の花蓮を並べると、こ~んな綺麗なグラデーションが作れるそうですよ!
こちらは行田蓮のレンコンと呼ばれる地下茎の様子を再現したもの。我々が食べているレンコンは、あれは食用の品種のものなんですって。
「ギネス認定!世界最大の田んぼアート」行田タワーからの絶景
古代蓮の里の東側に広がる田んぼでは、毎年「田んぼアート」が開催されています。地上50mの高さを有する行田タワーからは、この田んぼアートを楽しむことができます。
水田をキャンバスに見立てて、種類の異なる複数の稲を使って絵や文字が表現されています。いやあ良くできていますね~、これは見事!見頃は7月中旬~10月中旬頃まで。
令和3年度のデザインテーマは「田んぼに甦るジャポニスム~浮世絵と歌舞伎~」。田植えは公募のボランティアなど、総勢377名でおこなわれたとのことですよ。
約2.8ヘクタールの大きさを誇るこの田んぼアートは、”世界最大の田んぼアート”として2015年にギネス認定もされています。
米の産地である行田市の、初夏から秋にかけての風物詩として定着しています。
この辺りは周囲にビルなどの障害物がないため、展望台からの眺望は遠くの山並みまで望めます。
ちなみに展望台へのエレベーターは11人乗りと少々小さめなので、時期や時間帯によっては待ち時間が発生するので注意です。
追記:2025年度 田んぼアート(鬼滅の刃)
記事の内容は2021年の訪問記ですが、その後の2025年7月に再度田んぼアートを見る機会がありましたので、写真のご紹介です。
本年は映画公開がされた「鬼滅の刃」の主人公、竈門炭治郎が描かれています。とても迫力があるもので素敵でしたよ!
やはり子供達を中心に多くの見学者が訪れており、タワーへの入場には約100分程度の待ち時間が発生しました。
「地球の歩き方」の国内ガイドに「埼玉」登場!
約500ページあり情報量が凄い!これで隠れた面白スポットを探すぞ~。
古代蓮の里の詳細情報・アクセス
古代蓮の里
公式ページ
住所:埼玉県行田市大字小針2375番地1(GoogleMapで開く)
公園への入場料:無料
古代蓮会館入場料:一般大人(高校生以上):400円、小人(小・中学生):200円、未就園児:無料
※展示室・展望室・休憩所が利用できます。
アクセス:
電車)
・JR高崎線「行田駅」東口から行田市市内循環バス、観光拠点循環コースで古代蓮の里で下車、又は、南大通り線コース工業団地行きで「長野工業団地」下車、徒歩約23分(約1.8km)
・JR高崎線「吹上駅」北口からタクシー(約8km)
・秩父鉄道「行田市駅」南口から行田市市内循環バス、東循環コース右回りで「古代蓮の里」下車、又はタクシー(約5km)
車)
・東北自動車道「羽生IC」から約25分(約12km)、「加須・栗橋IC」から約30分(約14km)
・関越自動車道「東松山IC」から約40分(約18km)、「花園IC」から約60分(約32km)
・圏央道「白岡菖蒲IC」から約35分(約18km)
・駐車場有り:計498台、駐車場は6月中旬~8月上旬まで有料:1台あたり500円/1日(それ以外の期間は無料)。
行田市ランチは、事前予約やクーポン利用で快適でお得に!
\ 行田市は埼玉有数の米どころですよ! /
古代蓮を見に出かけませんか?
1400年以上の昔の花蓮ということで、古代の歴史ロマンを感じることができました。また、蓮の花について知ることができた、良い機会にもなりましたね。
蓮の花って仏壇に飾られるような和のイメージの花でしたが、世界各国に様々な種類があり、また少し変わった特性ととともに、非常に奥の深い花だと感じました。
行田の古代蓮の里に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2021/7/10(2025/7/31一部追記)

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