【最新記事:2023.2.6】「水戸城跡」の巨大空堀は凄いぞ!大手門・櫓が復元され見どころ多い【茨城・水戸市】

特別史跡「埼玉古墳群」を徹底紹介!稲荷山古墳の国宝鉄剣は必見【埼玉・行田市】

特別史跡「埼玉古墳群」を徹底紹介!稲荷山古墳の国宝鉄剣は必見【埼玉・行田市】

埼玉県行田市にあり、特別史跡にも指定されている「埼玉古墳群」を紹介します。

大小含む9基もある古墳を徒歩で巡れるのは大変貴重。博物館も併設されており、稲荷山古墳から出土され世紀の大発見といわれた国宝指定の鉄剣の見学もできます。

そんな古墳公園を実際に歩き、大型古墳を中心にすべての古墳と見どころを紹介します。

『さきたま古墳公園と古墳の特徴』

さきたま古墳公園について

埼玉県行田市 埼玉古墳群
公園内の埼玉県名発祥之碑

埼玉県行田市埼玉(さきたま)は県名発祥の地とされており、埼玉(さきたま)古墳群は発祥の地の象徴的な存在でもあります。

古墳群は「さきたま古墳公園」として整備されており、市民の憩いの場になっています。春は丸墓山古墳を中心に、桜の花見スポットとしても賑わうんですよ。

秋のとある天気が良い週末に埼玉古墳群を訪問。全体約37万m2、東京ドーム約8個分相当の広さの古墳公園を歩き周ってきました!

主要な古墳を中心に、古代のロマンあふれる埼玉古墳群の見どころを紹介をします!

埼玉古墳群の特徴

埼玉県行田市 埼玉古墳群

最初に埼玉古墳群の特徴を紹介。

5世紀後半~7世紀中頃にかけ、150年以上にわたり大型古墳が連続して築造された古墳群。東西500m、南北800mの狭い範囲内に密集して築造されているのが特徴です。

公園として整備されている範囲内には前方後円墳8基、大型円墳1基の計9基が残されています。

さらに前方後円墳においては、統一された規格が見られるのが特徴。
(1)主軸方位が概ねそろう (2)長方形の二重周堀をもつ (3)西側に造出しという施設をもつ

特定の集団によって古墳群が形成されたことが伺えますね。

『埼玉県立さきたま史跡の博物館』

埼玉県行田市 埼玉県立さきたま史跡の博物館

見学時の理解を深めるため、先に公園内にある「さきたま史跡の博物館」に立ち寄ります。

2020年3月、埼玉古墳群は史跡のうちでも学術上の価値が特に高いとされる「特別史跡」に指定されました。これは埼玉県内初となります。

そんなことで、博物館ロビーには「祝 特別史跡指定」の横断幕がどど~ん!と掛かってましたよ。

「金錯銘鉄剣」 国宝展示室必見!

館内には「企画展・特別展」と「国宝展示室」があります。まず国宝展示室は必見!ということで、そちらへ。

「国宝展示室」では、昭和53年(1978年)に国宝に指定された「稲荷山古墳」の出土品を中心に展示がされています。

埼玉県行田市 埼玉県立さきたま史跡の博物館

稲荷山古墳から発見されたのは「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)」と呼ばれる鉄剣。これは100年に一度の大発見!ともいわれ話題になりました。

展示室中央にどどん!とその金錯銘鉄剣の現物展示。おおー、これがね!現物初見で感動だ。

これは二重の特殊なガラスケースで、内部ケースには窒素ガスを充填。それで酸素と接触させないことにより酸化を防いでいるそうだ。へえ~、そんな技があるんですな。

埼玉県行田市 埼玉県立さきたま史跡の博物館

鉄剣は全長約74cmで、剣身両面の彫刻に金を埋め込んだ銘文が合計115字発見されました

これは古墳時代の刀剣に記された銘文としては最も長文のもの。内容も日本の国の成り立ちに関係する重要なものでした。

約1500年前の鉄剣ですが、銘文は目視でも確認できる程鮮明に復原されていますよ!

銘文の意味は次の様なもの。

「(わたくし)ヲワケの先祖は、代々杖刀人首(じょうとうじんしゅ)を務めてきた。わたくしはワカタケル大王(雄略天皇)に仕え、天下を納めるのを補佐した。そこで、辛亥年の年(西暦471年)7月に、この素晴らしい刀剣にこれまでの輝かしい功績をきざんで記念とする」。

第21代天皇・雄略(ゆうりゃく)天皇はヤマト王権の王と考えられており、その存在が確認できる内容。

杖刀人首は親衛隊長の役柄のこと。

5世紀後半にヤマト王権と、他地域勢力であるこの地の関係性が読み取れる貴重な資料となります。

「さきたま史跡の博物館」基本情報

埼玉県立さきたま史跡の博物館公式ページ
住所:埼玉県行田市埼玉4834(GoogleMapで開く
開館時間:9:00~16:30(入館受付は16:00まで) *7月1日~8月31日は9:00~17:00(入館受付は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日、振替休日、埼玉県民の日(11月14日)除く)、12月29日~1月3日 *その他臨時休業あり
入場料:大人 200円、高校生・学生 100円

『大型古墳を巡る』 稲荷山古墳・丸墓山古墳ほか

埼玉県行田市 埼玉古墳群

では古墳を巡って行きます。公園内は広々とした緑地公園の趣です。

園内は良く整備されていて歩きやすいです。ハイキング気分で周って、ベンチでお弁当を広げるも良しという感じです。

行かれたら是非全部の古墳巡りにチャレンジ頂きたいですが、絞るなら鉄剣が出土された稲荷山古墳を中心に大型古墳を巡るのが良いでしょう。

古墳巡りはざっと全部見ると約3.5kmの距離で、所要時間は90分程度の散策コースになります。

埼玉県行田市 埼玉古墳群

「二子山古墳」 埋葬設備は未調査

埼玉県行田市 埼玉古墳群 二子山古墳

まずは公園内中央に位置する「二子山古墳」から。こちらは6世紀前半に造られた前方後円墳で、全長132.2m。

この古墳の埋葬設備は未調査。レーダー探査によると、横穴式石室がある可能があるそうだ。発掘調査が進むといいなあ。。。

周辺からは須恵器(すえき)・土師器(はじき)が大量に、また各種円筒埴輪が出土されています。

埼玉県行田市  埼玉古墳群 二子山古墳

ちなみにこの古墳、以前見た時は水堀に囲まれていた記憶があったが、はて。

確認したところ、調査で元々滞水してなかったことが分かり、平成24年(2012年)から3ヵ年掛けて埋め立てたそうだ。浸食による崩落防止が実施の主な目的だったようです。

墳丘の維持管理も大変そうですからね。

「将軍山古墳」 内堀・外堀の二重の堀

埼玉県行田市  埼玉古墳群 将軍山古墳

「将軍山古墳」は6世紀後半に造られた前方後円墳で、全長は90mです。

埼玉県行田市  埼玉古墳群 将軍山古墳

墳丘や周囲の堀が復原され墳丘には埴輪のレプリカを並べるなど、造られた当時に近い形で整備されています。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 将軍山古墳

写真の左側の墳丘が後円部、右奥の墳丘が前方部です。二つの墳丘とは別に写真右側に平べったく盛土された部分がありますね?

これは「造出し(つくりだし)」と呼ばれる部分です。

造出しは公園内のすべての前方後円墳にみられ、埋葬儀礼の場と考えられています。設置場所もすべて西側で、後円部もしくはくびれ部分にあります。

周囲の方形の内堀・外堀の二重の周堀(しゅうほり)も共通の特徴です。(中堤は堀の間の堤)

「将軍山古墳展示館」 横穴式石室の復原

埼玉県行田市 埼玉古墳群 将軍山古墳
将軍山古墳展示館

将軍山古墳の墳丘内設置されている「将軍山展示館」は是非立ち寄りたいスポット。こちらは、さきたま史跡の博物館の入場券で入場できます。

将軍山古墳の横穴式石室は、明治27年(1894年)に地元住民により発掘が行われ大量の副葬品が出土されました。

一方、その際石室の石材が抜き取られた為、その後古墳は荒廃。保存も危ぶまれる状態になったそう。

平成に入り復原を前提とした発掘調査・保存整備が実施され、それが現在の保存状態に繋がっています。
埼玉県行田市 埼玉古墳群 将軍山古墳

1階は展示館、2階は横穴式石室の復原があります。

入場して正面、墳丘断面をはぎ取ったパネル。黒色の土と茶色い粘土を交互につき固めながら盛土しているのがわかります。

手前は石室に使われていた石で、千葉県産だそうです。わざわざ運ばれてきたんですね。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 将軍山古墳

出土した馬具の複製品を付けた馬の模型。古墳時代にこんなきらびやかで、ちゃんとした馬具があったのが驚き。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 将軍山古墳

2階には実物大で横穴式石室と埋葬時の様子が復原されています。

石室は床面しか残っていなかったが、元々は天井・壁がある部屋の造りだったそうだ。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 将軍山古墳

あー、なんかこういうのを見ると、「古墳って墓なんだよな。。。」ってちょっと生々しい感覚が湧いてくる。

いにしえの故人に合掌しておこう。

「稲荷山古墳」 古墳群最古の古墳

埼玉県行田市 埼玉古墳群 稲荷山古墳

こちらが国宝の鉄剣が出土された前方後円墳「稲荷山古墳」です。全長は120m。

5世紀後半に造られた埼玉古墳群で最も古い古墳で、最も北に位置する古墳です。この古墳からすべてが始まったのかもしれませんね。

左側が後円部、右側が前方部。国宝の鉄剣は、後円墳側の竪穴式埋葬施設から発掘されています。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 稲荷山古墳

南側からの全景。

左の前方部から右の後円部に流れるラインには、結構な高低差があることがわかります。

ところで前方部は実は。。。昭和初期に埋め立て用の土として利用されてしまい、オリジナルは消失しています(残念!)。現在の前方部は、調査に基づき復原されたものです。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 稲荷山古墳

前方側にある登墳用の階段。登墳できるのはここと丸墓山古墳の2基。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 稲荷山古墳

前方部頂上から後円部を望む。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 稲荷山古墳

後円部の頂上。

こちらが金錯銘鉄剣が発見された「礫槨(れきかく)」と呼ばれる埋葬施設。棺の下方や側方に礫を詰めているのが特徴。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 稲荷山古墳

発掘時イメージのパネル(?)が設置されています。

ここ、昔は礫槨の実物が見れましたが、現在はこの下に埋まる形で保存されているそうです。

無防備に上向きに開かれている竪穴式埋葬施設は、自然の影響を受けやすいそうだ。保存優先でこの様な対策がされました。

見学の観点からすると正直なところ魅力半減で、ガラス張りで劣化防止するとか、なんとか実物を見せる方法はないものなんだろうか。。。

「丸墓山古墳」 日本最大級の円墳

埼玉県行田市 埼玉古墳群 丸墓山古墳

「丸墓山古墳」は前方後円墳の多い埼玉古墳群の中で、唯一の大型円墳です。

全長105m、高さ17.2mで日本最大級の円墳。出土品から6世紀初頭に造られたものとされます。

以前は日本最大の円墳!と紹介できたんですが。。。、奈良市の富雄丸山古墳を2017年に測量したところ直径110mと判明。丸墓山を5m上回る国内最大の円墳となっています。

う~む、県民としてはちょっと残念。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 丸墓山古墳

丸墓山古墳は墳丘の上まで登ることができます。傾斜は結構急だ。

この古墳では古墳群内で唯一、古墳の斜面を安定させる為の葺石(ふきいし)が表面に貼られていた形跡が見られます。

他の古墳とは色々異質な点が多い丸墓山古墳ですが、調査範囲がまだ限定的なため詳細は良く分かっていないそうだ。

現在の埼玉古墳群の中では、最もミステリアスな存在だと思います。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 丸墓山古墳

墳丘の頂上。

桜が植えられており、春に頂上部を取り囲むように開花する様子はなかなか見事ですよ!

埼玉県行田市 埼玉古墳群 丸墓山古墳

丸墓山頂上から東側を望む。左側が稲荷山古墳、右奥が将軍山古墳。

ここは埼玉古墳群で一番高い位置だから、見晴らしが良いねえ~。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 丸墓山古墳

そして、お城ファンには良く知られますが、戦国時代に石田三成が忍城を水攻めにした際、本陣を張ったのがここ丸墓山古墳の頂上でした。

遠くを見渡すと。。。見えますね!現在の忍城址公園にある模擬三階櫓が。忍城を見張るのには絶好な場所だったことが頷けます。

埼玉県行田市 埼玉古墳群 丸墓山古墳

こちらは丸墓山古墳の地上正面の歩道。

周囲よりも若干盛り上がって高さがありますね?この堤は石田三成が忍城水攻めの際、水をせき止める為に造った「石田堤」と呼ばれる堤の遺構の一部なんですよ。

今では堤の袖に植えられた桜が、春の訪問者達を楽しませてくれます。

『小型古墳をワンポイント紹介』

公園の南側には比較的小規模な古墳が集中しています。静かな散策路の趣で、こちらも歩くには良い感じですよ!

それぞれの古墳をワンポイトずつだけ紹介させて下さい。

「愛宕山古墳」

埼玉県行田市 埼玉古墳群 愛宕山古墳

「愛宕山古墳」は6世紀後半に造られた前方後円墳で、全長54.7m。

駐車場のすぐ横にあり、車で訪問すると一番近くにある古墳。注意しないと案外見逃すかも!?

「瓦塚古墳」

埼玉県行田市 埼玉古墳群 瓦塚古墳

「瓦塚古墳」は6世紀前半に造られた前方後円墳で、全長73.4m。後述の「はにわの館」の裏手にあります。

造出しと呼ばれる部分や二重周堀などの復原状況が、分かりやすく表示されてます。古墳周囲の構造を知るには良い古墳。

「奥の山古墳」

埼玉県行田市 埼玉古墳群 奥の山古墳

「奥の山古墳」は6世紀中頃に造られた前方後円墳で、全長66.4m。

隣の鉄砲山古墳と隣接した位置関係にあります。

「鉄砲山古墳」

埼玉県行田市 埼玉古墳群 鉄砲山古墳

「鉄砲山古墳」は6世紀後半に造られた前方後円墳で、全長107.6m。

江戸時代、地元忍藩の砲術訓練場として改変・使用された形跡のある古墳で、鉄砲玉が数多く出土されています。

複数の時代にまたがる遺跡として、興味深いです。

「中の山古墳」

埼玉県行田市 埼玉古墳群 中の山古墳

「中の山古墳」は6世紀中頃に造られた前方後円墳で、全長66.4m。

古墳時代終末期のもので、埼玉古墳群の古墳の中では一番最後に造られた古墳。そして。。。場所的にも南側端の一番地味な位置なか。

『はにわの館や芝生の公園』

古墳以外の見どころもありますよ。

埼玉県行田市 埼玉古墳群
はにわの館

「はにわの館」は、はにわ作りの体験ができる施設。駐車場から道路隔てた南側にあります。

子供の自由研究なんかに良さそうな素材ですが、童心に帰って大人でも楽しめそうだ。事前に予約した方が無難の様です。

行田市はにわの館公式ページ
住所:埼玉県行田市埼玉5239-2(GoogleMapで開く
開館時間:9:00~16:30(はにわ作り受付は9:00~14:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、その翌日が休館)、祝日の翌日(土日に当たる場合は開館)、年末年始(12月27日~1月5日)
料金:はにわ作りには粘土代が発生します。
埼玉県行田市 埼玉古墳群
さきたま広場

駐車場西側にある芝生の公園「さきたま広場」。持ってきたお弁当を広げるには良さそうですね!

さきたま古墳公園へのアクセス

さきたま古墳公園
住所:埼玉県行田市埼玉(GoogleMapで開く
アクセス:
電車)
・JR高崎線「北鴻巣駅」からさきたま緑道で徒歩4.5km(約60分)
・JR「吹上駅」から朝日バス佐間経由行田車庫行「産業道路」下車、徒歩15分
・JR「行田駅」又は秩父鉄道「行田市駅」から市内循環バス「さきたま古墳公園前」下車、徒歩2分
車)
・東北自動車道「羽生IC」から北西へ約12km

まりこふんの古墳ブック [ まりこふん ]

価格:1,650円
(2021/9/23 22:10時点)
感想(2件)

TV番組「マツコの知らない世界」にも出演された、まりこふんさんの古墳紹介本。本格的な内容ですが、女性ならではの視点で初心者でも読みやすい内容。

でかけてみませんか?

埼玉県行田市 埼玉古墳群 稲荷山古墳

埼玉古墳群はいかがでしたか?

場内には「めざせ世界遺産!」の看板がありました。埼玉古墳群の世界遺産登録を目指す埼玉県と行田市は、暫定一覧表への追加に対する提案書を平成19年(2007年)に文化庁へ提出しています。

結果、”古墳群としての価値は高い”と認められながらも、”主題の再整理、構成資産の組み換え、更なる比較研究等を要するもの”と課題を要する分類とされ、残念ながら一覧への記載は叶いませんでした。

一方、埼玉古墳群の発掘調査に関してですが、埋葬施設が発掘調査されているのは稲荷山古墳と将軍山古墳の2基だけなんですよね、実は。

世界遺産の話はともかく、埼玉古墳群にはまだまだ未知なる歴史のロマンが眠っています。これからも新しい発見が見つかる可能性や研究が進む可能性を秘めており、その点は大いに楽しみ!

古代のロマンを感じに埼玉古墳群を歩いてみませんか?


サステナブルにお得な買い物ができるって、いいんじゃない。

【記事の訪問日:2021/10/24】

近隣のスポットもチェック! 【あわせて読みたい】

埼玉県行田市「歴史散策スポット 総ガイド」

埼玉県行田市「八幡山古墳」

埼玉県行田市「足袋蔵めぐり」

埼玉県行田市「忍城跡」

埼玉県行田市「石田堤」

埼玉県行田市「行田八幡神社」

埼玉県行田市「前玉神社」

Pocket