
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」。その中でも比較的初心者でも歩きやすく見どころも多い、和歌山県にある熊野那智大社までの熊野古道を歩きます。
江戸時代に整備された雰囲気ある石畳の道を歩きながら、いにしえの巡礼者に思いを馳せる散策。そして、熊野那智大社は落差日本一の那智滝を御神体として持つなど、自然の神々しさを感じられるスポットでもあります。
『熊野古道 中辺路を歩く!』 熊野那智大社、那智の滝へ
「世界遺産・紀伊山地の霊場について」

紀伊山地は太古の昔から自然信仰が行われてきた地域です。そして仏教伝来後は、真言密教をはじめとする山岳修行の場となりました。
その中で「吉野・大峰」「熊野三山」「高野山」と呼ばれる三つの霊場と、それらを結ぶ「参詣道」が形成されます。
それらの総称が「熊野古道」と呼ばれます。
文化遺産でありながら、滝や原始林や川や海岸、岩、温泉など、自然景観を資産として多く含む点がこの世界遺産の特徴のひとつです。
今回は紀伊山地の霊場のうち、和歌山県に位置する熊野三山を訪問しました。
「熊野参詣道中辺路を歩く」 紀伊勝浦駅から

熊野三山は「熊野本宮大社」「熊野速玉大社」「熊野那智大社」のこと。それぞれは20~40km離れていますが、「熊野参詣道中辺路(なかへち)」という参詣道でつながっています。
本日はそのうちの「熊野那智大社」へ向かうルートを中心に歩いて行きます。
電車での訪問。最寄りのJR紀伊勝浦駅の駅から、一時間に一本運行の路線バス(時間によっては2本)で熊野古道の入口「大門坂」まで移動します。
訪問日は晴天、夏の暑い日の訪問でしたよ~。
「中辺路、大門坂を歩く」

バスに揺られて約20分程度で、「大門坂」入口にある大きな駐車場に到着。マイカーでのアクセスの場合も、この駐車場を起点に歩くのが良さそうですね。
周囲は山深いエリアの入口って感じの場所ですね。

駐車場近くの県道の脇に、中辺路の入口があります。
おっ、入口に立派な大門坂のデカい石碑と、世界遺産の石碑が建ってます。
世界遺産を歩くぞ!と、気分が高揚しますね。

進んで行くと石の階段の上に、石の鳥居が見えてきます。

鳥居の先に「振ヶ瀬橋(ふりがせばし)」が現れます。
振ヶ瀬橋の橋名は、俗界と聖域とを振り分けるという意味で付けられたそうですよ。橋を渡り聖域に入って行きます。
橋の下には振ヶ瀬川が流れていますが、水量は少ないですね。

石畳と石段の参詣道が現れると、空気感が変わりますね。両側に杉の巨木の並木が続き、厳かな雰囲気を感じさせます。
かつては坂の入り口にその名の通り大門があり、通行税を徴収していた時代があったそうです。

苔むす石畳が続く道を歩いて行きます。古道の名に相応しい雰囲気のある道です。
石畳は江戸時代に整備されたといわれます。江戸時代の参拝者と同じように石畳の上を歩んでる、と考えると感慨深いですなあ。(石畳は江戸時代以前から存在していたともいわれます。)

かつてはこの大門坂の途中に、王子社と呼ばれる神社が鎮座していたそう。
現在は熊野那智大社の境内に移され、跡地だけが残ります。

途中で振り返ると、結構山深い所を歩いているのを確認できる。
運動不足の体にほど良い疲労感を感じてきた頃、熊野那智大社の参道入口が見えてきました。
住所:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町(GoogleMapで開く)
「熊野那智大社」 那智滝発見が起源

それで。。。熊野神社の手前には467段の階段が待っていました。
ここ階段はちょっとキツイのですが。。。あれ?年配の方でも慣れた調子で登ってますね。負けられん。
これを登ると眺望が望めますので、頑張りましょう!

「熊野那智大社」に到着。出発から歩いた距離約1.3km、時間は約40分程度かな。

那智大社の起源です。
その山を目指したところ那智御瀧(那智滝)を探りあて、その御瀧を御神体としてお祀りされた。というのが那智大社の起源といわれます。
317年に仁徳天皇があらためて社殿を設け、神様をお遷ししたのが「熊野那智大社」の始まりとされます。
古い時代の起源ですね~。

この辺りは年間の雨量も多い地帯で、周囲は鬱蒼とした原始林がしげる山深い自然の中です。
「青岸渡寺・三重塔」 西国三十三所の一番札所

「那智山青岸渡寺」は西国三十三所観音霊場の第一番札所です。熊野那智大社とともに、熊野信仰の中心地となります。
奈良時代の養老2年(718年)、奈良の大和長谷寺を開山した徳道上人(とくどうしょうにん)によって、西国三十三所の礎が築かれました。
その後、その270年後の平安時代の永延2年(988年)に花山法皇によって再興されたのが、その後の普及につながっています。

建物の色でわかりやすいですが、青岸渡寺と熊野那智大社ってこんなにガブリ寄った位置にあるんですよ!
現在的な感覚からすると不思議な感じもしますが、明治時代の神仏分離の前は神仏習合の形態で一体として発展してきた寺院なんですね。

那智山青岸渡寺には三重塔があり、背景の那智の滝とのセットでとにかく絵になります。
元々の三重塔は平安時代に建てられましたが、戦国時代の戦火で焼失。現在の塔は昭和47年(1972年)に再建されたものです。
内部の見学もできますよ。
「飛瀧神社の御神体・那智滝」 落差日本一!

世界遺産の一部でもあり、国指定名勝にもなっている那智滝を近くで観るべく、別宮の「飛瀧(ひろう)神社」に移動しました。
熊野那智大社御本殿から、もう少し上がった場所にあります。鳥居をくぐり、森にの中に進んで行きます。

おっ、物凄くでっかい滝が見えてきました!
「飛瀧神社」は那智山信仰の源で、那智滝そのものが御神体です。熊野の神様は元々ここ、飛瀧神社にお祀りされていました。
この付近一帯は吉野熊野国立公園特別地域で、付近の山は那智原始林として国の天然記念物になっています。

お滝拝所舞台に入るには拝観料が掛かりますが、迫力の瀑水を近くで観れますので入場をオススメしたい。
場内では延命長寿の水と伝えられている、滝つぼの水を飲むことが出来ます。頂いてゆきましょう!
本日の熊野古道歩きはここまでです。この近くの停留所から再び路線バスを使って下山しました。
大人 300円、小中学生 200円、未就学児 無料
お滝を一番近く真正面で拝観できる観覧舞台。(入場しなくても滝は観れます。)
『勝浦漁港』 生鮮マグロの水揚げ日本一
「にぎわい市場」 遅めのランチ!

紀伊半島南端の那智勝浦は、古くから「マグロの町勝浦」として名を馳せてきました。現在でも勝浦漁港は生鮮マグロの水揚げ量は日本一です。
という事で、山から下りて勝浦漁港へ。山も海も有ってこの辺は素敵な場所だな。勝浦漁港の「にぎわい市場」に立ち寄り。

こんな天気の良い日には、港の市場のベンチの一角で頂く旨い魚とビールが似合いますね。
夏の日のオアシス。。。
![]() | 価格:1,760円 |

「お勧めのお土産!鯨ハム」

~お土産!:鯨ハム~
那智山バス停の近くにあったお土産屋さんで、珍しいし、1個500円くらいとリーズナブルだったので購入。
あんまり期待していなかった割には(失敬!)、癖も少なく酒のつまみにはちょっとイケる。
塩分は少し高め。辛子マヨネーズを付けて食べるのがおすすめです。
紀伊勝浦からもほど近い 太地(たいじ)町は捕鯨発祥の地と言われており、現在も鯨料理を提供する店が多い。
鯨の博物館もある様ですよ。
熊野古道を歩きませんか?
熊野古道はいかがでしたか?
いにしえの旅人達に思いを馳せながら石畳の道を歩いていると、しばし日常を忘れてしまいますね。
熊野古道の中でも熊野那智大社へ向かう中辺路は、見どころ多く結構オススメのコースだと思います。
それと那智勝浦は山だけでなく海もあるので、海の幸も楽しみたいですね。
熊野古道を歩きに出かけませんか?

サステナブルにお得な買い物ができるって、いいんじゃない。
【記事の訪問日:2019/8/3】