東京都文京区にある「根津神社」は、1900年以上前の創建といわれる歴史ある神社。
境内には徳川将軍・綱吉の命による、江戸時代の社殿が残っており貴重です。
そんな根津神社にはつつじ苑があり、春の開花シーズンになると3千株のつつじが咲き誇ります。
人気の千本鳥居とあいまって創りだす景観は、非常に見ごたえがありますよ!
根津神社のつつじまつりの様子と、境内の見どころについて紹介します。
目次
つつじまつりで華やぐ根津神社を参拝
下町風情を感じる谷根千エリアにある、歴史の長い根津神社には一度参拝したいと思っていました。
せっかくなら名所でもあるつつじの花の時期に!ということで、4月中旬の「つつじまつり」開催中に出かけてみました。
本日は天気もまずまずで、参拝者も多く活気を感じる境内でした。
江戸時代の楼門をくぐり境内へ
境内を進むと神橋があり、その先に楼門のお目見えです。
来場者のカメラは、圧倒的に左手のつつじ苑に向いてますね(笑)。
「楼門」は朱色の漆塗りで、華やかさと落ち着いた雰囲気を持っています。
宝永3年(1706年)築の江戸時代の現存建造物で、国指定重要文化財です。
根津神社の起源は今から1900年程前、日本武尊(やまとたけるのみこと)による創建と伝わります。
室町時代には太田道灌が社殿を奉建するなど、武将からの崇敬を厚く受けました。
楼門の1階左右には、守護神像を安置。
こちら右側の像は、水戸黄門こと水戸光圀公がモデルだといわれているんですよ。
徳川家宣の生誕地に、綱吉が社殿造営
楼門を抜けて進むと、社殿エリアの透塀(すきべい)と唐門が現れます。
実は根津神社は先ほどの楼門のみならず、唐門や透塀や西側の門、さらには社殿一式まで、全て江戸時代の現存建造物なんですよ。
火事が多かった江戸において、これだけ残っているのは貴重。
すべて国の重要文化財に指定されています。
生き残りの御神徳をお持ちの神社なんでしょうなぁ。
現在の根津神社の鎮座地について。
元々この地は、徳川5代将軍・綱吉の兄である甲府藩・徳川綱重(つなしげ)の下屋敷でした。
寛文2年(1662年)には、綱重の子・家宣(いえのぶ)の生誕の地となります。
家宣は将軍・綱吉の甥にあたり、後には6代将軍となります。
綱吉には実子の男子がおらず、跡継ぎとして養子をとったのです。
家宣が将軍の跡継ぎに決まった際、この地は幕府に献納されました。
そこに綱吉命による現在の社殿が建立され、根津神社が旧地より移ってきました。
江戸幕府とは、かなりゆかりが深い神社だったようですね。
江戸時代築の権現造の社殿
唐門を抜けた先に「社殿」があります。
随所に金色に輝くパーツが使われ、荘厳さと重厚さを併せもった印象です。
建物は拝殿と本殿が、幣殿を介して一体化している権現造りです。
ちょっと不思議なのが、屋根に寺院で見かける卍(まんじ)の印が残っていること。
神仏習合時代の名残なんでしょうね。
御祭神は須佐之男命(すさのおのみこと)・大山咋命(おおやまくいのみこと)・誉田別命(ほんたわけのみこと)の3神です。
そして、相殿神として大国主命(おおくにぬしのみこと)と菅原道真公が祀られています。
社殿脇の狛犬は、大正元年の狛犬でした。
銅灯籠の年代は未確認ですが、やはり卍印が残っているので江戸時代の物っぽい気がします。
本殿の屋根にも、しっかりと卍マークが残ってました。
幽玄へと誘う「千本鳥居」
根津神社の見どころの一つが、摂末社「乙女稲荷神社」。
こちらはの千本鳥居が、幽玄の世界へと誘ってくれます。
人気ゆえ、時おり渋滞が発生します(苦笑)。
鳥居の途中には、「徳川家宣胞衣塚(えなづか)」なる不思議な塚があります。
甲府藩屋敷時代に徳川家宣が生誕した地ですが、その際の胞衣が埋められていると伝わります。
胞衣とは、母体の中で胎児を包んでいた、膜と胎盤のことだそうです。
昔は、胞衣が大切に扱われる習慣があったようですよ。
千本鳥居は、緩やかに高台に向かって続きます。
無数のミニ鳥居は奉納品で、一基10万円から奉納できるそうですよ。
願いごとあらば、一基いかがですか?
鳥居を上がり切った場所に「乙女稲荷神社」が鎮座。
根津神社がこの地に移った時、祀られるようになった神社です。
乙女稲荷神社のある高台からは、社殿や西門周辺が見えます。
透塀を望む趣のある情景は、おそらく江戸時代から変らない風景なんでしょうね。
下から乙女稲荷神社を見上げる景色も、ちょいと雅な雰囲気。
千本鳥居を抜けた所には、明治以降の道路整備で、行き場を失った古い庚申塔が集められています。
寛永9年(1632年)につくられた、区内最古の庚申塔もありましたよ。
乙女稲荷神社とは対照的な、モノトーンの祠が現れます。
こちらは甲府藩屋敷時代から祀られている駒込稲荷神社で、古くからの守り神だそうです。
「つつじまつり」 100種3千株が咲き乱れる
参拝が終わり、お待ちかねの令和4年「第51回つつじまつり」の見学です。
つつじまつりは根津神社と文京区観光協会の共催による、この季節の風物詩です。
本年の開催期間は4月2日~5月1日の約1か月間で、開苑時間は9時30分~17時30分まで。
入苑料は300円。
では、咲き乱れるつつじと人混みの中へ、いざ!
苑内には約100種3000株のつつじが植えられています。
同じピンク系でも、種類により濃淡の違いがあるんですねえ。
群生して織りなすグラデーションが素晴らしい!
花弁の大きさも、品種により違いがあります。
これなんかはユリみたいな雰囲気だな。
カラフルつつじが集まっているエリア。
黄色のなんて初めて見たかも。
キレンゲという品種だそうです。
つつじは比較的身近な花で珍しくない、と思っていましたが。
本日はつつじの世界の奥深さを感じていますわ。
苑内には起伏があり、立体的な景観が望めるのが素晴らしい!
大分見頃ですが、開花していない株も見受けられ、満開一歩手前な感じ。
入苑口近隣には、愛子さま(敬宮愛子内親王)のお印のゴヨウツツジ。
あれ?お印って何だっけ?って、帰ってからふっと思い調べました。
皇室の方々は、それぞれ身の回り品などに付けるシンボルマークをお持ちとのこと。
それがお印。
令和の天皇陛下・徳仁(なるひと)さまのお印は梓(あずさ)という木、后妃・雅子さまのお印はハマナスだそうです。
千本鳥居とつつじ。
ここでしか見れない風景ですねえ。
こちらは楼門とつつじ。
神社の建物とのコラボ写真が撮れるポイント探しも楽しいです。
根津神社の御朱印
つつじまつり期間の限定御朱印を頂きました。
社殿とつつじが切り絵であしらわれており、とても素敵です!
神社に参拝に行くと、神々についてや神社施設の呼び名・役割について知りたいけど、聞ける相手もいない!
ってことありません?そんな時、網羅範囲が広い本書は結構頼もしいですよ!
根津神社の詳細情報・アクセス
根津神社
公式ページ
住所:東京都文京区根津1-28-9(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・東京メトロの千代田線「根津駅」「千駄木駅」、南北線「東大前駅」よりいずれも徒歩5分
・都営地下鉄・三田線「白山駅」より徒歩10分
車)
・駐車場は境内パーキング(25台分)、その他周辺のコインパーキングや駐車場を使用
根津神社周辺ランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
根津神社へ出かけてみませんか?
根津神社とつつじまつりの様子をご紹介しましたが、いかがでしたか?
都内のつつじ苑というと、もっと規模の大きい名所もある様ですね。
根津神社の良さは、やはり都心からのアクセスが良く気軽に訪問できるところですね!
そして、つつじまつりは季節限定ですが、江戸時代の貴重な社殿や、魅惑の千本鳥居は通年楽しめますので是非訪問してみて下さい。
帰りに下町風情が楽しめる谷中を散策するのも楽しいですよ。
根津神社に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2022/4/17
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