
群馬県安中市の峠沿いの廃線跡を利用した散策路「アプトの道」を紹介します。
道は良く整備されており鉄道マニアでなくてもオススメ!圧倒的なスケールの「めがね橋」など見どころも多く、非日常感がたっぷり味わえます。
最寄りの横川駅は高崎から電車で約30分でアクセスできますよ!
『アプトの道』と周辺情報
遊歩道『アプトの道』について

まずは峠の町、群馬県安中市にある遊歩道「アプトの道」の概要紹介です。
- ■明治26年(1893年) 、東京と新潟を結ぶ鉄道路線(後の信越線)のうちの、横川~軽井沢間の11.2kmの碓氷線が建設されました。
- *碓氷線の碓氷峠区間には、1000mあたりの標高差が約67mという急勾配があった。その為、”アブト式”という特殊な登坂機構を採用。
- *アプト式はレールとレールの間に、歯形の刻がある第3のレール(ラックレール)を設置。機関車車軸に取り付けた歯車をそれにかみ合わせて、急な傾斜を運転させる方式。
- ■昭和38年(1963年)、新線の建設によりアブト式鉄道は廃線。後に「碓氷峠鉄道施設」は、日本の近代化を支えたとして重要文化財に指定される。
現在、その廃線跡は「アプトの道」という遊歩道として整備されています。
折り返し地点の熊ノ平駅跡まで、片道全長約5.9kmのコース。その遊歩道を歩いた様子をご紹介します!
「碓氷峠鉄道文化むら」とトロッコ列車

JR高崎駅から信越本線で、アプトの道最寄りの横川駅へアクセス。峠の釜めしで有名な駅ですな。
高崎からの乗車時間は約30分ですが、昼間の本数は1時間に1本なので帰りの時間に注意ですな。
駅を出て西へ向かうとすぐ、「碓氷峠鉄道文化むら」が見えてきます。
ここは碓氷線の歴史を見て触れて体験できる施設で、大人も子供も楽しめる施設の様ですよ!

実は、アプトの道方面に、日程限定でトロッコ列車が運行されてます。
トロッコ列車「シェルパくん」が、敷地外からも見えます。おー、シックなデザインで恰好良いじゃないですか。
運行日に合わせて訪問し、トロッコ列車併用でオプトの道を気軽に攻めるのもアリですね。
ちなみに、列車に乗るには文化むらへの入場料金が発生します。
鉄道施設にするには鉄道認可が必要になってしまう事情がある為、このようになっているそうだ。
住所:群馬県安中市松井田町横川407-16(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)JR信越本線「横川駅」隣接
車)上信越自動車道「松井田妙義IC」より国道18号経由で約10分
「アプトの道起点」と観光案内所

碓氷峠鉄道文化むらの正面右手に「アプトの道(起点)」の看板があります。自分の足で歩くぞー、という方はこちらへ進みます。

雰囲気のある、木造建物風の観光案内所(安中市観光機構)が見えてきます。立ち寄ってアプトの道のマップを入手しましょう。
所内には「碓氷関所」のミニ資料館があります。トイレは約2km先の「峠の湯」まで無いので、ここで済ませましょう。
碓氷関所跡の見学に関してはこちらで。
住所:群馬県安中市松井田町横川441-6(GoogleMapで開く)
『アプトの道を歩く:~旧丸山変電所まで』
トロッコ列車と並行して進む

観光案内所内の敷地を抜けて、アプトの道のハイキングをスタート! 本日は一人歩きなのでのんびり行きます。
道中には写真の様な標識が点在してますので、道に迷うことは無さそう。
いざ出発!

おっ、レールの跡があるね、この道ですね!
道に並行して続くトロッコ列車の線路上では、電気機関車が動いていました。
後で調べたら。。。、 鉄道文化むらには”電気機関車運転体験コース”っていうのがあって、それ用の機関車だったようだ。
運転できるの?すげーな、鉄道文化むら!
*運転には学科・実技による約1日の講習受講が必要。気軽な体験かどうかはチト微妙。。。

歩き出した気分は、映画”スタンド・バイ・ミー”だね。
行く手には何もなく線路だけが続く。。。鉄道マニアではないんですが、線路に沿って無心で歩いていると現実逃避できてイイですね(笑)。
道は勾配も無くなだらか。
周囲の木々はモミジですね。秋の紅葉の季節に歩くと、さらに景色が良さそう。

上信越自動車道の碓氷橋ですね。数少ない景色の変化。
「旧丸山変電所」 国の重要文化財

碓氷橋を通過してしばらくすると、忽然と姿をあらわす「旧丸山変電所」。
アプトの道の大きな見どころの一つで、国の重要文化財です。

丸山変電所は明治45年(1912年)、碓氷線が幹線鉄道ではじめて電化されたのに伴い建設されました。
煉瓦造りの重厚な建物。

変電所の役割と仕組みについて。
- ●この変電所の役割は、発電所からの電気を機関車に供給することでした。
- ●建物は2棟からなり、横川側の建物(写真右手)が蓄電池室。長野側(左手)が機械室でした。
- ●蓄電池室には312個の蓄電池が設置され、列車が通らない時にはひたすら充電しました。
- ●列車が通る時に機械室側の回転変流機2基・変圧器2基により列車の登坂時に放電して電力を補う、という仕組みだったそうです。
碓氷線には当時の鉄道・電気の最先端技術が投入されたそうですよ!

変電所の前のトロッコ列車「まるやま駅」。
住所:群馬県安中市松井田町横川(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・横川駅から徒歩約30分(約2km)、峠の湯から徒歩約20分(約1.5km)
・トロッコ列車「ぶんかむら駅」発、「まるやま駅」下車(乗車12分)
車)
・車乗り入れ不可
『アプトの道を歩く:~峠の湯まで』
「霧積川橋梁」 川のせせらぎ

旧丸山変電所を越えると、周囲も結構山の中の景色に変わってきます。道も少し勾配を感じる。

霧積(きりずみ)川を越えます。涼し気なせせらぎ。
「峠の湯」 サルに遭遇!

「峠の湯」の施設が見えてきた辺りで、トロッコ列車の線路に動くものが。。。あっ、サルだ!

おお、結構いる。見上げると真上の電線を器用に歩いているのもいて、近くてちょっと怖っ。
ドキドキ感を感じつつ、一ヶ所目の休憩ポイント「峠の湯」に到着。

「峠の湯」の建物は、この先にある「めがね橋」をイメージしたレンガ造りのアーチが特徴。
天然温泉が楽しめ、食事処や休憩施設があるので、立ち寄って汗を流すのも良さそうですね!

赤城山・榛名山(はるなさん)とともに上毛三山と呼ばれ、群馬を代表する山の一つです。
妙義山は日本三大奇勝の一つとされており、岩肌が創り出す景観が独特。国の名勝にも指定されています。
歩いた距離も2km程度なのでまだまだ元気ですよ。 アプトの道に戻ります。
住所:群馬県安中市松井田町坂本1222(GoogleMapで開く)
営業時間:10:00~21:00(入館は20:30まで)
休館日:毎月第2・第4火曜日 ※第2・第4火曜日が祝祭日の場合は開館し、翌日が休館日。
アクセス:
電車)
・JR「横川駅」より徒歩で約1時間(約3km)、タクシーで約5分。
・トロッコ列車「ぶんかむら駅」発、「とうげのゆ駅」下車(乗車約20分)
車)
・上信越自動車道「松井田妙義IC」より国道18号線を軽井沢方面へ。碓氷バイパスと碓氷峠(旧道)の分岐を「碓氷峠(旧道)」方面へ。分岐から峠の湯まで約2.2km。
・駐車場:乗用車100台
『アプトの道を歩く:~碓氷湖まで』
「白秋歌碑」と「1号・2号トンネル」

峠の湯を出発すると「白秋歌碑」に出会います。
「うすいねの 南おもてと なりにけり くだりつゝ思ふ 春のふかきを」
この歌は詩人の巨匠・北原白秋が当時39歳の大正12年に信濃を訪れた際、”碓氷の春”と題して詠んだ歌といわれます。

「白秋歌碑」を通り過ぎると第1号トンネルがパックリと口を開けて待ち構えてます。
いよいよ雰囲気が変わり、少し背筋が伸びます(笑)。
ここから「めがね橋」を含む5つの橋梁(きょうりょう)と、10ヶ所の隧道(ずいどう=トンネル)を抜けながら、終点・旧熊ノ平駅を目指します。

トンネル内はレンガ造り。内部はひんやり涼しい。

蒸気機関車時代の排煙の跡と思われる、煤汚れが見られます。

抜けると、続いてすぐに2号トンネルが現れます。

こちらは内部の補強がされていて、またちょっと違う雰囲気。
「碓井湖」 湖畔に散策路
2つのトンネルを抜けたところが「碓氷湖(うすいこ)」。
2ヶ所目の休憩ポイントで、公衆トイレと自動販売機があります。

碓氷湖は碓氷川に建設された、坂本ダムのある人造湖。
湖畔には約1.2㎞の散策道があり、 特に秋の紅葉が人気のスポットです。
本日は、地元の小学生達がハイキングに来ていて、湖畔周辺は少しにぎやかでした。

帰って調べたら、高野辰之氏は、「紅葉」「故郷」「春がきた」「春の小川」などの小学唱歌の作詞者でした。超有名な歌ばかりですね!
「紅葉」の詞の舞台になったのは、熊ノ平駅近辺と言われています。
住所:群馬県安中市松井田町坂本(GoogleMapで開く)
施設:公衆トイレ有
アクセス:
電車)
・横川駅から徒歩約70分(約5km)
・トロッコ列車「とうげのゆ駅」から徒歩約30分(約2km)
車)
・上信越自動車道「松井田妙義IC」から約20分
・横川駅から車で10分
・無料駐車場有
『アプトの道を歩く:~めがね橋まで』
「3号~5号トンネル」

再び戻り3号トンネルです。
トンネルの手前にはトンネル名が書かれた柱があるので、指折り数えなくても大丈夫でした(笑)。

3号~5号トンネルは直線上に隣接してるので、トンネル越しに先のトンネルが見える。
峠越えの雰囲気が楽しめますね~。

トンネル内部の照明も、それぞれ違いが見られます。
ここはオレンジ色の照明が独特の雰囲気を出しています。

5号トンネル。だいぶ山の中のたたずまいになってきています。
「めがね橋」 最大の人気ポイント


5号トンネルを抜けると、アプトの道の最大の見どころ「碓氷第三橋梁」、通称「めがね橋」の橋上にでます。
圧倒されませんか?この迫力ある橋の風格!
「めがね橋」は碓氷川に架かる煉瓦造りの4連アーチ橋で、明治26年(1893年 )~昭和38年(1963年)まで鉄道用として使用されました。

ここは、碓氷峠の群馬県と長野県の県境にあたります。 遠くに見えるのは北陸新幹線の陸橋。
この景色は秋が一番映えるので、紅葉シーズンは特ににぎわうそうです。

橋は階段で下りることができます。

200万8000個のレンガで造られており、なかなかの威圧感!
川底からの高さ31m・全長91mで、現存する煉瓦造りの橋の中では国内最大規模。国の重要文化財です。

橋の右手で木々に覆われている部分が歩いてきた第5号トンネル。
こんな文化財の上を歩けるのは貴重ですね~。
住所:群馬県安中市松井田町坂本 地内(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR「横川駅」から徒歩約100分(約5km)、またはタクシー約10分
・トロッコ列車「とうげのゆ駅」から徒歩約40分(約3km)
車)
・上信越自動車道「松井田妙義IC」から約15分
・無料駐車場有
『アプトの道を歩く:~旧熊ノ平駅まで』
「6号~10号トンネル」 終点まで歩いてみた

かつては、全長4.7km地点のめがね橋がアプトの道の終点でした。
2012年(平成24年)に1.3km先の「旧熊ノ平駅」までの道が整備され、延長されました。
めがね橋で引き返す人も多くいますが、本日は折り返し地点の「旧熊ノ平駅」まで歩きます。


6号トンネルはかなり長いですね、500m以上あります。
その長さゆえ、通気や排煙の為の通風孔が設置されているのが特徴。このトンネルだけ独特の風貌が見られます。
また、このトンネルの中はえらく涼しいです。


そして、7号~9号トンネルを抜け、最後の第10号トンネルを抜けます。
「旧熊ノ平駅」 終点の折返し点

第10号トンネルを抜けるとアプトの道の終点、「旧熊ノ平駅」に到着。
写真はトンネルを出て振り返った景色。右側の背の低いトンネルが、通って来た10号トンネル。
左側2つは、新線として使われていたトンネルです。

進行方向長野側のトンネルは、閉鎖され行き止まりです。

うっそうとした雰囲気で残る変電所跡。廃墟好きが喜びそうだなあ。。。

事故でなくなった方の殉難碑と、その傍に小さな神社がありました。

出発して旧熊ノ平駅までに掛かった時間は約2時間くらいですね。
小さなベンチがあったので一息入れて、また折り返して帰路につきました。
住所:群馬県安中市松井田町坂本(GoogleMapで開く)
施設:公衆トイレはないので注意
アクセス:
電車)
・JR「横川駅」から徒歩約120分(約6km)、またはタクシー約15分
車)
・上信越自動車道「松井田妙義IC」から約20分
・無料駐車場有
アプトの道マップ
アプトの道のパンフレット(群馬県安中市: 観光パンフレットダウンロードページ)
![]() | 価格:2,090円 |

![]() | いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日 [ TABIZINE ] 価格:2,090円 |

歩いてみませんか?

いかがでしたか?今回アプトの道を初めて歩きましたが、道は良く整備されてました。
また、峠の道なのに「あれ?」と思うくらい道の傾斜が少なく、とても歩きやすい道でしたよ。
一番注意が必要と感じた個所は野生のサルかなあ。。。
なお、トンネル内の照明は7時~18時までなのでその点ご注意を。
普通のハイキングでは味わえない独特の景色に出会いに、アプトの道を歩きに出かけてみませんか!

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【記事の訪問日:2021/6/18】