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群馬県安中市にある、鉄道の廃線跡を利用した散策路「アプトの道」を紹介します。
碓氷峠にかかる道は自然に囲まれ景色も良く、また、国内最大級のレンガ造りの橋・めがね橋をはじめ、貴重な建造物たちにも圧倒されます。
横川駅から旧熊ノ平駅に至る、約6kmに渡る非日常的空間に出会える道中へご案内。
『アプトの道とは?周辺情報も』
遊歩道・アプトの道について

群馬県安中市にある遊歩道「アプトの道」の紹介になりますが、まずはアプトって何ぞや?から。
- ■明治26年(1893年):東京と新潟を結ぶ鉄道路線(後の信越線)のうちの、横川~軽井沢間の11.2kmの碓氷線が建設される。
- ・碓氷峠区間には、1000mあたりの標高差が約67mの急勾配があった。
その為、”アブト式”という特殊な登坂機構を採用。 - ・アプト式はレール間に、歯形の刻がある第3のレール(ラックレール)を設置。
機関車車軸に取付けた歯車をそれにかみ合わせて、傾斜を運転させる方式。 - ■昭和38年(1963年):新線の建設によりアブト式鉄道は廃線。
後に「碓氷峠鉄道施設」は日本の近代化を支えたとして、重要文化財に指定される。
現在その廃線跡が遊歩道として整備されている、ってことになります。
遊歩道は、折り返し地点の熊ノ平駅跡まで片道全長約5.9kmのコース。
その遊歩道を歩いた様子や見どころを紹介します。
碓氷峠鉄道文化むらとトロッコ列車

アプトの道の最寄りは横川駅で、JR高崎駅から信越本線へアクセス。
横川っていうと峠の釜めしで有名な所ですな。
乗車時間は約30分ですが、昼間の本数が1時間に1本なので帰りの時間には注意ですね。
駅を出て西へ向かうとすぐ、すぐ「碓氷峠鉄道文化むら」が見えてきます。
ここは碓氷線の歴史を見て触れて体験できる施設で、大人も子供も楽しめる施設らしいですよ。

外側からシックなデザインのトロッコ列車が見えます。
実はアプトの道方面に、日程限定でこのトロッコ列車が運行されてます。
トロッコ列車の運行は3月~11月の土日祝日と、8月(毎日運行)の運行。
この「ぶんかむら駅」の後は、「まるやま駅」と「とうげの湯駅」に停車。
運行日に合わせて訪問し、トロッコ列車併用でオプトの道を気軽に攻めるのもアリです。
ちなみに、列車に乗るには文化むらへの入場料金が発生します。
ん??って思いましたが、トロッコ列車は鉄道文化むら内の遊具扱いになってるんですね。
鉄道施設には鉄道認可が必要になる関係上、このようになっているそう。
碓氷峠鉄道文化むら(公式ページ)
住所:群馬県安中市松井田町横川407-16(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)JR信越本線「横川駅」隣接
車)上信越自動車道「松井田妙義IC」より国道18号経由で約10分
観光案内所でマップ入手

碓氷峠鉄道文化むらの右手に「アプトの道(起点)」の看板があります。
自分の足で歩くぞー、という方はこちらへ進んで下さい。

すぐ先に、観光案内所(安中市観光機構)が見えてきます。
立ち寄ってアプトの道のマップを入手しましょう。
それと、次のトイレは約2km先「峠の湯」まで無いのでここで済ませましょう。
あと、飲み物も必要ならこちらで入手。
所内には「碓氷関所」のミニ資料館があるので、ちょっとのぞいてみると良いですよ。
碓氷関所跡の見学に関してはこちらで。

安中市観光機構(観光案内所)
住所:群馬県安中市松井田町横川441-6(GoogleMapで開く)
『”旧丸山変電所”までのアプトの道』
出発!レールは続くよ

では、いよいよ観光案内所内の敷地を抜けて、アプトの道のハイキングをスタート!
一人歩きなのでのんびり行きます。
道中には写真の様な標識が点在してるので、道に迷うことは無さそう。

おっ、早速レールの跡がある道が出現!これがアプトの道かあ。
並行した線路上では、電気機関車が動いていました。
後で調べたら、鉄道文化むらにはなんと!”電気機関車運転体験コース”があって、それ用の機関車だったみたい。
ただし、運転には約1日の講習受講が必要で、気軽な体験かどうかはチト微妙だわ。

歩き出しの気分は、あれだね、映画・スタンド・バイ・ミー(笑)。
行く手に線路だけが続く道を無心で歩いていると、徐々に現実逃避。。。
今のところ、道は勾配も無くなだらかで歩きやすいですね。
周囲の木々はモミジかな。
秋の紅葉の季節に歩くと、素晴らしいだろうな。
旧丸山変電所

上信越自動車道の碓氷橋を通過してしばらく行くと、「旧丸山変電所」が忽然と姿を現します。
アプトの道の大きな見どころの一つで、国の重要文化財でもあります。

煉瓦造りの重厚な建物。
丸山変電所は明治45年(1912年)、碓氷線が幹線鉄道として初めて電化されたのに伴い建設されました。

変電所の当時の役割と仕組みについて。
- ●変電所の役割は電気を機関車に供給すること。
- ●建物は2棟からなり、横川側(写真右手)が蓄電池室、長野側(左手)が機械室。
- ●蓄電池室には312個の蓄電池が設置され、列車が通らない時にはひたすら充電。
- ●列車が通る時に、機械室側の回転変流機2基・変圧器2基により放電して列車の登板時の電力を補う、という仕組み。
そんなことできるんだ、って感じだが、碓氷線には当時の鉄道・電気の最先端技術が投入されたそうですよ!

変電所の前に、トロッコ列車の「まるやま駅」がありました。
この旧丸山変電所は車では来れない場所なんで、アプトの道の訪問者のみが見れる風景です。
旧丸山変電所
住所:群馬県安中市松井田町横川(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・横川駅から徒歩約30分(約2km)、峠の湯から徒歩約20分(約1.5km)
・トロッコ列車「ぶんかむら駅」発、「まるやま駅」下車(乗車12分)
車)
・車乗り入れ不可
『”峠の湯”までのアプトの道』
峠の湯、サルにも遭遇!?

涼し気なせせらぎが流れる霧積(きりずみ)川を越えます。
旧丸山変電所を越えると、周囲も山の中の景色に変わってきますね。
道も少し勾配を感じてきます。

「峠の湯」の施設が見えてきた辺りで、トロッコ列車の線路に動くものが。。。あっ、サルだ!

おお、結構いる!
真上の電線を器用に歩いているのもいて、結構近くて怖っ!
ドキドキ感を感じたところで、最初の休憩ポイント「峠の湯」に到着。

「峠の湯」の建物は、この先の「めがね橋」をイメージしたレンガ造りのアーチが特徴。
天然温泉が楽しめ食事処や休憩施設もあるので、立ち寄って汗を流すのも良さそうですね!
車でも訪問できる施設なんで、実はここを起点に気軽にアプトの道を歩くっていう選択肢もあったりします。

景色もなかなか良い。
峠の湯から見える「妙義山(みょうぎさん)」は赤城山・榛名山(はるなさん)とともに上毛三山と呼ばれ、群馬を代表する山の一つです。
妙義山は日本三大奇勝の一つとされており、岩肌が創り出す景観が独特。
国の名勝にも指定されています。
ってことで休憩終了。
歩いた距離も2km程度なのでまだまだ元気。アプトの道に戻ります。
碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」(公式ページ)
住所:群馬県安中市松井田町坂本1222(GoogleMapで開く)
営業時間:10:00~21:00(入館は20:30まで)
休館日:毎月第2・第4火曜日 ※第2・第4火曜日が祝祭日の場合は開館し、翌日が休館日。
アクセス:
電車)
・JR「横川駅」より徒歩で約1時間(約3km)、タクシーで約5分。
・トロッコ列車「ぶんかむら駅」発、「とうげのゆ駅」下車(乗車約20分)
車)
・上信越自動車道「松井田妙義IC」より国道18号線を軽井沢方面へ。碓氷バイパスと碓氷峠(旧道)の分岐を「碓氷峠(旧道)」方面へ。分岐から峠の湯まで約2.2km。
・駐車場:乗用車100台
『”碓氷湖”までのアプトの道』
白秋歌碑と1号トンネル

峠の湯を出発すると「白秋歌碑」に出会います。
「うすいねの 南おもてと なりにけり くだりつゝ思ふ 春のふかきを」
この歌は当時39歳の詩人の巨匠・北原白秋が、大正12年(1923年)の信濃訪問の際、”碓氷の春”と題して詠んだ歌といわれます。

そして「白秋歌碑」を通り過ぎると、第1号トンネルがパックリと口を開けて待ち構えます。
いよいよ雰囲気が変わり、少し背筋が伸びますね。
ここから「めがね橋」を含む5つの橋梁(きょうりょう)と、10ヶ所の隧道(ずいどう=トンネル)を抜けながら、終点・旧熊ノ平駅を目指します。

トンネル内はレンガ造り。
内部はひんやり涼しい。

蒸気機関車時代の排煙の跡と思われる、煤汚れが見られます。

抜けると、続いてすぐに2号トンネルが現れます。

こちらは内部の補強がされていて、またちょっと違う雰囲気だ。
碓井湖

2つのトンネルを抜けたところが「碓氷湖(うすいこ)」だった。
碓氷湖は碓氷川に建設された、坂本ダムのある人造湖。
湖畔には公衆トイレと自動販売機があり、湖に沿っては約1.2㎞の散策道があります。
特に秋の紅葉が人気のスポットです。
本日は地元の小学生達が遠足に来ていて、少しにぎやかな湖畔でした。

湖畔には、誰もが知ってる「紅葉((もみじ)」の唱歌の碑。
帰って調べたら、作者の高野辰之氏は、「紅葉」「故郷」「春がきた」「春の小川」などの小学唱歌の作詞者でした。
超有名な歌ばかりですね!
「紅葉」の詞の舞台になったのは、熊ノ平駅近辺と言われています。
碓氷湖
住所:群馬県安中市松井田町坂本(GoogleMapで開く)
施設:公衆トイレ有
アクセス:
電車)
・横川駅から徒歩約70分(約5km)
・トロッコ列車「とうげのゆ駅」から徒歩約30分(約2km)
車)
・上信越自動車道「松井田妙義IC」から約20分
・横川駅から車で10分
・無料駐車場有

『”めがね橋”までのアプトの道』
3号~5号トンネル

再びアプトの道に戻りトンネルを攻めます。
トンネル手前にはトンネル名が書かれた柱があるので、指折り数えなくても大丈夫でした(笑)。

3号~5号トンネルは直線上に隣接してるので、トンネル越しに先のトンネルまで見える。
峠越えの雰囲気ですね~。

トンネル内部の照明も、ちょっとずつ違いが見られます。
ここはオレンジ色の照明が独特の雰囲気です。

5号トンネル。だいぶ山の中のたたずまいになってきています。
めがね橋(碓氷第三橋梁)に圧倒!

5号トンネルを抜けると。。。

アプトの道の最大の見どころ「碓氷第三橋梁」、通称「めがね橋」の橋上に出ます。
この迫力ある橋の風格、圧倒されますね!
「めがね橋」は碓氷川に架かる煉瓦造りの4連アーチ橋で、明治26年(1893年)~昭和38年(1963年)まで鉄道用として使用されました。

ここは、碓氷峠の群馬県と長野県の県境にあたります。
遠くに見えるのは北陸新幹線の陸橋。
この景色は秋が一番映え、紅葉シーズンは特ににぎわうそうです。

橋は階段で下りることができます。
降りたり登ったりして、場所を変えながら眺めるのが楽しい。

橋は200万8000個のレンガで造られており、なかなかの威圧感!
川底からの高さ31m・全長91mで、現存する煉瓦造りの橋の中では国内最大規模。
国の重要文化財です。

橋の右手で木々に覆われている部分が、歩いてきた第5号トンネル。
こんな文化財の上を歩けるのは貴重ですね~。
碓氷第三橋梁(めがね橋)
住所:群馬県安中市松井田町坂本 地内(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR「横川駅」から徒歩約100分(約5km)、またはタクシー約10分
・トロッコ列車「とうげのゆ駅」から徒歩約40分(約3km)
車)
・上信越自動車道「松井田妙義IC」から約15分
・無料駐車場有
『”終点・旧熊ノ平駅”までのアプトの道』
独特の風貌の6号トンネル

かつては全長4.7km地点のここ、めがね橋がアプトの道の終点でした。
平成24年(2012年)にはさらに道が整備され、1.3km先の「旧熊ノ平駅」まで延長されました。
めがね橋で引き返す人も結構いますが、本日は折り返し地点の旧熊ノ平駅まで歩いてみます!

6号トンネルはかなり長いですね、500m以上あります。
その長さゆえ、通気や排煙の為の通風孔が設置されているのが特徴。
このトンネルだけ独特の風貌が見られます。

また、このトンネルの中は他と比べてもえらく涼しいです。

そして、7号~9号トンネルを抜けた後、最後の第10号トンネルを抜けます。
終点・旧熊ノ平駅

第10号トンネルを抜けるとアプトの道の終点、「旧熊ノ平駅」に到着です。
写真はトンネルを出て振り返った景色。
右側の背の低いトンネルが、歩いて来た10号トンネル。
左側2つは、新線として使われていたトンネルです。
進行方向長野側のトンネルも、同様な感じで閉鎖されています。

うっそうとした雰囲気で残る変電所跡。
廃墟好きが喜びそうだなあ。。。
熊ノ平駅は信越本線が単線だった時期、横川~軽井沢間で唯一の平坦地だったことを利用した、上下線のすれ違いポイントでした。

出発して旧熊ノ平駅までに掛かった時間は、約2時間くらいですね。
小さなベンチがあったので一息入れて、また折り返して帰路につきました。
旧熊ノ平駅
住所:群馬県安中市松井田町坂本(GoogleMapで開く)
施設:公衆トイレはないので注意
アクセス:
電車)
・JR「横川駅」から徒歩約120分(約6km)、またはタクシー約15分
車)
・上信越自動車道「松井田妙義IC」から約20分
・無料駐車場有
アプトの道を歩いてみませんか?

廃線跡アプトに道を紹介しましたが、いかがでしたか?
初めて歩きましたが、道は良く整備されてて峠の道にしては「あれ?」と思うくらい傾斜も少なく、とても歩きやすい道でしたよ。
一番注意が必要と感じた個所は、野生のサルかなあ。。。
なお、トンネル内の照明は7時~18時までなのでその点ご注意を。
普通のハイキングでは味わえない独特の景色に出会いに、アプトの道に出かけてみませんか!
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