京都市伏見区にある真言宗醍醐派の総本山「醍醐寺」は、醍醐山とその山麓一帯の広大なエリアが寺域となっています。
京都で最も古い木造建築物の五重塔を始め、歴史的な建造物が多く残り世界遺産にも認定されています。
豊臣秀吉が盛大に花見をおこなったことでも知られる、秀吉ゆかりとのゆかりも深い寺院を紹介。
目次
醍醐寺について
醍醐山全体が寺域の醍醐寺
「醍醐寺」は平安時代の貞観(じょうがん)16年(874年)に、真言宗の開祖・空海の孫弟子である理源大師・聖宝によって開創された寺院です。
真言宗醍醐派の総本山で、200万坪以上の広大な境内に100余りの堂塔が散在。
醍醐山全体が寺域となっているんですよ!
文化財は国宝が69,420点、重要文化財が6,521点に及びます。凄いですね~。
古代・中世以来の貴重な宝物資料が保存されている文化財の宝庫です。
平成6年(1994年)には、「古都京都の文化財」の文化遺産の一つとしてユネスコの世界遺産に登録されています。
豊臣秀吉の醍醐の花見
平安時代には醍醐天皇が、自らの祈願寺として手厚い庇護を与え栄えました。
現在唯一当時の建造物が残る五重塔を含めた、大伽藍(がらん)が出来上がりました。
その後、室町時代の応仁の乱などの戦火で荒廃。
しかし、安土桃山時代に豊臣秀吉による醍醐寺での花見が決まると、復興され始めました。
そして、慶長3年(1598年)に秀吉の「醍醐の花見」が盛大に行われ、復興の道を歩みました。
『三宝院エリア』
醍醐寺の境内は三宝院エリア・霊宝館エリア・伽藍エリアの3つのエリアに分かれます。
正面入口の「総門」を抜けると、三宝院エリアが左手に、霊宝館エリアが右手にあります。
まずは三宝院エリアに向かいます。
「大玄関」 三宝院の玄関口
「三宝院」は塔頭(たっちゅう)と呼ばれる禅宗寺院で、歴代座主が居住する坊です。
元々は平安時代後期の永久3年(1115年)に、14代座主・勝覚(しょうかく)僧正が創建した、灌頂院(かんじょういん)が起源。
現在の三宝院は、豊臣秀吉が催した「醍醐の花見」の際に整備されたものだそうです。
「三宝院庭園」 豊臣秀吉自らの設計
「三宝院庭園」は醍醐の花見で整備された際、秀吉自ら基本設計したといわれる庭園。
国の特別史跡・特別名勝に指定されています。
そして、三宝院の建造物の大半が国の重要文化財に指定されているんですね。
特に庭園全体を見渡せる「表書院」は、桃山時代を代表する建造物として国宝指定されています。
醍醐の花見の際、晩年の秀吉もこの辺りから庭園を見てたんでしょうなあ。
「唐門」 国宝の勅使門
国宝の「唐門」です。
朝廷からの使者を迎える時だけに特別に開かれた、勅使門でした。
黒の漆塗に紋に金箔が施された、重厚かつ華やかな門ですよね~。
平成22年(2010年)に修復が行われ、桃山時代当時の壮麗な美しさが見事に再現されています。
『伽藍エリア』
境内を東に進むと、広大な「伽藍エリア」が広がります。
伽藍エリアには、国宝の「金堂」や「五重塔」を含む下醍醐があります。
そして、山の上の方は開祖の地となっており、国宝「薬師寺」などがある上醍醐になります。
本日は下醍醐エリアのみの見学。
三宝院・霊宝館・伽藍を共通の拝観料で見学することができます。
「西大門(仁王門)」 豊臣秀頼の再建
下醍醐エリアの入口には、仁王門である「西大門」があります。
豊臣秀頼により、慶長10年(1605年)に再建されたものです。
門内に納められている仁王像は、元々は南大門に祀られていた像。
平安後期の長承3年(1134年)に仏師勢増・仁増によって造立され、重要文化財に指定されています。
なお、南大門自体は焼失しており、その後再建されることはありませんでした。
「金堂」 薬師如来坐像を安置
醍醐寺の中心となるお堂で、国宝指定されている「金堂」です。
お堂の中には、本尊となる薬師如来坐像を安置します。
元々の金堂は、醍醐天皇の御願により延長4年(926年)に創建されました。
しかし、その後の2度の火災で焼失しています。
現在の金堂は、豊臣秀吉の命により紀州(和歌山県)の湯浅にある満願寺(まんがんじ)の本堂が移築されたもの。
平安後期に建築されたもので、造りは本瓦葺の入母屋造(いりもやづくり)です。
実際に移築が完了したのは秀吉が亡くなった後で、秀頼の時代の慶長5年(1600年)でした。
秀吉は完成した金堂を見ることはなかったんですねえ。
「不動堂」 堂と護摩道場
こちらは「不動堂」で、厳かな祭事の場の雰囲気が漂います。
堂内には不動明王を中心に、五体の明王が安置されています。
不動堂前には石造不動明王が建立されて、護摩壇(ごまだん)が設けられた護摩道場です。
柴燈護摩が焚かれて、世界平和などの様々な祈願が行われます。
護摩というのは、火中に供物や護摩木を投じて祈願する祈祷方法です。
「五重塔」 京都最古の木造建築物!
醍醐寺の伽藍の最大の見どころの一つである国宝「五重塔」。
この平安時代の天暦6年(952年)の建立で、京都府内最古の木造建築物になります。
周辺の平安時代の建物は過去の火災で焼失していますが、その中で五重塔は唯一建立当時の姿を残しています。
塔の高さは38mで、醍醐寺の発展に深く寄与した醍醐天皇の冥福を祈るために建てられた塔。
上に突き出した相輪(そうりん)が約12.8メートルで、総高の3分の1に当たります。
内部は非公開ですが、平安時代の両界曼荼羅図などの壁画が現存。
絵画として国宝指定されています。
1000年以上昔の木造建築物が、今もって凛とした佇まいで建っているのを見れるのは感慨深いです。
「観音堂・弁天堂・鐘楼堂」 紅葉スポットで人気
「観音堂」を中心に広がる庭園・弁天堂・鐘楼・伝法学院等は、総称「大伝法院」と呼ばれます。
これらは醍醐天皇一千年御忌を記念して、実業家である山口玄洞氏(1863-1937年)寄進により造築されました。
「弁天堂」へは、泉に掛かった朱色の太鼓橋を渡って行きます。
周囲の自然の風景との調和が美しい。
秋のモミジの紅葉スポットとして人気があります。
弁天堂には、七福神の一つで女神様である、弁才天を祀ります。
『霊宝館エリア』 10万点以上の寺宝
「醍醐寺霊宝館」は貴重な寺宝の保存と公開を兼ねた施設。
昭和10年(1935年)に開館されました。
国宝や重要文化財だけで7万5千点以上。
未指定の文化財を含めると、約10万点以上に及ぶ寺宝を収蔵。凄い数ですよね!
醍醐天皇発願により建立された薬師堂の本尊や、平安時代の国宝の木造「薬師三尊像」も、こちらで公開されてます。
その他、彫刻・絵画・工芸・古文書など、日本の仏教史や美術史上も貴重な資料を多く収蔵。
春と秋には特別展が開催されるので、それに合わせての訪問も良さそうですよ!
基本情報・アクセス
醍醐寺
公式ページ
住所:京都市伏見区醍醐東大路町22 (GoogleMapで開く)
拝観時間:
■下醍醐の三宝院・霊宝館・伽藍
夏期(3月1日~12月第1日曜日) 9:00~17:00まで、冬期)12月第1日曜日翌日~2月末日) 9:00~16:30まで ※閉門時間30分前で受付終了(春期期間中は拝観時間の変更あり)
■上醍醐の入山受付時間
夏期(3月1日~12月第1日曜日) 9時〜15時、冬期 (12月第1日曜日の翌日~2月末日):9時~14時
アクセス:
電車)
・JR京都駅から、JR東海道本線(琵琶湖線)または湖西線約5分で山科駅。京都市営地下鉄東西線に乗り換え、約10分の「醍醐駅」で下車。
・JR奈良線・六地蔵駅、京阪六地蔵駅で地下鉄東西線に乗り換え、約5分の「醍醐駅」で下車
・京都駅八条口からホテル京阪前(京都醍醐寺ライン乗り場)所要時間:約30分バス停「醍醐寺」下車
醍醐寺に出かけてみませんか?
世界遺産にも認定されている、京都を代表する寺院の一つ、醍醐寺を紹介しましたがいかがでしたか?
豊臣秀吉ともゆかりが深い、歴史ある寺院の深みをを感じられる寺院でした。
訪問したのは夏の終わり頃でしたが、現在でも京都屈指の桜の名所として知られており、花見の季節はにぎわいます。
また、紅葉の季節も良さそうで、通年季節感を感じられるスポットとなっています。
そんな、歴史と自然の季節感を楽しめる醍醐寺に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2018/9/9
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