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仙波日枝神社、太田道灌が江戸城に勧請した川越城下の神社【埼玉・川越市】

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東京都千代田区にある日枝神社は徳川将軍家とゆかりが深いことで知られ、祭礼である山王祭は”天下祭り”とも呼ばれています。

その日枝神社の起源をたどると、最初に江戸城を築いた太田道灌が、川越城城下にあった仙波日枝神社を江戸城城内に勧請したのに始まといわれます。

川越にあるその仙波日枝神社を訪ねてみましたので、見どころを紹介します。

目次

「仙波日枝神社」太田道灌が江戸城に勧請した神社

赤坂日枝神社の起源となった仙波日枝神社

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

小江戸川越を代表する歴史スポットの一つで、観光名所としても人気のある寺院である喜多院。

「仙波日枝神社」はその喜多院から1本道を隔てたお隣にひっそりと佇んでおり、こちらに神社があるのに気付かない喜多院参拝者も多いのではないだろうか。

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

こちらが仙波日枝神社の正面入口です。こじんまりとした感じの神社ですね。

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

日枝神社は滋賀県にある比叡山の麓に鎮座する日吉大社が総本宮ですが、関東で最も良く知られているのが千代田区にある日枝神社(通称は山王日枝神社・赤坂日枝神社)でしょう。

山王日枝神社について
室町時代の文明10年(1478年)、太田道灌が江戸城築城にあたり、川越の仙波日枝神社を城内の鎮守として勧請したのに始まるとされます。

徳川家康は江戸に入府すると、これを”城内鎮守の神””徳川家の産土神”として厚く崇敬しました。
その後の江戸城城郭整備に伴い、現在の赤坂付近へと鎮座地は移ってゆきますが、祭礼である山王祭は「天下祭」と称され将軍上覧の大祭として発展しました。

江戸の総鎮守として庶民からも武家からも信仰された、江戸文化を象徴する神社の一つです。

ということで、太田道灌が江戸へ勧請した仙波日枝神社を一度参拝してみたい、と思いたっての本日の訪問でした。

太田道灌(1432-1486年)
室町時代中期の武将、名は資長(すけなが)。扇谷(おおぎがやつ)上杉家の家臣として仕え、軍事・政治の両面で卓越した才能を発揮。享徳の乱や長尾景春の乱で活躍して、扇谷上杉氏を関東随一の勢力に押し上げます。
優れた築城技術でも知られ、江戸城をはじめ川越城や岩槻城など関東各地の城を整備。また和歌にも秀でた、文化人としての一面も持ちました。
しかしそれらの才能と功績が上杉定正に警戒され、主君による暗殺という悲劇的な最期を迎えました。

\ 赤坂日枝神社の詳細についてはこちら!/

喜多院と同じく平安時代の創建 

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

仙波日枝神社の起源は、喜多院の創建と同じ頃だと伝わります。

その喜多院の始まりは平安時代で、慈覚大師 円仁(じかくだいし えんにん)が、現在の喜多院と中院にあたる無量寿寺(むりょうじゅじ)を勅願所として創設したのに始まります。
勅願所は、天皇の発願による国家鎮護などの祈願寺のことですね。

その際に、併せて近江の日吉社(日吉大社)が勧請されたようですよ。

川越喜多院について
川越喜多院は、平安時代の天長7年(830年)に慈覚大師円仁が創建したと伝わる古刹。
中世以降、関東天台宗の要地として栄え、戦乱による被害も受けつつ復興を重ねてきました。

特に江戸時代に天海僧正が住職となると、徳川家の厚い庇護を受けて寺勢が大きく発展。
寛永15年(1638年)の火災に遭った際には、徳川3代将軍・家光が江戸城の御殿を移築して再建させており、現在も残る「家光誕生の間」や「春日局化粧の間」は江戸城の現存遺構として貴重です。

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

祀られている御祭神は、大山咋神(おおやまくいのかみ)と大己貴命(おおなむちのみこと)の2神。
大山咋神は山・水を司り、地主神として崇められています。

拝殿は比較的新しそうな建物でした。

室町時代の様式が見られる本殿は国重要文化財

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

一方、本殿は室町時代末期の建築様式が見られる古い建物で、国重要文化財に指定されています
屋根は銅板葺で、千木や堅魚木で飾られているのが見えますね。

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

透塀越しに覗かせて頂くと、本殿は朱塗りが鮮やかな三間社流造りの建物でした。造りや規模は簡素な感じのものですね。

建立時期は明確ではありませんが、慶長17年(1612年)頃に喜多院が再興されているので、こちらもその際に再建された可能性があるとのこと。
その一方、建築様式からすると、更に古い年代の建築物である可能性もあるとか。

仙波日枝神社の鎮座地は古墳だった!?

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

ところでこの仙波日枝神社の境内ですが、盛土があり、何やら独特の地形をしています。

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

良く見ると墳丘には埋もれ気味の「千五百年前古墳・仙波日枝神社古墳」の看板がある通り、実はここ、古墳なんですよ!

喜多院を中心に、「小仙波古墳群」と呼ばれる古墳時代前期から後期にかけての古墳群が分布しており、仙波日枝神社古墳と呼ばれるここもその一部で、6世紀中頃に造られたとされる古墳となります。
発掘により勾玉や埴輪などが出土品されています。

形状としては前方後円墳なのですが、残念ながら大半部分は大正13年(1924年)の県道工事で壊されているとのこと。
現在は神社が鎮座する前方部分のみが残っています。

なるほど、違う時代の歴史が同居する稀有な場所でもあったわけですね。

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

もともと仙波日枝神社は喜多院境内側にあったそうだ。それが、古墳を開削した際、現在の鎮座地であるこちら側に移転させたらしい。

逆に。。。、喜多院境内には印象的な多宝塔がありますが、そちらは元々こちらの道路側に延びていた古墳の墳丘上にあったんですって。

現在の喜多院と日枝神社の配置に落ち着くまでには、紆余曲折があったようですね。

不思議な”底なしの穴”の伝説

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

ところで境内の一角には、石柱の柵に囲まれた何やら意味ありげな場所がありました。
かつてここには、のぞき込んでも底が見えない程深い穴があったらしい。

その昔のある日、穴の深さを知りたくなった近所の人々が、穴に鍋を投げ込んだ。しかし、いつまでたっても落ちた音がしてこない。。。
その後もお椀や下駄を投げ込んだが、やはり何ひとつ音がしなかったそうだ。

仙波日枝神社(埼玉県川越市)
底無し井戸の縁起

しかし、ここから500mほど離れた場所にあった、弁天を祀る双子池の水面に異変が!投げ込んだ物が、ぽっかりと浮かんでいたんですって。

人々は不思議な穴だ!と驚き、「底なしの穴」と呼ぶようになったといわれます。
なんだか謎な構造を持ってそうな、不思議な穴だったんですねえ。

手まり唄”あんたがた何処さ”の発祥地

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

神社前の道を挟んだ向かいには、こんな看板もありました。

これによると「あんたがた何処さ」の手まり唄は川越が発祥地だった、という説があるとのこと。

幕末の戊辰戦争の時、薩長連合軍が川越の仙波山に駐屯した。(仙波山とは日枝神社古墳のことらしい。)
その際、地元の子供との会話で、「あんたがたはどこから来たのさ」「肥後から」「肥後って何処さ」「熊本のことさ」、という問答を唄にしたという説らしい。

熊本弁ではないことが熊本で作られた唄ではない、という論拠の一つとなっているそうだが。
さて、真実は如何に?

仙波日枝神社の御朱印

仙波日枝神社(埼玉県川越市)

御朱印は拝殿前に書置きのものが置かれていました。
御朱印代300円を賽銭箱に納めると、頒布頂けます。

神社に参拝に行くと、神々についてや神社施設の呼び名・役割について知りたいけど、聞ける相手もいない!
ってことありません?そんな時、網羅範囲が広い本書は結構頼もしいですよ!

タモリさんならではの視点で、川越の歴史が解き明かされてゆきます。
読めば出かけてみたくなるはず!

仙波日枝神社の詳細情報・アクセス

日枝神社

川越喜多院公式ページ内の関連施設紹介
住所:埼玉県川越市小仙波町1丁目4-1(GoogleMapで開く
アクセス:
電車)
・東武東上線・JR線「川越駅」下車、徒歩約20分
・東武東上線「川越市駅」下車、徒歩約18分
・西武新宿線「本川越駅」下車、徒歩約15分
・「川越駅」東口、又は「本川越駅」から西武バスの南古谷駅行き乗車、「喜多院前」バス停下車(西武バスHP
・「川越駅」東口、又は「本川越駅」から小江戸名所めぐりバス乗車、「喜多院前」バス停下車(東武バスHP内関連ページ
・「川越駅」西口、または「本川越駅」から小江戸巡回バス乗車、「喜多院前」バス停下車(イーグルバスHP
車)
・関越自動車道「川越IC」より約20分
・圏央道「川島IC」より約19分
・喜多院脇に有料駐車場あり

観光向け巡回バスについて
市内では、川越駅(JR・東武東上線)を出発地とする観光向け巡回バスが2路線運行されています。
いずれも主要な観光スポットを経由します。
休日は市内の道路や駐車場は混雑しますので、巡回バスは効率良く巡るのに便利ですよ。

■小江戸巡回バス(イーグルバス株式会社) 公式ページ
■小江戸名所めぐりバス(東武バスウエスト株式会社) 公式ページ

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仙波日枝神社に出かけてみませんか?

川越城下にあり名将・太田道灌ゆかり仙波日枝神社は、興味深い歴史やトピックスを持つスポットでした。
川越を訪問をする際は、喜多院の参拝と併せて仙波日枝神社にも立ち寄ってみませんか?

記事の訪問日:2023/8/28

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