海なし県・埼玉にも古代には海があったらしいぞ!
そんな痕跡が残る、富士見市の国指定史跡・水子貝塚公園を訪問しました。
ここは公園全体が古代の集落の復元となっており、縄文時代の村や住居の様子を公園内で体感できるスポットです。
展示館・資料館なども充実しており、古代の歴史を大人から子供まで楽しく知ることができますよ!
水子貝塚公園向かいの一風変わった神社の紹介もあります。
目次
水子貝塚公園で縄文時代にタイムスリップ!
富士見市は埼玉県の南西部に位置する市で、さいたま市・川越市・志木市・三芳町・ふじみ野市に隣接した市です。
似た名前のふじみ野市が隣接しており、どっちがどっち?と時に混同しますが。。。
そんな富士見市には、平成27年(2015年)に大規模商業施設・ららぽーと富士見が開業しています。
ららぽーとの中でも3本指に入る規模の施設とのことで、週末を中心に多くの訪問客で賑わってます!
で、そんな富士見市には、ららぽーとのほかに何があるの?と探してみたとろ、国指定史跡の貝塚公園があったんですわ。
貝塚跡って見たことないような。。。とチョイと気になりまして、ららぽーとを素通りしての「水子貝塚公園」への訪問と相成りました。
「水子貝塚公園」 縄文時代の集落を再現
水子貝塚は、縄文時代前期(約5500~6500年前)を代表する貝塚として、昭和44年(1969年)に国の史跡に指定されました。
その後平成に入って、さらに「縄文ふれあい広場・水子貝塚公園」として整備されたそうです。
あらためて貝塚って何だっけ?なんですが、貝塚は、海岸近くに居住した人々が貝を多量に捕食し、投棄した貝殻が層になって堆積・残存したもの、ですね。
ということは、海なし県の埼玉にも昔は海があった!という証になりますねぇ。
「水子貝塚公園」はぱっと見、変哲の無い緑地公園ですが、公園部分は実際にここにあった縄文時代の集落部分にあたるそうなんです。
お~、貝塚跡がポンとあるだけじゃないんですね!
敷地面積は約4万平方メートル。
中央の芝生広場の周囲に園路が巡り、その外側にはさらに縄文の森が復元されているという構成だそう。
芝生広場から少し離れた場所に、竪穴式住居が復元されています。
こちらには「1号復元住居」の看板。
昭和13年(1938年)に水子貝塚の発掘が開始されたが、初めて調査をおこなった実際の場所に住居跡を復元したものだそうだ。
規模は奥行4.7m・幅3.9m・床面積18m2。
4本の主柱を持っており床面は長方形、屋根は寄棟茅葺き屋根。
一見丸っこいフォルムに見えますが、全体的に四角形の形状をした構造になっています。
こちらは2号復元住居。
それぞれの住居内にはヤマトシジミなどの貝層が残っていたそうだ。
歴史博物館などに行くと、中庭にちょこんと竪穴式住居の復元物が1~2棟置かれているのを良く見る。
一方こちらは復元住居単体では無く、集落として復元されているのがミソですな。
竪穴式住居が全部で5棟復元されており、竪穴式住居マニアにはたまらん光景だと思うぞ。
園内にはこ~んな白っぽいプレートが点在してますが、これはこの下に貝塚があることを示しているものだそう。
復元住居と比べると、主役である貝塚跡自体は絵的には正直地味、だな。
ちょっと気になったのが、芝広場と復元物が割かし近い点。
すっげえストライカーが竪穴式住居にシュート決めたりしないか、ちょっと心配になった。
基本的に竪穴式住居は同じような構造だと思われるが、大きさには差があるようですね。
デカいのはやはり大家族用の住居だんでしょうなぁ。
そしてこちらの大きめな15号復元住居は、中まで見学できるという特典付きだ。
小学生の子供たちが入れ替わり入って喜んでいたわ。
地元の子供たちは歴史好きの子供に育つだろうなあ、きっと。
住居内には縄文人の生活ぶりが再現されていた。
この人形がなかなかリアル!
食料確保の釣りに出かける父ちゃんを送り出す、朝の慌ただしい一時の雰囲気が伝わってきます。
(勝手に決めつけてますが。。。)
建物は結構しっかりした造りが伝わってきます。
この15号復元住居からは、埋葬された女性の骨や多くの土器・石器が出土されています。
「水子貝塚展示館」 海が有った時代の住居再現
水子貝塚公園では野外展示見学のみならず「展示館」「資料館」の2つの施設見学ができ、史跡への理解を深められるようになっています。
展示館の中央には、どど~んと不思議な空間が広がってました。
先程15号復元住居の内部を見学しましたが、こちらは発掘調査時の住居跡を複製・再現した実物大の模型だそう。なかなか本格的な展示物ですよ。
おお~、人骨の再現もなかなかリアル!
埋葬された女性や犬の骨の他、たくさんの土器や石器が出土されているそうです。
こちらは15号復元住居内にあった貝塚の断面の復元。
土の層は貝を採らなかった季節にたまったものとのこと。
貝殻総量は約15m3(約5トン) と聞くと結構ありそうだが、期間から逆算し1日あたり約10Kg(約2,000カロリー)貝だけを食べたとすると一人分しか養えない、意外に少ない栄養量とのこと。
他の物からも栄養を取っていた、ってことになるんでしょうね。
当時のこの辺りの縄文時代の立体地形図。
この辺りは武蔵野台地の端に位置して、東半部を占める低地には海があった。
魚や貝などの海の幸を求めて人々が集まり、残した貝塚のひとつが水子貝塚なんですね。
当時は気候の温暖化による海面上昇が発生、 谷沿いに内陸深く海が進入する「縄文海進」と呼ばれる現象があったそうだ。
勉強になりますなあ。
「水子貝塚資料館」 芸術的なムササビ土器!
こちらは資料館では、市内の各遺跡から出土した考古資料が展示されています。
公園内の復元物に加え、これらの充実した施設がタダで見学できるのは凄いな!富士見市。
展示スペースは2部屋でそれほど広くは無いですが、当地の古代の様子を知るには充実している印象です。
豊富な湧水や河川などの自然環境を持つ富士見市は、人類にとっては古代より住み良い環境だったようですね。
台地部を囲むように、市内60か所(!)に及ぶ遺跡が確認されているそうですよ。
ムササビ土器の愛称が付いている獣面把手付土器。
約5000年前に、このような芸術性の高い物が作られていたのには驚き!
生活品というよりアートだよな、これは。
「水宮神社」可愛いカエルが沢山!
水子貝塚公園のすぐ向かいに「水宮(みぬみや)神社」という神社があり、こちらはちょっと変わった神社なので紹介します。
何が?ていうと、写真のようにカエルが神使いなんですね。
こんなにも半端ない沢山のカエルが!
水宮神社は室町時代に、京都聖護院を本山とする寺院としての創建が始まりだそう。
明治時代以降の神仏分離令を機に、天照大神ほか五祭神を祀る神社を名乗るようになった。
通常狛犬が入る位置には、想像通り狛カエルが!
カエルは水宮神社では古くからの伝承により大事にされているようです。
カエルは「旅先から無事かえる」「失くし物がかえる」「若がえる」などとかけられ、願かけにお参りされる人が絶え無いそうだ。
水子貝塚に行かれたら、帰りに立ち寄ってみてはいかが?
水子貝塚公園の詳細情報・アクセス
水子貝塚公園
公式ページ
住所:埼玉県富士見市大字水子2003-1(GoogleMapで開く)
[公園]
休園日:なし
開園時間:4月~9月) 9時~18時、10月~3月) 9時~17時
[展示館・資料館]
休館日:月曜日(祝日を除く)、祝日の翌日(土曜・日曜、祝日を除く)、年末・年始
開館時間:9時~17時
入館料:無料
アクセス:
電車)
・東武東上線「みずほ台駅」から徒歩約15~20分(約1.2km)
・東武東上線「みずほ台駅」東口から 水子貝塚公園経由 富士見市役所行きバス(約5分)
「水子貝塚公園」バス停下車すぐ
・東武東上線「志木駅」東口 から下南畑行き、又は、ららぽーと富士見行きバス(約15分)、「貝塚公園入口」バス停下車、徒歩2分
車)
・駐車場48台
水子貝塚公園に出かけませんか?
海なし県埼玉に、かつて海が有った痕跡である水子貝塚公園を紹介しましたが、いかがでしたか?
縄文人の家族の人形などは、結構リアルでビックリしました!
展示館や資料館も無料の割には充実しているので、埼玉の古代の歴史を体感できる良いスポットだと思いました。
ちょっとでかけてみませんか?
記事の訪問日:2023/2/18
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