千代田区永田町にある「日枝神社」は、徳川家康が江戸城を築城した当時、その城内に鎮座していた神社なんですね。
徳川将軍家から産土神として崇敬を受け、現在も皇城鎮護の神として皇居を守護しています。
日枝神社のたたずまいは実に都会的で、まずは巨大なコンクリートの鳥居にビックリ!
さらに、縁結びや商売繁盛のご利益を持つという、意外な動物の神使いがお出迎え。
そんな日枝神社の歴史と見どころを紹介します。
目次
『皇居を守護する日枝神社』 かつては江戸城を守護
「巨大な山王鳥居」 国会議事堂や皇居も近い
東京千代田区にある「日枝神社(ひえじんじゃ)」。
明治時代から日枝神社の称号を用いていますが、古くは日吉山王社・日吉山王大権現社とも呼ばれていた。
広くは「山王社」と呼ばれ、地元では「山王さん」の名で親しまれます。
鎮座地は、政治の中心地である永田町。
首相官邸のそばにあり、国会議事堂も近い。そして、皇居も。
そんなことで、政界の崇敬者も多いことでしょうなあ。
本日は、地下鉄・溜池山王駅からの訪問。
外堀通りの向かいに、独特の山型を強調した山王鳥居が見えてくる。
ビルを背景に、コンクリート然とした巨大な鳥居がそびえ立つ。
そして、参道の両脇には長いエスカレーター。
今まで参拝した都内の神社の中でも、都会派の印象ナンバーワンの神社ですねえ。
その独特の様相に、ちょっとビックリしています。
エスカレーターは上りと下りで、左右に分かれていた。
階段を登ると、けっこう高い場所ですね。
日枝神社は、標高28mの小高い場所にあります。
神社施設は、昭和に再建されたもの。
鳥居は朱塗りにしてないため、街並みに溶け込んでいる印象。
いかにも表玄関のたたずまいですが、実はこちらは裏参道だったりします。
かつて安藤広重も描いた景勝地・溜池山王
東側のこちらが表参道。
こちらはしっとりとした雰囲気ですね。
正面の急坂は「山王男坂」と呼ばれ、石段の数が53段あります。
けっこう傾斜が急なんですよ!
山王台地と呼ばれるこの辺りは、江戸時代は景勝地でした。
歌川広重の浮世絵にも描かれています。
また、地下鉄の駅名に「溜池山王」の名が残るように、この地には人口の溜池がありました。
これは和歌山藩主・浅野幸長が、川を虎ノ門附近でせき止めて池にしたもの。
上水や江戸城の外堀として、活用されたそうです。
男坂の脇には、傾斜のゆるい女坂もあります。
こちらは車道になっているので、上まで車で登れますよ。
徳川将軍家の産土神
坂を登ったこちらが、正面入口の「神門」。
ここで日枝神社の歴史をふり返ってみましょう。
- 日枝神社の概略年表
- ■ 鎌倉時代初期:秩父重継が居館に奉祀した、山王宮に始まる。
- ■ 文明年間(1469~1486年):太田道灌公が、江戸城築城にあたり川越山王社を勧請。
- ■ 天正18年(1590年):徳川家康公が江戸城を居城とし、城内紅葉山の地に新社殿を造営。
- ■ 徳川2代将軍・秀忠の時代:江戸城大改造の際に、半蔵門外に遷座。
- ■ 明暦3年(1657年):大火により社殿炎上。
溜池を望む景勝の地・星ヶ岡に遷座し現在地に至る。
- ■ 明治時代:明治維新に江戸城は皇居となり、日枝神社は皇城鎮護の神となる。
- ■ 昭和20年(1945年):空襲により国宝の社殿をはじめ、ことごとく焼失。
- ■ 昭和33年(1958年):本殿以下、現在の建物が完成。
徳川将軍家からは産土神(うぶすながみ)として崇敬を受けるなど、ゆかりが深かった。
江戸城から皇居へ移り変わった現在も、皇居を守護する神とされています。
明治時代の元准勅祭神社(じゅんちょくさいしゃ)として、東京十社にも数えらます。
例年6月に開催される日枝神社の「山王祭」は、日本三大祭の一つ。
かつては御神輿の行列が、江戸城内にも入っていました。
徳川3代将軍家光公以来、歴代将軍が上覧拝礼したため、「天下祭」ともいわれます。
山王祭は、江戸三大まつりの一つにも数えられます。
*日本三大祭:京都の祇園祭(八坂神社)・大阪の天神祭(大阪天満宮)・山王祭
*江戸三大祭:神田祭(神田神社)・深川祭(富岡八幡宮)・山王祭
神門は随身門(ずいじんもん)になっており、両側に守護神として随身像が納められてます。
門をくぐって境内側に回ると、「皇城鎮護」の扁額。
そして、境内側にも随身像が。。。、おっと、こちらは猿ですね!
実は日枝神社では、猿が御祭神の使いとされています。
猿は「神猿(まさる)」と呼ばれ敬われています。
その読みから、「勝る(まさる)」「魔が去る(まがさる)」ご利益を持つとされる。
勝運や魔除けの神として、置かれたそうなんですよ。
また、音読みの「えん」から、猿が「縁(えん)」を運ぶともいわれます。
縁結びや商売繁盛の祈願をする方も多いそうだ。
そう考えると、猿は何かと語呂の良い動物ですなあ。
比叡山の山の神を勧請、猿が神使い!?
社殿の屋根の色は、わずかに緑が入った鮮やかな青色。
とても綺麗で明るい印象です。
主祭神は大山咋神(おおやまくいのかみ)。
相殿神に、国常立神(くにのとこたちのかみ)・伊弉冉神(いざなみのかみ)、足仲彦尊(たらしなかつひこのみこと)が祀られています。
日枝神社は、滋賀県大津の比叡山麓にある日吉大社が総本山。
大山咋神は比叡山に座する、山の神とされます。
その神徳は広大な範囲におよぶといわれ、山王権現とも呼ばれます。
比叡山の名も、日枝(ひえ)の山の名からきているらしいです。
社殿両脇を固める神使も、やはり狛犬ではなく猿像でした。
向って右手の父親の猿からは、商売繁昌・社運隆昌・厄難消除のご利益が頂けるそう。
左手の母親の猿像は、家内安全・子授け・安産などのご利益を持つといわれます。
本殿の前の貫録ある銅製燈籠は、江戸時代の万治2年(1659年)の奉納品。
焼失せず残っている江戸時代の奉納物は希少。
徳川将軍家によって奉納された可能性が高い、とされます。
境内の藤棚には、ノダフジと呼ばれる藤が植えられています。
春に開花して花が全て散った後、初夏にもう一度花を咲かせることがあるそうだ。
珍しいですね!これも山王さんのお力によるもの、なんですかね~。
境内は小高い場所なので、周囲の高いビルだけが見える都会的な景観。
それでいて緑と静けさを感じる、落ち着いた境内ですよ。
「山王稲荷神社・八坂神社・猿田彦神社」
北側には、末社である山王稲荷神社・八坂神社・猿田彦神社が鎮座。
八坂神社と猿田彦神社は相殿です。
左が山王稲荷神社で、右の祠は八坂神社・猿田彦神社。
山王稲荷神社本殿は空襲を受けた際、校倉とともに戦災を免れた唯一の社。
本社の復興期間には、日枝神社の仮本殿として用いられたそうです。
戦災を免れた山王稲荷神からは、除難や長寿のご利益を頂けそうですね!
西側には日枝神社とは別口の、山王稲荷神社用の参道があります。
小さな鳥居が続く人気の参道なので、行かれたら是非歩いてみて下さい。
「宝物殿」 太田道灌像が出迎え
宝物殿には貴重な資料展示があるので、参拝時は是非立ち寄りたい。
入館すると「江戸の始まりはわしじゃ!」とばかりに、太田道灌像がお出迎え。
徳川初代将軍家康公、2代将軍秀忠公、3代将軍家光公、それぞれの朱印状などがあり貴重!
入場が無料なのもウレシイ!
日枝神社の御朱印
皇城之鎮が入った御朱印を頂きました。
ちなみに、御朱印待ちの番号札が金属でできており、ズッシリと重い。
記念に持って帰りたいぐらい、ゴージャスな番号札でした。
日枝神社の詳細情報・アクセス
日枝神社
公式ページ
住所:東京都千代田区永田町2丁目10-5(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・地下鉄千代田線「赤坂駅」出口2より、徒歩3分
・地下鉄南北線・銀座線「溜池山王駅」出口7より、徒歩3分
・地下鉄千代田線「国会議事堂前駅」出口5より、徒歩5分
・地下鉄銀座線・丸の内線「赤坂見附駅」出口11より、徒歩8分
車)
・首都高速「霞ヶ関IC」より5分
・駐車場有り
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日枝神社参拝に出かけませんか?
日枝神社を紹介しましたが、いかがでしたか?
歴史の深さを持った神社であるとともに、東京の中心地にある神社らしく、都会的で現代的な新しさを持っており、とても新鮮に感じました。
次回は、山王祭や藤の花の季節などに出かけてみたくなりました。
日枝神社に参拝にでかけませんか?
記事の訪問日:2022/6/4
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