小江戸川越の町を歩いていると、蔵造りの町並みとは少し違った、親しみやすい雰囲気の神社に出会います。それが連雀町に鎮座する川越熊野神社です。
現在は開運・縁結び・厄除けの神として知られ、銭洗い弁財天や足踏み健康ロードなどの見どころのある楽しい神社。
けれども、その歴史をたどると、起源は戦国時代末期までさかのぼり、かつては蓮馨寺と一体となった神仏習合の信仰空間でした。
今回は、境内の開運スポットだけでなく、蓮馨寺や連雀町との関係にも注目しながら、その歴史を歩いてみます。
目次
紀州熊野から1590年に勧請された、川越熊野神社を歩く
川越熊野神社は大正浪漫夢通りの一角に鎮座

川越熊野神社は、川越市連雀町に鎮座する神社。
蔵造りの町並みで知られる一番街からも近く、大正浪漫夢通りの周辺を歩く歴史散策の途中に立ち寄りやすい立地にあります。
川越観光の中心にも程近い場所にありながら、幹線道から一つ外れた神社へと続く道は静か。
周辺には蓮馨寺(れんけいじ)や立門前通りなど、かつての門前町の雰囲気も残っています。
もともとは蓮馨寺と一体だった川越熊野神社

江戸時代中期のものとされる石鳥居
一の鳥居の手前からでも、活気のある境内の雰囲気が伝ってきますね!
川越熊野神社の起源は、戦国時代から近世へ移り変わる時期の天正18年(1590年)、蓮馨寺二世の然誉文応僧正(ねんよぶんおうそうじょう)が、紀州熊野(和歌山県)から熊野大神を勧請したことに始まると伝わるもの。
蓮馨寺は西側の通りを隔てた、川越熊野神社の向かいにある寺院です。
小田北条氏が川越城を支配していた戦国時代に、城主・大道寺政繁の母・蓮馨が開基。大道寺政繁の甥にあたる感誉存貞(かんよぞんてい)上人が開山しました。
江戸時代以前は熊野神社は蓮馨寺とで、神仏習合のもと、一体的な信仰空間を形成していたわけです。
蓮馨寺もあわせて参拝すると、歴史散策としての深みが増すのでおすすですよ。
熊野本宮大社とは?
和歌山県田辺市に鎮座し、全国約4,700社ある熊野神社の総本宮です。
熊野速玉大社・熊野那智大社とともに熊野三山を構成し、古来より「熊野詣」の中心地として人々の信仰を集めてきました。
現在は「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されており、杉木立に囲まれた厳かで清々しい雰囲気が特徴です。
川越熊野神社の御祭神と八咫烏について知る
八咫烏|熊野信仰のシンボルは導きの神

訪問時は秋詣のシーズンで、参道に「八咫烏(やたがらす)鈴の輪くぐり」が設置されていました。いわゆる茅の輪くぐりですね。
”日頃の罪穢を清め祓え、導きの神である八咫烏様の御利益を頂ける”とあるので、やってみますか。
輪を八の字まわりで三度くぐり抜けるものですが、ちょっと苦手だったりします。何回まわったっけ?とか言いつつ、なんとか終了(苦笑)。

ところで、鈴の輪くぐりの名にもなっている八咫烏ですが、社紋にも用いられており、境内の至るところでそのイラストを見掛けます。
八咫烏は神武天皇を熊野から大和へと導いた、「導きの神」として信仰されてきました。
熊野大社における八咫烏の伝説
いにしえの古代に、日本を建国した神武天皇が熊野の山中で迷われた。その際に八咫烏が大和の橿原まで道案内した、とされます。
太陽の化身とされ、天・地・人を表す3本の足を持つ八咫烏は、古来より導きの神様としての信仰を受けてます。
川越熊野神社でも八咫烏は、人生の道を良い方向へ導く存在として紹介されています。

参道を進んだ先にある拝殿
ところで八咫烏って、どこかで見たことがある気がしませんか?そう、日本サッカー協会のマークにも使われています。
そこには「ボールをゴールに導くように」、との願いが込められているそうですよ。
川越熊野神社の夫婦神から、縁結びの御神徳を頂く
伊弉諾命・伊弉册命など熊野大神を祀る
現在の社殿は、明治時代に移転してきた際に建てられたものです。

地元では昔より、”おくまんさま”の愛称で親しまれてきた川越熊野神社。
御祭神には、熊野大神として伊弉諾命(いざなぎのみこ)、伊弉册命(いざなみのみこと)、事解之男命(ことさかのをのみこと)、速玉之男命(はやたまのおのみこと)の四柱が祀られています。

祭神のなかでも伊弉諾命と伊弉册命は、日本神話に登場する夫婦神として知られ、現在の「縁結び」の信仰にもつながっているんですね。
神社や神々の歴史を知ったうえで参拝すれば、「開運・縁結び」という現在の信仰への深みも増してきます。

おっ、賽銭がスマホ対応されている!これは進歩的ですね。

拝殿手前の前髪と尾がカールしたタイプの狛犬も、明治時代の奉納品でした。

可愛らしい干支の絵馬があったのでパチリ。
川越熊野神社の境内をめぐる。銭洗い・撫で蛇・足踏み健康ロード
実は川越熊野神社の境内には開運スポットが豊富。時間をとって、ゆっくり境内をめぐることをおすすめしたい。
厳島神社|銭洗弁財天で開運!

境内社の「厳島神社」は、明治時代に加祐稲荷神社、秋葉神社とともに、蓮馨寺境内から移ってきました。
御祭神は市杵島姫命で、現在は「銭洗弁財天」としても親しまれています。お金を洗うと増えるというアレですね。
毎月第3日曜日には「銭洗弁財天縁日」もおこなわれており、こうした信仰や参拝文化に触れられるのも、川越熊野神社の魅力です。

厳島神社の境内を進むと、銭洗弁天財の手前にいらっしゃるのが「撫で蛇様」。
願いをこめて左右両方の白蛇様を撫でると御利益が得られるらしい。
ちなみに、触る箇所によって御利益が変わるらしく、
■頭:学業成就・合格祈願
■巻物:芸事上達・知恵
■体:身体健康・病気治癒、
■卵:金運・商売繁盛・出世開運・安産子宝、
■二匹同時:良縁・夫婦円満・家内安全
とのこと。
しかし、なんだかオドロオドロしい雰囲気だなあ。。。

撫で蛇様に近寄ってみたら、あらま、ニッコリと愛らしい感じの蛇神様でした。ほっ!
で、どこを触ったかというと、前身くまなく、至る所を触らせて頂きましたよ(笑)。

お詣りが済んだら、次に「銭洗弁天財」へ。
金銭をザルに入れ柄杓で御神水をかけるか、ザルを直接宝池に入れるかにて清めます。
効き目が良さそうな後者にて、少し強めに銭洗いしておきました。これで金運対策もバッチリ。
加祐稲荷神社|運試し輪投げで運試しにチャレンジ!

次に「加祐稲荷神社(かゆういなりじんじゃ) 」へ。
御祭神である倉稲魂命(うかのみたまのみこと)は、食物(稲)や願いの実りを助けて下さる福の神です。

ユニークなのが、こちらにお詣りすると「運試し輪投げ」にチャレンジできるというもの。
輪を3つ持ってロープの外で成就したい運気の前に立ち、気持ちをこめて投げますよ、えいやっ!
運よく健康運に一個入りました、やった!
本日は健康で小金持ちになれそうな運気が頂けた気分で、大変満足です(笑)。
大鷲神社|例年12月3日に酉の市を開催

大鷲神社
「大鷲神社」は大正11年(1922年)に、鷲宮神社(現、埼玉県久喜市)の分霊を頂いた神社。
御祭神の天之鳥船命(あめのとりふねのみこと)は”おとりさま”と呼ばれる、家内安全・商売繁盛の守護神です。
例年12月3日には「酉の市」が開催され、稲穂付きの熊手や百万両小判を授かりに、毎年多くの人々でにぎわいます。
\ 鷲宮神社についての詳細はこちら!/
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秋葉神社と元杢網の歌碑|秋葉神社は川越藩主が創建

秋葉神社
「秋葉神社」は第10代川越藩主・秋元喬房(たかふさ)により、享保8年(1723年)に創建されたもの。
通称”あきはさま”と呼ばれる御祭神の火之迦具土命(ひのかぐつちのみこと)は、火防・火伏せの神様。城内における火伏への願いが込められていたのでしょうね。

元杢網の歌碑
こちらは大鷲神社の傍にある「元杢網(もくあみ)の歌碑」。
江戸時代の狂歌師である落栗庵元杢網(らくりつあんもとのもくあみ)が、蓮馨寺境内の桜について詠った歌碑です。
むすびの庭|小さな森で八咫烏様のお言葉を頂く

社殿の裏手には「むすびの庭」と称する、ちょっと不思議な雰囲気の小さな森がありますね。

親切に参拝マニュアルまでありますよ。どれどれ。。。
■鳥居をくぐり、左右どちらかの御神木を大きく回って正面祭壇に向かう。
■お賽銭を入れてお詣りし、神恩感謝・開運・縁結びのいずれかのガラス玉に手をのせる。
■するとあら不思議、八咫烏様からの一言が頂ける。
八咫烏様の声が聞こえるわけないでしょ、またまた~、という感じで試してみたら、なんとホントに八咫烏様の声が聞こえてきました!
「しばらく我慢すれば。。。」とか、あまり良い話には聞こえませんでしたが。。。
私は一人で参拝しましたが、カップル編もあるのが面白いところ。
ユニークな足ツボ健康や手相鑑定まで!?

境内の開運スポット編はまだ続き、こちらは「水みくじ」というもの。
社務所で購入したおみくじをこちらの水に浸すと、あら不思議、図柄と文字が浮かんできます。
水おみくじ自体は珍しくないですが、さらに「凶がでた方は社務所にて、八咫烏御守を進呈します」とあるのには、う~む、アフターサービス充実に驚かされます。

おみくじの種類も豊富。恋みくじをはじめ血液型別など、よりどりみどり。

そして開運は健康から!ということで、入口付近には「足踏み健康ロード」もある。
靴を脱いで歩きますが、イタタタ、かなり効きましたわ。

そして極めつけは、なんと、さまざまな開運指南を頂ける指南士が駐在していること(有料)。
結婚運・恋愛運・健康運・仕事運・金運など、もろもろの相談ができるとのこと。
ここまでする!?という川越熊野神社の開運神対応に、本日は驚かされました。
川越熊野神社の御朱印|八咫烏の朱印入りのもの

参拝を終えた後、社務所で御朱印を頂きました。
すぐ目の前で書いて頂けるのって、結構珍しい気がします。

力強い書体と八咫烏と秋詣の判も鮮やかな、素敵な御朱印でした。
神社に参拝に行くと、神々についてや神社施設の呼び名・役割について知りたいけど、聞ける相手もいない!
ってことありません?そんな時、網羅範囲が広い本書は結構頼もしいですよ!
タモリさんならではの視点で、川越の歴史が解き明かされてゆきます。
読めば出かけてみたくなるはず!
川越熊野神社へのアクセスと立寄りスポット
川越熊野神社へのアクセス
川越 熊野神社
公式サイト
住所:埼玉県川越市連雀町17-1(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・西武新宿線「本川越駅」を出て、中央通りを北へ徒歩約5分。連雀町交差点を渡り、右手に川越熊野神社の看板が見えます。
車)
・関越自動車道「川越IC」から5km。
・駐車場無し。
観光向け巡回バスについて
市内では、川越駅(JR・東武東上線)を出発地とする観光向け巡回バスが2路線運行されています。
いずれも主要な観光スポットを経由します。
休日は市内の道路や駐車場は混雑しますので、巡回バスは効率良く巡るのに便利ですよ。
■小江戸巡回バス(イーグルバス株式会社) 公式サイト
■小江戸名所めぐりバス(東武バスウエスト株式会社) 公式サイト
川越ランチは、事前予約やクーポン利用で快適でお得に!!
おすすめ立寄りスポット
蓮馨寺

もともと境内に川越熊野神社があったゆかりの寺院です。
神社の裏手の通りを一つ隔てた場所なので、立ち寄ってみましょう。
参拝者向けの無料駐車があります。
公式サイト
住所:埼玉県川越市連雀町7-1(GoogleMapで開く)
小江戸蔵里

神社東側正面の道を南に400mほど歩いた場所にある、川越市産業観光館です。
明治時代の酒造を改修した耐建物で、おみやげ処(明治蔵)、まかない処(大正蔵)、ききざけ処(昭和蔵)の3つの蔵と、つどい処(展示蔵)で構成されています。
食事やお土産の物色を兼ねての立ち寄りにオススメ。
公式サイト
住所:埼玉県川越市新富町1-10-1 (GoogleMapで開く)
川越城 本丸御殿
現存の本丸御殿が残る城は、実は全国で川越城と高知城しかないので貴重。建物内部の見学もできます。
本丸御殿周辺にある、川越城ゆかりのスポットをめぐるのもおすすめです。
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住所:埼玉県川越市郭町2丁目13番地1(GoogleMapで開く)
電車)
・西武鉄道「本川越駅」東口から徒歩約25分・約2km
・東武鉄道「川越市駅」から徒歩約30分・約2.4km
・東武鉄道・JR「川越駅」東口から徒歩約35分・約2.8km
・「本川越駅・川越市駅・川越駅」からイーグルバス・小江戸巡回バス乗車、「博物館・美術館前」下車、徒歩約1~2分
・「川越駅」東口から市内循環バス「川越シャトル」乗車、「博物館前」下車、徒歩約1~2分
車)
・最寄り高速道路ICは関越道「川越IC」
・駐車場あり
川越氷川神社
約1500年前に創建されたと伝わる古社。
夫婦の神様が2組も祀られており、夫婦円満・縁結びの神様として人気の神社です。
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住所:埼玉県川越市宮下町2-11-3(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR、東武東上線「川越駅」・西武新宿線「本川越駅」からバス利用。
東武バス上尾駅西口行きほか(埼玉医大経由)で「宮下町」下車1分、又は、東武バス神明町車庫行きほか(蔵のまち経由)「喜多町」下車徒歩5分、又は、小江戸巡回バス「氷川神社前」下車徒歩0分、又は、小江戸名所めぐりバス「宮下町」下車徒歩0分
車)
・関越自動車道「川越IC」から車で20分
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蓮馨寺と一緒に歩けば、川越熊野神社の歴史が見えてくる
川越熊野神社は、銭洗い弁財天や足踏み健康ロードなど、気軽に楽しめる見どころが多い神社です。一方で、その成り立ちをたどると、1590年の熊野勧請、蓮馨寺との神仏習合、明治の神仏分離、そして連雀町の門前町としての発展という、川越の歴史そのものに触れることができます。
参拝だけで終わらせず、道路を挟んだ蓮馨寺や大正浪漫夢通り、立門前通りまで足を延ばしてみるのがおすすめです。
現在の町並みの中に残る寺社や通りをつないで歩けば、観光地としての川越とは少し違った、歴史の積み重なりを感じる散策になるでしょう。
記事の訪問日:2021/9/26




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