群馬県富岡市にある世界遺産「富岡製糸場」は、明治時代の工場施設群が綺麗に残っている点で大変貴重。
ですが、富岡製糸場が凄い施設だったことは、日本の産業の近代化を支えたその歴史を紐解いて行くとその貴重な存在だったことが更に分かってきます。
国宝にも指定されている貴重な建造物を中心にめぐりながら、その歴史をたどります。
目次
日本の歴史に大貢献!「富岡製糸場」を見学
世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」とは?
「富岡製糸場と絹産業遺産群」は、平成26年(2014年)にユネスコの世界遺産に登録されました。
これは蚕(かいこ)の繭(まゆ)から生産する生糸を大量生産するためにおこなわれた、技術革新に関する文化遺跡群です。
- 世界遺産は下記の4つで構成されています。
- ■ 富岡製糸場(富岡市):製糸を行う工場
- ■ 田島弥平旧宅(伊勢崎市):蚕の飼育法を大成した田島弥平氏の住居兼蚕室
- ■ 高山社跡(藤岡市):全国標準の養蚕法を確立した教育機関
- ■ 荒船風穴(下仁田町):岩の隙間からの冷気を利用した蚕の卵の貯蔵施設
今回は構成の中心となる「富岡製糸場」を訪問。
これらの遺産がなぜ世界遺産になる程凄い施設なのか?見学しながら、その歴史を紐解いてゆきます。
上州富岡駅から「まちなか周遊観光バス」も
富岡製糸場の最寄り駅は上信電鉄「上州富岡駅」。
高崎駅からの乗車時間約40分です。
上州時岡駅から製糸場までの距離は約1kmです。
駅からぶらっと歩くのも良いですし、駅東駐車場を起点に運行されている「まちなか周遊観光バス」を利用するのもオススメ。
車内ではボランティアの方が、街中の見どころ案内をしてくれますよ!
車の場合、富岡製糸場近辺にも駐車場がありますが、時間があれば富岡駅東駐車場がオススメ。
何故か?無料駐車場なのでお得なんで!
まちなか周遊観光バス
運行時間:9時~16時 1便:富岡駅東駐車場 9時発車、以降約40分ごとに1便(1日10便を予定)
所要時間:約40分(街中一周)
ルート:
往路:富岡駅東駐車場(発)- 上州富岡駅前 – 宮本町まちなか交流館 – 富岡製糸場(旧韮塚製糸場)前
復路:富岡製糸場(旧韮塚製糸場)前 – 銀座まちなか交流館 – 宮本町まちなか交流館 – 上州富岡駅前-富岡駅東駐車場(着) ※上記停留所以外での乗り降りも可能です。 ※ガイド料のご協力をお願いします。
「世界遺産センター」 上州富岡駅前
駅前には立派なレンガ建ての「群馬県立世界遺産センター」があります。
世界遺産・富岡製糸場と絹産業遺産群のガイダンス施設で、全体像を知るのに良い施設ですよ。
入場無料なんで、行き帰りに寄ってみると良いと思います。
群馬県立世界遺産センター
公式ページ
住所:群馬県富岡市富岡1450-1 (GoogleMapで開く)
開館時間:9時~17時
休館日:3~11月:毎月最終水曜日、12~2月:毎週水曜日(※祝日の場合は翌日)、12月29日~12月31日、その他臨時休館あり
「お富ちゃん家」 観光案内所
製糸場に近づいてくると徐々に、観光スポット的な雰囲気になってきますね。
食べ歩きできるものを売っている店もあります。
まちなか観光物産館「お富ちゃん家(ち)」に寄って、観光や街歩きの情報を入手しました。
ちなみにお富ちゃんの年齢はずっと14歳だそうだ。
ずっと若くて羨ましいですなぁ。
まちなか観光物産館「お富ちゃん家(ち)」
住所:群馬県富岡市富岡1151-1(GoogleMapで開く)
観光案内所:9:00~17:00、物産展示販売所:8:30~17:30
※電動アシスト自転車の無料貸し出しもあり
「明治の官営工場だった富岡製糸場」
程なく富岡製糸場に到着。
世界遺産がある観光地のイメージからすると。。。、正面の通りはやや大人し目の感じかな。
富岡製糸場は、明治5年(1872年)に明治政府が器械製糸技術を国内に広めるために設立した、官営の模範製糸場です。
明治時代の建物が、当時の姿のまま残っているのは大変貴重!
建築当時ヨーロッパで蚕の伝染病が流行り、日本産生糸の需要が急増。
生糸は日本の輸出品の大半を占める大変重要なものとなります。
それにより高品質で大量生産できる工場が必要とされました。
- 模範工場設立の際の、基本方針は下記の3点でした。
- (1)洋式の製糸技術の導入。
- (2)外国人を指導者とする。
- (3)全国から工女を募集。
- *伝習後の工女は地元へ戻り器械製糸の指導者となります。
そこで、器械製糸の先進国フランス人技術者ポール・ブリュナを招き、従来の手作業に代わる洋式の器械製糸技術を導入した製糸工場が富岡に設立されます。
これにより、明治42年(1909年)に日本は世界最大の生糸輸出国となります。
以降、生糸は70年以上にわたり最大の輸出品となったんですね。
なるほど!
開国後の日本の産業において、近代化による重要なターニングポイントを作った工場だったんですね!
ガイドツアーの活用も
公開されている場所は自由に見学できますが、解説員による有料のガイドツアーに参加するのも良さそうですよ。
有料といっても大人200円ですからね。
ガイドさんがエピソードを挟みながら紹介してくれるのは、楽しくてわかりやすいはず!
時間が決まっているので、その点注意。
本日は時間が合わずツアーに参加できませんでした。
【各種ガイドサービス】
解説員によるガイドツアー(有料)
概要:解説員による解説がつく40分程度のガイドツアー
料金:大人200円、中学生以下100円
スタート時間:午前:9時30分/10時30分/11時30分、午後は13時/14時/15時 。(時間割はお出かけ前に最新の情報でご確認下さい。)
音声ガイド機貸出(有料) 料金:200円
音声ガイダンス情報(無料) ※ご自身のスマートフォン等を使って、見学場所の音声ガイダンス情報を聞くサービス
「東置繭所」 国宝指定の建物
ではチケットを購入して入場します。
入場すると正面にあるのが、富岡製糸場のシンボル的な建物「東置繭所(ひがしおきまゆじょ)」です。
東置繭所は国宝指定の建造物になります。
主に繭を貯蔵していた建物で、長さおよそ104mにもおよぶ巨大な繭倉庫。
2階は乾燥させた繭を貯蔵する場所で、1階は事務所・作業場として使われました。
倉庫1棟には、最大32トンもの繭の貯蔵が可能との事。
凄い量ですね!
現在1階部分は、展示室・売店・シルクギャラリーになっています。
特徴的なレンガ造りの外観ですが、構造は木造の骨組みにレンガを積み立てる「木骨レンガ式」という手法。
一方、屋根は日本瓦を敷きレンガは漆喰で積むなど、和洋折衷の建築方式であるのが時代ならではの面白いところ。
建物には扉状の窓が大量に付いているのが特徴的ですね。
なんだろう?と思いましたが、これは繭にカビなどが発生しないよう、通気性を確保するための扉だそうですよ。
裏手の階段で2階に上がり、貯蔵庫内部をのぞけるので上がってみます。
広々した空間の壁側に、外側からも見えた沢山の窓があるのがわかります。
入口側から全体を眺める感じで、部屋の中へは入れません。
「西置繭所」 内部を整備中
「西置繭所」も東置繭所同様、主として2階を繭の貯蔵庫として使用されました。
こちらも国宝指定されています。
現在は保存修理工事中につき外観のみ見学可能でした。
内部は令和2年(2020年)10月に公開開始予定。
1階部分に多目的ホールが設置され、一般公開される予定。
国宝の建築物がどのように活用されてゆくのか、注目ですね!
「繰糸所」 自然光で明るい工場
「繰糸所(そうしじょ)」は、繭から生糸(きいと)を取る作業が行われていた工場です。
こちらの建物も国宝となっています。
生糸とは、繭を熱湯で処理し接着を緩めて糸を引き出し、その何本かをより合わせて1本の糸にしたもの。
この工程作業のことを繰糸といいます。
蚕が吐糸する長さは約1,500mにも及ぶそうですよ!
創業当初はフランス式の繰糸器300釜が設置され、工女達により繰糸の作業が行われました。
工女は明治6年から明治17年の間に、32道府県から延べ3,509名が入場したそうです。
現在公開されている「繰糸所」では、昭和41年(1966年)以降に設置された自動繰糸機が保存されています。
この機械により、少数の職人だけで生糸生産が可能になりました。
工場内部は柱が無く広々した空間で、建物内に自然光がたっぷり注ぎ込んでいます。
これはトラス構造と呼ばれる建築方式。
三角形を組み合わせた骨組の構造梁に直接力がかからないため、柱と柱の間隔を大きく取れるのが構造上の特徴です。
こちらは設立当所導入されていたフランス式繰糸機の復元機。
東置繭所の1階で展示されています。
「鉄水溜・ブリュナエンジン」
野外にある「鉄水溜(てつすいりゅう)」は、貯水施設。
製糸の工程では大量の水が必要で、 日本で現存する鉄製構造物としては最古級のものだそうです。
こちらは、国指定重要文化財です。
ポール・ブリュナがフランスから輸入。
富岡製糸場が創業した1872年から約50年間繰糸機の動力源として使われた、エンジンの復元機(レプリカ)。
実物は愛知県の博物館明治村に展示されているそうですよ。
「ブリュナ館・寄宿舎」 発展に貢献した人々
「首長館(ブリュナ館)」は、工場立ち上げのために5年間雇い入れられたポール・ブリュナとその家族住んでいた家。
南の陽当りの良い場所に建てられ周囲にベランダをめぐらし、窓には板戸が取り付けられた開放的な造りです。
ブリュナが去った後は、工女たちの読み書きやそろばん、裁縫や行儀作法などの学び舎として使用された。
そしてこの工場の主役の一つであったのが、全国から集まった工女達です。
相当過酷な労働条件だったのでは?と思われがちですが、イギリスやフランスにならい週休制の10時間労働制が採用されました。
敷地内に無料の診療所が設置されているなど、福利厚生も充実。
当時最先端のホワイト企業だったようで、ホッとしました!
こちらは昭和15年(1940年)に建築された「寄宿舎」。
妙義寮と浅間寮の2棟があります。
木造2階建てで、長さ55m・幅7.3mの大きな建物。
部屋は1室15畳、1棟16部屋で合計32部屋。
こちらは診療所。
「お蚕様チョコレート」 お土産にいかが?
お土産ですが、強気で攻めるならこの「お蚕様チョコレート」がインパクト大。
しかし、リアルすぎないかい?(苦笑)
無難なお土産なら「繭ぱふとこぼれ繭石鹸セット」などが女性には喜ばれるかもです。
その他500~1000円くらいの繭石鹸とか、リーズナブルなものが色々ありますよ。
富岡製糸場の詳細情報・アクセス
富岡製糸場
公式ページ
住所:群馬県富岡市富岡1-1(GoogleMapで開く)
入場料:大人:1,000円、高校・大学生(要学生証):250円、小・中学生:150円
アクセス:
電車)高崎駅にて上信電鉄へ乗り換え、上州富岡駅下車
車)最寄りのIC:上信越自動車道 富岡IC
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俳優・鈴木亮平さんが、世界遺産旅に想いをめぐらせ挿絵を描き下ろし。実際に行っていないのに(笑)。
妄想爆発で書き下ろした前代未聞の楽しい旅行記。
富岡製糸場へ出かけてみませんか?
富岡製糸場はいかがでしたか?
生糸製造の発展を通して、長らく鎖国してた日本の産業に大きな貢献をした、歴史上大変重要な工場だったことを本日は知ることができました。
富岡製糸場の近隣には、ちょっと変わった「こんにゃくパーク」や、日本三大奇勝の1つ「妙義山」など、見どころ遊びどころも沢山あります。
それらとあわせて、世界遺産・富岡製糸場の訪問に出かけませんか?
記事の訪問日:2020/8/7
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