東京都文京区にある「白山神社」は、平安時代に建立された歴史の古い神社です。
江戸時代には徳川将軍家とも深い繋がりを持ち、また、明治時代になると明治天皇が制定した准勅祭社の一社に定められました。
そんな白山神社で行われる 「文京あじさいまつり」は、梅雨の季節の風物詩。20種類3千株のあじさいの花が楽しめるスポットとして人気です。
そんな白山神社の見どころと、文京あじさいまつりの様子を紹介します。
目次
東京十社「白山神社」で”あじさい祭り”を楽しむ

江戸時代から明治時代に変わり、明治天皇が東京にお移りになった際、東京の鎮護を祈るための「准勅祭社」が定められました。
文京区にある白山(はくさん)神社は、その准勅祭社の一社に定められた由緒のある神社です。
現在は准勅祭社という制度はありませんが、元准勅祭社として「東京十社」の一つに数えられています。
そんな白山神社で開催されるのが、文京区の花の五大まつりの一つ「文京あじさいまつり」。毎年6月頃に開催されており、梅雨の季節の風物詩として人気を集めているイベントです。
文京花の五大まつり
■文京さくらまつり(毎年3月下旬~4月上旬頃) - 会場:播磨坂さくら並木 –
■文京つつじまつり(毎年4月~5月頃) - 会場:根津神社 –
■文京あじさいまつり(毎年6月頃) - 会場:白山神社 –
■文京菊まつり(毎年11月頃) - 会場:湯島天満宮 –
■文京梅まつり(毎年2月頃) - 会場:湯島天満宮 –
それぞれの季節を感じられる花まつりがある文京区って、素敵ですねえ。
2022年度の文京あじさいまつり開催日に、白山神社に参拝に出かけました。神社の歴史や見どころ、そして、あじさいまつりの模様をお届します。
\ 根津神社の文京つつじ祭りの模様はこちらで! /
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久々のあじさいまつりで賑わう参道

最寄りの地下鉄三田線の白山駅から参道へ。参道は随分と賑わっていますねえ~。

新型コロナの影響で、文京あじさいまつりの開催は2020年・2021年と連続して中止になっています。久々の開催ということで、皆さん、楽しみに足を運んできているわけですね!

境内入口の階段は軽く渋滞。入場時には検温が実施されていました。
「白山神社」 徳川5代将軍家綱と桂昌院より厚い帰依を受けた

拝殿
にぎやかな境内に目移りしますが、まずは参拝に向かいます。拝殿も行列ができてますねえ。

列から眺める拝殿脇の狛犬。両目が金色に塗られているのが特徴的ですね。こちらの阿形の狛犬は、口の中も朱色で塗られていた。
さらに頭には丸餅みたいな、もとい、宝物の玉らしきツノが生えていました。

左側の狛犬に付いていたのは、角ばったツノだった。
あとで台座を見たところ、安永9年(1780年)に奉納されたものでした。

拝殿
白山神社はそれほど大きな神社ではないですが、実は江戸時代には幕府とも密接に関わりがあった神社なんです。その由緒を振り返ってみましょう。
白山神社 由緒概要
■天暦2年(948年):平安時代、加賀一宮・白山神社を現・本郷元町に勧請。
■元和2年(1616年):徳川2代将軍・秀忠の命で巣鴨原(現・小石川植物園内)へ遷座。
■明暦元年(1655年):後に徳川5代将軍・家綱となる館林藩藩主の屋敷造営のため、再度現在地に遷座しました。屋敷は白山神社の跡地に建ったことから「白山御殿」と呼ばれた。
これらの縁で家綱と家綱の生母・桂昌院(けいしょういん)より厚い帰依を受けます。
■元禄16年(1703年):小石川周辺よりの出火により、本社を始め宝庫・祭具残らず類焼。
■享保3年(1719年):上記の後再建されるも再び火災にあう。
■明治32年(1899年):拝殿建設。
■昭和8年(1933年):改修に伴い正遷座大祭を施行。
文京区は多くの大名屋敷があった地域なので、白山神社もそれと関係して鎮座地が転々としたようですね。
白山神社には虫歯を鎮めるご利益がある!?

本殿
白山神社の総本宮は石川県白山市にあり、霊峰白山を御神体として古くから農漁業の守護、縁結びの神として良く知られています。
御祭神は菊理姫命(くくりひめのみこと)・ 伊弉諾命(いざなきのみこと)・伊弉冊命(いざなみのみこと)の御三神です。
案内板によると、当社には以下のようなご利益があるそうです。
●御祭神により、縁結び・商談成立・商売繁昌・受験・家内安全その他、広義の仲介が成される。
●航海安全をお守り下さるため、近年は海外旅行者に人気。
●霊峰白山に起源する「水の神」「農耕の神」でもあり、火防の神としてお守り下さる。
●御本宮(加賀一の宮)の修験者の一人が荒業に耐え成し遂げたと伝えられる、むし歯(特に痛みを鎮める)に関するもの。

拝殿の彫刻
んっ?虫歯を鎮めるご利益って珍しいですね。「歯ブラシ供養の神社」ともいわれているらしいですよ。
その由緒は?と色々調べてみたとろ、どうやら白山=歯苦散ということらしいですね。語呂合わせか。。。
中華民国の創始者・孫文と宮崎滔天が語り合った場所

境内入口付近には「孫文先生座石」の碑があります。
明治43年(1910年)、孫文と宮崎滔天(とうてん)がこの石に腰掛けながら、中国の将来や抱負を語り合ったそうです。
孫文は中国の革命家で、中華民国の創始者として知られる人物ですね。宮崎滔天は日本で孫文を支援した革命家です。 意外な人物達の足跡が残っていました。
孫文(1866-1925年)
孫文は中国の革命家・政治家で、「中国革命の父」と称される人物。
清朝を打倒し辛亥革命を経て中華民国を建国、臨時大総統に就任しました。三民主義(民族・民権・民生)を提唱し、中国国民党の基礎を築きました。
生涯を通じて革命運動に身を捧げ、日本とも深い関わりを持った。その思想は、現在も中国と台湾の双方で高く評価されています。
宮崎滔天(1871-1922年)
明治から大正にかけて活躍した日本の社会運動家・アジア主義者。特に中国の革命家・孫文を深く支援し、辛亥革命の成功に尽力しました。
理想主義的な思想を持ち、中国革命を「世界革命の第一歩」と捉え、その実現に情熱を傾けました。革命運動の挫折を経験し、浪曲師として活動した時期もあり、その半生は自著・三十三年の夢に記されています。
「八幡神社」 白山神社の遷座前からの地主神

松尾神社
境内社の「関東松尾神社」は、江戸時代に京都嵐山・松尾大社から勧請されました。
松尾神社といえば、お酒の神様として知られていますよね。いつもお世話になっております(笑)。酒造・酒販売者からの信仰を集めているとのこと。

八幡神社
「八幡神社」は白山神社の遷座前からあった、地主神とのことです。
第38回 文京あじさいまつり(令和4年度)

さて、参拝を終えて本日のお目当てでもある「文京あじさいまつり」です。
文京区観光協会主催の催しで、中央にど~んと設けられた特設ステージや模擬店などで境内はお祭りムード。時世柄、その場で飲食できる店の出店は自粛されてましたが。
でも新型コロナがだいぶ落ち着き、こういったイベント開催がOKになりつつある状況を素直に喜びたいです、はい。
写真背後に顔をのぞかせているビルは東洋大学・白山キャンパスで、東洋大学はあじさいまつりの協賛者でもあります。

ステージでは周辺大学のサークルなどによる、コンサートが開催されていました。
第38回「文京あじさいまつり」概要
期間:令和4年6月11日(土)~6月19日(日) ※このイベントは終了しています。
開催イベント:
■式典
■各種模擬店
■あじさいの鉢植え販売
■お買い物スタンプラリー(地元商店街で同時開催)
■ボッチャを体験してみよう
■バザー
■歯の健康祈願祭
■歯科相談コーナー
歯の健康祈願祭や歯科相談コーナーもありますね!

涼し気な水菓子の模擬店。
「写真撮るだけでも寄ってって~」というのでパチリ。
約20種類3千株の多種多様なあじさい

隣接した白山公園と合わせて、約20種類3千株の多種多様なあじさいを見ることができます。
境内では塀沿いや通路脇などに、植え込みがされていました。

改めて、あじさいの花のご紹介。
あじさいは日本原産の低木です。写真の様なガクアジサイが元々あり、そこから園芸種に発展してゆきました。
周囲の花びらに見える部分は、実はガクと呼ばれる装飾花の部分です。中央の丸っこいのが沢山ある部分が、真花と呼ばれる本当の花部分となります。

ガクアジサイよりも、こういったこん盛りとしたあじさいの方が昔より見慣れている気がします。
これらは日本の品種が海外に持ち出され、品種改良されて逆輸入された西洋あじさいなんですって。ちょっと意外ですね。

こん盛り系の品種は「手まり咲き」と称されるそうです。
園芸種としては、西洋あじさいの方がポピュラーということですね。

そして、あじさいの不思議ワールドといえば、同じ株から違う色の花が咲くこと!
酸性の土壌なら花が青くなり、中性・アルカリ性なら花は赤くなる性質を持っています。
根張りの場所の地質で、同じ株でも花の色が変化するんですって。面白い性質ですよね。

ゴージャス感がある西洋あじさいも良いですが、野草味があり可憐な雰囲気のガクアジサイも良いですよね。
品種名なども紹介したいところですが、品種が記載されたプレートなどはありませんでした。
富士塚に群生するあじさいは見事!

拝殿と社務所をつなぐ軒先を抜けると、白山公園へ通じています。
ちなみにこのスペースは本来通路ではない微妙な高さでして、あじさいに気をとられたオジ様が、バコーン!と音立ててぶつかったのを目撃。大丈夫だったかな。。。
移動時は要注意ポイントだったりします。

抜けた所にある「富士塚」にあじさいが見事に植えられているんですね。ここが本日最大の花盛り&人盛りポイントでした。

起伏のある場所で群生するあじさいは、なかなかの迫力です。華やいだ花模様が楽しめた。

富士塚は富士山に見立てた塚で、富士山を神様として信仰する場所ですね。
こちらは本来あじさいまつりの期間だけ中に入れるのですが、コロナの影響で今年は公開なしとなっていました。残念です。
白山公園に咲くあじさい

神社に隣接する「白山公園」は文京区で最も古い公園とのこと。
明治時代には白山神社の境内を含めて、公園に指定されていました。戦後に分離されて、現在はこじんまりとした公園になっています。

ちょっとしたベンチもあり、のんびり鑑賞できるポイントでした。

公園側の花壇は少し小規模でした。
白山神社の御朱印

参拝後、御朱印を頂きました。書置きのものでした。
神社に参拝に行くと、神々についてや神社施設の呼び名・役割について知りたいけど、聞ける相手もいない!
ってことありません?そんな時、網羅範囲が広い本書は結構頼もしいですよ!
白山神社の詳細情報・アクセス
白山神社
住所:東京都文京区白山5-31-26(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・都営地下鉄三田線「白山駅」より徒歩3分
・東京メトロ南北線「本駒込駅」より徒歩5分
・都バス草63「白山上」より徒歩3分
車)駐車場無し
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東京十社めぐりの紹介
明治時代、明治天皇は東京の鎮護を祈るための神社として、准勅祭神社を定めました。白山神社もそのうちの一社です。
准勅祭神社の制度は後に廃止されましたが、昭和天皇の御即位50年の際、元准勅祭神社による「東京十社めぐり」が設定されました。
専用御朱印帳・ミニ絵馬(各社オリジナル)・大絵馬などが用意されており、楽しく参拝できますのでぜひめぐってみて下さい。
\ 東京十社めぐりの詳細はこちらへ!/
白山神社へ出かけてみませんか?
文京区にある白山神社と、文京あじさいまつりの模様をご紹介しましたが、いかがでしたか?
神社をのんびり参拝するのは楽しいですが、華やいで活気づいている時期の訪問も時には良いものですよね。元気を頂けます!
白山神社に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2022/6/12



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