世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」。
その中でも和歌山県の熊野那智大社に向かう中辺路と呼ばれる熊野古道は、初心者でも歩きやすく見どころも多いです。
江戸時代に整備された石畳の参詣道を、いにしえの昔の参詣者に思いを馳せながら歩けます。
熊野那智大社の御神体である落差日本一の那智滝に出会えるなど、自然のパワーに圧倒される古道を紹介。
目次
『熊野古道 中辺路を歩く!』 熊野那智大社、那智の滝へ
「世界遺産・紀伊山地の霊場について」
最初に、平成16年(2004年)にユネスコの世界遺産に登録された、「紀伊山地の霊場と参詣道」の概要を紹介します。
世界遺産の対象は、和歌山県・奈良県・三重県にかかる広大な紀伊山地全体がその範囲となります。
紀伊山地は太古の昔から自然信仰が行われてきた地域。
そして仏教伝来後は、真言密教をはじめとする山岳修行の場となりました。
その中で「吉野・大峰」「熊野三山」「高野山」と呼ばれる三つの霊場と、それらを結ぶ「参詣道」が形成されました。
それらの参詣道は総称として「熊野古道」と呼ばれ、霊場とともに世界遺産を構成しています。
文化遺産でありながら、滝や原始林や川や海岸、岩、温泉など、自然景観を資産として多く含む点がこの世界遺産の特徴のひとつです。
「熊野参詣道中辺路を歩く」 紀伊勝浦駅から
熊野三山は「熊野本宮大社」「熊野速玉大社」「熊野那智大社」のことをいいます。
それぞれは20~40km程離れていますが、「熊野参詣道中辺路(なかへち)」と呼ばれる参詣道でつながっています。
その参詣道の一つ、「熊野那智大社」へ向かうルートを本日は歩いてみます。
電車で最寄りのJR紀伊勝浦駅にきております。
駅前から1時間に1本運行の路線バス(時間帯により2本)を使い、熊野古道の入口・大門坂にアクセスします。
訪問日は晴天。夏の暑い日での訪問でしたよ~。
「中辺路、大門坂を歩く」
バスに揺られ20分程度で「大門坂」の入口の大きな駐車場に到着。
マイカーでのアクセスの場合も、この駐車場を起点に歩くのが良さそうですね。
周囲は山深いエリアの裾野って感じの、静かな場所ですね。
駐車場近くの県道沿いの、こちら熊野参詣道中辺路の入口です。
立派な大門坂の石碑の横にある、世界遺産と書かれた石碑を見ると気分が高揚しますね!
ということで、早速歩き始めます。
少し進むと階段の上に、石の鳥居が見えてきます。
鳥居の先には「振ヶ瀬橋(ふりがせばし)」。
振ヶ瀬橋の橋名は、俗界と聖域とを振り分ける橋という意味だそうですよ。
では橋を渡って聖域に入って行きますね。
橋の下には振ヶ瀬川が流れますが、水量は少ない川でした。
石畳と石段の参詣道が現れると、空気感が変わります。
熊野古道は平安時代の昔より、多くの人々が参拝に利用した道。
両側には杉の巨木の並木がずっーと続き、厳かな雰囲気です。
大門と呼ばれる通り、かつては坂の入口には大門があったそう。
そこで通行税を徴収していた時代もあったらしいです。
苔むす石畳が続き、古道の名に相応しい雰囲気のある道です。
石畳の整備は江戸時代におこなわれたといわれますが、石畳自体はその以前から存在していたともいわれます。
かつてはこの大門坂の途中に、王子社と呼ばれる神社があったそう。
現在は熊野那智大社の境内に移され、跡地だけが残ります。
無心で歩いてましたが、視界が開けた箇所で振り返って見ると、結構山深い所まで来てるんですね~。
運動不足の体にほど良い疲労感を感じてきた頃(笑)、熊野那智大社の参道入口が見えてきました。
「熊野那智大社」 那智滝発見が起源
熊野神社へ到着を喜んだのですが、鳥居の手前には467段の階段が待ち構えていました!
この階段はちょっとキツイのですが。。。あれ?年配の方でも慣れた調子で登ってますね。負けられん。
これを登ると眺望が望めるので、頑張ろう!
ということで「熊野那智大社」に到着。
出発から歩いた距離約1.3km、時間は約40分程度なのかな。
道中は傾斜がありますが、悪路などは無く歩きやすかったですよ。
熊野那智大社の起源を紹介します。
紀元前622年、後に神武天皇として初代天皇に即位される神日本磐余彦命(かむやまといわれひこのみこと)が、この地を訪れた時に光り輝く山を発見。
その山を目指したところ那智御瀧(那智滝)を探りあて、その御瀧を御神体としてお祀りされたのが起源といわれます。
その後の317年、仁徳天皇があらためて社殿を設け神様をお遷ししたのが、こちらの熊野那智大社の始まりとされます。
古い起源を持っているようですなあ。
この地域は年間の雨量が多く、周囲は鬱蒼とした原始林がしげる山深い自然に囲まれています。
「青岸渡寺・三重塔」 西国三十三所の一番札所
熊野那智大社に隣接した「那智山青岸渡寺」は、西国三十三所観音霊場の第一番札所です。
熊野那智大社とともに、熊野信仰の中心地となります。
西国三十三所は総距離が約1000㎞に及び、和歌山・大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・岐阜の2府5県にまたがる、壮大な巡礼路です。
奈良時代の養老2年(718年)、奈良の大和長谷寺を開山した徳道上人により礎が築かれました。
その270年後の平安時代の永延2年(988年)、花山法皇によって再興されてその後の普及につながっています。
建物の色でわかりやすいですが、青岸渡寺と熊野那智大社ってこんなにガブリ寄った位置にあるんですよね。
明治時代の神仏分離の前までは、神仏習合の形態で一体として発展してきた寺院なんですって。
那智山青岸渡寺には「三重塔」があります。
「那智滝」を背景にした絵になる風景には、思わずため息が出ますねえ。
元々の三重塔は平安時代に建てられましたが、戦国時代の戦火で焼失。
現在の塔は昭和47年(1972年)に再建されたものです。
内部の見学もできますよ。
「飛瀧神社の御神体・那智滝」 落差日本一!
国指定名勝であり、世界遺産の構成の一部でもある那智滝。
それを近くで見るべく、別宮の「飛瀧(ひろう)神社」に移動しました。
熊野那智大社からは、もう少し上がった場所にあります。
鳥居をくぐり、えっちらおっちらと森の中を進みます。
おっ、物凄くでっかい滝が見えてきました!
那智滝は高さ133m・銚子口の幅13m・瀧壺の深さは10m。
一段の滝としては落差日本一で、栃木県・日光華厳滝と茨城県・袋田の滝とともに日本三名瀑に数えられています。
「飛瀧神社」は那智山信仰の源で、那智滝そのものが御神体です。
熊野の神様は元々ここ、飛瀧神社にお祀りされていました。
この一帯は吉野熊野国立公園特別地域で、付近の山々は那智原始林として国の天然記念物になっています。
お滝拝所舞台に入るには拝観料が掛かりますが、迫力の瀑水を近くで見れるので入場をオススメしたい。
場内では延命長寿の水と伝えられている、滝つぼの水を飲むことが出来ます。
頂いてゆきましょう!
そして、本日の熊野古道歩きはここまでです。
この近くの停留所から、再び路線バスを使って下山しました。
那智の滝 お滝拝所舞台参入料
大人 300円、小中学生 200円、未就学児 無料
お滝を一番近く真正面で拝観できる観覧舞台。(入場しなくても滝は観れます。)
『勝浦漁港』 生鮮マグロの水揚げ日本一
「にぎわい市場」 マグロの町勝浦
紀伊半島南端の那智勝浦は、古くから「マグロの町勝浦」として名を馳せてきました。
現在でも勝浦漁港は生鮮マグロの水揚げ量日本一です。
という事で、山から下りて勝浦漁港へ。
にぎやかな感じの「にぎわい市場」に立ち寄り。
山も海も有ってこの辺は素敵な場所だな。
こんな天気の良い日には、港の市場のベンチの一角で頂く旨い魚とビールが似合いますね。
夏の日のオアシス。。。
\ 那智勝浦町は生マグロ水揚げ日本一の町だぞ!/
熊野古道を歩きませんか?
熊野参詣道中辺路を歩く熊野古道を紹介しましたが、いかがでしたか?
いにしえの旅人達に思いを馳せながら石畳の道を歩いていると、しばし日常を忘れてしまいます。
熊野古道の中でも熊野那智大社へ向かう中辺路は、見どころ多くオススメのコースだと思いますよ。
歩きやすいですしね。
あと、那智勝浦は海の幸も楽しめるので、そちらにも是非立ち寄って欲しいです。
熊野古道を歩きに出かけませんか?
記事の訪問日:2019/8/3
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