明治神宮外苑の秋の風物詩である146本のイチョウ並木が黄金に輝く様子を、神宮外苑の歴史なども振り返りながら紹介します。
イチョウ並木を堪能した後は、赤坂御用地沿いを迎賓館赤坂離宮までを散策。
落ち着いた雰囲気の散策が楽しめるのに加え、新旧東京の風景が楽しめるコースでもありました。
秋の良い季節にそんな都心の散策に出かけてみませんか?
目次
「神宮外苑のイチョウ並木」聖徳記念絵画館は外苑のシンボル
明治神宮と明治神宮外苑について

明治神宮の一の鳥居
緑豊かで広々とした空間である明治神宮外苑には国立競技場や神宮球場、そして相撲場などのスポーツ施設があり、市民の憩いの場として親しまれています。
この神宮外苑は、明治天皇と深く関わりのある施設なんですね。
明治時代に日本の近代化を導いた明治天皇が、明治45年(1912年)に崩御されました。その翌年には昭憲皇太后も崩御されます。
崩御を受け追悼と顕彰の動きが起こる中、明治天皇と昭憲皇太后を祀る神社の創建が計画されます。
かつての御料地が建設地に決まると、全国から献木約10万本が寄せられたそうですよ。
そして大正9年(1920年)11月1日の鎮座祭をもって創建されたのが、明治神宮となります。
さらに明治天皇の業績を後世に伝える記念施設をその外苑として設け、大正15年(1926年)に完成したのが明治神宮外苑ということになります。
「聖徳記念絵画館」 明治神宮外苑のシンボル

聖徳記念絵画館
神宮外苑の中心的な存在が、こちらの「聖徳記念絵画館」です。独特の重厚さに圧倒されますよね!
建物は重要文化財に指定されています。
実は神宮外苑のイチョウ並木も、この絵画館の荘厳さを引き立てるように配置されています。

建物の中央にはドームを頂いた、左右対称の横長の建造物です。
鉄骨鉄筋コンクリート製の建物なのですが、外装材に使われている花崗岩が独特の風合いを出しています。
建物の設計は建築家の小林正紹(まさつぐ)氏による原案によるものです。
小林正紹(1890~1980年)
明治時代末から昭和期にかけて活躍した建築家。東京帝国大学で建築を学び、官庁営繕に従事。
公募で選ばれた聖徳記念絵画館の原案設計者として知られます。
洋風と和の要素を融合させた設計を得意とし、若槻礼次郎邸や円地文子邸、旧日銀支店などの建築も手掛けるなど、近代日本建築の発展に寄与した人物です。

厳密に考証された史実に基づく明治時代の歴史的光景を一流の画家達が描いた、80枚の大壁画(縦3m横2.5~2.7m)が館内に展示されています。
時代順に並ぶ絵画とともに明治時代の出来事を追ってゆくと、なかなかに濃密な時間が過ごせますよ。
展示室の撮影は不可なので、入口付近の高々とした屋根やステンドグラスからそのスケール感を感じて頂ければと。
ちなみに、入場には施設維持協力金500円が発生します。
聖徳記念絵画館
公式ページ
住所:東京都新宿区霞ヶ丘町1番1号(GoogleMapで開く)
開館時間:平常 9:00~17:00(最終入館16:30)、年末年始(12月30日~1月2日) 10:00~17:00(最終入館16:30) *原則年中無休
入場料:500円、絵画館駐車場料金:普通車 1,600円/日
アクセス:
電車)
・JR中央・総武線「信濃町駅」より徒歩約5分
・都営大江戸線「国立競技場駅」より徒歩約5分
・東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営大江戸線「青山一丁目駅」より徒歩10分
車)
・首都高速4号新宿線「外苑出口」が最寄りIC
「イチョウの並木道」黄金色に輝く146本のイチョウ

はい、お持たせしました。こちらが神宮外苑の秋の風物詩である「イチョウ並木」です。
11月中旬での訪問でしたが、イチョウは良い感じに色付いていましたよ。
全長300mの並木道の両側には幅16mの植樹帯と歩道があり、その計4列に9m間隔で146本のイチョウが植栽されています。
ご覧の通りこちらのイチョウは先が尖った円錐形に整形されており、それが独特の印象的な景観をつくり出しています。
テレビなどで映ると、あっ、外苑のイチョウ並木だ!ってすぐにわかりますものね。

見学者の賑わいもかなりのものでした。
通り側から眺めたり、歩道を歩いて黄金のトンネルを楽しんだりと、皆さん、思い思いに秋を満喫されていましたよ。
ちなみにこの並木道は、ドラマやCMでも良く使われているようですね。

こちらは並木道を南側から撮ったもので、その先に聖徳記念絵画館が見えますよね。
実はこのイチョウ並木の配置には、絵画館の荘厳さを高めるための仕掛けが施されています。
まずこちら側から絵画館に近づくにつれ、徐々に低いイチョウが植えられているんですね。
さらに絵画館寄りの地盤も1m程ほど下げられており、遠近法で遥か彼方に絵画館が見える様に奥行きが演出されているんですって。
明治神宮外苑
公式ページ
住所:東京都新宿区霞ヶ丘町1番1号(GoogleMapで開く)
「イチョウ並木」へのアクセス:
電車)
・東京メトロ銀座線・半蔵門線・都営大江戸線「青山一丁目駅」下車、徒歩約7分
・東京メトロ銀座線「外苑前駅」下車で徒歩約8分
・都営大江戸線「国立競技場駅」下車で徒歩約10分
・JR「信濃町駅」下車で徒歩約9分、又はJR「千駄ヶ谷駅」下車で徒歩約14分
車)
・首都高速4号新宿線「外苑出口」が最寄りIC
「国立競技場」東京オリンピックに向けて施工された

新国立競技場
聖徳記念絵画館からも程近い、新国立競技場に立ち寄って建物を拝見。
令和3年(2021年)開催の東京オリンピック開催にあわせて造られた施設ですね。

建物の設計は、日本を代表する建築家の一人である隈研吾(くまけんご)氏によるもの。
大きな特徴である木材や植栽がふんだんに使われている様子が、外側からもわかりますね。
隈研吾(1954年生まれ)
神奈川県横浜市出身の日本を代表する建築家。
自然素材や地域の伝統を現代的に再構築するデザインで知られ、ガラスや木材、石などを巧みに用い、環境と調和する建築を追求する姿勢が国内外で高く評価されている。
代表作には国立競技場(東京2020オリンピック)・浅草文化観光センター・角川武蔵野ミュージアムなど。
国立競技場
公式ページ
住所:東京都新宿区霞ヶ丘町10-1(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・ 都営大江戸線「国立競技場駅」A2出口から徒歩約1分
・ 東京メトロ銀座線「外苑前駅」3番出口から徒歩約9分
・JR総武線各駅停車「千駄ヶ谷駅」・「信濃町駅」から徒歩約5分
「赤坂御用地周辺散策」色づく木々が美しい
美しく木々が色づく赤坂御用地

青山通り
イチョウ並木を楽しんだ後は、神宮外苑の東側に位置する赤坂御用地周辺をぐるっと歩いてみることにします。
青山通りを進むと、御用地の木々も良い感じに色づいていました。
約50万m2に及ぶ敷地を持つ赤坂御用地は神宮外苑とともに、多くの自然が残る都心部では貴重なエリアとなります。
この広大な敷地は、江戸時代は紀州徳川家の大名屋敷でした。
明治になると宮内省の所管地となり、明治12年(1879年)には赤坂離宮(現・迎賓館)の敷地として整備された後、皇族の邸宅地としての利用が進められました。
現在は秋篠宮邸などが所在します。
「草月会館」丹下健三氏が設計

草月会館
青山通り沿いにあるこちらのビルは、いけばな草月流が所有する「草月会館」です。
昭和52年(1977年)に、日本の建築界の巨匠・丹下健三(たんげ けんぞう)氏の設計により竣工されました。

全面ガラス張りの壁面には街路樹や御用邸の木々が映し込まれ、外壁のデザインと化していました。
一見無機質なデザインのビルですが、壁面に周囲の四季折々を借景するという演出が心憎いですね!
丹下健三(1913〜2005年)
戦後の日本を代表する建築家で。
戦後復興期に広島平和記念資料館を設計し、国際的評価を得る。
その後、国立代々木競技場、東京都庁舎、香川県庁舎などの名建築を手がけ、モダニズム建築に日本的美意識を融合させた。都市計画にも力を注ぎ、戦後日本の都市景観形成に大きな影響を与えた建築界の巨匠。

マクラーレン東京
ディーラー・マクラーレン東京は、このエリアを象徴するなリッチ系な車ディーラー。
ショールームになっているので、車好きならば見るだけでも楽しめそうですよ。

とらや赤坂店
立派でモダンな建物の老舗の和菓子屋「とらや赤坂店」 。ショップと甘味処があります。
「豊川稲荷 東京別院」大岡越前の屋敷に祀られたのに始まる

とらや赤坂店の向かい、そして赤坂御用地の東角にもあたる場所には「豊川稲荷 東京別院」があります。
こちらは愛知県豊川市に本山がある曹洞宗の寺院です。

こちらの東京別院の由緒は、江戸時代中期の名奉行として知られる大岡越前守忠相が、豊川稲荷の分霊を屋敷に祀ったのが始まりとされます。
明治20年(1887年)に現在の地に移転し、一般参拝できるようになりました。

商売繁盛や金運向上に御利益がある融通稲荷、悪縁を切るといわれる叶稲荷などがあります。
また、芸能の神様も祀られているため、境内には著名人の提灯が多く並んでいますよ。
さらに、多くの狐の石像が並ぶ霊狐塚などがあるなど、見どころの多い寺院です。
「迎賓館 赤坂離宮」日本唯一のネオ・バロック様式建築
「ホテルニューオータニ東京」昭和を代表するホテル

赤坂御用地脇
豊川稲荷に立ち寄った後は、青山通りを外れて赤坂御用地沿いを北に向かいます。
緩い登坂になっているこの道も、散策するには良い感じの道ですねえ。

右手にホテルニューオータニ東京が見えます。
昭和39年(1964年)の東京オリンピック開催に合わせて竣工された、昭和を代表する大規模ホテルですね。
本日は意図せずも、京京の新旧建物めぐりをしているように感じてきています(苦笑)。
「国宝 迎賓館赤坂離宮」日本唯一のネオ・バロック建築

坂を上り切った所にあるのが「迎賓館 赤坂離宮」です。世界各国の国賓をお迎えしたり、国際会議の場として使用されている施設ですね。
建築家・片山東熊の設計により、明治42年(1909年)に東宮御所として建設されたもので、日本唯一のネオ・バロック様式の大規模建築として知られています。
平成21年(2009年)には国宝に指定されました。

迎賓館は内部も一般公開されており、気軽に見学できるんですよ、ってことで中も見学。
建物内は撮影禁止なので紹介できませんが、こんな豪華で本格的な宮殿が日本にもあるんだなあと、ため息がでましたね。館内はとても見どこが多いです。
片山東熊(1854~1917年)
工部大学校(現・東京大学工学部)で学び、イギリスに留学して近代建築を修得。帰国後は宮廷建築を多く手がけ、代表作に赤坂離宮(現迎賓館赤坂離宮)や京都国立博物館・奈良国立博物館などがある。
西洋建築技術を日本の伝統意匠と融合させ、明治の近代建築を確立した功績は大きい。帝室技芸員として皇室建築にも深く関わりました。
迎賓館 赤坂離宮
公式ページ
住所:東京都港区元赤坂2-1-1 (GoogleMapで開く)
参観料(通常):
・本館・庭園: 一般1,500円、大学生1,000円、中高生500円、小学生以下無料
・和風別館・本館・庭園: 一般2,000円、大学生1,500円、中高生700円 *小学生以下は参観できません
・和風別館・庭園: 一般1,500円、大学生1,000円、中高生500円 *小学生以下は参観できません
・庭園:一般300円、大学生以下無料
アクセス:
電車)
・中央線・総武線「四ッ谷」駅下車、赤坂口より徒歩約7分
・東京メトロ・丸ノ内線「四ッ谷」駅下車、1番出口より徒歩約7分
・東京メトロ・南北線「四ッ谷」駅下車、2番出口より徒歩約7分
※迎賓館には駐車場及び駐輪場が無いので、公共交通機関をご利用下さい。
「comodo cafe 迎賓館赤坂離宮」迎賓館前のカフェで一服

迎賓館の向かいには「迎賓館 赤坂離宮前休憩所」があり、地下にはオープンで開放的な雰囲気のカフェがありました。こちらでようやく一息。

迎賓館の焼き印が入ったロールケーキが旨かった。
ということで、本日の秋の散策を終了します。
comodo cafe 迎賓館赤坂離宮
住所:東京都新宿区四谷1-12-11 迎賓館赤坂離宮前休憩所内 B1F(GoogleMapで開く)
営業時間:9時~17時、定休日:水曜日
新宿ランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
東京には素敵な名建築が沢山ありますが、そこでお茶できたり食事できたりすると素敵ですよね。
テレビ大阪,BSテレ東の真夜中の人気ドラマ「名建築で昼食を」の原案本!
神宮外苑周辺の散策に出かけませんか?
明治神宮外苑のイチョウ並木から、赤坂御用地周辺までの散策を紹介しました。
歩いた距離にすると3~4km程ですかね。
この辺りは都心にも関わらず緑が多く、散策するのは気持ちの良いエリアでした。
また、新旧の東京の顔に出会えるコースだったのも、楽しかったですね。
神宮外苑周辺を歩きに出かけませんか?
記事の訪問日:2020/11/18




新宿の立寄りスポットを探して予約しよう!割引プランも!
近隣スポットもチェック!
あわせて読みたい
江戸城の遺構が残る皇居東御苑で、巨大な天守台や番所に圧倒!【東京・千代田区】
現在の皇居には、かつて徳川将軍の居城だった江戸城があったことは良く知られます。ですが城跡として皇居を訪問する人は、案外少ないのでは?もし城好き・歴史好きであ…
あわせて読みたい
江戸城内堀の城門めぐりは枡形門の宝庫だった!【東京・千代田区】
歴史や城めぐりに興味があれば、皇居周辺に広がる江戸城の内堀めぐりはおすすめです。皇居周辺を囲む堀の要所には、驚く程の数の城門が残っているんですよ!しかも多く…
あわせて読みたい
赤坂氷川神社には、徳川吉宗命の社殿と江戸時代の面影が残る【東京・港区】
東京都心の赤坂にありながら、緑に囲まれた静かな高台の地にある「赤坂氷川神社」。江戸時代の赤坂には紀州藩の中屋敷があったことから、紀州藩藩主・徳川吉宗が8代将軍…
あわせて読みたい
早稲田で出会える夏目漱石ゆかり地めぐり、生誕地から終焉地まで【東京・新宿区】
早稲田は国民的文豪・夏目漱石が生まれ育ち、そしてその生涯を終えた漱石ゆかりの地です。特に晩年に書かれた随筆「硝子戸の中」には、早稲田の様々なスポットについて…
<a href=”//ck.jp.ap.valuecommerce.com/servlet/referral?sid=3694017&pid=890454465″ rel=”nofollow noopener” target=”_blank”><img src=”//ad.jp.ap.valuecommerce.com/servlet/gifbanner?sid=3694017&pid=890454465″ border=”0″></a>
クラブツーリズムはバスツアーやテーマ旅行が充実!