福岡県宗像市にあり、世界遺産に指定されている「神宿る島、宗像・沖ノ島と関連遺産群」の中心的存在は、玄界灘にあり”海の正倉院”とも呼ばれる沖ノ島です。
この沖ノ島へは一般では行くことができませんが、福岡市の一番大きな島「宗像大島」には世界遺産を構成する一社・宗像大社中津宮とともに、沖ノ島にある沖津宮の遙拝所もあるんですね。
ということで、比較的アクセスしやすい割には離島ならではの素晴らしい景色に出会える、宗像大島の見どころやアクセス方法について紹介します。
目次
「宗像大島」宗像大社中津宮と沖津宮遙拝所がある美しい島
世界遺産「宗像大社と海の正倉院・沖ノ島」
世界遺産「神宿る島、宗像・沖ノ島と関連遺産群」について
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群は、平成29年(2017年)にユネスコの世界遺産に認定されました。
沖ノ島には4世紀から9世紀にかけて行われた古代祭祀遺跡がほぼ手つかずで残り、そこから出土した約8万点に及ぶ奉献品は考古学的に価値あるものとして全て国宝指定されています。
その沖ノ島を中心に、古代から現代まで続く宗像三女神への信仰の伝統が一体となって世界遺産として評価されました。
世界遺産は、沖ノ島の「宗像大社沖津宮」、大島の「宗像大社沖津宮遙拝所」「宗像大社中津宮」、九州本土の「宗像大社辺津宮」「新原・奴山古墳群」で構成されています。
世界遺産の中心的な存在で”海の正倉院”とも呼ばれる「沖ノ島」は、九州本土から約60kmはなれた玄界灘沖に位置する島です。
しかしこの沖ノ島、残念ながら一般人は上陸できない島なんですね。
行ける範囲で沖ノ島に一番近い場所が、宗像大社中津宮のある宗像大島。
そこには沖ノ島を遥拝する「宗像大社 沖津宮遙拝所」があり、天気の良い日には沖ノ島も望めるといいます。
そんな宗像大島に出かけてみることにしました。
博多から神湊港へ移動、宗像大島へ25分の船旅
「特急バスむなかた号」博多から神湊港への移動に便利

その名の通り福岡で一番大きい島・宗像大島は、本土から約6.5km離れた離島です。
島へは宗像市の神湊(こうのみなと)波止場から船で渡りますが、ここは福岡市内からでも割とアクセスがしやすい場所でした。
公共交通機関で福岡市内から神湊波止場へ向かう場合は、JR鹿児島本線で最寄の東郷駅へ向かい、そこからバスで波止場へ向かうのが一般的です。
しかし、土日祝限定で一日一本、福岡市内の天神から神湊の波止場までの直行バス「特急むなかた号」があるのを発見!今回はこれを利用。
運賃は片道1,020円で、乗車時間は約1時間です。
予約も不要なので、都合があえばこのバスの利用が便利ですよ!
~「特急むなかた号」情報~
■特急むなかた号の最新の時刻表・料金は、西鉄ホームページで確認してからおでかけ下さい。(西鉄 時刻運賃検索) *停留所名:福岡市内発「天神日銀前」/ 宗像市神湊発「神湊波止場」
神湊港から宗像大島へ25分の船旅

神湊から大島へは、フェリーと旅客船の2隻体制で一日7往復の運行。
大島港への所要時間は約25分ほどの小さな船旅です。ということで乗船!

乗客を見渡してみると。。。8割が観光客で、残りが釣り人という感じかな。
あと、島中を走り周るぞっ!という感じの、自転車持参のスポーティーな出で立ちの方々もチラホラ。

やがて宗像大島が見えてきました。
~市営渡船大島航路情報~
[所要時間] フェリー「おおしま」で約25分、旅客船「しおかぜ」で約15分
[運賃] 大人:570円(小学生を除く12歳以上)/ 小児:290円(1歳以上12歳までの小学生。小学校就学前の子供は 大人同伴1人につき1人無料。) ※自動車航送運賃:市営渡船大島航路のページ参照
[時刻表]
(神湊発)フェリー:第1便:7時40分・第2便:9時25分・第4便:13時50分・第6便:17時10分・第7便:19時00分 / 旅客船:第3便:11時15分・第5便:15時30分
(大島発)フェリー:第1便:6時50分・第2便:8時35分・第4便:13時00分・第6便:16時20分・第7便:18時00分 / 旅客船:第3便:10時15分・第5便:14時40分 *以上、2020年12月現在
[運行情報] 九州のりものinfo.comで検索できます
島内の移動手段は自家用車・バス・レンタサイクルなど

大島港の堤防には釣り人が見えます。
大島の住人は約700人で、漁業をはじめ、ほとんどが海に関連する仕事に従事されているとのことだ。

大島マップ(出典:https://www.okinoshima-heritage.jp/ )
宗像大島は周囲約15kmの島ですが、徒歩で一回りするのは起伏もあり結構シンドイと思われます。
さて、どう移動するか?
島内の乗り物を利用した移動手段
■カーフェリーで自家用車ごと渡り、車で移動。
■島に1台だけあるタクシーで移動。料金は8,000円程度。(取扱い会社:みなとタクシー)
■観光路線バス利用。日によって「グランシマール号(定員29人)」「みあれ号(定員14人)」使いわけで1日7便。
料金は1乗車:300円/ 1日乗車券:800円。(取扱い会社:西鉄、みなとタクシー)
■フェリーターミナルでレンタサイクル。電動アシスト車が20台。料金500円。
いくつか移動の選択肢がありますが、今回は。。。

ジャジャーン、レンタサイクルにしてみました。電動アシスト車なので、運転も楽ちん。
自転車は台数に限りがあり、早い者勝ちとなるのでその点要注意です。
では出発!
「宗像大社 中津宮」日本最古の海上安全信仰の神社

まず最初にやって来たのは「宗像大社 中津宮」。
フェリーポートからは500m程なので、ここは歩いてでも来られる場所です。
宗像大社は福岡県宗像市を中心に位置する神社で、全国約6千社ある宗像神社の総本社です。

宗像大社中津宮本殿
宗像大社は日本最古級の海上安全信仰を伝える神社で、田心姫神(たごりひめのかみ)・湍津姫神(たぎつひめのかみ)・市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)の宗像三女神が祀られています。
三女神はそれぞれ以下の三宮に分かれて祀られているのが特徴で、宗像大社はこの三社の総称なんだそうですよ。
■田心姫神を祀る、沖ノ島にある沖津宮(おきつぐう)
■湍津姫神を祀る、大島にある中津宮(なかつぐう)
■市杵島姫神を祀る、本土にある辺津宮(へつぐう)
「日本書紀」によると三女神は天照大神の命により、海の道を導く最高の神”神道主貴(みちぬしのむち)”として、玄界灘の海上交通の安全を守るために降臨したとされます。

宗像大社 中津宮は七夕伝説発祥の地、ともいわれているそうです。
境内の川は「天の川」と呼ばれ、それを挟むように祀られているのが牽牛(けんぎゅう)神社・織女(しょくじょ)神社の小さな社です。
8月1日~7日(旧暦の7月1日~7日)には七夕飾りが施され、7日の夕刻にはステージでイベントも開催されます。
7日は大島港から21:30発の臨時船も運行されます。
離島で過ごす七夕祭りというのも、幻想的な雰囲気が味わえそうですね!

境内入口に立つ鳥居は、海を隔てて九州本土の宗像大社 辺津宮の鳥居と向かい合って立っているそうです。
宗像大社の中津宮・沖津宮遙拝所の御朱印

宗像大社 中津宮と沖津宮遙拝所の御朱印を頂きました。
沖津宮遙拝所には有人の神社施設はないので、沖津宮遙拝所の御朱印は中津宮で頂けます。
「沖津宮遙拝所」玄界灘を望む地に佇む

中津宮の参拝後は、島の反対側に位置する「沖津宮遙拝所(ようはいしょ)」に向かいます。
島内には整備された道が通っていますが、地形は起伏に富んでおり、電動アシスト自転車でも結構苦労する箇所がありますよ。

宗像大社沖津宮遙拝所
アップダウンのある道をなんとか攻略して、沖津宮遙拝所がある場所に到着しました、ふう。
山の麓にある遙拝所が見えてきましたが、大自然の中に溶け込んでポツンと佇む姿が非常に印象的です。
沖ノ島では神職が一人、厳しい掟のもと宮に奉仕

沖ノ島は女人禁制の島で、特に女性にとっては古くからここが沖ノ島を拝観する場所でした。
女人禁制となった理由は、女性には危険な場所だからというシンプルな理由から、田心姫神(たごりひめのかみ)は女性の神様なので嫉妬しないように禁制とした説など、諸説あるようですよ。
沖ノ島は玄界灘のほぼ真ん中に浮かぶ孤島で、その島の中腹に鎮座している沖津宮では、辺津宮より10日交代で向かう神職がたった一人で宮に奉仕しています。もちろん、他に住人もいません。
さらに女人禁制のほか、”上陸時には海中で禊をおこなう”、”一木一草一石たりとを持ち出すことを禁ずる”などの掟が、今でも厳重に守られているそうです。

そんな神聖な沖ノ島ですが、実は意外にも平成29年(2017年)までは、5月27日におこなわれる沖津宮現地大祭においてのみ、全国から選ばれた男性約200人が島に渡り現地大祭が執りおこなわれていました。
これは日露戦争における日本海海戦が、沖ノ島北方洋上の対馬海峡でおこなわれた歴史があるため、そこで命を落とした方々への慰霊を目的とした行事だったんですね。
しかし平成30年(2018年)以降は、女性のみならず神職以外は原則入島できないようになりました。

本日は天気が良いので沖ノ島が見えそうな感じですが、目を凝らしても見えないなあ。見る方向が違うのかなあ。
しかし近くからも、「見えたか?」「いや、見えねえな。」の声が。自分だけじゃないことが分りちょっと納得(苦笑)。
天候の状態によって、見えたり見えなかったりするようですね。
「砲台跡」太平洋戦争中には大砲が置かれた

沖津宮遙拝所から比較的近い場所に、戦時中に造られた砲台跡があります。

宗像大島の砲台は昭和11年(1936年)に完成し、太平洋戦争における本土への空襲が広まってきた昭和20年(1945年)には砲兵部隊が緊急配備されました。
当時は大砲(15センチキャノン砲)4門が備えられ、今も砲台が備えられたコンクリートの分厚い基礎が残っています、
穏やかな雰囲気のこの島にも、戦中の痕跡が残っていたわけですね。
実際にはこの砲台は使われなかったと聞いて、ちょっとホッとしました。
「風車展望所」玄界灘を背景に広がる美しい景観

少し離れた小高い場所にはなんともメルヘンチックな風車小屋が、玄界灘をバックにポツンと建っています。絵になるなあ。

展望台頂上にある風車小屋風の建物は、中には入れませんでした。

「風車展望所」はぐるっと周囲を見渡せる素晴らしいロケーションにあり、ここから望む海岸沿いの景観は溜息がでるほど美しいですね。

こちらは展望所から見た島側の風景。
島の地形は標高224mの御嶽山(みたけさん)を最高峰とする丘陵地が大部分を占めており、平坦な土地は南側の港周辺に限られています。
北西側は玄界灘の荒波に削られた断崖絶壁が続くなど、富んだ地形を楽しむことができる島なんですよ。
島をめぐる際に注意したいことを一点。ご覧の通り日陰のない場所が多いので、暑い日の日射病・熱射病には要注意です。
「夢の小夜島」可愛らしい海辺スポット

夢の小夜島
フェリー港に戻りつつ立ち寄った「夢の小夜島(さよしま)」は、海中に立つ小さな鳥居と松の緑が美しい、実に可愛らしい海辺スポットです。
この辺りは「かんす海水浴場」という海水浴場になっており、水深が浅く潮が引いた時は島まで歩いて渡ることもできるらしいですよ。
海岸の向かいには、写真やパネルで島を紹介している「大島交流館」があります。
入場無料なので、時間があれば休憩がてらのぞいてみるのもよろしいかと。
大島交流館
住所:福岡県宗像市大島901-4(GoogleMapで開く)
開館時間:10時~16時
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日から翌年1月3日)、渡船が欠航の日
俳優・鈴木亮平さんが、世界遺産旅に想いをめぐらせ挿絵を描き下ろし。実際に行っていないのに(笑)。
妄想爆発で書き下ろした前代未聞の楽しい旅行記。
タイトル通り、いまいちばん美しい日本の絶景写真が楽しめます!
その場所・その季節・その時間帯などの組合わせが創り出す絶景。
大島の食事処や宿泊施設について

大島渡船ターミナルの2階のカフェで一服。
美味しいカレーパンと冷たいお飲み物を頂きつつ(昼間からすいません!)、渡船時間を待って撤収しました。
滞在時間はジャスト2時間でした。
今回は日帰りでの訪問でしたが、島内には宿泊施設は10か所ほどあります。
素泊まりできるリーズナブルな民宿から、一日一組のみの離島ならではエグゼクティブが味わえる宿まで、結構バリエーションもあるみたいですよ。
宿の一覧は宗像観光ガイドを参照下さい。
食事処については、食事処マップ(掲載情報は2019年11月時点)を参考にしてみて下さい。
※お出かけの際は最新情報でご確認下さい。

宗像大島へのアクセス情報
宗像大島へのアクセス情報
住所:福岡県宗像市大島1811(GoogleMapで開く)
アクセス:
主要駅から最寄り駅(JR東郷駅)まで: JR鹿児島本線で、JR博多駅から約30分、JR小倉駅からは快速約40分
JR東郷駅から神湊港まで: 福間行きバス(神湊経由)で「神湊波止場」まで約20分
神湊から大島まで: 市営渡船「しおかぜ」またはフェリー「おおしま」で大島港へ神湊発・大島発一日各7便(乗船時間:しおかぜ約15分、おおしま約25分)、フェリーは車・バイクの乗車可 *大島渡船運航時刻表
参考情報ページ: 世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 / 宗像大社(公式ページ)
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当初の訪問目的は世界遺産の宗像大社中津宮と沖津宮遙拝所でしたが、思っていた以上に離島の自然の素晴らしさに感激!小さな船旅で、非日常感たっぷりのワクワクが味わえました。
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記事の訪問日:2019/9/14




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