東京の下町に鎮座する「亀戸天神社」は菅原道真公を祀る神社で、江戸時代には東の太宰府天満宮として崇敬を集めました。
境内には九州太宰府天満宮の池や橋が再現されているので、道真公が眠る九州の地に想いを寄せながらの参拝ができる。
神社発展の背景にあった江戸時代の出来事なども振り返りながら、東京スカイツリーも望める境内をめぐってゆきます。
目次
『亀戸天神社』 東の大宰府天満宮を参拝
亀戸天満宮とも呼ばれる、菅原道真の末裔が建立した神社

最寄りのJR亀戸駅から「亀戸天神社」まではちょうど1kmくらい。
途中には土産品販売やイベントをおこなう観光施設「亀戸梅屋敷」があったりと、散策がてら向かうには程好い感じの距離だった。
菅原道真公を祀っている亀戸天神社ですが、道真公を御祭神にする神社の総本山といえば九州太宰府天満宮。
それに対して江戸時代の亀戸天神社は「東宰府(ひがしさいふ)天満宮」とも呼ばれ、道真公を祀る神社としては江戸を代表する一社でした。
地元では「亀戸の天神さま」の呼び名で親しまれています。

亀戸天神社の創建は正保3年(1646年)。九州太宰府天満宮の神官だった菅原大鳥居信祐が、亀戸村の小さな祠に御神像をお祀りしたのに始まるとされます。
菅原道真公の末裔にあたる菅原大鳥居信祐は、亀戸天神社の初代別当となりました。
「心字池」を中心に太宰府天満宮を模した境内

大鳥居を抜けて境内に入ると、すぐに男橋という名の太鼓橋が現れる。
そしてこの橋、ご覧のとおり東京スカイツリーの絶好の撮影ポイントになっているようですよ!
東京スカイツリーは亀戸天神社から2km程の近距離にある。そのため、境内各所でスカイツリーが見え隠れするのも、参拝の楽しいところだ。
東京スカイツリー見学と併せての訪問も良さそうですよね。

境内の中央には大きな「心字池(しんじいけ)」があります。心字池とはその名の通り「心」の文字にかたどられた池。
池の形なんて上空から見ないと分かりませんが、そこは心眼で見るということか。深い世界だなあ。
心字池に架かる橋を越えつつ、社殿に向かう参道となっています。
この心字池もそこに架かる3つの橋も、九州の太宰府天満宮を模して造られてる。
池と橋は人の一生に見立てられている。最初の太鼓橋(男橋)は過去の人生を、次の平橋(ひらばし)は現在を、つぎの太鼓橋(女橋)は希望の未来を現すそうだ。
人生を振り返りながら社殿に向かうというのも、これまた深いですねえ。

池をのぞいてみると、うへ~、そこにはちょっと気持ち悪いくらいの数の亀が!。
ちなみにかつてこの一帯は島だったそうで、それが亀のような形だったので亀戸の地名が付いたと伝わる。こんなに沢山いるのは、やはり亀つながりということか。
道真公とゆかり深い梅の木が境内に200本

訪問時はシーズンオフでしたが、境内には菅原道真公とゆかりの深い梅の木が約200本植えられているそうだ。例年2月上旬~3月上旬には梅まつりを開催。
梅以外にも、4月中旬~4月下旬の藤まつり、10月下旬~11月中旬には菊まつりが開催され、花の神社としても良く知られている。花々は太鼓橋との組み合わせで映えそうですね!

女橋まで進むと、隠れていた社殿が徐々にお目見え。
直進しているのに社殿がなかなか見えてこないという、ちょっと不思議な参道でした。
学問の神様 菅原道真が主祭神

3つ目の橋を越えるとようやく視界が開け、正面に社殿が現れます。
江戸時代に建造された社殿は残念ながら昭和20年(1945年)の空襲で焼失しており、現在の社殿は昭和54年(1979年)に再建されたものです。

社殿
主祭神の菅原道真公はご存じの通り学問の神様として知られており、受験シーズンには多くの合格祈願者で賑わいます。相殿で祀られているのは、菅原家の祖神である天菩日命(あまのほひのみこと)。
江戸時代には亀戸宰府天満宮と称していましたが、明治になると亀戸神社に改名。そして明治天皇により准勅祭社に指定されました。
さらに昭和11年(1936年)に、現在の亀戸天神社へと改名。
現在は元准勅祭神社として、東京十社の内の一社に数えらます。
明暦の大火と徳川将軍家綱の社地寄進

亀戸天神社は江戸時代に徳川4代将軍家綱より社地の寄進を受け、そこに九州太宰府天満宮の境内を模した社
殿・回廊・心字池・太鼓橋などを造営して発展してゆきます。
実はその発展の背景にあったのは、江戸の大火でした。
明暦3年(1657年)に発生した「明暦の大火」は、なんと江戸の都市部の約6割を焼失させた。
この大火を機に江戸の町機能の分散が図られ、町外れだったも本所・深川エリアも急速に開発されていった。特に亀戸天神社がある本所は、復興開発事業の地と定められました。
そんな、江戸の事情があったわけです。
歳旦祭では神楽殿でお囃子を奉納

神楽殿
社殿向かって右手にある「神楽殿」では、新年を祝う「歳旦祭(さいたんさい)」などでお囃子が奉納されます。

神楽殿
壁面には道真公を題材としたと思われる、彫刻が彫られていた。
「御神牛」「五歳菅公像」道真公ゆかりの逸話を知る

御神牛
社殿左手にある「御神牛(ごしんぎゅう)」の像からは、触れた部分の病を治す御利益が頂けるといわれる。
色が変わっている部分が人気の願掛け箇所ですね。私は腰の辺りを重点的にナデナデさせて頂いたが(苦笑)。
承和12年(845年)の乙丑(きのとのうしの)年生まれである菅原道真公は、牛とはゆかりが深かいとされます。
太宰府で亡くなられた際、御遺体をのせた車を曳く牛が急に座り込み動かなくなった。
これは道真公のご意思とされ、その地に埋葬された。そして墓所には太宰府天満宮が建立されました。
これが九州太宰府天満宮建立の起源と伝わります。

五歳菅公像
「五歳菅公像(ごさいかんこうぞう)」の台座には、道真公が5歳の時、庭の紅梅について詠んだとされる和歌が刻まれている。
「美しや 紅の色なる 梅の花 あこが顔にも つけたくそある」
う~む、5歳で花の美しさを愛でた和歌を詠われるとは!さすが学問の神様、早熟だったんですね。
「うそ替え」と呼ばれる特殊神事

鷽の石像
こちらは「鷽(うそ)の石像」。
亀戸天神社では毎年1月に、「うそ替え」と呼ばれる神事がおこなわれます。
これは太宰府天満宮のお祭りの際に鷽という鳥が害鳥を駆除した、という言い伝えから始まるもの。
この鷽を嘘に見立てて、鷽(嘘)を取り(鳥)替えるということで幸運・開運を招く、という習わしとのこと。
当日は神社の神職が彫った鷽が境内にならび、参拝者は古い鷽を新しい鷽と交換してお参りする。
書いていてウソだかホントだか、ちょっと良くわからなくなってきましたが(苦笑)。
この一風変わった神事は、主に菅原道真公を祭神とする神社・天満宮でおこなわれる特殊神事らしいです。
境内社「御嶽神社・紅梅殿・弁天社」

御嶽神社
心字池の周囲には境内がある。
寛文9年(1669年)に九州の太宰府御嶽山より勧請された「御嶽(みたけ)神社」には、道真公の教学・御祈の師だった法性坊が祀られています。

御嶽神社内にある天明元年(1781年)奉納の古い石灯籠。

弁天社
女橋のたもとにある 「弁天社」は、九州太宰府天満宮の心字池の畔にある志賀社を勧請したもの。
当時の文人が不忍池の弁天堂に見立てたことから、いつからか弁天社と呼ばれるようになったそうな。

紅梅殿
心字池の西側にある「紅梅殿」。
寛文2年(1662年)に太宰府天満宮の御神木・飛梅の実生を勧請し、社殿前に奉斎したのが社の起源だそうです。
社殿とスカイツリーのコントラストが楽しい!

訪問日は雲の流れが速く、天気がコロコロと変わる日でした。
そんな中、社殿の背後で見え隠れする東京スカイツリーの眺めが楽しめた。
これは、雲でスカイツリー見えないなぁの絵。

あっ、見えてきた、見えてきた!なんて感じでね(笑)。
亀戸天神社の御朱印

天神さまとして祀られ学問の神様と呼ばれる菅原道真ですが、その波乱に満ちた人生の詳細については案外知られていないかもしれませんね。
亀戸天神社の詳細情報・アクセス
亀戸天神社
公式ページ
住所:東京都江東区亀戸3丁目6番1号(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR「亀戸駅」北口から徒歩約13~15分
・JR・東京メトロ「錦糸町駅」北口から徒歩約15分
車)
・駐車場あり
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東京十社めぐりの紹介
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住所:東京都江東区富岡1-20-3(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・東京メトロ東西線「門前仲町駅」より徒歩3分
・都営地下鉄大江戸線「門前仲町駅」より徒歩6分
・JR京葉線「越中島駅駅」より徒歩15分
・JR「東京駅」より車で15分
車)
・首都高速「箱崎IC」より10分、「木場IC」より5分、「枝川IC」より7分
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・京成「上野駅」から徒歩12分
・東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」から徒歩10分
車)
・駐車場無し
~食事・土産処~
船橋屋

亀戸天神社にほど近い場所にある、くず餅の元祖の店として知られる老舗。
伝統製法で作られたくず餅は、しなやかで弾力ある絶妙な歯応えが楽しめますよ!
イートインもあります。
亀戸ぎょうざ

JR亀戸駅北口を出てすぐの裏路地にあるのは、地元名物「亀戸ぎょうざ」。
「街角の名店」の呼び名が似合う店構えがいい!

店の前には入店待ちの長い列ですが、比較的回転が良い。
餃子1人2枚がお約束で、デフォルトでオーダーが入る。
小振りでカリカリッとした食感が良く、重くないので何枚でもイケそう。オススメ!
亀戸梅屋敷

名産品販売やイベントをおこなう観光施設。
JR亀戸駅と亀戸天神社のちょうど中間地点にあり、立ち寄りやすいです。
江戸切子のショップ・ギャラリーもあり、見るだけでも楽しい。
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九州の太宰府天満宮を模した境内では、色々と見どころも多く沢山の御利益が頂けました。
花の天神様とも呼ばれますので、今度は梅か藤の花が咲く季節に訪問してみたいです。
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記事の訪問日:2022/7/17
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