都心からも比較的近い埼玉県越生町にある「黒山三滝」は自然に囲まれた山間部にあり、ちょっと秘境のような雰囲気を持つ場所にひっそりとたたずみます。
古代の地層が生み出した滝は、かつては山岳宗教の修験道の場所とされました。
そんな秘めやかで涼し気に流れる黒山三滝の風景を紹介します。
目次
秘境の雰囲気がある黒山三滝
「日本観光地百選選定」 田山花袋も訪問
越生町(おごせまち)の中心部から、越辺川(おっぺがわ)と並行する県道を上流に向かって走ります。
やがて、山間部に差し掛かった辺りで「黒山三滝入口」が現れる。
この先に町営の無料駐車場があったので、そこに車を停めました。
昭和25年(1950年)、黒山三滝は毎日新聞社主催で選定された、日本観光地百選・瀑布の部に選定されています。
その翌年、黒山三滝を中心とする周辺地域が「県立黒山自然公園」に認定されました。
このあたりは市街地からそれほど離れていないのですが、丘陵地という土地柄、車で走っていると急に山間部の景色に変わりますなあ。
駐車場から歩いてゆくと、カフェ・飲食店「文学館」の洒落た感じの建物が見えてきます。
こちらのお店、元々は黒山鉱泉館という天然鉱泉館として営業されてました。
鉱泉館は平成26年(2014年)に廃業されてます。
黒山三滝では明治時代に鉱泉が発見され、以降県内有数の観光地として知られるようになりました。
現在ではもう一軒あった鉱泉宿も既に廃業しており、残念ながら鉱泉地自体が消滅してしまっています。
文学館の前に映えスポットらしき公園あり。
ちょっと唐突感のあるオブジェだな(苦笑)。
近くに「田山花袋紀行の地」の看板があるように、文豪・田山花袋も大正7年(1918年)に黒山鉱泉の宿を訪れています。
かつては貴重な行楽地だったようですよ。
緑に囲まれた涼し気な道を進んでゆきますよ。
山間に入ってゆきますが、舗装されて歩きやすいです。
「関東ふれあいの道」 源義経伝説がある顔振峠も
道と並行して、滝から流れ落ちた水が作る渓流が涼し気に流れています。
水は澄んでいて綺麗ですね。
やがて現れる老舗食堂の「根っこ食堂」。
入口にあったくろやま文学館とは対照的な、激シブの飲食店。
営業時間は終わっているのかな?閉まっていたようです。
このあたりは峠歩きが楽しめるなど、散策路が充実してます。
「関東ふれあいの道」は東京都八王子を起終点に、関東地方1都6県をぐるりと1周できる総延長1,799kmの首都圏自然歩道だそうですよ。凄いわ。
黒山地域では、黒山三滝を抜け、さらに傘杉峠と顔振峠(かあぶり)峠を抜ける道が散策路に設定されています。
顔振峠は、かつて奥州へ逃れる源義経が歩いた際、景色の良さに顔を振りながら登ったという伝承から、その峠名が付いたといわれます。
更に進むと、さらに山間部の雰囲気が深まってきます。
マスつり場では、釣らずにニジマス・イワナの塩焼きを食べることもできますよ。
帰りに寄ってこう!
滝の入口付近には、昔から続いていそうな感じの土産屋が数軒ありました。
「男滝・女滝」 熊野三山に見立てた修行の地
黒山三滝の名称は、上流側の「男滝」「女滝」の2つの滝と下流側の「天狗滝」、この三つの滝の総称となっています。
下流の天狗滝は一旦スルーして、上流側の2滝の見学にきています。
ちなみに滝の見学は無料です!
手前左側が落差4.5mの女滝、右手奥が落差11.2mの男滝です。
男滝の近景。
女滝と比較すると落差と水量があり、その名の通り男らしく荒々しい感じがしますね。
黒山三滝はかつて、山岳宗教修験道の拠点として信仰を集めた場所なんだそうです。
室町時代の応永5年(1398年)、栄円という修験者が関東に修験道を広める拠点として山本坊を開きました。
その際、熊野三山(現、和歌山県)にならい、熊野神社を本宮、男滝を那智社、天狗滝を新宮に見立てられた。
ちなみに黒山三滝入口近くに、熊野神社がありました。
山本坊は江戸時代、隣町の毛呂山町に移ったそうです。
こちらが、女滝。
大きな滝ではありませんが、ちゃんと滝壺があり可愛らしい滝でした。
滝行をおこなうには、程よい規模の滝に見えますな。
女滝で慣らしてから男滝に行くか、とかね。
黒山三滝では毎年7月の第1日曜日に、滝開きの行事がおこなわれます。
式典では山伏や巫女・修験者・天狗の格好をした人たちによる、滝清めの儀や滝打たれの儀などがおこなわれるそうです。
越生町における初夏の風物詩となっています。
「天狗滝」 古代の地層が造るワイルドな空間!
少し戻って、もう一ヶ所の「天狗滝」を見にゆきます。
お~、こちらは結構ワイルドな感じの景色ですね!
天狗滝は手前の小さな滝ではなく、一番奥にチラっと見えている流れがそうです。
途中足元が滑りやすい場所もあるので、歩きやすい靴で行った方が良さそうですよ。
滝をつくり出している周囲の地質は、秩父中・古生層(ちちぶちゅうこせいそう)と呼ばれる古い時代にできた岩盤とのこと。
1~2億年前とかの古い地質らしいですよ。
こちらが、天狗滝。
周囲の地形がワイルドな割には、ちょっと可愛らしい滝だなあ。
滝を落ちた水は、川になって涼し気に流れてゆきます。
1万歩から2万歩で歩けるって条件がはっきりしているのがグッド!歩きたい場所満載。
黒山三滝の詳細情報・アクセス方法
黒山三滝
住所:埼玉県入間郡越生町黒山(GoogleMapで開く)
アクセス)
電車)
・東武・JR「越生駅」下車、川越観光バス黒山行き乗車で25分、終点「黒山」下車で徒歩15分
車)
・関越道「鶴ケ島IC」から、国道407号経由で約40分(約18km)。
・関越道「坂戸西スマートIC」から35分。
越生のランチは、事前予約やクーポン利用で快適でお得に!
周辺おすすめスポット(渋沢平九郎自決の地ほか)
~近隣スポット~
渋沢平九郎自決の地
渋沢栄一の見立養子だった渋沢平九郎が、享年20歳の若さでこの世を去った場所。
黒山三滝への遊歩道の入口近くにあるので、立ち寄ってその悲話にふれてみては?
あわせて読みたい
壮絶!幕末の兵士・渋沢平九郎が越生で迎えた末路【埼玉・越生町】
幕末の若き兵士・渋沢平九郎。平九郎は、新一万円札の顔としても注目される、渋沢栄一の見立養子にあたる人物でした。その、渋沢栄一を主人公にした、2021年のNHK大河ド…
龍穏寺
関東の武将として知られる太田道灌と父・道真の墓がある寺院で、道灌生誕の地ともいわれる。
歴史を感じさせる古刹で見どころも多い。
あわせて読みたい
太田道灌生誕地で、墓所「龍穏寺」と山吹の里の故地をめぐる【埼玉・越生町】
江戸城を築城するなど、関東で活躍した武将・太田道灌。その太田道灌の生誕の地が、埼玉県越生町だったといわれています。 そんな越生町にある太田道灌ゆかりのスポット…
龍穏寺
住所:埼玉県入間郡越生町龍ヶ谷452-1(GoogleMapで開く)
※黒山三滝から龍穏寺までは車で約15分(約6km)。徒歩だと約1時間。
バスの場合は「黒山」から最寄りの「上大満」まで約2分、下車後徒歩25分。
山吹の里公園
太田道灌にまつわる「山吹の里伝説」の故地といわれる場所。
約3千本植えられている山吹が例年4月から5月にかけて咲き乱れ、黄金色に輝きます。
山吹の里歴史公園
住所:埼玉県入間郡越生町如意(GoogleMapで開く)
※越生駅から徒歩7~8分の場所にあります。車だと2~3分。
越生梅林
越生を代表するスポットで「関東三大梅林」の一つ。
毎年2月中旬~3月中旬にかけて「越生梅林梅まつり」が開催されます。
越生梅林
住所:埼玉県入間郡越生町堂山113(GoogleMapで開く)
※黒山三滝からは車で約10分(約6km)。バスの場合は「黒山」から最寄りの「梅林入口」まで約7分、
~観光案内所・お土産処~
越生町インフォメーションセンター
越生町の観光案内所。
お土産の販売や、コーヒーや軽食の販売もあり。
レンタサイクルについて
電動アシスト自転車のレンタサイクルサービスがあります。
貸出しに必要なもの:本人確認書類(免許証・保険証・学生証等)
利用料金:4時間以内 1,000円、4時間超 1,500円
利用時間:8:30~16:00
貸出自転車:電動アシスト自転車 26型
貸出・返却場所:越生町観光協会事務所(越生駅西口)
その他:
・小学生以下の方への貸出しには、保護者の同伴が必要。
・ご希望に応じてヘルメットの貸出しあり。
問い合わせ:越生町観光協会(TEL.049₋292₋1451)
越生周辺の立寄りスポットを探して予約しよう!割引プランも!
黒山三滝にでかけてみませんか?
黒山三滝は、比較的手軽に行ける割にちょっと秘境のような雰囲気があり、自然に囲まれ涼を感じられるスポットでした。
周辺の散策路や歴史スポットとあわせて訪問すると良いと思います。
春であれば、越生町の名所・越生梅林への花見とあわせての訪問も良いですよ。
黒山三滝に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2021/10/10
関東近郊へは、気軽なバス旅で出かけてみない?
涼し気なスポットをさらにチェック!
あわせて読みたい
白糸の滝とハルニレテラス、美味しい空気と食事を満喫!【長野・軽井沢町】
ちょっと都会を離れて、都心からも比較的近い軽井沢の自然の中でマイナスイオンを感じながらリラックスしませんか?「白糸の滝」で木々に囲まれて森林浴を楽しみ、自然…
あわせて読みたい
碓氷峠 アプトの道を廃線探訪!変電所跡やめがね橋の重厚さに圧倒【群馬・安中市】
群馬県安中市にある、鉄道の廃線跡を利用した散策路「アプトの道」を紹介します。碓氷峠にかかる道は自然に囲まれ景色も良く、また、国内最大級のレンガ造りの橋・めが…
あわせて読みたい
ホントに東京!? 日原鍾乳洞がライトアップで幻想的に浮かび上がる【東京・奥多摩町】
東京都内に居ることを忘れてしまいそうな、奥多摩にある巨大な地底空間「日原鍾乳洞」を紹介。夏には最強の納涼スポットとなる、関東最大級の鍾乳洞です。ライトアップ…
あわせて読みたい
「華厳の滝」へエレベーターで急降下!怒涛の落水音にも圧倒【栃木・日光市】
日本三名瀑の一つに数えられる「華厳の滝」を中心に、秋の奥日光の自然が楽しめるスポットを紹介。華厳の滝を中禅寺湖とともにパノラマが楽しめる明智平展望台、至近距…