現在唯一の都電として運行されている都電荒川線は、さくらトラムの愛称で親しまれています。
レトロな雰囲気をもつ都電に乗って、沿線4社の神社を参拝するのが「都電神社めぐり」です。
楽しみながらめぐれるように、都電のイラストが入った御朱印や専用の御朱印帳なども用意されていますよ!
都電の運転体験ができる「都電おもいで広場」にも立ち寄りつつ、都電に乗る楽しさと都電神社めぐりの見どころを紹介します。
目次
東京さくらトラム(都電荒川線)で神社をめぐる小さな旅
都電の歴史と都電荒川線について
最初に本日の主役の一つでもある、都電荒川線について紹介します。
都電荒川線は現在運行されている唯一の都電で、三ノ輪橋(荒川区南千住) ~ 早稲田(新宿区西早稲田)間の12.2kmの距離を、30の停留場で運行。
「東京さくらトラム」の愛称で親しまれています。
明治44年(1911年)、当時の東京市が東京鉄道株式会社から路面電車の事業を引き継ぎ、東京市電気局として開業したのが都電の歴史のスタートです。
最盛期は昭和18年(1943年)頃で、当時41もの系統が走った都電には1日約193万人の利用者がいました。
その後も都電は都民の足として永らく活躍しましたが、やがて自動車交通の増大により運行が困難になってゆきます。
交通の主役の座を自動車に譲っていった都電は、昭和42年から47年にかけて次々と廃止されました。
そんな歴史の中、大部分が専用軌道であり、沿線住民の強い存続要望がある都電荒川線のみが継続運行されている現状になります。
『都電神社めぐり』都電で沿線4社をめぐる
都電荒川線沿線には多くの神社がありますが、そのうちの4社をめぐるのが「都電神社めぐり」です。
都電神社めぐりの神社4社と最寄り停留所
■尾久八幡神社(宮ノ前停留所)
■七社神社(飛鳥山停留所)
■天祖神社(大塚駅前停留所)
■大鳥神社(雑司ヶ谷停留所)
4社ではイラストレーターの川瀬ホシナ先生がデザインした、都電9000形の都電印が御朱印に捺印されます。
期間限定の御朱印が用意されることもあるそうです。
専用の御朱印帳が用意されているのも楽しいですね!
都電の乗り方は?お得な一日乗車券もある
本日はJR王子駅から近い「王子駅前」停留所を出発場所にしました。
あっ、都電の場合、駅ではなくて停留所と呼ぶそうです。
都電神社めぐりには参拝順などのルールはないので、本日は尾久八幡神社、大鳥神社、天祖神社、七社神社の順でめぐる予定です。
一般の運賃は大人170円(ICカード 168円)、小児90円(ICカード 84円)です。
PASMO、Suicaなどの交通系ICカードも使えるんですね。
本日は数回乗り降りするのにお得な、都電一日乗車券を購入しました!
都電一日乗車券・都電IC一日乗車券
都営荒川線を1日に限り何回でも乗車できるお得な乗車券。
発売額:大人 400円、小児 200円
有効期間:1日
販売場所:都電の車内・荒川電車営業所・都電定期券発売所・三ノ輪橋おもいで館で発売。
※前売りは発売日から6か月以内の1日に限り有効、当日売りは発売当日に限り有効です。
※都電IC一日乗車券はPASMO・Suicaに発行されるもの(車内販売のみ)。
ホーム上に販売員がいたので、そちらで購入。
1日に3回以上乗車する場合は、一日乗車券がお得となります。
乗車券を購入して、さっそく乗車です。
乗車は前乗りで、乗車時に運賃を払います。
一日乗車券は乗車時に運転手に見せればOKです。
降りたい停留所があればあらかじめ降車ボタンを押して知らせ、後方のドアから降車します。
乗り降りの勝手が良く分からず軽くドキドキしましたが(笑)、バスと似たような雰囲気でした。
車内は結構混んでますね!
現在は1日あたりの都電の利用者は、約4万7千人だそうです。
乗り慣れない乗り物に乗ると、思わず童心に帰りますな。車窓の景色に釘付け。
「さくらトラム」の愛称にもあるように、沿線には桜が楽しめるスポットが点在しているそうです。
春に都電で桜スポットをめぐるのも、楽しいだろうなあ。
「尾久八幡神社」 ~宮ノ前 下車~
三ノ輪橋方面に乗車して10分程度で「宮ノ前」停留所に到着。
停留所に降り立つと、すぐ目の前が「尾久(おぐ)八幡神社」でした。
この文字通りの”降りてすぐ”感は、電車にはない感覚ですね。
尾久八幡神社は住宅街にある神社ですが、緑に囲まれて静かな境内でした。
創建については不詳ですが、尾久一帯は鎌倉時代末期には鶴岡八幡宮の神領だったそうで、その頃に建立されたと伝わります。
古くから農工商の神様として信仰されてきました。
毎年8月の第1土曜・日曜には例大祭がおこなわれます。
特に4年に一度の神幸祭では本社神輿などが繰り出され、尾久の町が盛り上がるそうですよ。
参拝後、都電神社めぐりのイラストが可愛らしい御朱印を頂きました。
さらに、都電神社めぐりの専用御朱印帳も1,500円で購入。
御朱印は書置きのみでした。
宮ノ前停留所では「宣伝鬼平ラッピング車両」と遭遇。
なかなか目立ちますなあ。
尾久八幡神社
公式ページ
住所:東京都荒川区西尾久3-7-3(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・都電荒川線「宮ノ前」よりすぐ
・日暮里・舎人ライナー「熊野前駅」より徒歩約5分
尾久八幡神社周辺でのランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
都電好き集合!「都電おもいで広場」 ~荒川車庫前 下車~
次に早稲田方面に折り返す電車に乗車し、大鳥神社に向かいます。
ですがその前に宮ノ前から3つめの「荒川車庫前」で下車して、ちょこっと寄り道です。
停留所前には「都電おもいで広場」なる施設がありますので、こちらを見学します。
ちなみに入場は無料です。
広場には都電全盛期時代の、懐かしい感じの旧型車両が2両展示されています。
都電の歴史を振り返られる施設で、コンパクトな施設ながらも乗り物好きが喜びそうなスポットですわ。
学園号のプレートが付いた車両は7500形と呼ばれる型式で、昭和37年(1962年)製のもの。
1つ目だったヘッドライトに代わり、2つ目になったのが当時のデザイン的な特徴でした。
休止車となった平成10年当時は、大塚駅前~町屋駅前間の通学用電車として親しまれたそうだ。
それで学園号ね。たまたまだと思いますが、色もスクールカラーだわ。
車内の見学もできます。
定員は96人で、座席は21人分。
木製の床が時代を感じさせます。
もう1台の車両は昭和29年(19547年)製の5500形で、こちらは学園号より古い1目ライトのタイプですね。
当時はアメリカの最新の技術を導入して造られた、最新鋭の車両だったそうだ。
車両内にはケース内の都電の歴史資料の展示や、沿線をイメージしたジオラマの展示などがありました。
さらに車輌後方には、運転手さんのような雰囲気の方がいますが、はて。。。
こちらには模擬運転台が設置されていました。
「運転してみますか?」と聞かれ、折角なので運転席へ。
都電荒川線の車窓風景の映像とともに、運転が体験できました。
これは大人も子供も楽しめそうですよ。
都電おもいで広場
住所:東京都荒川区西尾久8丁目33-7(GoogleMapで開く)
入場料:無料
開場日時:土・日・祝日の10時~16時(振替休日含む)
アクセス:
電車) 都電荒川線「荒川車庫前」下車すぐ
「大鳥神社」 ~都電雑司ヶ谷 下車~
ノスタルジックな都電の歴史に触れた後は、再び神社めぐりに戻りましょう。
終点の早稲田にも程近い「都電雑司ヶ谷」停留所で下車します。
こちらの停留所で見かけた車両は、クラシカルな雰囲気でなかなかカッコ良いデザインだ。
現在、都電の車両は全部で5種類の型式があります。
7700形が8両、8500形が5両、8800形が10両、8900形が8両、9000形が2両で計33台と、台数は結構あるんですね。
写真の7700形のデザインは、平成28年にリニューアルされたもの。
都電は様々なデザインの車両が走っており、往来する車両を眺めているだけでも楽しい!
停留所より徒歩2~3分で「大鳥神社」に到着です。
ちなみに、一つ先の「鬼子母神前」停留所からも同じくらいの距離みたいです。
境内はとてもにぎやかで活気がありました。
あれ?落語をやってる。
たまたまでしたが、訪問日は境内で「雑司が谷キラキラ市」が開催されており、地元の方々でにぎわってたんですわ。
ミニ縁日のほか、東京音大生の演奏や落語ステージ、紙芝居などが催されていました。
東京音大は近隣に池袋キャンパスがあります。
大鳥神社はここから程近い雑司が谷鬼子母神堂の境内に、元々は鎮座していました。
当時は鷺(さぎ)明神社としてお祀りされていましたが、明治時代の神仏分離により現在地に移転して、大鳥神社に改称されました。
拝殿前には巾着型の置物がド~ンと置かれていました。
思わず賽銭を巾着に投げ込みたくなりますが、賽銭口はその手前にありました。
決して大きな神社ではありませんが、地元に根差した神社である雰囲気が伝わってきました。
大鳥神社の近くには「雑司ケ谷霊園」があり、園内には夏目漱石や竹久夢二をはじめ多くの著名人の墓所があります。
立ち寄ってお参りするのも、良いかもしれません。
こちらでは御朱印帳への直書きで頂けました。
大鳥神社
公式ページ
住所:東京都豊島区雑司が谷3-20-14(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・都電荒川線「都電雑司ケ谷」より徒歩約2分、または「鬼子母神前」より徒歩約2分
・東京メトロ副都心線「雑司が谷駅」より徒歩約2分
・JR山手線「池袋駅」より徒歩約7分
大鳥神社周辺でのランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
「天祖神社」 ~大塚駅前 下車~
次の「天祖(てんそ)神社」の最寄り停留所は「大塚駅前」。
JR大塚駅の駅前に位置するだけあって、都会らしい往来の多い場所にありました。
屋根も随分としっかりした施設ですしね。
入線していた8800形と呼ばれる車両は、現代的な感じのデザインでした。
歩いて3分程で天祖神社に到着。
周囲に飲食店が多いエリアですが、緑に囲まれた境内は静かでした。
天祖神社は鎌倉時代末期の創建といわれ、領主の豊島氏が伊勢神宮の神をお迎えしたのに始まります。
巣鴨村の鎮守様であり、かつては神明社・神明宮と呼ばれていましたが、明治に入り天祖神社に社名が変更されています。
社殿は改装中でした。
境内で印象的だったのは「夫婦イチョウ」と呼ばれる、2本の大きなイチョウの木。
戦災で一部損傷してますが、今も元気に参拝者を出迎えています。
稲荷社をはじめ全部で7社の境内社が祀られており、幅広くご利益が頂けそうです。
都電神社めぐりのスタンプ入りの御朱印は書置きのみだったため、こちらの直書きの御朱印に浮気してしまった。すんません。。。
天祖神社
公式ページ
住所:東京都豊島区南大塚3-49-1(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・都電荒川線「大塚駅前」より徒歩3分
・JR山手線「大塚駅」より徒歩3分
・東京メトロ丸ノ内線「新大塚駅」より徒歩7分
天祖神社周辺でのランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
「七社神社」 ~飛鳥山 下車~
最後となる「七社神社」の最寄り停留所は「飛鳥山」で、スタートした王子駅前停留所のお隣の停留所。
停留所から神社までは、徒歩10分程度の距離でした。
王子には東京ドーム約1.5個分の広さを持つ「飛鳥山公園」がありますが、七社神社はその飛鳥山公園にほど近い南東側にあります。
境内には茅の輪くぐりが設置されていました。
寛政5年(1793年)の火災で記録が焼失しているため、創建については不詳とのこと。
西ヶ原村の総鎮守とされ江戸時代には近隣の無量寺境内にありましたが、明治時代の神仏分離により現在地に遷座しています。
こちらで見逃せないのが、拝殿に架かる渋沢栄一筆による扁額です。
近代日本経済の父といわれる渋沢栄一は、工場設立に尽力した王子製紙の工場を眼下に見れる飛鳥山に、明治12年(1879年)に別荘として邸を構えました。
明治34年(1901年)に本邸として移り住んだ際、七社神社の氏子となっています。
大正9年(1920年)には渋沢栄一を中心とする氏子達により、社務所が建築されたそうです。
(現在の社務所は、昭和に建て替えられたもの。)
境内は緑に囲まれて落ち着いた雰囲気です。
御衣黄(ぎょいこう)と呼ばれる珍しい桜が本殿前に植えられており、春には黄緑色の花をつけます。
七社神社で頂いた御朱印はなかなか凝ったものでした。
御朱印帳に直書きで書かれた後、色付の半透明シートが被されカラフルに仕上がります。
これは嬉しいですね。
ゆかりの地ということで、渋沢栄一のスタンプも押されていました。
七社神社
公式ページ
住所:東京都北区西ヶ原2-11-1(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・都電荒川線 「飛鳥山」より徒歩約10分
・東京メトロ南北線 「西ヶ原駅」 2番出口より徒歩2分
・JR京浜東北線 「上中里駅」「王子駅」より徒歩10分
七社神社周辺でのランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
渋沢栄一ゆかりの「飛鳥山公園」(七社神社近隣)
七社神社にも近い「飛鳥山公園」は江戸時代に桜の名所として整備された場所で、現在も春には桜の名所としてにぎわいます。
明治初期に上野公園・芝公園・浅草公園・深川公園とともに、日本で最初に指定された公園であることはあまり知られていないかもしれません。
渋沢栄一の邸宅があった場所には、現在は渋沢資料館があります。
\ 渋沢栄一の邸宅もあった飛鳥山公園の紹介はこちら!/
神社に参拝に行くと、神々についてや神社施設の呼び名・役割について知りたいけど、聞ける相手もいない!
ってことありません?そんな時、網羅範囲が広い本書は結構頼もしいですよ!
都電神社めぐりに出かけませんか?
王子駅付近で都電が走っているのを見るたびに、いつかのんびり乗ってみたいなあと羨望のまなざしを送っていたので(笑)、今回は楽しかったです。
荒川区・豊島区・北区と縦断して、普段足を運ぶこともなさそうなエリアを訪問できたのも新鮮でした。
今回は午後から出発して半日でめぐりましたが、案外忙しい感じでした。
時間の余裕を持って、もう少しのんびりと回れたら良かったかもしれません。
今度はぜひ桜の季節にぷらっと乗ってめぐってみたいです。
レトロな都電に乗って出かけてみませんか?
記事の訪問日:2024/6/9
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