静岡県にある駿河国総社「静岡浅間神社」は、約2100年前が起源とされる地方最古の神社。
そしてこの神社は徳川家康が元服式をおこなった場所でもあり、徳川家康と江戸幕府ゆかりの神社となります。
境内には幕府が長い歳月と巨費を投じた、きらびやかな建築物が残ります。
そんな歴史ある神社の紹介と、境内に設置されたNHK大河ドラマ・どうする家康の大河ドラマ館もあわせて紹介!
目次
「静岡浅間神社」徳川家康が元服式をおこなった神社
平成令和の大改装を経て輝く「楼門」

徳川家康が江戸幕府の将軍職を退いた大御所時代を含め、最も長く暮らしたのが現在の静岡市中心部にあたる駿府の町です。
居城であった駿府城跡からは1km程離れた場所にある、家康と大変ゆかりが深いとされる「静岡浅間(せんげん)神社」を参拝しました。
徳川家康を題材にしたNHK大河ドラマ「どうする家康」の放送にあわせて、境内に大河ドラマ館が開設されているので、そちらにも立ち寄りますよ。
入口正面の総門をくぐって境内に進みます。
\ 駿府城跡の詳細はこちら! /

境内に入ると神部(かんべ)神社・浅間(あさま)神社の入口となる、立派な楼門が現れます。
文化13年(1816年)に建てられたこちらは、国重要文化財に指定されているもの。
静岡浅間神社では平成26年(2014年)より平成令和の大改修が実施されており、20年という長い年月を掛けての改修の最中なんですね。
その中で本社入口にあたる楼門は、2020年3年にお色直しが終了。美しさを取り戻した姿が見られて、ラッキーでした!
総漆塗の建築物は重厚さを感じさせます。
「静岡浅間神社」神部神社・浅間神社・大歳御祖神社の総称

境内には2社同殿で祀られている「神部神社」「浅間神社」、そして別殿で祀られている「大歳御祖(おおおとしみおやじんじゃ)神社」の3社が鎮座しますが、静岡浅間神社の呼び名はその3社の総称とのこと。
地元では親しみをこめて、”おせんげんさま”と呼ばれているそうですよ。

門に施されている精巧な彫刻にも注目したいところ。
キラキラと光を放ちゴージャス感あふれる龍の彫刻は、名工・左勘五郎作と伝わる「水呑の龍」。
安永の火災の際には水を御殿に吹き掛けた、という勇ましい伝説が残ります。
左勘五郎作の彫刻はその精巧さゆえ、彫刻が建物を抜け出してしまう話が多々付いて回りますね。

金箔や彩色による鮮やかな彫刻群に目がゆきます。

1階の両側に納められている、入口を警護する随身像。
「神部神社」約2千年の歴史を持つ駿河国総社

社殿エリアに入ると古社の雰囲気を感じさせる舞殿の奥に、独特の風貌を持つ巨大な拝殿が見えてきましたよ。
ちなみに、境内には江戸時代後期の建築物が多く残っていますが、その中でこの舞殿は唯一の素木(しらき)造りの建物とのことです。
「大拝殿」高さ日本一の木造神社建築は富士山を模したもの!?

そしてこちらが浅間造りと呼ばれる、楼閣造りの2階建ての「大拝殿(おおはいでん)」です。
荘厳な雰囲気を持つ個性的な形状の社殿ですねえ。まるでお城の天守のようだわ。
25mある高さはなんと出雲大社の本殿よりも1m高いもので、木造の神社建築としては日本一の高さを誇るそうですよ!
ちなみにこの拝殿と奥にある本殿とも、神部神社と浅間神社が同殿にて祀られています。

そしてこの独特の形状は、実は富士山をイメージしているらしいんですよ!
破風の裏手に波打った彫刻が見えますよね?これが実は雲。そして天空にあたる屋根下の部分には、天女が舞っています。
日本一の山を社殿で再現してしまうなんて、地元ならではの凄い発想ですよね。

神部神社・浅間神社ともそれぞれ歴史のある神社ですが、とりわけ神部神社は歴史が古く、地方最古の神社といわれています。
その創建時期はなんと登呂遺跡と同じ頃とされる、約2100年前と伝わります。紀元前ですかあ。
平安時代には駿河国総社として延喜式内社となった、格式の高い神社でもあります。
主祭神である己貴命(おおなむちのみこと)は、延命長寿・縁結び・除災招福の御神徳をお持ちです。
一方、浅間神社は、浅間神社の富士山本宮の新宮として分祀されました。
新宮といっても創建は平安時代の延喜元年(901年)なので、こちらも相当歴史がありますよ。
主祭神である木之花咲耶姫命(このはなのさくやびめ)は、安産・子授け・婦徳円満の御神徳をお持ちです。
徳川家康の元服式が今川家の人質としておこなわれた

静岡浅間神社は、古くより朝廷や武将の崇敬を受けました。
なかでもとりわけ繋がりが深かったのが、当社で現在の成人式にあたる元服式をおこなった徳川家康です。
静岡浅間神社・駿河国と徳川家康との結びつき
■弘治元年(1555年):今川家の人質であった徳川家康(幼名・竹千代)は、14歳で静岡浅間神社で元服。着初めの鎧を今川義元から贈られる(後、静岡浅間神社に奉納)。
■天正9年(1581年):徳川家康は武田家攻略の戦勝を祈願し、再建を祈誓したうえで社殿を焼き払い当社背後の武田方の賤機山城(しずはたやまじょう)を攻め滅ぼす。
■天正14年(1586年):家康は東海各国に勧進をおこない慶長年間社殿を造営。この年、家康は浜松城から駿府城に移っている。
■慶長12年(1607年):家康、大御所として駿府入城。
■元和2年(1616年):家康、駿府城にて死去。
徳川家康の江戸暮らしは約15年間ほど、対して駿府で暮らしたのは延べ25年間で、江戸在住期間より10年も長かったというのはちょっと意外ですよね。
それだけ思い入れのある地だった、といえそうです。

今川義元は徳川家康(当時は竹千代)を保護し武家教育を施すことで、三河国(現、愛知県東半部)を安定支配するための”従属国の後継者”として位置付けていたようです。
家康にとって人質生活は厳しいものだった一方で、今川家の軍制・外交・礼法を学び、のちの政治・軍事の基礎を身につけたと考えられています。

本殿も二社相殿だが、正面は2神で分かれている
家康亡き後も江戸幕府と静岡浅間神社との結びつきは強く、徳川家光は寛永11年(1635年)の上洛の折に社殿の修造を命じています。
家光はこの時期に日光東照宮の”寛永の大造替”もおこなっているので、同時期に手掛けていたことになります。
その後、安永と天明に社殿が延焼した際には、江戸幕府により文化元年(1804年)から60年余の歳月と10万両の巨費を投じた超大規模な再建がおこなわれました。
この時再建された建造物が、現在残っている社殿群です。
金額もさることながら、60年を掛けてというのも凄いですね!家康公元服の地、という特別な背景があってのことだったのでしょう。
「八千戈神社」家康の念持仏・摩利支天を祀った

本社の左手にある「八千戈(やちほこ)神社」は、本社に次ぐ大きさの社殿を持ちます。
元々は徳川家康の念持仏である摩利支天(まりしてん)を祀った神社で、摩利支天社と称していました。
これが明治時代の神仏分離により、八千戈神社に改められました。

唐破下の鳳凰(ほうおう)の彫刻が印象的です。
その奥の屋根下の妻飾りにも所狭しと彫刻が並び、徳川の葵の御紋も多く見られます。

唐門の扉に装飾されている動物は麒麟(きりん)でした。
大河ドラマ”麒麟がくる”でもタイトルに取り上げられた生き物ですが、オドロしい見かけとは裏腹に、本当に平和な世になると現れる聖獣らしいですよ。

絵馬掛けには沢山の瓢箪が架かっていました。
願いごとを書いた用紙を瓢箪に納めてこちらに吊るすと、願いが叶うとのこと。
これは合戦の際に家康が愛用した勝瓢(かちふくべ)と呼ばれる瓢箪が、静岡浅間神社に奉納されていることに由来するらしいですよ。
豊臣秀吉の馬印の千成びょうたんは良く知られますが、家康にもゲンの良い瓢箪があったんですね。
「どうする家康 静岡 大河ドラマ館」松本潤着用の衣装を展示

静岡浅間神社の境内には、NHK大河ドラマ・どうする家康の放映にあわせた大河ドラマ館が開館されていました。
ゆかりの神社の境内に設置された大河ドラマ館に、家康公もお喜びのことではないかと。

ドラマ館は2階建ての施設。
1階には4Kシアターと、記念写真が撮れるフォトスポットがあります。
4Kシアターの動画は出演者インタビューなどを交えた、ここでしか見れないドラマのテーマ紹介の映像が見られるのが貴重。
2階には登場人物の解説パネルや衣装、小道具などが展示されています。
写真は家康の松本潤さんが、物語初期の松平元康時代に着ていた衣装。
他にも松本潤さんと有村架純さんが実際に着用した、家康と瀬名の婚礼衣装の展示などもありました。

主要な登場人物の衣装にはテーマカラーが設定されているそうで、家康の衣装はブルー系が基調とのこと。
ドラマでは登場人物の衣装の色にも注目してみたいですね。
ほかにもドラマを深く知ることができる、様々な展示物がありましたよ。

こちらは松本潤さんと有村架純さんの等身大パネルと一緒に、記念撮影が撮れるスポット。
大河ドラマ館見学後は、同じく境内にある「家康公 初恋の地 しずおか ギフトショップ」に立ち寄り。
関連グッズや静岡のご当地土産など、様々なお土産品がありました。
どうする家康 静岡 大河ドラマ館
公式ページ
住所:静岡県静岡市葵区宮ケ崎町102(静岡浅間神社内)
開館期間:令和5年1月27日~令和6年1月28日
開館時間:9時~18時
入館料:
・大人 400円、小人(小中高生) 200円、未就学児 無料
・市内在住者の場合、大人 200円、小人(小中高生以下) 無料
静岡浅間神社の御朱印

「まぐろ丼専門店・焼津港みなみ」 これは激ウマ!

静岡浅間神社の参拝記は以上ですが、最後に、参拝前に立ち寄った市内の激ウマなお店を紹介させて下さい。
海のある街に来たらやはり美味しい魚を!とこちらの地元の人気店「まぐろ丼専門店・焼津港みなみ」をランチで訪問。
昼はまぐろ丼専門で、夜は刺身を肴にお酒も楽しめるお店です。

「天然南まぐろ三昧丼」を注文。いや~、美味いです!自分史上、一番美味しいまぐろ丼でしたわ。
ネットリととろけるような食感にウットリ。御馳走様でした!
皆さんも静岡市訪問の際は、是非立ち寄ってみて下さい。
焼津港 みなみ
公式ページ
住所:静岡県静岡市駿河区南町2-14 1F
営業日・営業時間:
昼の部:[全日営業]11:00〜14:00(なくなり次第終了)
夜の部:[火曜〜土曜]17:30~21:00(LO 20:30)
タモリさんならではの視点で、富士山の歴史が解き明かされてゆきます。
読めば出かけてみたくなるはず!
静岡浅間神社の詳細情報・アクセス
静岡浅間神社
公式ページ
住所:静岡県静岡市葵区宮ケ崎町102-1(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・静岡鉄道「新静岡駅」より、約1.6km(徒歩約20分)
・JR「静岡駅」より約2.5km(徒歩約30分)
・JR「静岡駅」より、しずてつジャストラインバスの安倍線又は美和大谷線で乗車8分、「赤鳥居 浅間神社入口」下車
・JR「静岡駅」より、駿府浪漫バス線乗車約30分、「浅間神社」「赤鳥居 浅間神社入口」下車
車)
・新東名高速道路「新静岡IC」より約15分
・東名高速道路「静岡IC」より約20分
・専用第一駐車場あり、80台。参拝目的以外の駐車は不可。駐車時間は30分。
静岡市ランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
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駿府城公園
住所:静岡市葵区駿府城公園1-1(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR「静岡駅」から徒歩約15分
・静岡鉄道「新静岡駅」から徒歩約12分
車)
・東名高速「静岡IC」より約17分
・新東名高速「新静岡IC」より約18分
・専用駐車場無し、市民文化会館前駐車場(有料)等を利用。
久能山東照宮
遺言により徳川家康公が葬られた、全国の東照宮の創祀社。
駿河湾を望む孤高の地にあり、国宝の社殿や家康公の墓所など見どころが多い。
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久能山東照宮
住所:静岡県静岡市駿河区根古屋390(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR静岡駅より、しずてつジャストライン石田街道線にて終点「東大谷」下車(約40分)、久能山下行きバスに乗り換え、終点「久能山下」下車(約15分)。1159段の石段を登り約20分。 ※日に数本「静岡駅」から久能山下行きのバス(約50分・乗換無し)も有り。
・JR「静岡駅」からバスで約50分、又はJR「東静岡駅」からバスで約30分、又はJR「清水駅」からタクシーで約15分で日本平へ。ロープウェイで久能山へ約5分
車)
・久能山下から石段で登る場合) 日本平久能山スマートインターより約20分、久能山下、1159段の石段を登り約20分。 *駐車場は久能山下周辺の民間駐車場を利用
・ロープウェイ利用) 日本平からロープウェイで久能山へ約5分。




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静岡浅間神社へ出かけてみませんか?
静岡浅間神社では、徳川家康、そして徳川将軍家との深い結び付きを感じることができました。
ところで静岡県は、全国一のプラモデル産地として知られています。
これは寛永時代に静岡浅間神社の造営に尽力した職人たちが、後に木工・模型・漆器などの工芸品を手がけるようになり、やがてプラモデル産業にもつながっていった、ということらしいです。
歴史を紐解いてゆくと、色々と興味深いことが出てきますよね。
歴史のある静岡浅間神社の参拝に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2023/3/18


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