山梨県の甲府盆地の端に位置する甲斐善光寺。
武田信玄が川中島の合戦の際、信濃善光寺の焼失を恐れ長野から御本尊の阿弥陀如来などを移したことに始まります。
山々を背に建ち壮大さを感じさせる巨大な山門や金堂は国の重要文化財にも指定されています。
戦国時代に想いを馳せつつ歴史を振り返りながら、甲斐善光寺の見どころを紹介。
目次
『甲斐善光寺』 武田信玄により開基
「山門」 甲斐善光寺とは?
「甲斐善光寺」に到着すると、まずは正面にあるこの巨大な山門に圧倒されますね。
甲斐善光寺は、武田信玄により開基された寺院です。
越後の上杉謙信との川中島の合戦の折、現在の長野県にある信濃善光寺の焼失を恐れ、戦国時代の永禄元年(1558年)、御本尊の阿弥陀如来その他、諸仏・寺宝・大梵鐘などを甲斐に移したことに始まります。
信濃善光寺の37世住職・鏡空上人が本願主となり、当地に甲斐善光寺が開山されました。
武田信玄が建立した伽藍は、江戸時代の宝暦4年(1754年)の火災により残念ながら焼失しています。
門前の農家からの失火が原因だったそう。
現在のこの山門と本堂にあたる金堂は、江戸時代の寛政8年(1796年)に再建されたものです。
江戸時代の甲斐善光寺は浄土宗甲州触頭(ふれがしら)を勤め、徳川家位牌所にもなっていました。
触頭は寺社奉行の命令を配下の寺院に伝達したり、寺院からの願書を上申したりする機関のこと。
山門は五間三戸(ごけんさんこ)の楼門で、入母屋造の構造です。
五間三戸は正面の柱間が5つあり、うち中央3間が通路になっている造りのことですね。
門の1階部分の両脇には、仁王像が安置されています。
柵の隙間からちょっとのぞかせて頂きましたが、怖い形相でメッチャ睨まれましたわ。
2階部分には、手すり付きの廊下がめぐらされています。
内部には仏壇が置かれているそうです。
甲斐善光寺の正式名称は「定額山浄智院善光寺」になります。
「金堂」 武田菱と徳川三つ葉葵が
宝暦4年(1754年) の火災の後、実に30年以上の歳月を費やして再建されたのが現在の金堂です。
金堂は総高27m、総奥行49mという巨大な建造物で壮観ですね~。
山門とともに国の重要文化財に指定されています。
ちなみに、焼失する前の江戸時代の甲斐善光寺の金堂は、信濃善光寺とほぼ同じくらいの大きさだったそう。
金堂のほか、山門・三重塔・鐘楼など、本坊三院十五庵の大伽藍を有していたらしいですよ。
金堂は善光寺建築に特有の、撞木造(しゅもくづくり)と呼ばれる形の建築物。
これは金堂を上空から見ると、棟T字型に見える形なんだそうだ。
この形が鐘を叩く撞木に似ていることから、そう呼ばれるらしいですよ。
扁額の下に武田氏の家紋・武田菱、その右側には徳川の三つ葉葵の紋を見つけました!
両者は金堂各所で見かけることができますよ。
ところで、信濃善光寺からやって来た御本尊のその後ですが、武田氏滅亡の後、織田氏・徳川氏・豊臣氏の間を転々としたそうです。
しかし、慶長3年(1598年)には、ようやく元の信濃善光寺に帰座することができました。
こちら甲斐善光寺では、新たに前立仏を御本尊と定め現在に至っています。
金堂は山々の緑を背景にした建物の姿が映えます。
甲斐善光寺の鎮座地は、甲府盆地の端に位置してます。
北側周囲は低山に囲まれ、その北方には奥秩父連峰の山々が連なっています。
「鳴き龍とお戒壇廻り」
金堂の中は拝観料を払って見学する事ができますよ。
見どころの一つが「鳴き龍」。
お堂の天井に巨大な2匹の龍が描かれており、その下で手を叩いた音が共鳴して龍の鳴き声のように聞こえる、というやつですね。
日光東照宮にもありますが、これ、不思議ですよね!
それと、「お戒壇廻り(おかいだんめぐり)」が体験できます。
堂の裏手から階下に下り、御本尊の真下にある暗闇の小部屋を壁づたいに巡るもの。
鍵がありそれに触れると、御本尊様と繋がることができるのだという。
修行体験のひとつらしいのですが、「マジ?」と思うほど真っ暗な中を歩くことになり、少々びっくりしました!
堂内は撮影NGにつき、写真はありません。
「鐘楼堂銅鐘」 信濃から引き摺って来た!?
鐘楼堂の「銅鐘」も、御本尊とともに武田信玄により信濃から移されたもの。
現在でもこの地で時を告げているそうだ。
信州から引きずって運ばれたといわれ、「引き摺りの鐘」と呼ばれるそう。
そりゃ重かったでしょうなあ。
正和2年(1313年)に火災を受けて、信濃善光寺で補修された際の銘が残っているとのこと。
鎌倉時代の風格が良く表れている銅鐘といわれている。
鐘楼堂そばには、落ち着いた佇まいの「正一位王子稲荷大明神」がありました。
「大仏像と宝物館」 鎌倉時代の源頼朝像
境内にはこちらの立派な大仏様もいらっしゃいました。
特に説明書きも無く詳細は不詳。
また、境内には「宝物館」があり、金堂との共通拝観券で見学することができます。
源頼朝像・源実朝像・熊谷直実像などの鎌倉期の肖像彫刻ほか、貴重な展示物があります。
参拝後に是非立寄ってみましょう。
基本情報・アクセス
甲斐善光寺
公式ページ
住所:山梨県甲府市善光寺3-36-1(GoogleMapで開く)
拝観受付時間:9:00~16:30
御開帳期間中:8:00~17:00
拝観料:大人 500円、小学生 250円
アクセス:
電車)
・JR中央線「甲府駅」よりタクシー12分、「酒折駅」より徒歩15分
・JR身延線「善光寺」より徒歩7分
車)
・中央自動車道「一宮御坂IC」より20分、「甲府南IC」より25分、「甲府昭和IC」より20分
・駐車場あり(通常乗用車用30台)
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甲斐善光寺に出かけてみませんか?
歴史のロマン溢れる甲斐善光寺を紹介しましたが、いかがでしたか?
甲斐善光寺は甲府の市内中心部からも比較的近いので、山梨観光の立寄りスポットに加えるのも良いと思いますよ。
また、武田信玄ゆかりのスポットは、甲府駅駅前に武田信玄公銅像があるのをはじめ、武田信玄公を祀った武田神社などもあるので巡ってみるのも良いですね。
甲斐善光寺に参拝にでかけませんか?
記事の訪問日:2022/8/14
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