昭和から平成にかけて活躍した建築家、丹下健三氏。その活動は単なる建築家の枠にとどまらず、都市計画家としても世界各国で活躍し「世界のタンゲ」と呼ばれました。
先の時代を見据えた丹下氏独自の視点で設計された建物達は、どれも刺激たっぷり!
そんな丹下氏が設計した、東京で見ることができる10件の建築物を紹介します。
目次
丹下健三、都市計画家としても才能を発揮した国際的な建築家
日本を代表する建築家である丹下健三(1913-2005年)氏は、近代建築の巨匠ル・コルビュジエに多大な影響を受けながらも、日本の伝統美とモダニズムを融合させ独自のスタイルを確立した画期的な建築家です。
戦後の日本復興期から高度経済成長期にかけて、広島平和記念公園や国立代々木競技場など、数々の国家的なプロジェクトを手掛けて、日本の建築水準を世界レベルに引き上げました。
また、活動は建築家の枠にとどまらず、都市計画家としてもその才能を発揮。日本のみならず20ヶ国以上で、建築や都市計画を手掛けています。
功績は国内外で高く評価され、1987年には建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を日本人として初めて受賞しました。「世界のタンゲ」とも呼ばれ、20世紀を代表する建築家の一人です。
そんな建築界の巨匠・丹下健三氏が設計した、東京に残る建築物をめぐりました。
10件を時代別に紹介してゆきますが、どの建築物も刺激なものばかりですよ!
~1960年代~ あっ!といわせた高度経済成長期の建物、国立代々木競技場ほか
1.「国立代々木競技場(渋谷区)」 東京オリンピック会場、丹下氏の代表作の一つ

最初に紹介するのは、丹下健三氏が設計した代表作の一つ「国立代々木競技場」です。
こちらは昭和39年(1964年)開催の東京オリンピックに合わせて竣工されました。
半世紀以上経った令和3年(2021年)の2度目の東京オリンピックでも、会場として使用されます。

昭和の東京オリンピックには「日本の戦後復興を世界にアピールする」、という重要な役割がありました。そんな使命を担った中、丹下氏は世界的にも例がない斬新な設計・施工にチャレンジします。
競技場内の空間を遮る柱を排除し、屋根を”吊り橋”のように吊る構造が採用されました。これは大きな2本の支柱の間に、全長280mのケーブル2本を架けて屋根を支えるというもの。
当時、これほど巨大な屋根を吊り上げた建築物はどこにもなく、前代未聞の技術への挑戦でした。

建物を見上げると、支柱に架かったパイプから屋根が螺旋状に吊り下げられている様子が見れます。
以前から代々木競技場って巨大なサーカスのテントみたいな形だな、な~んて印象を持っていましたが、構造的にはあながち的外れでもはなかったようですね。
選手と観客の一体化を実現させた丹下氏には、国際オリンピック委員会(IOC)より特別功労者が贈られました。これは素晴らしいことですね!
国立代々木競技場の建築物概要
竣工:1964年 / 建築設計者:丹下健三都市建築研究所他 / 施工:清水建設株式会社(第一体育館)、株式会社大林組(第二体育館)
敷地面積:91,000m2 / 延床面積:34,204m2 / 建築面積:20,620m2
階数・高さ:【第一体育館】地上2階地下2階・40m【第二体育館】地上1階地下1階・42m
国立代々木競技場
公式ページ
住所:東京都渋谷区神南2-1-1 (GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR山手線「原宿駅」から徒歩5分
・東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前 駅 」から徒歩5分
・東京メトロ千代田線「代々木公園駅」から徒歩10分
2.「東京カテドラル聖マリア大聖堂(文京区)」 異彩を放つシェル構造の教会

次に紹介するのが、国立代々木競技場と同時期に竣工された「東京カテドラル聖マリア大聖堂」です。
大聖堂がある関口教会は、文京区のホテル椿山荘の真向かいに位置しています。
最初に見た時は「これはなんだ!?どういう形になっているんだ!」と少々動揺しましたが(苦笑)、写真をご覧頂ければそれも頷けるのではないでしょうか。実に摩訶不思議な建物です。

メタリックな外観を持つ大聖堂は、地下1階・地上3階建て鉄筋コンクリート造の建物です。
HPシェルと呼ばれる構造で、壁から屋根が一体化したコンクリートを垂直に立てて造ったもの。外装に使用されているのはステンレスです。

建物の配置にも特徴があります。
入口から入った場所には聖堂の正面口はなく、左手に折れて進んだ先の広場に出たところでクルッと振り返ると、聖堂の正面入口が現れるというもの。
これは鳥居をくぐり参道で気持ちを整えて参拝に至るという、神社的な日本文化を取り入れたものとのことです。
そして謎めいた建物の形状ですが、これはなんと!空から見下ろすと建物上部が十字架のデザインになっているんだそうだ。
どうりで凡人が地上から見上げても、理解しづらい形のはずだわ。

敷地内の「ルルドの洞窟」
聖堂内の見学も可能ですが、撮影はNGでした。
内部も剥き出しのコンクリートの壁に包まれた独特の雰囲気の空間なので、訪問時には是非ご覧になって下さい。
丹下氏は生前にカトリックの洗礼を受けており、91歳で死去された際には自ら設計したこの教会で葬儀がおこなわれました。現在も地下の墓所で眠られています。
東京カテドラル聖マリア大聖堂の建築物概要
竣工:1964年 / 建築設計者: 丹下健三・都市・建築設計研究所 / 施工:大成建設
敷地面積:15,098m2 / 延床面積:3,650m2 / 建築面積:2,541m2 / 構造形式:鉄筋コンクリート造
階数:地上1階地下1階 / 高さ:39m
関口教会 東京カテドラル聖マリア大聖堂
公式ページ
住所:東京都文京区関口3-16-15 (GoogleMapで開く)
電車・バス)
・東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」(出口1a)より徒歩15分
・JR山手線「目白駅」より、都営バス 白61系統 “新宿駅西口行き”
・JR山手線「新宿駅」より、都営バス 白61系統 “練馬車庫前行き”
どちらも「ホテル椿山荘東京前」下車徒歩1分
3.「静岡新聞・静岡放送東京支社ビル(港区)」 経済成長期のメタボリズム建築

続いて紹介する昭和42年(1967年)施工の「静岡新聞・静岡放送東京支社ビル」も、超個性的な建築物です。
こちらはJR新橋駅近くにあり電車の車窓からも見えるので、ご覧になったことがある方もいらっしゃるのでは?
初めて見る方は、このアングルだとどういう形なのかピンとこないでしょうね。

はい、正面から見るとこんな感じ。角度変わってもやはり不思議な形状です。
ビルの構造は「コア」と呼ばれる円柱部分が中心部となり、そこから木の幹に葉がくっ付くがごとく、箱状のオフィスが張り出しています。オフィスは後からの増設も可能とのこと。
これは高度経済成長期に急成長したオフィス需要に対して、”フレキシブルにフロア追加できるビル”というコンセプトによるものでした。当時のメタボリズムと呼ばれた建築運動に影響を受けた建物です。
メタボリズム建築とは?
メタボリズム建築は、1960年代の日本の高度経済成長期に生まれた建築運動です。生物の新陳代謝(メタボリズム)に範を取り、社会の変化や人口増加に対応して建築や都市が有機的に成長・変化していくべきとする考え方です。
この運動は黒川紀章(丹下健三の門下生)や菊竹清訓らが中心となり、予測不可能な未来の都市像を、交換可能なモジュールや骨格となる構造体によって表現しました。代表例としては、黒川氏が設計した中銀カプセルタワービルが挙げられます(2022年に解体)。
静岡新聞・静岡放送東京支社ビルの建築物概要
竣工:1967年 / 建築設計者:丹下健三・都市・建築設計研究所 / 施工:大成建設
敷地面積:187m2 / 建築面積:162m2 / 延床面積:1,493m2
階数:地下1階、地上12階 / 高さ:57m
駐日クウェート大使館
住所:東京都港区三田4-13-12(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR「田町駅」、三田口(西口)より徒歩10分
・地下鉄「三田駅」、A3出口より徒歩9分
4.「電通旧本社ビル(中央区)」 ビルを空中連結するプランの名残り

東銀座の外れで築地の入口辺りに建つ、こちらの飾り気のない無機質なビル。これはかの大手広告会社である電通の「旧本社ビル」です。
昭和42年(1967年)に竣工されて以来、平成14年(2002年)に現在の汐留本社ビルに移転するまで、ここに本社機能が置かれていました。

近くで見るとコンクリートの塊のような、無骨な質感が伝わってきます。周囲のビルと比較しても、実に異質な雰囲気です。
ビルは現在不動産会社に売却されており利用されていません。そのうち取り壊されることになるのでしょう。
※電通旧本社ビルは2021年4月より解体工事が開始されています。

この建物の最大の特徴は、脇にあるこの不思議な突起物なんです。
当時の丹下氏は、複数の高層ビルを建ててそれらを空中でつなぐという、「築地再開発計画」を持っていました。これはその連結計画の名残とのこと。
なかなか奇想天外な計画ですが、プラン第1号としてこのビルが建ったのみで計画は終了。
天下の電通のビルで実験的な都市計画の試みができたことが、当時の丹下氏の影響力の凄さを物語っていますよね。
電通旧本社ビルの建築物概要
竣工:1967年 / 設計者:丹下健三・都市・建築設計研究所 / 施工:大林組
敷地面積:3,258m2 / 建築面積:1,590m2 / 延床面積:31,334m2
階数:地上13階・地下3階、塔屋2階 / 高さ:60m
電通旧本社ビル
住所:東京都中央区築地1-11(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・地下鉄「築地駅」から徒歩約3分
・地下鉄「東銀座駅」から徒歩約5分
~1970年代~ 70年代の国内の希少な建物、クウェート大使館ビルほか
5.「駐日クウェート大使館ビル(港区)」 SFチックなフォルムの建築物

次に紹介するのは昭和45年(1970年)に竣工された建物で、三田にある「駐日クウェート大使館ビル」です。
1960年代に国際的な評価を受けた丹下氏は、1970年代になると海外での活動が増加。そのため、こちらは国内における70年代の希少な建物の一つといえます。
積み木を互い違いに積み上げたような形状の、やはり超個性的なフォルムですね。
じっくり見たいのですが、ガードマンが目を光らせている大使館という場所柄、前をあまりウロウロするのも気が引けます。
はい!全貌が見える場所を発見しました。
軸となる2本の柱の周囲に階段と部屋が付いている構造です。先の静岡新聞・静岡放送東京支社ビルの造りに少し通じるものを感じます。
ジェンガのようなという表現が似合いそうですが、私には巨大なロボットにも見え、SFチックなフォルムに映りました。

訪問の際は手前のビルが建設中だったもので、期間限定の特設ビューポイントから見学ができました。
駐日クウェート大使館ビルの建築物概要
竣工:1970年 / 建築設計者:丹下健三 / 施工:鹿島建設
敷地面積:923m2 / 建築面積:551m2 / 延床面積:4,137m2
階数:地上7階地下2階塔屋2 / 高さ:25m
駐日クウェート大使館
住所:東京都港区三田4-13-12(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR「田町駅」、三田口(西口)より徒歩10分
・地下鉄「三田駅」、A3出口より徒歩9分
6.「草月会館ビル(港区)」 壁面に赤坂御用地の風景を映すビル

次の紹介は、いけばな草月流の総本部である「草月会館ビル」です。昭和52年(1977年)に竣工された建物で、赤坂の青山通り沿いにあります。

このビルの向かいには、通りを挟んで皇室の御所・宮邸である「赤坂御用地」があります。
鏡面ガラス張りの壁に御用地の木々や通りの紅葉を壁面に映し出す様を見ると、庭園の借景と呼ばれる技法を思い出します。
ロケーションを生かして、周囲の風景との一体化を狙った造りだったのではないでしょうか。
草月会館ビルの建築物概要
竣工:1977年 / 建築設計者:丹下健三 / 施工:鹿島建設
敷地面積:1,425m2 / 建築面積:1,194m2 / 延床面積:12,300m2
階数:地上11階地下4階塔屋2棟
草月会館
公式ページ
住所:東京都港区赤坂7-2-21(GoogleMapで開く)
開館時間:平日9:30〜17:30、休館:土・日・祝
アクセス:
電車)
・東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営地下鉄大江戸線「青山一丁目駅」南青山4番出口より徒歩5分
・東京メトロ銀座線・丸ノ内線「赤坂見附駅」A出口より徒歩10分
~1990年代~ 平成バブル期を象徴する建物たち、東京都庁舎ビルほか
7.「東京都庁舎ビル(新宿区)」 東京副都心の巨大ランドマーク
「第一・第二本庁舎」 ノートルダム寺院がモデルの高層ツインタワー

そして1990年代に入り、時代は昭和から平成に移ってゆきます。
「東京都庁舎ビル」は、丹下氏が平成に設計した代表的な建築物の一つです。新宿副都心を象徴するビルで、現在でも新宿一のビルの高さを誇ります。
移転前の旧都庁は丸の内にありましたが、老朽化等の問題により1980年代半ばから新宿への移転が計画されます。当時の西新宿には、淀橋浄水場跡の未利用地が広がっていました。
コンペにより設計案が採用された丹下氏にとっては、日本における久々の大型案件となりました。

東京都庁舎は第一本庁舎・第二本庁舎・都議会議事堂の3棟の建築物と、約300m2の都民広場から構成されます。ここは東京都政の中枢を担う施設で、1万人以上もの職員が働く場所です。
双塔のシルエットが印象的な第一本庁舎ですが、これはパリのノートルダム寺院の大聖堂がモチーフといわれます。やはり海外の建築物の影響が見られますね。

第一本庁舎
その一方で窓部周囲には格子戸のようなデザインが見られ、和風の味付けも見え隠れしています。神社の鳥居っぽい形も見えますが、これも意図的ですかね?

建物の壁面を見ると、複雑な形状の部分は四角形をべースに三角の出っ張りを付け足して創り出しているように見えますね。
「都議会議事堂」 サン・ピエトロ広場から着想した都民広場

半円形の都民広場
都庁通りを隔てた東側には「都議会議事堂」と都民広場があります。
都議会議事堂は都議会本会議などが開催される建物で、地上7階・地下1階建て。6階・7階部分は議場として吹き抜けになっています。
議事堂が広場を取り囲むという円形広場のレイアウトは、バチカンのサン・ピエトロ広場からヒントを得たものだそうです。
無料展望室から国立競技場やスカイツリーを望む

東京都庁舎ビルへの見学の際には、是非とも展望台への立ち寄りをオススメします。新宿一高い、地上202mのビルからの絶景が無料で楽しめますからね。
東側に広がるのは、昭和の高度成長期を象徴する、西新宿の老舗高層ビル群の景観。都庁舎ビルができるまでは西新宿の顔だった面々ですよね。

こちらは南東の代々木方面の展望。
左手の背の高いビルは通称・新宿のエンパイアステートビルこと、NTTドコモ代々木ビル。
その足元の円形の建物は、隈研吾氏の設計で2019年に竣工された新国立競技場ですね。2021年開催の東京オリンピックのメインスタジアムとなる建物です。
奥手に東京タワーもちょこっと見えるなど、新旧東京の景色が見渡せる、なかなかの絶景スポットですよ。
東京都庁展望室
南展望室
入室可能時間:9:30~21:30 / 休室日:毎月第1及び第3火曜日(祝日の場合は翌平日)
北展望室
入室可能時間:9:30~17:00 / 休室日:毎月第2及び第4月曜日(祝日の場合は翌平日)
※南展望室の休室日は21:30まで入室可能。
※年末年始(12月29日~31日、1月2日及び3日)及び都庁舎点検日は両展望室とも休室。
東京都庁舎の建築物概要
東京都庁舎の建築物概要
竣工: 1991年 / 建築設計者:丹下健三 / 施工:大成建設・清水建設ほか
敷地面積:42,941m2 / 延床面積:380,504m2 / 建築面積:27,487m2
階数・高さ:【第一本庁舎】地上48階地下3階・243m、【第二本庁舎】地上34階地下3階・163m、【都議会議事堂】地上7階地下1階塔屋1・41m
東京都庁舎の詳細情報・アクセス
東京都庁舎
見学案内ページ
住所:東京都新宿区西新宿2-8-1(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・JR「新宿駅」、西開札から徒歩約10分
・都営地下鉄大江戸線「都庁前駅」
・「新宿駅」西口(地下バスのりば)から都営バス又は京王バス(都庁循環)「都庁第一本庁舎」「都庁第二本庁舎」「都議会議事堂」下車
・JR「新宿駅」西開札、新宿駅西口:バス停から西新宿・都庁本庁舎方面行きの新宿WEバス乗車、「都庁本庁舎」下車
8.「新宿パークタワー(新宿区)」 都庁舎の弟分の高層ビル

東京都庁舎の展望台から見た新宿パークタワー
東京都庁舎ビルの近隣に、実はもう一件、丹下氏設計の建築物があります。それがこちらの「新宿パークタワー」で、施工時期も東京都庁舎と近い時期のものです。
都庁舎に近く建物の雰囲気も似ていることから、都庁の一部と間違われたり、はたまた第三都庁舎などと揶揄されることもあるらしい。確かに風貌を見ると、兄弟ビルと呼びたくなっちゃいますよね。

52階建てで新宿では都庁第一庁舎に次ぐ高さのビルです。上部が3段構造なのが特徴で、都庁舎同様、単純な直方体ではありませんね。
主要部分は賃貸オフィスですが、高層部にはホテル・パークハイアット東京が入っています。高さも高ければ、宿泊費もきっとお高いんでしょうなあ。
新宿パークタワーの建築物概要
竣工:1994年 / 建築設計者:丹下健三・都市・建築設計研究所 / 施工:鹿島建設、清水建設、大成建設など
敷地面積:26,536m2 / 建築面積:9,553m2 / 延床面積:264,141m2 / 構造形式:鉄骨構造
階数:地上52階地下5階、高さ:235m
新宿パークタワー
公式ページ
住所:東京都新宿区西新宿三丁目7番1号(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・新宿駅南口から徒歩約12分、京王新線 初台駅から徒歩約6分、都営大江戸線都庁前駅A4又はA5出口から徒歩約8分、小田急線 参宮橋駅から徒歩約10分
*新宿駅西口「エルタワー」1階三菱UFJ銀行前から、無料の直通シャトルバス便有(10:10〜19:20にて10~15分間隔)
9.「国際連合大学ビル(渋谷区)」 重厚なピラミット型のビル

「国連連合大学ビル」は平成4年(1992年)に竣工されました。
正面から見るとピラミッド型という、これまた個性的で重厚さを感じさせる建物です。
こちらは青山学院大学の真向かいに位置しているので、ご存じの方も多いかもしれませんね。
ちなみに国連連合大学は一般的な大学ではなく、日本に本部を持つグローバルなシンクタンク機関です。

丹下氏はこのビル竣工の前年に東京都庁舎ビルを竣工させていますが、やはり外観の風合いが都庁舎ビルに似ていますよね。
鉄筋コンクリート造りですが、外壁素材には花崗岩も使用されており、石で作ったような質感が出されています。

側面から見ると、太いパイプ状の金属の補強材に目がゆきます。力強さを感じさせるために、あえてイカツい部分を見せているのかな、とも感じました。
国際連合大学ビルの建築物概要
竣工:1992年 / 建築設計者: 丹下都市建築設計 / 施工:鹿島建設ほか
敷地面積:7,044m2 / 建築面積:2,858m2 / 延床面積:21,301m2
階数:地上14階地下1階 / 高さ:65m
国際連合大学
住所:東京都渋谷区神宮前5-53-70(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・地下鉄「表参道駅」徒歩7分
・JR・地下鉄「渋谷駅」徒歩10分
10.「フジテレビ本社ビル(港区)」 台場地区のランドマーク

最後は台場地区のランドマークである「フジテレビ本社ビル」。フジテレビを始めとする、フジサンケイグループの本社やスタジオなどが置かれているビルです。
こちらも忘れちゃいけない、丹下氏が設計した代表的な建築物の一つとなります。
ビルの竣工はバブル経済期だった平成8年(1996年)。
移転前の旧社屋は新宿区河田町にありましたが、老朽化等を理由に移転が検討されました。新社屋建設のコンペティションを経て、設計者に選定されたのが丹下氏です。
フジテレビが移転する前の台場は工場や倉庫が点在する港湾地域で、広大な空き地もある殺風景な風景が広がるエリアでした。フジテレビ本社の建設は、まさに台場の街づくりそのものだったといえるでしょう。

出来上がったのは強烈な未来志向の建物でした。
高層部はオフィスタワーとメディアタワーの2棟で構成され、それらは3つのフロアーにある空中廊下(コリドール)で繋がれています。外装は腐食の心配がないチタン製。
建物全体が横長の長方形ですが、これは竣工前に試験放送が始まったばかりのハイビジョンテレビの画面の縦横率と同じ、16:9の比率に合わせたものとのこと。う~む、そうきたか、という感じですね。

そしてデザインにおける最大の特徴は、中心部にど~んと置かれたこちらの球体部分だ。直径が32mもある内部は展望室となっています。
何度見ても不思議な建造物で、バブル経済期と当時のフジテレビの勢いの凄さを感じさせます。
フジテレビ本社ビルの建築物概要
竣工:1996年 / 設計者:丹下健三・都市・建築研究所、小堀鐸二研究所 / 施工: 鹿島建設
敷地面積:21,102m2 / 建築面積:14,171m2 / 延床面積:141,825m2
階数:地上25階・地下2階 / 高さ:124m
フジテレビ本社
お台場フジテレビガイド
住所:東京都港区台場2丁目4-8(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・ゆりかもめ「台場駅」下車、徒歩3分。
・りんかい線「東京テレポート駅」下車、徒歩5分。
車)
・首都高速道路「有明IC」「臨海副都心IC」が最寄り
丹下健三による都市計画「東京計画1960」などが掲載されており、興味深い内容となっています。
東京の建築遺産をめぐる、全50ルートを紹介。
1時間で約10の名建築に出会え、効率よく建築さんぽができる1冊。
建物見て歩きに出かけてみませんか?
丹下健三氏の設計した建築物を10件見て歩きましたが、いずれも時代を先取りした先鋭的な建築物で、刺激的な建物が多くありました。
時代を超えて斬新さを感じさせる建物と、時代が移った今となっては少々奇抜な印象に映る建物もあったりしました。
そんな丹下健三氏設計の建築物を見ながら、東京の街をめぐってみませんか?
記事の訪問日:2020/10/12~11/2
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