東京都北区にある「旧古河庭園」は、洋館とバラが美しい庭園として知られる一方、斜面を下った先には風情ある日本庭園が広がる、和洋折衷の庭園が楽しめるスポットです。
秋には洋館前のバラと日本庭園の紅葉を一度に楽しめるのも魅力。
今回は、ジョサイア・コンドルの洋館や小川治兵衛が手掛けた日本庭園、武蔵野台地の地形を生かした庭園構成など、実際に歩いて感じた旧古河庭園の見どころをご紹介します。
目次
旧古河庭園で「2026年 秋のバラフェスティバル」が開催されます
以下の概要にて、旧古河庭園で「2026年 秋のバラフェスティバル」が開催されます。
開催期間:2026年10月10日(土)~11月6日(金)
開園時間:9:00~17:00(最終入園16:30)
見どころ:約100種・200株の秋バラ。秋バラは色が濃く、香り高いのが特徴
開催イベント:
・秋バラの音楽会:10月18日(日)12:00・15:00。クラリネット四重奏、各回約30分。参加無料(入園料別途)
・庭さんぽ:10月24日・28日・31日の早朝8時から。職員の解説を聞きながらバラの香りを楽しむ。事前申込制・各日30人程度
・ローズガーデンマーケット:期間中10:00~16:30。バラグッズ、ジェラート、シフォンケーキなどを販売 ・庭園ガイド:期間中毎日開催。平日は14:00、土日祝は11:00・14:00。予約不要・参加無料(入園料別途) ・「旧古河バラコレ」:スマートフォンで園内の約100品種のバラを撮影・収集できるアプリ
・70周年記念企画:「和と洋の庭めぐり帖」を10月10日~12月28日に開催。園内を巡りながら歴史や庭園の成り立ちを学べるデジタルスタンプラリー
注意事項:天候によりイベント等が中止・変更になる場合あり。フェスティバル期間中は日本庭園を含め、三脚・一脚・自撮り棒の使用は禁止
お出かけ前には、イベント情報を公式サイト でご確認ください。
当ブログの記事も参考にして頂き、ぜひ出かけてみてください!
旧古河庭園は「バラ・紅葉・洋館・日本庭園」を一度に楽しめるスポット
旧古河庭園とは?陸奥宗光の旧宅地を古河財閥当主が整備
旧古河庭園は、東京都北区西ヶ原の住宅地に囲まれた場所にある都立公園です。
JR上中里駅や東京メトロ西ヶ原駅から徒歩7分ほどとアクセスしやすい一方、周辺は比較的落ち着いた街並み。
近くには六義園や飛鳥山公園などもあり、庭園や歴史スポットをつなぎながらの散策を楽しめるエリアです。

旧古河庭園は、もともと明治時代の政治家・陸奥宗光の邸宅があった場所。
その後、10大財閥のひとつに数えられた古河家の本邸として、大正期に古河財閥の古河虎之助が整備し、洋館、洋風庭園、日本庭園を備えた現在の姿へと発展したものです。
現在では大正時代の姿をとどめる貴重な庭園として、国の名勝に指定されています。
旧古河庭園は「花の名所」として知られていますが、明治・大正期の政治・財界と結びついた近代史の舞台としても興味深いスポットといえます。
陸奥宗光(1844~1897年)
幕末から明治時代に活躍した政治家・外交官。
紀州藩士の家に生まれ、坂本龍馬らとも交流し、明治維新後は政府の要職を歴任しました。
特に第2次伊藤博文内閣の外務大臣として外交に力を注ぎ、1894年にはイギリスとの間で日英通商航海条約を締結し、幕末以来の不平等条約の改正を実現。日清戦争では講和外交にも携わりました。
旧古河庭園の見どころ① 洋館と約90種のバラ
ジョサイア・コンドルが設計した旧古河邸

東側から見た洋館洋館
旧古河庭園の象徴ともいえる洋館と洋風庭園の設計は、明治から大正期にかけて日本で活躍したイギリス人建築家であるジョサイア・コンドルによるもの。
ジョサイア・コンドル(1852~1920年)
イギリス出身の建築家で、明治期に日本へ招かれ日本の近代建築の発展に大きな影響を与えた人物。
明治10年(1877年)に来日し、工部大学校(現、東京大学工学部)で建築を教えながら、官庁や邸宅など数多くの建築を設計。日本人建築家の育成にも尽力し、辰野金吾や片山東熊らを指導しました。
英国の古典様式を基調としながら、日本の風土に合わせた建築を手掛けたことでも知られています。
代表作:旧岩崎邸庭園洋館、鹿鳴館、ニコライ堂など
門下生にいた辰野金吾は、後に日本銀行本店や東京駅等を設計して「日本近代建築の父」といわれましたが、さらにその父にあたると考えると、日本の建築界に多大なる影響を与えた人物といえますよね。

洋風庭園側から見た洋館。
煉瓦造りの洋館ですが、外壁は真鶴産の新小松石(安山岩)で覆われており、独特の風合い。
切妻屋根や煙突、バルコニーなどを備えた重厚な外観が特徴です。
その洋館の南側中央部から伸びた通路を挟んで、左右対称の洋風庭園が造園されています。
洋館をバックに映える秋バラを楽しむ

旧古河庭園では四季折々の花木を楽しむことができます。
旧古河庭園で楽しめる花木
■2月上旬~3月中旬:ウメ
■4月中旬~5月上旬:ツツジ
■5月中旬~6月下旬:ブラシノキ
■5月中旬~6月下旬、10月中旬~11月下旬:バラ
中でもやはり中心となるのが春と秋に楽しめるバラで、バラ園には約90種180株のバラが植えられています。
例年バラの開花の季節になると、春は4月下旬~6月下旬、秋は10月上旬~11月上旬に、「バラフェスティバル」が開催されます。
さらに秋の11月中旬~12月上旬には、「紅葉とバラ、和と洋の秋」というイベントも開催。訪問日もこちらのイベントの開催期間中でした。

洋館前の洋風庭園では、建物を背景にバラを眺められるのが大きな魅力です。
お気に入りの1枚を撮るために、左右対称に配置された庭園を歩きながら、バラと洋館を配した構図を探すのが楽しいですよ。

やはり洋館とバラの組合せって素敵ですね。まさにベストマッチ!
おすすめのカメラアングルとしては、花壇側は洋館に対して下がった位置にあるので、その高低差を利用して少しアオリ気味にバラと洋館を入れて撮ると良い感じの絵ができるように感じました。
ちょっと中腰の姿勢で、構図を色々と探しまわってみてください(笑)。

バラ園で印象的だった一輪が、こちらの「黒真珠」という品種。ビロードのような質感に気品が感じられました。

こんな組合せも、春のバラ園では見れない光景ですね。

秋晴れの本日は、庭園も多くの訪問者で賑わっていました。
イベント「紅葉とバラ、和と洋の秋(令和4年度)」

訪問時は秋のイベント「紅葉とバラ、和と洋の秋(令和4年)」が開催されていました。
紅葉とバラ、和と洋の秋(令和4年度) ※このイベントは終了しています
日時:令和4年(2022年)11月12日(土)~12月4日(日)
時間:9時~17時(最終入園は16:30)
イベント内容:
■秋を彩る演奏会 ※雨天中止
日時:12月3日(土) 12時/15時(各回約30分)
場所:洋館横芝生広場
演目:小山兄弟(津軽三味線)
参加費:無料(入園料別途)
■臨時売店 ※荒天中止
日程未定:10時~16時
場所:芝生広場アプローチ部分
内容:オリジナル商品やバラグッズ等の販売。
■庭園ガイド ※雨天中止
日時:土曜日・日曜日・祝日 各日11時/14時(各回約60分)
集合:サービスセンター前
内容:庭園ガイドボランティアによる紅葉した日本庭園を中心としたガイド
参加費:無料(入園料別途)

出店されていたキッチンカーで購入した、コーヒーと食べるのがもったいない感じの可愛いお饅頭で一服。
天気の良い日は、外のベンチで秋の空気を楽しみつつの休憩が気持ち良いです。
洋館内にも喫茶室があるので、優雅な一時が過ごしたい方は是非そちらへどうぞ。
洋館(大谷美術館)内部の見学も見学できる

洋館内部も見学できのか?気になるところですが、見学できますよ。
現在は建物管理を古河家と親交があった大谷家がおこなっており、「大谷美術館」として内部が公開されています。
洋館内は、主に接客として使用された1階がすべて洋室なのに対し、2階の寝室以外の部屋は和室という、和洋折衷の様式を取り入れたもの。
建物内においても、日本建築にも造詣が深かったジョサイア・コンドルの手腕が発揮されています。
大谷美術館の見学には、別途入館料が必要。館内の撮影はNGでした。
大谷美術館
公式サイト
開館時間:10:30~16:30(最終入館は16:00) ※本館1F大食堂の喫茶室は12:00~16:30(ラストオーダーは16:00)
休館日:月曜日 *月曜日が休日の場合は開館し、翌火曜日休館
*夏季・冬季その他館内整備などで休館する場合もあり。
入館料:一般 400円、小学生以下無料、ガイドツアー:一般800円(含、入館料)
※入館には別途、旧古河庭園への入園料が必要です。
旧古河庭園の見どころ② 武蔵野台地の地形を歩いて体感
洋館と洋風庭園の見学後は日本庭園へと移動しますが、その時に感じ取ってみたいのが、旧古河庭園のあるその立地。

洋館は高台にあり、一方、日本庭園はそこから下った谷底のような場所にあります。
これは武蔵野台地の高低差のある地形をそのまま活かして造成されたもので、旧古河庭園の大きな特徴の一つなんですね。
武蔵野台地とは関東平野にある荒川・多摩川・京浜東北線・入間川に挟まれた面積700km2におよぶ台地のことで、およそ13万年前~1万数千年前に形成されたものとされます。これまた歴史ロマンを感じますねぇ。
この高低差が生み出す立体感のある景観と、都内にいながら郊外の渓谷に出かけたような雰囲気が味わえるのが、旧古河庭園の大きな魅力といえます。
旧古河庭園の見どころ③ 日本庭園と紅葉を歩く
日本庭園は洋館周辺とは空間の印象が大きく変わるため、「一つの庭園の中で和と洋を歩き分ける」という魅力があります。
小川治兵衛が手掛けた池泉回遊式庭園をめぐる

こちらが、館から斜面を下った先に広がっている日本庭園。秋色に染まっており、良い感じですね。
作庭を手掛けたのは、近代日本庭園を代表する作庭家・小川治兵衛。
庭園の中心に設けられた「心字池」を中心に園路をめぐる池泉回遊式庭園で、周囲には石灯籠や滝などが配置されています。
洋風も和風とも名だたる名人たちを集めて造られた旧古河庭園に、改めて贅を尽くした屋敷であることを感じた。
小川治兵衛(1860~1933年)
近代日本庭園の先駆者とされる作庭家。京都の庭師植治と呼ばれ、園界に多大な貢献をした人物です。
山県有朋の京都別邸・無鄰菴(むりんあん)、平安神宮神苑、円山公園、南禅寺界隈の財界人の別荘庭園などを作庭しています。
心字池と紅葉、水面に映る秋の風景を優雅に楽しむ

秋の日本庭園では、紅葉した木々が心字池の水面に映り込む景観が大きな見どころ。
赤や黄色に色づいた木々と、池、水鳥、石灯籠などが組み合わさり、洋館とバラ園が織りなす風景とは異なる、落ち着いた秋の風景が楽しめます。
ちなみに心字池は「心」の字に似せて造った池のことで、鎌倉時代から室町時代頃(13世紀〜15世紀)にかけて誕生したとされる庭園手法です。

色付いた水面でくつろぐ鴨たち。

まだ少し緑の部分を残しつつ色付いてるモミジ。秋が深まるとともに、さらに色を増してゆくことでしょう。
20mの大滝と石灯籠にも注目!

庭園内では池や樹木に目が行きがちですが、「庭園を構成しているもの」にも注目して歩くと、さらなる庭園の魅力に出会えます。
日本庭園の奥にある「大滝」は、自然の斜面を利用して造られたもの。こちらは庭園設計の中でも、特に力を入れた箇所らしいですよ。
元々あった自然の斜面を生かして造られており、全長は20mで滝壺までは8mの高さがあります。

石灯籠や石積みなどにも、作庭上の工夫が凝縮されているので注目したい。
こちらの「泰平型(たいへいがた)」と呼ばれる灯籠はどっしりとした形が特徴で、笠の縁部分も角ばって全体的にゴツい印象。

こちらの「雪見型」の灯籠は、とにかくデカイ!
改めて灯籠の形や大きさにも注目すると、日本庭園をより深く楽しめますよ。
旧古河庭園の詳細情報・アクセス
旧古河庭園
公式サイト
住所:東京都北区西ヶ原1-27-39(GoogleMapで開く)
開園時間:9時~17時(入園は16:30まで)
入園料:一般 150円、65歳以上 70円、小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料
※洋館は別途入館料発生
休園日:年末・年始(12月29日~翌年1月1日まで)ほか
アクセス:
電車)
・JR京浜東北線「上中里駅」下車、徒歩7分
・JR山手線「駒込駅」下車、徒歩12分
・東京メトロ南北線「西ヶ原駅」下車、徒歩7分
・都電荒川線「飛鳥山駅」下車,徒歩18分
・北区コミュニティバス(王子・駒込ルート)乗車、JR「駒込駅」より5分・JR「王子駅」より20分、「旧古河庭園」下車
車)駐車場無し
旧古河庭園周辺のランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
東京には素敵な名建築が沢山ありますが、そこでお茶できたり食事できたりすると素敵ですよね。
テレビ大阪,BSテレ東の真夜中の人気ドラマ「名建築で昼食を」の原案本!
庭園は見方が分かるともっと楽しい!
全国の名園40庭を中心に、初心者にもわかりやすく庭園の見方が解説されてます。
旧古河庭園で「和と洋」が織りなす秋の庭園美を歩こう
旧古河庭園の魅力は、秋バラや紅葉の美しさだけではありません。高台の洋館から斜面を下り、日本庭園へと歩いていくと、景観が大きく変化していきます。その背景には、武蔵野台地の地形を生かした庭園設計と、コンドルや小川治兵衛といった近代を代表する建築・造園家の仕事があります。
花を楽しむだけでなく、「なぜここに洋館があり、その下に日本庭園があるのか?」と考えながら歩いてみると、旧古河庭園は一段と面白い歴史スポットに見えてきます。秋バラと紅葉を楽しみながら、和と洋が融合した名園をゆっくり散策してみてはいかがでしょうか。
記事の訪問日:2022/11/19




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