埼玉県吉見町にある「岩室観音堂」は、こんな所に寺院!?と驚くような山の崖の斜面に建ち、秘めやかな雰囲気を持つ寺院です。
洞窟の中にひっそりと並ぶ88体の石仏を参拝したり、石場にある胎内くぐりに挑戦したり。
ちょっとした非日常感を味わいながら、功徳を頂けるスポットでもあります!
そんな岩室観音堂の見どころや歴史について紹介します。
目次
『岩室観音堂』 丘陵地にある懸造りのお堂
埼玉県吉見町は県内のほぼ中央に位置し、その吉見町の西地区には吉見丘陵と呼ばれる丘陵地帯が広がっています。
このエリアは、吉見町を代表する観光遺跡スポット「吉見百穴」で良く知られます。
今回はその吉見百穴にもほど近く、やはり独特の丘陵地の地形を感じさせるスポット「岩室観音堂」を訪問してみました。
山の斜面に立つ独特の外観
はい、こちらが「岩室観音堂」の外観です。
おお~、山の斜面に立つ独特のたたずまいですね!
このように山や崖にもたせかけたりして造られた建築物は、懸造り(かけづくり)と呼ばれるんですよ。
しかしこんな、東北にある山寺のような雰囲気の寺院が、埼玉県中央部にもあったんですね~。
ちょっと驚き。
真向かいの吉見百穴には来たことがありましたが、こちらはスルーしてましたわ。
吉見百穴の駐車場から、周辺のハイキングに出かける方々を時折見かけます。
そんな方々も岩室観音堂の前を通ると、おおっ!とばかりにカメラを向けてましたよ。
\ 吉見百穴の紹介はこちらをご覧下さい! /
「岩室観音堂の由緒」 武蔵松山城の戦いの兵火に
岩室観音堂の由緒です。
- 平安時代の弘仁年中(810~824年):この頃の起源といわれるが、確かな記録は残ってない。
- 戦国時代:武蔵松山城城主が代々信仰。
- 天正18年(1590年)、小田原征伐をおこなった豊臣秀吉軍と武蔵松山城の攻防戦の際に兵火にあう。
- 当時のお堂はこれにより焼失。
- 江戸時代の寛文年間(1661~1673年):龍性院の堯音法師が、近郷の信者の助力を得て再建。
ちなみに観音堂の裏手の小高い山が、武蔵松山城の跡。
お堂の裏手はかつての城の搦手門にあたる場所だったので、ほとんど城郭の一部のような位置だったんじゃないかなあ。
\ 武蔵松山城の紹介はこちらをご覧下さい! /
「岩室観音堂」 比企西国三十三所の一寺
外から見ると建物は大きな山門のようにも見えますが、この建物自体が観音堂となっています。
そして内部に入ってみると、岩と一体化したような造りになっていますね!
おお~、なんか凄いな。
本堂は2階にあるので、岩場に取り付いたような階段を上がって行きます。
階段の半分程からは、ほぼ角度が直角ですね。。。
足元に注意して上がってゆきます。
2階に上がると、古刹の雰囲気を感じる本堂が現れました。
由緒の通り、戦国時代に武蔵松山城の兵火にあってお堂は焼失しました。
しかし、御尊像だけは岩窟内で無事でいらしたといわれるんですよ!
奇跡的ですね。
そんなこともあり、災難除けや交通安全を始め、商売繁昌、安産等の御利益があるといわれています。
岩室観音は、比企郡内の33寺院を巡拝する「比企西国三十三所観音札所」の第3番にあたります。
江戸時代に設置されたこの霊場は、明治以降に廃寺になった寺も多く、残念ながら現在は12ヶ所しか現存しないようです。
素朴な感じですが、立体感のある彫り物が施されています。
彫り物は江戸時代のものと思われます。
「八十八体の石仏」 四国、空海の御利益を!
そして1階に戻りました、こちらをご覧下さい!
左右2ヶ所に分かれて洞窟があり、沢山の石仏が安置されていました。
ここには弘法大師こと空海ゆかりの霊地、四国・八十八ヶ所の寺々の本尊を模した仏像が祀られているんですね~。
なんとも秘めやかな光景ですわ。
左手の洞窟には八十八ヶ所の1番~51番まで、右手には52番~88番までの仏像が納められています。
台座部分には、寺の名前もきちんと掘られてましたよ。
また寛政十年の文字も見かけたので(=1798年)、江戸時代に作られた像のようです。
それでもって、ここの石仏を拝めば四国・八十八ヶ所を巡拝したのと同じ功徳が得られるそうですよ!
それはありがたいな、ということで参拝して御利益を頂戴しておきました。
「胎内くぐり」 武蔵松山城に続く岩地
お堂を抜けた裏手には「胎内くぐり」があるようです。
「ここをくぐると諸難を除き、安産、その他の願いが叶う」とのこと。
行ってみましょう!
こちらが裏手の岩場。
右手の道は武蔵松山城跡まで続いている道ですが、通行止めになっているようです。
時折入って行く人を見かけますが。。。
左の岩場の壁に鎖が掛かっているのが分かりますか?そちらが「胎内くぐり」になっています。
この写真だと少しわかり辛いですね。
はい、こちらの胎内くぐりはハート型の胎内くぐりなんですよ。
アングルが一息で、ややギザギザハートですね(苦笑)。
胎内くぐりは各地でも見られる風習らしいです。
胎内に見立てた輪をくぐると清らかな体に生まれ変わる、という意味合いがあるそうなんですわ。
登り口は人がいる方が分かり易いので、失礼ながらこちらをパチリ(苦笑)。
胎内くぐりには安産のご利益有りと書かれていましたが。。。、足場が悪いんで妊婦さんにはあまりおすすめできないけどなあ。
岩室観音堂の詳細情報・アクセス
岩室観音堂
住所:埼玉県比企郡吉見町北吉見309(GoogleMapで開く)
アクセス:
電車)
・東武東上線「東松山駅」下車、川越観光バス「免許センター行」約5分、「百穴入口」下車徒歩約5分
・JR高崎線「鴻巣駅」下車、川越観光バス「東松山駅行」約25分、「百穴入口」下車徒歩約5分
車)
・関越自動車道「東松山IC」から鴻巣方面へ約5km
・圏央道「川島IC」から東松山方面へ約8km
・国道17号・鴻巣天神2丁目交差点から東松山方面へ約10km
・吉見百穴の近隣につき吉見百穴の無料駐車場が利用可
吉見周辺のランチは事前予約やクーポン利用で、並ばずお得に!!
\ コカコーラの工場があるので、缶チューハイなんかがあったり! /
周辺おすすめスポット(吉見百穴ほか)
~近隣スポット~
松山城跡
戦国時代の城郭跡。
吉見百穴の向かいの高台にあり、百穴訪問の際にあわせて歩いてみるのも一考。
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岩殿山 安楽寺
源頼朝の弟・源範頼が幼少期に身を隠したのがこちらといわれる。
江戸時代には、息障院ともに大寺院を構成していたという。
約1.5kmの近隣にあるので、こちらも是非立ち寄ってみたいスポット。
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岩殿山安楽寺(吉見観音)
住所:埼玉県比企郡吉見町御所374(GoogleMapで開く)
※バスによる移動:バス停「百穴入口」から「久保田」までの乗車時間は約7分、そこより徒歩約30分
岩殿山 息障院光明寺
源範頼が館を築き住んでいた場所と伝り、館の名残りとされる空堀が今も残る。
場所も近く、立ち寄ってみたいスポットの一つです。
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岩殿山安楽寺(吉見観音)
住所:埼玉県比企郡吉見町御所374(GoogleMapで開く)
※バスによる移動:バス停「百穴入口」から「久保田」までの乗車時間は約7分、そこより徒歩約20分
~食事・土産処~
名代 四方吉うどん
息障院から約1.2kmの近隣にある、人気のうどんや「四方吉(よもきち)」。
太くコシが強い麺を、アツアツのつけ汁で頂くのが武蔵野うどんスタイル。
道の駅 いちごの里よしみ
農産物の直販所や、お土産屋などがある。
名産の吉見産の苺を使った加工品もあります。
道の駅 いちごの里よしみ
公式ページ
住所:埼玉県比企郡吉見町大字久保田1737番地(GoogleMapで開く)
※バスによる移動:バス停「百穴入口」から「いちごの里よしみ」までの乗車時間は約7分
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岩室観音堂にでかけてみませんか?
崖に建つ不思議な雰囲気のお堂、「岩室観音堂」を紹介しましたがいかがでしたか?
それほど山奥にあるわけではないんですが、ちょっと秘境っぽい雰囲気が味わえましたね。
この周囲にも歴史的な見どころが多くあります。
裏手には武蔵松山城跡があり、近くには古墳時代の 吉見百穴もあります。
そして、こちらは江戸時代のお堂。
そんなわけで、近隣でなんと古墳時代~戦国時代~江戸時代までのタイムトリップができるんですよ!
そんな吉見町に出かけてみませんか?
記事の訪問日:2021/5/9
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